全国山村振興連盟メールマガジンNO113
2021.2.19
全国山村振興連盟事務局
○ 自由民主党山村振興特別委員会が開催されました
自由民主党山村振興特別委員会(委員長:金子恭之衆議院議員)が、2月19日金曜日午前8時から自民党本部101号室において開催されました。
全国山村振興連盟からは、竹崎一成会長代行(熊本県芦北町長)、奥田正和副会長(広島県世羅町長)、上遠野修副会長(茨城県城里町長)の3名がオンラインで参加したほか、實重常務理事が出席しました。
鈴木憲和事務局長(衆議院議員)の司会により議事が進められ、最初に金子恭之委員長、 中谷元全国山村振興連盟会長の挨拶があった後、議事に入りました。
議事の概要は、以下のとおりです。
議事(1)令和3年度山村振興関係予算概算決定等について
関係省庁から「令和3年度山村振興関係予算概算決定について」の資料に基づき説明があった。(資料は別添のとおりです。)
議事(2)全国山村振興連盟より山村振興施策についての重点要望等について
竹崎会長代行から、次のように発言を行った。
「第1点として、昨年来、新型コロナウイルスの感染拡大とその防止に山村も忙殺されおり、全国的に医療体制の充実と医療関係者への支援の拡充が急務である。また1年に及ぶコロナ危機によって受けた経済への打撃は計り知れず、山村においても飲食業や観光業をはじめとして広範な産業に甚大な被害が及んでいる。こうした中で1月28日、第3次補正予算が成立し、その中では「新型コロナウイルスの拡大防止」と「ポストコロナに向けた経済構造の転換」が大きな柱とされているところであり、速やかかつ効率的に実施に移されることをお願いしたい。またこの補正予算と令和3年度予算を合わせて15ヶ月予算として編成されているため、途切れることなく対策を実行する上でも令和3年度予算の早期の成立をお願いしたい。
新型コロナウイルスのワクチンの接種も行う予定となっているが、山村の市町村においてはマンパワーが不足しているという面もあるので、全国において整然とワクチン接種が進むように十分な体制の整備をお願いする。
第2点として、昨年は当町も7月豪雨に見舞われ甚大な被害を受けた。国会議員の先生方には、現地視察、激励、支援を賜り感謝する。また関係各省からプッシュ型支援として、物心両面で多大な支援をいただきお礼申し上げる。全国各地での豪雨に加えて、1月には日本海側で豪雪、先日は福島・宮城で地震の被害も生じており、被災地が迅速に立ち直ることができるよう復旧・復興のご支援をお願いする。また地球温暖化による気候変動が本年以降も予測されることから、 防災・減災の取組みが従来以上に必要となっている。こうした中で総額15兆円に及ぶ「防災・減災、国土強靱化のための5カ年加速化対策」が決定され、第3次補正予算においても柱の一つとなっている。将来にわたって安心して住むことのできる山村を作るため、強靭な国土づくりへの支援を引き続きよろしくお願いしたい。
第3点として、コロナ禍の中で、東京から人口が流出していることが報じられている。テレワークの普及によって人口過密な都市に住むだけでなく、自然と空間が豊かな農山村にも住もうという機運が出てきている。議員立法で成立した「地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業推進法」に基づいて、全国各地で協同組合が設立されつつあることは、その起爆剤となることが期待される。そうした田園回帰の動きをさらに太い潮流にしていくためには、テレワーク・医療・教育をはじめとする生活環境の整備が欠かせないものであり、市町村として懸命に努力を続けているが、国においても更なる財政支援・規制緩和など政策の充実をお願いしたい。」
奥田副会長から、次のように発言を行った。
「第1に、現在世羅町では、光ファイバーの整備に取り組んでいる。国・広島県の支援と配慮を得て整備することはできたが、整備後が課題であり、更にご教示をいただきたい。また大規模の土地改良事業を実施することとなり、感謝している。これらにより地域振興の流れを作っていきたい。
第2に、バイオマス発電について世羅町では木質バイオマスとメタン発酵で2拠点を作りたいと考え、バイオマス産業都市構想を策定中である。事業者が進出したいと言っているものの、電力会社の変電所の整備が必要であり、膨大な金額が事業者に要求されている。こうしたことによって再生可能エネルギー発電が進まなくなるようなことがないよう国のご教示を頂きたい。」
上遠野副会長から、次のように発言を行った。
「第1に、新型コロナウイルスにより社会が変化し、施設整備計画の見直しが必要になった場合に、ペナルティを課さないようにお願いしたい。社会構造が変化し、観光客や人々の密集を前提とした事業の見直しが必要となっている。城里町でもイノシシ肉を加工し、観光施設で提供する事業計画であったが、今後も同じ計画で良いのかと考え、イノシシ皮革の加工をメインに 見直したいと考えている。全国的に補助金を受けて施設を整備している地区では、コロナ前の計画のままで良いかどうか戦略の見直しが必要となっていると考えられる。コロナ後の社会変化により再検討をする場合、ペナルティを受けることがないよう配慮していただきたい。
第2に、鳥インフルエンザについて発生を前提とした鶏舎の設備基準を定めることが必要だと考える。城里町では2月1日、80万羽を飼養する養鶏場で鳥インフルエンザが発生し、自衛隊200人、県職員数千人、城里町職員延べ1000人近くを充てて、1週間で殺処分を行った。私も茨城県知事も、養鶏場に入って鶏を捕まえた。80万羽に及ぶ殺処分に当たり、殺処分を前提とした設備となっていないため、1羽1羽捕まえなければならない。なぜ手作業で行わなければならないか疑問に感じた。鳥インフルエンザは必ず発生するということを前提にして、効率的に殺処分ができ、24時間以内あるいは 数日以内に終えることができるように、基準が必要であると感じた。そうした設備になっていれば、病気の蔓延を円滑に防ぐことができるとともに、自衛隊・県・町の負担軽減になる。鳥インフルエンザの発生を前提とした殺処分しやすい設備基準の検討をお願いしたい。」
連盟からは、「令和3年度農林山村振興関連予算・施策に関する要望書」を配布した。
その後、質疑・意見交換が行われ、次のようなテーマが取り上げられた。
・小規模なバイオマス発電施設のネットワーク化について
・再生可能エネルギーの増加に伴う電力会社設備の増強について
・ポストコロナ時代のインフラ・ハード面以外でのソフト面での対応について
・農水省の「山の恵みマッチング」、経産省の「ジャパンブランド」など各省の事業を連携する取組みの強化について
・田園回帰だけでなく山村回帰に特化した施策について
・地域おこし協力隊等におけるシニア人材の活用について
・空き家ビジネスの推進・農地付き空き家活用について
20210219R3山村振興関係予算概算決定について