全国山村振興連盟理事会を開催

全国山村振興連盟は、令和元年7月3日(水)午前10時30分から千代田区永田町の全国町村会館2階ホールにおいて令和元年度第1回理事会を開催した。
中谷会長の挨拶の後、理事の衆議院議員 石田祝稔 先生及び衆議院議員 篠原 孝先生からの挨拶がなされた。
来賓として出席された農林水産省農村振興局 松本雅夫 地域振興課長、国土交通省国土政策局 荒川辰雄 地方振興課長、総務省自治行政局地域力創造グループ 畑山 栄介 地域振興室長及び林野庁 今泉裕治 森林利用課長から挨拶がなされた。
議事は、竹﨑会長代行が議長を務め、「第1号議案 平成30年度事業報告に関する件」、「第2号議案 平成30年度収支決算に関する件」、「第3号議案 特別会費の費目の改定(案)に関する件」及び「第4号議案 令和2年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関する件」審議が行われた。
理事会終了後、副会長が中心となって、関係省庁に対し要望活動を行った。

理事会の内容は、次の通りとなっている。

【中谷 元 会長(衆議院議員)挨拶要旨】

本日は、理事会の開催ということで全国各地からそれぞれの地域において山村振興のため努力をされておられる皆様方にご出席をいただき誠に有り難うございます。
今、鹿児島県、宮崎県、熊本県をはじめ九州地方において大雨が降り続いていまして、気象庁の方では自分の身は自分で守って下さいということで、かなり広範囲に避難指示、避難勧告が出ているようです。
高知でも昨年豪雨がありましたが、かなりこれまでの災害で河川の土壌、河床が3メートルくらい上がっていて、少しの雨でも氾濫する状況になっています。これもやはり、治水、治山、砂防といったおおもとの対応をしないといくら下流を整備しても水が溢れてしまうことになります。我々は、今日は公明党の石田政務調査会長もお見えになっていますが、予防防災、減災という観点で治山、治水事業を増やすというようなことで対策をしています。
山村集落はこういった防災の面において、人々がその地域に住むということがかなり災害を防ぐ役割を果たしていますし、また、実際に災害が起こった時には地元に人がいることが人命救助につながるということで、しっかりと山村を維持していくことが大事だと今改めて認識が拡がっているわけです。
今回の当連盟の役員人事におきまして、国会議員の中から新たに2名の方に役員になっていただきました。元復興大臣の吉野正芳議員には、今日は所要のため欠席ですが、副会長に就任していただくことになりました。もう一人、篠原 孝議員には、国民民主党所属ですが、非常に農林関係に造詣が深く熱心でございまして、理事に就任していただくことになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
この4月から、森林環境税・森林環境譲与税が導入されたところでありまして、山村地域にも新しい時代の息吹がかんじられるということであります。
最近、国民の皆様が楽しく見ているテレビ番組があります。日曜の夜8時、NHKの「いだてん」ではなく、テレビ朝日系の「ポツンと一軒家」という番組で、山間部などの一軒家をスタッフが訪問するいう番組ですが、ゴールデンタイムの激しい番組競争の中で視聴率が20%ということで、一週間の中で第2位、ちなみに「いだてん」は6%です。お金をかけて俳優を雇って演出する番組ではなく、「ポツンと一軒家」は何の演出もなく、俳優もいません。スタッフがただそこを訪ねていくことでありますが、こういうことに現在の人々は非常に関心が深いということであります。
