令和2年2月の理事会における中谷会長挨拶要旨

本日は大変お忙しい中、全国山村振興連盟の役員の市町村長、国会議員役員である自民党の吉野副会長、自民党の金子理事、自民党の谷理事、立憲民主党の佐々木理事、国民民主党の篠原理事にご出席いただきまして誠にありがとうございます。

新型コロナウイルスの感染が拡大していますが、これが地方に蔓延すると都道府県が対応することになりますので、医療、防疫で大変なことになります。山村においてそのような施設が整っているかどうか、今、対応が急がれているところです。

畜産関係では、CSF(豚熱)の蔓延も深刻な問題です。国民が安心して暮らせるように政府一体、官民一体となって対策に取組んでいますが、今のうちに山村においても、危機管理として、医療や防疫、ライフラインなど緊急対策を整える必要があると思っています。

昨年も日本各地でこれまでに経験したことのないような集中豪雨が発生しました。今日、宮城県丸森町長がお見えになっていますが、心からお見舞いを申し上げますととともに全力で復興にご尽力いただきますようご祈念申し上げます。

今問題となっているのは人手不足です。折角工事を始めようとしても、入札が不落となっています。地元の建設会社がなくなった関係で人手が集まりません。

地球温暖化対策の国際会議で、スウェーデンのグレタさんという女性の方が「私達はあなたを見ています。お金のことと経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかりしているが、恥ずかしくないんでしょうか!」と先進国の大人たちを叱責しましたが、異常気象の継続は、我が国にとりましても水産物資源の変化などの影響は如実に表れており、本気でやらなければ山村は消滅してしまうとの意識でこの5年、10年集中的に取組まなければいけないと思います。限界集落から消滅集落とならないよう、住民の生活条件を整え、基盤整備、治山・治水・森林整備などの防災対策や環境対策をするのは大切なことです。

最近、老老介護や発達障害や自閉症の児童も増えています。
一昨日、地元の町村を訪問してきました。今、経済産業省において、「未来の学校」ということで学校ではなく、現場で不登校の児童を受入れることを始めており、教育委員会とか学校でホットな議論になっていまして、やはり学校でできないことをいかにやっていくかということが大事です。都会には施設がありますが、中山間地域ではまだまだ十分でないという気かします。そういった教育問題も大事な課題です。

「8050問題」、80代の親、自立できない50代の子ども、こうした親子が社会から孤立する問題です。子どものひきこもりが長期化し、50代の中高年になる一方、親も働けなくなり、飢え死にしてしまうという事態も出てきています。こういった問題も山村では深刻な問題です。地方に帰りたいという人も親の関係で増えています。こういった問題もテーマとして取組んでいきたいと思います。
昨年11月に人口急減対策の法律が成立し、今年の6月に施行されます。初年度の令和2年度は5億円の予算を計上していますが、来年は希望に沿って増やしていきたいと思っています。

また、当連盟が長年要望してきた森林環境税・森林環境譲与税については、令和2年度から譲与額が2倍に増え、間伐もできるようになりました。
これらを始め、山村活性化支援交付金など山村振興に係る各種の予算を計上していますが、今日お見えの国会議員の先生方にも予算獲得にご尽力いただき、連盟の皆さんも要望活動をしていただき、その成果も出ています。引き続努力してまいりたいと思います。

最後に今年はオリンピック・パラリンピックの年です。世界各地から日本に沢山の方々がお越しになります。以前、ラフカディオ・ハーンという小説家が日本の風景、地方の風土を見て「なんと美しい国だ」ということでいろんな書物を書きましたが、今年は日本の食と地方の魅力を知ってもらう機会です。若者の田園回帰志向もさらに力強い動きができますように、また、山村振興のための事業がさらに推進できるよう各省庁の皆さんのご支援、ご協力をお願い申し上げて、挨拶とさせていただきます。