全国山村振興連盟メールマガジンNO149

全国山村振興連盟メールマガジンNO149

2021.11.5

全国山村振興連盟事務局

 

○11月18日に総会を開催します

 

11月18日(木)、全国山村振興連盟総会を10時30分からグランドアーク半蔵門(千代田区隼町1番1号)3階「華」において開催します。

感染防止対策の徹底のため、会場入場者数に制限がありますので、昨年同様、各県ごとに数名に限定させていただいております。

関係の会員の皆様方におかれましては、どうぞよろしくお願い致します。

 

  • 2021年10月の農林水産行政

 

2021年10月の農林水産行政の主な動向は、以下のとおりでした。

 

1 金子原二郎新農相が就任

10月5日、岸田森政権の成立に伴い、初入閣の金子原二郎氏が農林水産大臣に就任した。金子氏は77歳。参議院予算委員長を務めていた。漁業者宅の出身で、父親は金子岩三元農相。親子二代で農相を務めることとなる。

金子新農相は、慶応大学卒業。昭和58年、衆議院に初当選し、5回当選の後、平成10年から長崎県知事となり、3期12年にわたり知事を務めた。その後22年、参議院長崎県選挙区で2回当選。岸田派の重鎮である。

新農相は特に水産関係に造詣が深く、長崎県知事時代に漁船のリース事業を導入したことから、その後UR対策予算を活用してこれを全国で実現したという実績がある。趣味は硬式テニス・ゴルフ・野球観戦。

 

2 米の特別枠15万トンを市場から実質隔離

9月25日現在の本年産米の作柄は、全国100(平年並み)となり、収穫量700万2000トン。適正在庫数量(693万トン)を 7万2000トン上回る状況となった。作柄は、北海道が108(良)、東北は102(やや良)であった一方、北陸・東海・九州では日照不足や台風・大雨の影響で96とやや不良となり、全国では100となった。

前年産米の在庫量が増えたことを反映して、米の価格は9月には前年に比べ60 kg当たり13255円と前年に比べ12%の価格低下となっている。このような状況を踏まえて、前年産米在庫のうち15万トンを特別枠とすることとし、販売を長期間先送りすることができるよう保管料を補助することとなった。

具体的には15万トンについての保管料は全額、それ以外の分については1/2を補助する。15万トンは、新型コロナウイルスの影響による需要量の減少分とされている。このほか、収入減少影響緩和対策や生産調整助成金が支払われるまでの間、無利子融資が措置されることとなった。財源や金額については、財政当局と調整中である。

 

3 北海道の赤潮・沖縄の軽石など各地で漁業被害

北海道では、かつてない規模での赤潮が太平洋沿岸で発生し、ウニ・サケなどの大量死が生じていることから、北海道は10月21日対策会議を開催した。被害額は、根室・釧路・十勝・日高の4地方で計76億円に上り、うちウニで68億円、サケ5500万円、サクラマス・ブリ・クロダイなどその他の魚種で7億円の被害となっている。最も深刻なのは釧路管内であり、サケとウニで37億円の被害が生じ、また根室管内では23億円の被害が出ている。

原因はカレニア・セリフォルミスというプランクトンを中心とする赤潮によるものとされ、国外海域で増加し、太平洋沿岸に流れてきたものと考えられている。

一方、沖縄では大量の軽石が流れてきたことによる漁業被害が生じている。これは8月に小笠原諸島の海底火山が噴火した際に噴出した軽石が、沖縄などの沿岸に流れ着いたものであり、漁船や巡視船についても軽石がエンジンに吹き込まれ停止する事態が生じている。農林水産省では、これらの漁業被害に対して状況を十分把握し、災害復旧事業の活用なども含めて対応を考えていきたいとしている。

 

4 地球温暖化対策計画を改訂し、温室効果ガス3.5%削減を目標化

農林水産省は10月27日、地球温暖化対策計画を4年ぶりに改訂し、2030年度温室効果ガス46%削減、2050年度実質ゼロという政府目標の達成に向けて、農林水産分野で3.5%の削減を行うことを目標とした。改訂前には2.8%だった。

具体的に削減する量として、①森林による吸収(間伐、造林など)3800万トン、 ②二酸化炭素の土壌貯留(堆肥・緑肥・剪定枝由来の木炭)850万トン、③施設園芸(ヒートポンプ、木質バイオマス暖房など省エネルギー施設)155万トン、④農地からのメタンの発生抑制(水田中干し期間の延長)104万トン、⑤農業機械(省エネ農機)7900 トンなどとなっている。

この対策により2013年度から30年度までの累積で、二酸化炭素換算4953万トンを削減したいとしている。

 

5 その他

(1)1月から8月までの輸出は31%増加

農林水産物・食品の1月からの8月までの輸出は7705億円と、前年に比べ31%の増加となり、1月から8月までの過去最大を更新した形となった。8月だけでみても965億円と、前年に比べ31%の増加となっている。

特に牛肉については、1月から8月の累計が322億円と過去最大(2019年)の297億円を上回り、また日本酒についても242億円と過去最大(2020年)の241億円を上回った。このほか、ぶどう・桃などで伸びた一方、牛乳乳製品はコロナ禍によるロックダウンなどを反映して減少となった。

国別では、中国 199億円(63%の増加)、米国147億円(55%の増加)が顕著な伸びを示している。

 

(2) 全国海づくり大会・全国育樹祭を開催

10月3日 宮城県石巻市で「第40回全国豊かな海づくり大会・食材王国みやぎ大会」が行われ、「よみがえる豊かな海を輝く未来へ」がテーマとして掲げられた。野上前農相も出席した。天皇皇后両陛下は、オンラインによる臨席となった。

また10月9日・10日「第44回全国育樹祭」が北海道で行われ「つなごう未来へ この木この森この緑」がテーマとして掲げられた。皇嗣同妃両殿下は、オンラインでの臨席となった。

 

(3)中部太平洋まぐろ類委員会で増枠が認められる方向

10月5日から7日、中部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)北小委員会が開催され、日本が増枠を求めてきた大型魚の漁獲枠を15%拡大することで合意した。12月の年次会合で最終的な合意が行われる見込みとなっており、農林水産省は働きかけに努めている。

我が国は、数量管理の観点から、遊漁について本年8月12日から来年5月31日までは、30 kg 以上のマグロ類大型魚の採捕を禁止する措置をとっている。

 

(4)会計検査院が農地情報公開システムの問題を指摘

10月19日会計検査院は、①農地情報公開システムの「全国農地ナビ」が4~5年間更新されていない農業委員会・市町村が4割にのぼること、②ずさんな計画のため目標達成できたか否かが把握できない事例があることについて指摘を行った。

農林水産省では、全国農業会議所に対して情報更新の遅れている農業委員会に対し支援を行うよう要請したほか、都道府県により状況に差があるので調査を行った上で確実に機能するようにしていきたいとしている。