今、注目されているのは、移住、Iターン、Uターン、そして空家の活用ですが、こういった施策を今各省庁で考えていただいています。ようやく地方創生が動きだしてきたなという感じがあります。現に内閣府のアンケート調査結果によりますと、「農山漁村に移住したい」「条件が合えば移住してもよい」と答えた人が、20代に限りますと、38パーセントにも達しています。若者の田園回帰志向が強まっているということの表れです。「地域おこし協力隊」をはじめ農山漁村に住んでみたいという若者が増えていることは心強いことであります。こういった機運を利用して、就職の場、空き家活用などの居住面での対策、医療・福祉、教育、インフラ整備など様々な側面の充実に努めて行く必要があると思います。
IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、5G(第5世代移動通信システム)などによる技術革新によって、超スマート社会が出現するということで、「ソサエティ5.0」と呼ばれています。「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く新しい5番目の社会です。この社会は決して都市がいいというものではなくて、むしろ人口が減少したり、遠隔地であったりする山村地域でこそ大きな効果を発揮するのではないでしょうか。5Gでは、その場にいなくてもリアルな情報が得られることになりますから、別に都市に行かなくても地方で仕事ができるということです。都市と山村が繋がって人混みの中にいなくてもいい時代です。
こうした中で先般の国会で「棚田地域振興法」が超党派で成立しました。
そして、お手元に資料を配布しておりますが、人口急減地域対策ということで、これは特定地域づくりの事業協同組合という組織を作って、その組織を支援する法案(「地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律案」)を議員立法として先の国会に提出しました。
まず、都道府県知事が、①自然的経済的社会的条件からみて一体であり支援が必要な地区であること、②特定地域づくりの事業の適正な実施が可能なこと、③地域社会の維持及び地域経済の活性化に特に資すること④組合・事業者団体・市町村との間の十分な連携協力体制があること、の4つの要件を満たした地域を認定します。その地域の特定地域づくり事業協同組合において人を雇用しておき、オーナーである漁協、農協、地元の商工会、商店街、観光協会、小売業者、介護業者が多額のお金ではなくある料金を払ってその人に仕事をしてもらうというのが基本です。原資は、総務省、財務省とも相談していますが、全国で大体400組合、1組合当たり3,464万円ということで、雇う人は大体8人、人件費が400万円程度、運営費が200万円程度ということで、1組合当たり1ヶ月12万円の経費が捻出できるということです。公明党の皆さんと手続きをして、先の国会に提出しております。これには、立憲民主党、国民民主党も賛成していただけるということで、次の国会が開かれましたら成立する運びになっていますので、来年度から事業が実施できます。
今日の理事会は、当連盟の平成30年度決算、令和2年度予算・施策に関する要望書の案をご審議いただくことになっております。忌憚のないご意見を賜り充実した理事会となりますよう、積極的にご意見、ご発言をいただければ有り難いと思います。
大変長くなりましたが、冒頭の会長からの挨拶とさせていただきます。

