【荒川辰雄 国土交通省地方振興課長 挨拶要旨】
国土交通省では、道路、河川などのインフラや住宅、下水道などの生活環境、さらには人流物流のネットワークの整備など様々な分野で山村振興の取組みを進めています。
本日は、今国会で成立した「道路運送車両法の一部を改正する法律」を説明させていただきます。
最近、自動車の自動運転についての話題がしばしば取り上げられています。この分野について、名古屋大学でトヨタ自動車と一緒に研究されている交通工学の先生から伺ったところによると、実は大都市名古屋では自家用車の稼働率、車庫に入っていなくて道路で実際に走っている車の割合は全名古屋にある自動車のうちのたった4パーセントぐらいということでした。ほとんどの車は自宅又は車庫に入って眠っているという状況でして、自動運転技術が進んで皆さんが自動運転車を使っていただくようになると、逆に道路が足りない状況になるのではないかということで、これを使う時と使わない時をいかにうまく使い分けていくかが問題であると先生から伺いました。
そういう意味では、自動運転車の普及は、大都市ではなく実は皆様方のおられる山村地域ですとかそういった限定された地域でまずは普及が図られていくのではないかというのが、先生のお話しでした。
現在、国土交通省では、2020年を目途にまずは高速道路において自動運転をする車を、さらに過疎地域などの限定した地域において無人で移動サービスを提供する車の実用化を目指して技術開発を進めています。
しかし、こうした自動運転車を想定したものには現在の法制度はなっていません。さらに今後、自動ブレーキなどの先進技術を搭載した車が急速に普及してくることが予想されます。現在はこうした新技術を持った車は車検とかメーカーに依頼して改造とかをしていましたが、今後は通信を活用してソフトウエアを更新して自動車の性能を変更することが可能となってきます。こうした状況に対応するために、自動運転車の設計・製造から使用過程にわたる安全性を一体的に確保するための制度的な枠組みが必要となるため、今回法律改正を行ったところです。いよいよ実用化に向けて制度的な枠組みが整ってきたところです。是非、皆様方の地域においても自動運転車の実用化に関心を持って進めていただければと思います。
この他、山村振興に寄与する施策として、過疎地域などで人流と物流の掛け持ちを可能とする貨客混載を通じた自動車運送業の生産性向上や、物流分野における小型無人機いわゆるドローンをいわれているものですが、これの実証実験を進めています。今後早期に商業サービスへの実用化を目指す取組みを進めています。是非こういった新しい取組みを進めていただけるところがあれば、積極的に私どもの担当部局にご相談いただければと思います。