全国山村振興連盟メールマガジンNO82

全国山村振興連盟メールマガジンNO82

2020.7.3

全国山村振興連盟事務局

1 新規加入会員のご紹介

 

香川県から6月9日付けで東かがわ市(上村一郎市長)、6月29日付けで綾川町(前田武俊町長)、観音寺市(白川晴司市長)、さぬき市(大山茂樹市長)、6月30日付けでまんのう町(栗田隆義町長)の5市町が新規加入会員として連盟に参加いただきました。ありがとうございました。よろしくお願いします。

なお、香川県は令和元年度から準会員として既に参加いただいており、支部の機能は香川県庁(農村整備課)で務めていただくこととなりました。

 

2 2020年6月の農林水産行政の動向

2020年6月の農林水産行政の動向は、以下のとおりでした。

(1)コロナ対策で対策本部を開催。Go to キャンペーンの担当部を設置。

農林水産省は6月17日、「新型コロナウィルスに関する対策本部」と「緊急災害対策本部」(本部長はともに農相)を合同で開催し、今国会で成立した予算・法案を現場に速やかに周知し、迅速に執行することにより、コロナ対策・防災対策に一丸となって取り組むこととした。

コロナ対策については、農林水産物の需要回復に時間がかかることを前提に、支援策を現場に届けながら、感染防止に努める。防災対策については、コロナ禍での災害発生の対応に準備を行うこととしている。

通常国会で議論のあったGo toキャンペーンについては、政府全体で事務局を公募することを取りやめ、各事業分野に分割して事務局(執行事業者)を公募することとなったため、6月8日、農林水産省内に担当部局を設置した。室長のほか8人からなるセクションであり、6月中に3度関係者からのヒアリングを行った。事業費は2003億円、事務費の上限は469億円とされており、スピード感と正確な事業執行を両立したいとしている。

 

(2)通常国会で予算と4法案が成立。種苗法は継続審議へ。

6月l7日に閉会した通常国会においては、①令和元年度補正予算、②令和2年度当初予算、③令和2年度1次補正予算、④2次補正予算の4つの予算が成立した。また、法案については農水省提出5法案のうち4法案が成立した。

4法案は、①家畜伝染病予防法の改正法案(野生イノシシの殺処分、検疫強化)、②家畜改良増殖法の改正法案(精液・受精卵の国外持ち出し禁止)、③家畜遺伝資源の不正競争防止法案(差止・損害賠償)、④森林法の改正案(木材販売事業の譲渡)である。

他方、種苗法の改正案(登録品種の保護強化)は、継続審議となった。登録品種の海外持ち出し禁止など知的財産権を強化する内容だが、農業者の自家増殖ができないこととなるため批判が強かった。農水省は登録品種はごく一部であるとして、特に修正せず次期国会の審議を待つ方針。

 

(3)農林水産省の4白書が閣議決定(6月16日)

農林水産省は6月16日、①食料・農業・農村白書、②森林・林業白書、③水産白書、④食育白書の4つの白書を閣議決定した。

食料・農業・農村白書では、2つの特集と2つのトピックスを掲げている。特集は、①「新たな食料・農業・農村基本計画」、②「輝きを増す女性農業者」であり、トピックスは、①「食料・農業・農村とSDG‘s(持続可能な開発目標)」、②「日米貿易協定の発効と対策」である。

これに続いて、食料・農業・農村の各政策分野の説明があり、更に「災害からの復旧・復興と防災・減災、国土強靭化」として、その中でコロナ対策や令和元年度災害について述べている。

森林・林業白書では、「SDG‘sに貢献する森林・林業・木材産業」、水産白書では「平成30年間の水産業の変遷と今後の方向性」、食育白書では「若い世代を中心とした食育の推進等」について特集で取り上げている。

 

(4)収入保険の加入3.5万経営体、支払いは13.4%

農林水産省は6月24日、収入保険の実施状況を公表した。本年4月末までで、加入実績は3万5000経営体で、青色申告者の7.5%に当たる。うち個人3.2万経営体、法人3000経営体となっている。基準収入の平均は、個人1300万円、法人4000万円となっている。

主な品目別には、米2.2万、野菜1.6万、果樹1.2万経営体が多い。

令和元年の保険金等の支払状況を見ると、加入者(2.3万経営体)のうち、本年4月末時点で全体の13.4%に支払いがあり、3049件、72億円となっている。9~11月の台風の影響が大きかったこともあり、基準収入の9割を下回った経営体の割合は、茶・かんしょ・野菜の経営で大きかった。

また、2021年から1年間は、収入保険と野菜価格安定制度の双方同時に加入することができるものとされた。加入者は双方に対して保険料等を支払い、野菜価格安定制度の補給金を受け取った場合は、収入保険の補てん金を計算する際に考慮される。

 

(5)その他

① 1~4月の農産物輸出は、9.4%の減少

農林水産省は、「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」に基づき、6月19日「農林水産物・食品輸出本部」(本部長・江藤農相)の会合を開き、輸出の状況を報告するとともに、今後の実行計画の推進について議論を行った。

報告によると、①2019年の輸出額は9121億円と1兆円目標に届かなかった、②2020年は1~4月で対前年比9.4%の減少となった。海外における外食需要の低迷、商談機会の逸失、旅客便の減による物流の停滞等により、水産物・牛肉・アルコール飲料等で減少が大きかったという。

 

② 家畜の飼養衛生管理基準を改正へ

豚熱(CSF)の発生などにより、新たな飼養衛生管理基準を審議してきた食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会は、改正方針を取りまとめた。それによると、①大臣が指定した地域においては、牛・豚を放牧する場合は、給餌場所に防鳥ネット、避難用の設備を設けること、②大臣が指定した地域以外での放牧については避難用の施設を設けること、などとされている。避難用の施設とは、夜間などに1か所で管理するためのもの。

 

③ A―FIVE、2025年に廃止へ

農業法人・企業に出資してきた農林漁業成長産業化支援機構(A―FIVE)は、2025年末までに投資を回収し廃止する計画となった。令和元年度に92億円と見込まれていた損失が120億円に達し、回復は困難と判断された。

 

④ 議員立法でため池特別措置法が成立

6月12日、与野党で合意して議員提出された「ため池特別措置法」が成立した。全国に6万4000ある防災重点ため池のうち、緊急性を要するものについて、都道府県が耐震調査の上、工事計画を策定して工事を実施する。国はそれに要する費用を支援する。法は2030年までの時限法とされ、5年後に検証を行うものとされている。

 

⑤ SDG‘sの達成をめざし「あふの輪プロジェクト」を開始

農林水産省は、食と農林水産業をサステナビリティをつくりSDG‘sを達成することを目指して、「あふの輪2030プロジェクト」を開始し、参加メンバーの募集を始めた。このプロジェクトは、環境に配慮した生産活動によって生産される価値を見える化するとともに、消費者の購買行動が後押しする持続可能な消費を促進しようとするもの。プロジェクトでは、①勉強会・交流会、②会員の取組みのホームページへの掲載、③消費者への働きかけ等を予定している。事務局は、大臣官房政策課環境政策室あふの輪事務局。