【石田祝稔 理事(衆議院議員) 挨拶要旨】

公明党の衆議院議員の石田です。
今、九州特に南九州では大雨が降っていますが、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。政府も与党も力を合わせて災害対策に万全を期していきたいと思っています。
実は、この雨で思い出したのですが、平成10年に高知市を中心に3日間くらいで1,000ミリの雨が降りまして高知市の東半分が水没するくらいの大きな雨になり、大変な思いをしました。災害対策で、防災、減災、国土強靱化のため7兆円の事業を実施するということで、特に河川をしっかり整備していこうということで取り組んでいます。度重なる自然災害で河床が上がってきているということで、ちょっとの雨でも水害になります。
やはり、山村、山の整備をきちんとやることが大事だと思います。森林環境譲与税がスタートしましたが、本格的に600億円の環境税が動き出したらさらに皆さんの力を借りて整備を進めていけるのではないかと思っています。日本の国土の太宗を占める全国山村振興連盟の皆さんにしっかり国土を守っていただきたいと思います。いい知恵を拝借できればと思います。これから来年度の概算要求に向けて作業が始まりますが、私も中谷会長を中心に山村の予算についてしっかりと取り組んでいきたいと思っています。

【 篠原 孝 理事(衆議院議員) 挨拶要旨】

衆議院議員の篠原 孝です。国民民主党で、これまで6回当選しています。長野県でして、山村には縁のあるところですが、農林水産省に30年務めていましたが、林野庁には一度も務めさせていただきませんでした。水産庁に3回、10年程いました。山のことを行政官としてはやれなかったものですから、できなかった分、国会議員となって、山のことを一生懸命やろうということで汗をかいています。古い話になりますが、民主党政権ができる前、「森と里のプラン」ということで、菅直人代表をドイツのシュヴァルツヴァルトに連れて行って、そして林業政策はこうあるべきだという冊子を作りました。
私は、民主党、民進党、今は国民民主党ですが、私はずっと同じところにいるのですが、人が勝手に出て行ったり、党が名前を変えているだけです。この中でいろんな政策を作ったのですが、自画自賛になりますが、あの当時、2008年から2009年にかけて作った林業政策についての民主党のプランが政策としては一番出来がいいのではないかと思っています。できれば早く政権を取って、こんなことを言ってはあまりいけませんが、実現したいと思います。よろしくお願いします。

【松本雅夫 農林水産省地域振興課長 挨拶要旨】

中谷会長からお話がありましたが、今国会で中山間地域に新しい風を吹かせる「棚田地域振興法」が自由民主党を中心として議員立法で制定され6月19日に公布されました。棚田の営農だけでなく、棚田地域をいろいろ支援をしていく。それも農林水産省だけではなく、文部科学省、国土交通省、環境省、いろんな役所が一緒になって内閣府を中心として応援をしていこうという内容の法律で8月中旬に施行予定です。今後、政省令等が施行され、内閣総理大臣が基本方針を定め、現在検討中の棚田地域を応援する予算要求の内容がまとまった時点、9月以降に全国で説明会を実施したいと考えています。市町村に棚田地域振興協議会を作ってそこが中心になって動かす仕組みになっています。棚田のある市町村においては承知しておいていただきたいと思います。全国山村振興連盟を通じても情報を提供していきたいと思っています。
山村活性化支援交付金についてですが、年間1千万円まで国が定額で支援させていただくもので、大変ご好評をいただいています。平成27年の山村振興法の改正により創設された制度であり、これまで103地区で実施しています。年間1千万円、最大3年間支援します。商品開発、マーケティング調査、ブランディング等に使えます。自己負担はありません。特産品の開発を後押ししたい、どうも売れないからブランディングを検討したい、首都圏等の新しいところに向けたマーケティングをしたい、といった地区がありましたら是非活用を検討していただきたいと思います。今年度もまだ数地区未採択枠がありますので、2回目でも結構ですから活用を検討していただきたいと思います。
もう一点、お手元に資料を配布しております「山の恵みマッチング2019」についてですが、昨年2月に第1回目を東京ビッグサイトで実施しました。他の大規模な催しと併せての実施で2万1千人の来場者があり、参加したバイヤーの方々にも大変好評でした。今年も、9月に東京ビックサイトで実施したいと思っています。基本出展料は無料で、一部現場でブースを設ける場合も非常に格安で提供します。バイヤーしか参加しないので、非常に商談が拡がる可能性があります。既にご案内していますが、是非積極的に参加を検討いただければと思います。

