【今泉裕治 林野庁森林利用課長 挨拶要旨】
本年4月から森林経営管理制度がスタートしました。森林所有者が自分では適切な経営管理ができない森林について、市町村が仲介役となって意欲と能力のある林業経営者に集約を図るとともに、林業経営に適さない森林は市町村自らが管理を行うという制度です。さらに、森林環境譲与税の1回目の配分・交付が先月30日に行われました。
こうした新たな制度の下で各地で取組がスタートしています。新たな制度のスタートに当たりまして、市町村の皆様においては、何から手をつけて良いのか、どういう風に進めていったら良いのか、大変悩みが多いと思います。林野庁においては、各都道府県で開催される市町村向けの説明会に、担当官を派遣してきめ細かく説明させていただいたり、各地の取組状況や事例を調査し情報提供をさせていただいたり、あるいは、研修なども実施し、制度がスムーズに運用していただけるようサポートをしているところです。また、この4月には、林野庁森林利用課に「森林集積推進室」を新たに設置し、森林経営管理制度と森林環境税・森林環境譲与税の的確な運用に向けた体制を整えました。今後とも皆様方のご意見を伺いながらきめ細かくサポートしていきたいと考えています。
令和2年度の概算要求では、こうした新たな制度の下で林業の成長産業化を実現していくために林業経営者の育成、持続的な林業経営の確立、こうしたことに必要な路網の整備、高性能機械の導入、ICTによって森林の資源管理や生産管理を行うスマート林業の推進、林業イノベーション、CLTなどの木材の利用促進、民間との連携による中高層の非住宅建築物への木材利用の促進などについて予算要求をしています。
森林経営管理制度の的確な運用に向けての予算についても、市町村へのサポートを充実させていただくということで予算の拡充を要求しています。
この他、森林整備事業、治山事業といった林野公共事業、「緑の人づくり」総合支援対策、森林・山村多面的機能発揮対策、新たな森林空間利用創出対策、シカによる森林被害緊急対策事業などについても所要額の要求を行っています。
林野庁としては、「林業の成長産業化」、「資源の適切な管理」、さらには「地域の活性化」を実現するために必要な予算の確保に向けて全力で取り組んでまいりますので、全国山村振興連盟会員の市町村の皆様におかれましても、林野庁における予算確保に向けて特段の御支援を賜りますとともに、都道府県における一般財源の確保に向けた働きかけについても、よろしくお願い申し上げます。