全国山村振興連盟メールマガジンNO144

全国山村振興連盟メールマガジンNO144

2021.10.1

全国山村振興連盟事務局

 

○10月22日理事会は通常開催します

 

理事の皆様には既にご連絡させていただいておりますが、新型コロナウィルスの緊急事態宣言が解除されたことに伴い、10月22日に予定しております全国山村振興連盟理事会は、通常開催をすることとしました。感染防止を徹底するよう努めておりますので、理事の皆様におかれましては、ご出席をよろしくお願いします。

前日に予定している副会長会議も通常開催の予定です。

なお、緊急事態宣言解除後は、事務局も在宅勤務を減らし、平日には常駐するようにしておりますので、よろしくお願いします。

11月18日に予定しております総会も現在のところ通常開催する方向で準備を進めています。昨年の総会と同様に会場の入場数制限が見込まれますので、ご出席数については、今月中旬に予定している総会案内の際にご連絡させていただきます。

どうぞよろしくお願い致します。

 

〇2021年9月の農林水産行政

 

2021年9月の農林水産行政の主な動向は、以下のとおりでした。

 

1 G20農相会合に野上農相が出席、国連食料サミットに菅総理が出席

9月17日・18日イタリアのフィレンツェにおいてG20農相会合が行われ、①食料システムにおける持続可能性確保に向けた課題と経験、②飢餓目標の達成に向けた持続可能な農業開発などについて議論が行われ、野上農相が出席した。野上農相は、5月に策定した「みどりの食料システム戦略」を踏まえて、①環境負荷低減と生産性の向上の両立が技術改革で達成可能であること、②各国の置かれた状況を踏まえた政策の実施が重要であること等につき主張した。会議では国連食料システムサミットに向けて、コミュニケが採択された。

これに続く9月23日・24日国連食料システム・サミットがグテーレス国連事務総長の主催によりオンライン形式で開催され、140か国以上の首脳級・閣僚級・国際機関の長、市民社会・民間企業の関係者により、2030年までのSDG‘s達成に向け食料システムを改革するための行動と方策が議論された。我が国からは菅首相が参加し、①生産性向上と持続可能性の両立、②自由で公正な貿易の維持強化、③各国・地域の気候風土・食文化を踏まえたアプローチの重要性を提唱し、「みどりの食料システム戦略」に基づき持続可能な食料システムの構築を進めたいとアピールした。

サミットでは、気候変動に対応した農業技術革新など8つの課題に取り組む連合体を設立することとされ、SDG‘s達成に向けた流れを加速 するとともに、COP 26(気候変動枠組み条約第25回締約国会議)や COP 15(生物多様性条約第15回締約国会議)に向けてつないでいくこととなった。

 

2 TPPに対し中国と台湾が加盟申請

9月16日 中国がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に対する加盟を正式に申請し、寄託国ニュージーランドに対して申請を提出した。またこれに続き 9月22日には台湾がTPPへの加盟を正式に申請した。中国政府は、台湾の申請に対して、「あらゆる公的な協定や組織への加入に断固として反対する」としている。

政府としては両国とも申請を歓迎しつつ、TPP 11の高いレベルのルールをしっかりと満たす用意があるのかどうかについて見極める必要があるとしており、11か国で取扱いにつき話合いが行われるものとみられる。

イギリスの加盟申請に対しては、9月28日に作業部会を設置して、正式に加盟交渉が開始されることとなった。

 

3 米の出来秋に向けて価格が低下傾向

令和3年産の米の作柄については、8月15日現在では20都府県で「やや不良」となった。これは6月下旬から7月上旬にかけての日照不足や8月中旬の台風・大雨のために稲の冠水や倒伏が生じたことによる。

こうした作柄見通しにも関わらず、市場では米の過剰傾向が懸念され、各県の 全農本部がJAに支払う概算金や卸売価格は、低下する傾向がみられる。

これに対して農林水産省では、①7月の米の基本方針では、過去直近1年間の 需要実績 704万トン、6月末在庫 219万という状況を踏まえ、令和3年産作付面積は6.2万ha~6.5万haの減少としたことから需給は均衡しているとしている。②また、「米穀周年供給需要拡大支援事業」において令和2年産米支援対象の契約期限を9月末まで2か月延長したこと、保管費の支援対象期間を3月末から10月末に7ヶ月延長したこと により、令和2年産米37万トンの申し込みがあり、売り先の決まっていない令和2年産米はないとしている。