【荒川辰雄 国土交通省地方振興課長 挨拶要旨】

国土交通省では、道路、河川などのインフラや住宅、下水道などの生活環境、さらには人流物流のネットワークの整備など様々な分野で山村振興の取組みを進めています。
本日は、今国会で成立した「道路運送車両法の一部を改正する法律」を説明させていただきます。
最近、自動車の自動運転についての話題がしばしば取り上げられています。この分野について、名古屋大学でトヨタ自動車と一緒に研究されている交通工学の先生から伺ったところによると、実は大都市名古屋では自家用車の稼働率、車庫に入っていなくて道路で実際に走っている車の割合は全名古屋にある自動車のうちのたった4パーセントぐらいということでした。ほとんどの車は自宅又は車庫に入って眠っているという状況でして、自動運転技術が進んで皆さんが自動運転車を使っていただくようになると、逆に道路が足りない状況になるのではないかということで、これを使う時と使わない時をいかにうまく使い分けていくかが問題であると先生から伺いました。
そういう意味では、自動運転車の普及は、大都市ではなく実は皆様方のおられる山村地域ですとかそういった限定された地域でまずは普及が図られていくのではないかというのが、先生のお話しでした。
現在、国土交通省では、2020年を目途にまずは高速道路において自動運転をする車を、さらに過疎地域などの限定した地域において無人で移動サービスを提供する車の実用化を目指して技術開発を進めています。
しかし、こうした自動運転車を想定したものには現在の法制度はなっていません。さらに今後、自動ブレーキなどの先進技術を搭載した車が急速に普及してくることが予想されます。現在はこうした新技術を持った車は車検とかメーカーに依頼して改造とかをしていましたが、今後は通信を活用してソフトウエアを更新して自動車の性能を変更することが可能となってきます。こうした状況に対応するために、自動運転車の設計・製造から使用過程にわたる安全性を一体的に確保するための制度的な枠組みが必要となるため、今回法律改正を行ったところです。いよいよ実用化に向けて制度的な枠組みが整ってきたところです。是非、皆様方の地域においても自動運転車の実用化に関心を持って進めていただければと思います。
この他、山村振興に寄与する施策として、過疎地域などで人流と物流の掛け持ちを可能とする貨客混載を通じた自動車運送業の生産性向上や、物流分野における小型無人機いわゆるドローンをいわれているものですが、これの実証実験を進めています。今後早期に商業サービスへの実用化を目指す取組みを進めています。是非こういった新しい取組みを進めていただけるところがあれば、積極的に私どもの担当部局にご相談いただければと思います。

【畑山栄介 総務省地域力創造グループ地域振興室長 挨拶要旨】

総務省においても様々な取組みを行っていますが、地方を元気にする取組みについていくつかお話をさせていただきます。
地方への人の流れを作るということで、地域おこし協力隊の拡充に努めています。現在、隊員が5千人規模と大きくなっています。引き続き協力隊員のネットワークを結んでいくとか、任務を終わった後も引き続き地域に定着していただけるよう様々な相談等を行っていければと思っています。
また、関係人口の創出ということで、勿論、移住、定住が大事なことですが、その前段階ないしは定住まではいかないけれども、その地域に対して物心両面で様々なサポートをしていきたい、又は、二地域居住に近い形でその地域に暮らしたい、そういうような様々な人口概念がそれぞれの地域にあると思います。地域のファンとなってふるさと納税をするとか、夏や冬に定期的にその地域を訪れる、そういった幅広い関係人口の創出を行っていくことで、地域の交流、活性化を促していきたいということでモデル事業にも取組んでいるところです。
また、シェアリングエコノミーということで、それぞれの地域での資源、これを皆がシェアして助け合いながら地域課題の解決に取組んでいく、例えば、病院までの足を確保する手立てをするとか、子育てをしている方々がなんとか助けが欲しいとき、地域にいるベテランで、スキルあるいは技術のある人とマッティングするとか、そういう形でシェアリングエコノミーを進めています。これは、都市部もですが、山村でも重要な取組みだと思います。私共もモデル事業を実施しており、横展開をしていきたいと思っています。
また、IoT、ICTの導入ということでは、情報通信設備の整備についても引き続き積極的に取組んでいきたいと思っています。
また、各自治体の貴重な一般財源の確保ということでは、令和元年度の地方財政措置において地方一般財源総額は前年度比0.6兆円増の62.7兆円を確保しています。引き続き地方財政措置をしっかりやっていきたいと思います。
また、森林環境税、森林環境譲与税については、31年の通常国会において法案が成立しました。総務省としては林野庁とも連携して各自治体からの相談に応じるなど適切に対応してまいりたいと思っています。

