平成29年10月の理事会における木下山村振興・緑化推進室長挨拶要旨

【木下 仁 林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室長 挨拶要旨】

本年全国で発生した地震や台風、豪雨等により被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに被災者支援、今回特に森林に関する被害もあり、災害復旧に尽力されました皆様に厚く敬意を表する次第です。

森林・林業行政は正に山村振興対策そのものだと思っています。森林の状況、戦後造林された人工林が本格的な利用期を迎えている中で、森林の多面的機能の発揮とあわせて、非常に豊かになった森林資源をどのように使い、循環利用していくかということが、非常に重要な課題になっています。そのためには新たな木材需要の創出や、安定的で効率的な供給体制を構築していくことが大事だと思っています。そのようなことを含めて林業の成長産業化の実現に向かっていくことが重要な課題になっています。特に川上においては、主伐期を迎えており、主伐をした後、着実に再造林をしていただきたいと思いますが、再造林のコストが賄えなくて伐りっ放しになると循環利用が危ぶまれることになります。このために、意欲と能力のある経営体に任せながら主伐、再造林を持続的に展開していくというような取組みを進めていかなければと思っています。これと合わせて、林地台帳の整備を各市町村の皆さんにお願いしているところであり、情報をきちんと整備・活用し、施業を集約化して山村を支える地域活動を支援しています。

このような中で6月に閣議決定された未来投資戦略の中でも林業の成長産業化の実現と、森林施業の適切な管理のための森林管理を意欲ある持続的な林業経営者に集積・集約化するととともに、それができない森林の管理を市町村等が行う新たな仕組みを検討し、年内に取りまとめることになっています。この考えに基づく新たな森林管理についての検討を現在進めています。

この関連で、市町村等が担うこととなる森林整備のための財源をきちんと確保することが重要であり、森林吸収源対策の財源確保として、昨年末の与党税制改正大綱の中で「森林環境税の創設に向け平成30年度の税制改正において結論を得る」ということになっています。今年は森林環境税の年ということで、年末まで非常に時間のない中、現在総務省と検討を進めている段階ですが、皆様にも協力をお願いします。

30年度予算概算要求におきましても、森林整備・治山事業といった公共事業の他、路網整備、高性能林業機械の導入、主伐・再造林の一貫作業の推進といった川上対策と合わせて、川下対策としてCLT等の木材利用の促進、加工利用施設の整備について支援し、林業成長産業化へ向かうための重点的な予算要求を行っています。