平成30年10月の理事会における今泉森林利用課長挨拶要旨

【今泉裕治 林野庁森林利用課長 挨拶要旨】

山村地域の豊富な森林資源の循環利用を通じて山村地域の振興、地方創生を図るということで、林野庁としても林業の成長産業化の実現あるいは森林資源をフル活用していくといったことで施策を推進しています。
先の通常国会において「森林経営管理法」を成立させていただきました。来年度から経済ベースに乗る森林については意欲と能力のある林業経営者に集積・集約化していく、また、経済ベースに乗らない森林については市町村が公的管理を行う「新たな森林管理システム」が導入されます。また、森林環境税、森林環境譲与税についても総務省から来年の通常国会に関連法案の提出が見込まれており、こちらも活用しながら地域の実情に応じた森林整備が進むよう取り組んでまいりたいと思っています。

平成31年度の林野庁の概算要求においては、「新たな森林管理システム」により、森林経営の集積・集約化、林業の成長産業化に向けて本格的な取組を進めていくため、路網整備や高性能機械の導入、ICTなどの先端技術を活用した森林整備、CLTをはじめとした木材の利用促進、木材の輸出促進といったことに取り組むとともに効率的なサプライチェーンの構築を図っていき、木材利用の促進にも取り組むことにしています。この他、森林整備事業、治山事業といった従来から行っている公共事業、林業の担い手の育成・確保、シカなどによる森林被害対策、森林山村多面的機能発揮対策についても引き続き所要額を要求しています。
併せて、平成30年度の補正予算についても、予算案が今週閣議決定されましたが、この中で今回のたび重なる災害に対して治山施設、林道施設の災害復旧に469億円を計上しています。

山村地域において、「新たな森林管理システム」を活用して林業の成長産業化を進め、地方創生を実現していくためには、路網整備、造林といったこれまでの森林整備予算の確保が不可欠です。仮に森林環境税の創設を契機に森林整備事業予算が減ってしまうことがあると、森林環境税の創設の意味がなくなってしまうことになり、今まで税の創設に向けた皆様方のご尽力が水の泡になってしまいかねないと思っています。「新たな森林管理システム」を活用して林業の成長産業化を実現するためにも森林整備事業などの従来の予算をしっかり確保していくことが重要であり、林野庁としても全力で取り組んでまいります。全国山村振興連盟の会員市町村におかれても林野庁における予算確保に向けて格別のご支援を賜りたいと思います。これに併せて、都道府県における関連予算の確保についても働きかけ等よろしくお願いしたいと思います。