【今泉裕治 林野庁森林利用課長 挨拶要旨】

山村地域は豊富な森林資源を有しており、これを循環利用し、山村の振興、そして地方創生を図っていくことは林野庁としても大変重要な課題と認識しており、林業の成長産業化の実現に向けて様々な施策を推進しています。
また、山村地域の住民の皆様が身近な森林を協力して保全・管理していく取組みにも支援を行っているほか、都市部の住民や子供達、あるいは民間企業の社員などが山村を訪れて山村の豊かな自然に親しんで癒やされ元気になる、あるいは山村の文化に触れるといった都市と山村の交流機会を創出したり、森林・山村の大切さを都市部の人達にも理解していただけるように普及・啓発や情報発信に取組んでいるところです。
こうした中、本年4月から、昨年の通常国会で成立させていただいた森林経営管理法に基づく「森林経営管理制度」がスタートしました。また、これに併せて森林環境譲与税の譲与も始まります。森林環境譲与税は、一定の計算により算出された額が配布されることとなっており、都市部の自治体にも配布されます。林野庁としては、都市部に配布された森林環境譲与税について、木材の利用といったことは勿論ですが、山村地域との連携が実施されるよう、普及・啓発に努めているところです。
先月、「まち・ひと・しごと創生基本方針 2019」が閣議決定されました。こちらには、新たな視点として「定住に至らないものの、特定の地域に継続的に多様な形で関わる「関係人口」の創出・拡大に取組む。」と明記されています。新たな視点といっても、山村振興法では一足も二足も先に取り入れた概念ですが、こうした「関係人口」の創出にも、都市部に配布される森林環境譲与税が活用されることを期待しています。
新たな制度のスタートに当たりまして、山村自治体の皆様においては、何からどう取組んでいけば良いのかとお悩みのことも多いかと思います。林野庁においては、各都道府県で開催される説明会に担当官が出向いてきめ細かく説明させていただいたり、各地の色々な取組み状況や事例を調査し情報提供をさせていただいたり、あるいは、研修なども実施し、市町村において新しい制度の運用がスムーズに進むよう、サポートに努めているところです。
この4月には、林野庁森林利用課に「森林集積推進室」が新たに設置されました。森林経営管理制度と森林環境税・森林環境譲与税制度の的確な運用に向けたサポート体制も整いましたので、今後とも皆様のご意見を伺いながらきめ細かくサポートをしていきたいと思っております。
これらの新たな制度による取組みだけではなく、林野庁では、従来からの治山事業や森林整備事業をはじめとして、林業・木材産業の強化に向けた様々な施策を講じていますが、これらの予算の確保も大変重要だと考えており、全力で取組んでいきたいと考えておりますので、引き続き皆様方からも特段のご支援をお願い致します。また、都道府県における一般財源の確保についても、それぞれの都道府県に対し引き続き働きかけていただきますようお願い致します。
最後に「聞き書き甲子園」の高校生の受入れと「名人」の推薦に協力いただく市町村の公募に関してお願いさせていただきます。「聞き書き甲子園」は、もともと林野庁が開始した事業ですが、現在は、林野庁と文部科学省、環境省、水産庁が一体となり、民間の各種団体とも連携して取組んでいるもので、全国山村振興連盟にも後援していただいております。ファミリーマートをはじめとした企業の協賛もいただき、まさに官民協働の連携事業として実施しています。
毎年、全国から高校生を募集し、その高校生が、山村部あるいは漁村部で長年自然と向き合い農林漁業を生業として生きてこられた「名人」を訪ねて一対一でインタビューをし、その記録を作ってもらうという取組みです。今年度から、高校生の受入れと6~8人の「名人」の推薦に御協力いただく市町村を公募により決定する方式とし、今年度は12の地域に御協力いただき実施されます。
来年度の大会の開催にあたり、御協力いただく地域を募集しておりますので、皆様方の地域で6~8人の「名人」の顔が浮かぶようでありましたら、高校生の受入と「名人」の推薦に御協力いただきますようお願いいたします。まさに「関係人口」の創出につながる取組みだと思いますので、是非、積極的に手を挙げていただければと思っております。

