全国山村振興連盟メールマガジンNO202

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2022.12.2

全国山村振興連盟事務局

  • 自由民主党山村振興特別委員会の概要について

 

11月18日に開催されました自由民主党山村振興特別委員会の概要は、以下のとおりでした。

 

自由民主党山村振興特別委員会(委員長:奥野信亮 衆議院議員)が11月18日金曜日午前8時30分から自民党本部 704号室において開催された。

全国山村振興連盟からは、竹﨑一成 会長代行など5名の副会長及び實重常務理事が出席した。

今枝宗一郎 事務局次長(衆議院議員)の司会により議事が進められ、最初に奥野信亮 委員長の挨拶があった後、議事に入った。

 

議事(1)令和5年度山村振興関係予算概算要求等について

関係省庁を代表して農林水産省農村振興局から、「令和5年度山村振興関係予算概算要求について」の資料に基づき説明があった。また、農林水産省農村振興局から「山村振興に関する直近の情報」、林野庁から「所有者不明森林について」の資料に基づき説明があった。

 

議事(2)全国山村振興連盟からの要請等について

竹﨑会長代行から「第1に、世界情勢が激変する中で、燃料・食料品価格をはじめとする諸物価の高騰の波が、山村にも押し寄せてきている。こうした中、先般、物価対策を中心とする総合経済対策と29兆1000億円に及ぶ補正予算案をお決めいただき、お礼申し上げる。令和5年度政府概算要求についても、山村に関わる様々な面に配慮いただいたものとなっており、ぜひとも確保していただくようお願いする。

第2に、近年の相次ぐ自然災害の多発により、脱炭素が世界的に喫緊の課題となっているが、国土面積の半分を占める山村地域が、広大な森林をはじめとする資源を最大限有効に活用していくことができるよう、脱炭素政策の集中的な推進をお願いする。特に森林環境税・森林環境譲与税については、令和6年度からの本格施行を控え、令和5年度には国民的な議論が交わされていくものと思われるが、森林環境譲与税の実施状況を踏まえ、効果を検証しながら、必要に応じ譲与基準等について見直し・検討を行っていただくようお願いする。

第3に、コロナ禍の教訓を踏まえ、感染症の流行があった場合にも迅速な医療と強靭な経済社会の体制を築いていくことができるよう、今後の流行に対して万全の備えを行うとともに、都市への人口集中を改め国土の隅々にまで人口が分散していくこととなるようにしていただきたい。地域おこし協力隊や特定地域づくり事業協同組合といった新しい施策が、全国の山村でも効果的に実施されているが、田園回帰や二地域居住といった志向を持つ人々を数多く受けることができるよう、移住政策の更なる拡充をお願いする。その際特に、デジタル環境の整備や医療・教育体制の充実、地域公共交通の確保が重要だと考えるので、こうした面での施策を更に強化していだだきたい。」旨の要望を行った。

櫛引副会長から「第1に、地域医療の確保に関して、人口の減少や少子高齢化が急速に進んでいる山村や過疎地域においては、医師はもとより看護師などの医療従事者の安定的な確保に大変苦労をしている。特に医師については、現在の研修医制度の下では、医療環境や生活環境の面からも、都市部に集中し、地方への勤務は極めて限られているのが実情なので、山村や過疎地などの医療過疎地域に、一定期間、勤務をすることによって、何らかの資格の取得が有利になるなど、新たな制度の創設や義務化がなされるよう希望する。

また、町村内に唯一、1軒しかない民間の医療機関に対する支援措置についてであるが、現在、地方公共団体が運営する医療機関、及び公的医療機関に対する地方公共団体からの支援については、普通交付税及び特別交付税で財政措置がされているが、民間の医療機関に対し、行政支援をした場合の財政措置は一切ない。ついては、行政区域内に民間の医療機関が1軒しかない場合においては、公的医療機関と同様に、財政支援を検討頂きたくお願いする。

第2に、鉄路の存続に関して、北海道では、JR北海道単独では維持困難な線区として13線区を公表し、国・北海道・沿線自治体の連携のもと、アクションプログラムに基づき、利用促進と改革改善に向け一丸となって取り組んでいる。食料の自給率が200%を超える道内の豊富な農林水産物を安定的に確保し、都市部に送り届けるのは、長距離、定時・大量輸送手段としての鉄路以外にはない。また、身近な鉄路は、通勤・通学・通院などの暮らしや生活を、そして観光や地域の経済産業を支えている。

人口減少、少子・高齢化社会における人手不足や国防の観点からも、鉄路の存続は、極めて重要な課題であり、単に収支や経済効率のみでの判断ではなく、国家100年の体系に立ち、判断を頂きたい。地域にとって鉄道会社が残っても、鉄道が残らなければ何ら意味がない。」旨の要望を行った。

河野副会長から「昨今の米の価格を憂いている。すべてのものが値上がりする中で、下がっているのは米の買取価格だけである。生産農家からは、作るより買った方が安いという切実な声が聞こえる。米は日本に欠かせない大切な文化であり、田園風景はかけがえがないものである。このまま行くと、耕作放棄地が更に増える。米の転作と言ってもそれぞれ条件が違うので、一筋縄では行かない。農家の手取り価格が右肩下がりであり、昨年はJAの買い上げ価格が30Kgで400円下がり、今年は250円下がっている。私の町の米はおいしいので平野部産よりは有利だが、それでも悲鳴が聞こえる。個人販売の人はアイデアを出して30Kg、1万円で販売できているが、系統出荷の人は大変厳しい。このままでは、米農家の激減は遠い先の話ではない。飼料・肥料については格別の配慮をいただいているが、米をどうしていくかということが重要な課題だ。米農家は、大ピンチに陥っている。」旨の要望を行った。

 

連盟からは、「令和5年度農林山村振興関連予算・施策に関する要望書」を配布した。

 

その後、議員から意見が提出され、次のようなテーマが取り上げられた。

・山村活性化支援交付金の活用状況

・山の恵みプロジェクトに関する情報提供

・山村の特産物の都市における販売拠点

・米などの有機栽培による付加価値向上

・SDGsモデル都市が利用できるCLTなどの事業

・情報通信基盤の更新

・携帯電話不通地域の解消