 

4 豊洲市場にクジラの生肉が出荷

我が国が IWCを脱退し商業捕鯨を再開してから2年。9月3日に豊洲市場に クジラの生肉が出荷された。

我が国は、①科学的根拠に基づき鯨の持続的利用が可能であること、②捕鯨が文化的多様性として尊重されるべきことを主張して、領海や排他的経済水域に限定して捕鯨を行っている。

市場からは新鮮で美味しいといった好意的な評価が寄せられた。水産庁は、①資源管理と②効率的な操業形態に加えて、③クジラ肉のニーズの拡大が必要であるとしており、今後捕鯨業者が流通業者・小売業者と連携しながらアピールしていく取り組みに対して支援を行うこととしている。

 

5 個人経営体(家族農業)が100万戸割る

本年2月1日における経営体数が公表され、個人経営体(家族農業経営)は99万1400(対前年4.4%の減)と初めて100万戸を下回った。

2011年には 158万6100だったものが一貫して減少しており、10年間で37% の減少であった。その間規模拡大は進んでおり、都府県では1ha未満の農家が5.5%減少したのに対し、5ha以上の農家は2.2%の増となった。1経営体当たりの面積は、都府県で2.2ha、北海道で 30.8ha、全国平均で3.2haと、前年より0.1haの拡大となった。

一方で、団体経営体(株式会社、農事組合法人等)は増加し、3万9500と前年より2.9%増え、10年間で25% 増加した。この間、耕地面積は減っており、2020年で437.2万haと10年間で4.8%の減少となった。

個人・団体を合わせた経営体数は103万900と4.2パーセントの減少となった。

 

6 その他

(1) 8月大雨被害 657.7億円、農相が福岡県・佐賀県で現地視察

8月の大雨による農作物等の被害は、39道府県で9月10日現在 657.7億円となった。このうち佐賀県154億円、福岡県92億円と2県で4割を占めている。

9月8日、野上農相は、福岡県朝倉市・久留米市、佐賀県嬉野市を訪問し、知事・議長・市町長、団体の関係者から被害状況について話を伺い、要請を受けた。 数年続いた大規模災害により農業経営に大きな被害を受けている状況となっており、激甚災害への指定が見込まれることから、①農業用施設・林道等の災害補助率の嵩上げ、②災害査定の簡素化、③資金の無利子化などが図られる見込みである。

被害額の内訳は①農作物が25府県で76.4億円。野菜・果樹の冠水やハウス被害が生じている。②農地・農業用施設が35府県で317億円。土砂流入・施設の冠水などが生じている。③林野被害が259.8億円。法面の崩れた林道が4000か所、林地の荒廃などが生じている。

 

 

(2)EUと米国が 食品輸入規制を緩和

EUは9月20日、放射性物質検査証明と産地証明を必要とする日本産品を限定すると発表し、10月10日から適用することとした。これにより栽培されたキノコ等について証明が不要となり、従来の実績から見て放射性物質検査証明は ゼロ、産地証明は7割減となる見込みである。

また9月22日、米国FDA(食品医薬品局)は 14県からの一部食品の輸入停止措置を撤廃すると発表した。これにより福島県産の米などが世界第3位の輸出先市場である米国に対して輸出できることとなる。

なお日本食品に対する輸入規制を続けている国は、14カ国地域となった。

 

(3)米の現物市場検討会を開催

農林水産省は9月29日、「米の現物市場検討会」初回会合を行い、米の需給実態を示す価格指標となるべき現物市場の制度に関して、生産者、集荷業者、卸売業者、実需者の代表及び学識経験者により議論を開始した。会議は非公開で行われた。

現物市場は、農業団体はじめ関係者が協力して、様々な用途の需給に応じた価格形成が行われ、関係者の経営判断に資することを狙いとして設けることが検討されている。今後、年度内をめどとして制度設計を行うため、複数回の議論を行うことが予定されている。