平成30年10月に理事会における中谷会長挨拶要旨

【中谷 元 会長(衆議院議員)挨拶要旨】

本日は、理事会ということで全国各地から山村を抱える市町村長の皆様にご出席をいただき誠に有難うございます。また、山村に関する施策を所管していただいている農林水産省、林野庁、国土交通省及び総務省の担当幹部の皆様にもご出席いただき誠に有難うございます。また、我々与野党を超えて超党派で山村対策に当たっていますが、佐々木先生には理事としてご出席いただき誠に有難うございます。
山村というのは、やはり日本、日本人の原点でありまして、そこに伝わる文化、歴史、芸能などは我々の心のふるさと、原点として日本の国づくりのために非常に重要なものであります。

それと同時に、多面的機能、公益的機能を果たしておりまして、これらの機能を守っていくために、山村の住民の定住、集落の維持によって山村の活性化を図っていくことが地方創生、国土の保全につながり、ひいては国民生活の発展につながるものであります。

そういう中で、近年、異常気象が続いておりまして、今年も日本列島を貫通する台風が3つ上陸したり、集中豪雨などにより北海道、中国、四国地方をはじめ多くの地域が被災しております。被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げます。被災地の復旧・復興に向けて政府、国会、与野党、地方自治体で懸命に取組んでいるところです。

最近の災害を見ますと、流木の流出により下流に大きな被害を与えています。また、

土砂が河川を覆って少しの雨でも氾濫をしており、土砂崩壊も看過できません。そういう意味では、上流地域の治山、治水、林道、森林整備こういったおおもとの対策が必要であり、そういった関係の予算の確保をしていかなくてはなりません。
さらに、CO2の吸収、公益的機能、環境問題にもしっかり対応していかなくてはなりません。

こういった点で、本日は三つの点を申し上げます。
一つは、森林環境税及び森林環境譲与税の創設です。森林環境税の創設は、当連盟としても長年にたり要望してきたところでありますが、市町村長の皆様方の努力の成果であります。今後はこれをいかに使い易いものにしていくかということです。市町村の森林整備のための財源ですので、新たな森林管理制度の下で地域の実情に応じて使い易い財源として運用できるようにしたいと考えています。
二つ目は、近年、基本理念を含む山村振興法の大幅な改正、中山間地農業ルネッサンス事業や山村活性化支援交付金の創設、鳥獣被害対策の充実等の施策が講じられてきたということです。

山村活性化支援交付金の活用事例を見ますと、例えば北海道下川町で地元の木材を使って「お食い初め膳ギフトセット」が開発され、「ソーシャルプロダクトアワード」で大賞を受賞するなど、各地で大きな成果が上がっております。

都市住民の農山村に対する関心の高まりによって、ふるさと納税の活発化や地域おこし協力隊による若者の活動・定着もあり、加えて農泊の推進、空き家の活用、第6次産業化による雇用の拡大といった地方創生につながる成果も出てきております。

三つ目は、今後の課題です。
高齢化が進み人手不足になっている山村において、外国人労働者の活用も検討する必要があると考えており、国会でも議論がされますが、人手不足対策、働き方改革にしっかり対応してまいりたいと思っています。

また、存続の危機に晒されている集落が多いわけですが、自民党の中で、急激に人口が減少しているいわゆる限界集落にスポットを当てて、知事がこれを認定すると、地域で存続のための組合を作っていただければそこで給与、年金を支給できるような仕組みができないか、ということで検討しています。与野党で話し合っていかなくてはならないと思っています。

本日はこう状況を踏まえて、年末の予算決定に向けての要請内容につき、総会に付議する案を皆様で審議いただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。