令和2年度全国山村振興連盟通常総会における中谷会長挨拶

【中谷 元 会長(衆議院議員) 挨拶】
全国山村振興連盟の会長を務めております中谷でございます。
本日は、通常総会の開催に当たり、全国の会員市町村の皆様のご出席をいただきまして、ありがとうございます。また宮内農林水産副大臣、金子自民党山村振興特別委員長はじめ諸先生方には、党派を超えてご出席賜り、感謝に堪えません。更にはご来賓として、荒木全国町村会会長、農林水産省、林野庁、総務省、国土交通省など関係省庁からもお越しいただいております。皆様方に対し、重ねてお礼申し上げます。
本年は、新型コロナウイルス感染拡大で、我が国経済も国民生活も甚大な影響を被ったところでありますが、7月の豪雨、9月の台風で九州地方をはじめとする全国各地の山村も大きな打撃を受けており、地域の観光業・飲食業はもとより、農産物や加工品の需要の減退に伴う影響にも計り知れないものがありました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げると同時に、山村維持や復興支援に当たられておられる行政や関係機関に、心から感謝・御礼申し上げます。
このような状況に対処するため、政府は第1次・第2次の補正予算を実施し、現在第3次補正予算の編成に向けて作業が進められているところでありますが、こうした政策が山村地域に十分に行き渡るようにしなければならないと考えております。
このような中で、我が国に、大きな異変が起こっています。それは、東京都に神奈川・埼玉・千葉の3県を加えた東京圏への人口流出が、本年7月初めて流入を上回ったことです。東京圏から地方への転出が1,459人上回り、このうち新型コロナウイルスの感染者が急増した東京都への転入が減って、2,522人の転出超過となりました。その後もこの傾向が続いており、9月には東京都から3,638人の転出超過となっています。
その原因は、各種農林水産における担い手確保政策や、山村振興策の実施において、都市から地方への移住者が増加したこと、山村留学制度やふるさと基金、集落活動センターなどの集落維持政策及び地方創生や、山村グリーンツーリズムや観光インバウンド効果も出ており、この動きや流れをさらに充実発展させなければなりません。
また、テレワークやリモートが普及し、デジタル庁も設立することとなっており、これからは通信電話料金の値下げや 5 GやAIによる情報通信革命が大きく進展するものと見込まれます。
若者の地方移住志向には根強いものがありますが、今回のコロナ禍を機にそれは加速しているものと考えられ、私たちはその潮流を山村にまで及ぼしていかなければなりません。それには、山村生活に情報通信による利便性や格差是正の実利を活用することです。
本年4月から、超党派の議員により成立させた「地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律」が施行されました。これは地域の関係者が事業協同組合を設立して移住者などを雇用し、その人件費などに政府が補助するという制度であり、全国数十カ所で 事業協同組合の設立が進められていると承知しております。全国各地での更なるご活用をお願いします。
山村地域は新型コロナウイルスの猛威、自然災害の脅威、そして人口の減少という三重の困難に直面しておりますが、様々な支援策もありますので、これを各地で有効に組み合わせられ、この未曾有の難局を乗り切っていただきたいと思います。
そしてこうした難局にある時期だからこそ、一致団結して更なる政策の充実を皆様と一緒に政府に対して要請して参りたいと考えております。
本日の総会へのご出席に重ねて感謝を申し上げ、ご参集の皆様方のご健勝と、全国の山村の振興・発展を祈念いたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。