◎挨拶をいただいた方以外の政府関係の出席者(敬称略)

林野庁 森林利用課山村振興・緑化推進室長 木下  仁
農林水産省 農村環境課鳥獣対策室長 仙波  徹
地域振興課課長補佐 伊藤 香里
地域振興課係長 森田  昇
国土交通省 地方振興課課長補佐 渡辺 英樹
林野庁 山村振興・緑化推進室課長補佐 日下部 浩
林野庁 山村振興・緑化推進室担当専門職 神藤 健慈

【議 事】

竹﨑会長代行のもとに議事が進められた。

○ 第1号議案 平成30年度事業報告に関する件
○ 第2号議案 平成30年度収支決算に関する件
第1号議案及び第2号議案について、實重事務局長が内容の説明を行い、辻監事から監査報告が行われ、両案は原案通り承認された。
〇 第3号議案 特別会費の費目の改定(案)に関する件
實重事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された
〇 第4号議案 令和2年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関する件
實重事務局長が内容の説明を行い、審議の上、承認された。

理事会で承認された「平成30年度事業報告」及び「令和2年度山村振興関連予算・施策に関する要望」は、次の通りとなっている。

平成30年度事業報告

1.山村振興政策に関する提言及び政府予算対策

(1) 平成30年度山村振興関連施策・予算、税制改正要望

(予算関係)

① 7月の理事会において要望事項を決定し、副会長を中心に関係省庁に対し要請活動を実施した。

② 8月25日に開催された自由民主党の農林・食料戦略調査会・農林部会・農政推進協議会合同会議において、「平成31年度山村振興関連予算・施策に関する要望書」を提出し、要望を行った。

③ 11月の通常総会において、「平成31年度山村振興関連予算・施策に関する要望」を決定し、副会長を中心として政府及び国会議員に対し要請活動を行うとともに、各支部において要請活動が行われた。

④ 11月29日に開催された自由民主党山村振興特別委員会(委員長:衆議院議員金子恭之)において、関係省庁から平成31年度山村振興関係予算概算要求の内容について説明があり、当連盟から「平成31年度山村振興関連予算・施策に関する要望書」を提出するとともに、竹﨑会長代行(熊本県芦北町長)をはじめ6名の副会長が出席し要望を行った。

⑤ 12月19日に開催された農林・食料戦略調査会・農林部会・農政推進協議会合同会議において平成31年度農林水産関係予算の報告が行われた。

⑥ 平成31年度政府予算案は12月21日に閣議決定された。

⑦ 平成31年2月15日に開催された自由民主党山村振興特別委員会(委員長:衆議院議員 金子恭之)において、関係省庁から平成31年度山村振興関係予算概算決定等について説明あり、竹﨑会長代行(熊本県芦北町長)をはじめ3人の副会長が出席し、これまでの関係者のご努力に対する感謝の意の表明、山村の状況説明・要望等を行った。

(税制改正関係)

⑧ 11月6日に開催された自由民主党農林・食料戦略調査会、食料産業調査会、農
林部会、農林水産関係団体委員会及び農政推進協議会の合同会議において「振興山
村における地域資源を活用する製造業及び農林水産物等販売業に供する機械・施設の
取得に割増係る償却制度等について、適用期限を延長すること。」、「「森林環境
税」(仮称)及び「森林環境譲与税」(仮称)の円滑な導入を図ること。」につい
て要望を行った。

⑨ 平成31年度税制改正については、12月14日に「平成31年度税制
綱」(自改正大由民主党・公明党)が決定され、「振興山村における工業用機械等
の割増償却制度の適用期限を2年延長する。」ことが盛り込まれた。12月21日
に「平成31年度税制改正の大綱」が閣議決定され、「振興山村における工業用機
械等の割増償却制度の適用期限の2年延長」、「森林環境税(仮称)の創設と平成
36年度からの課税、森林環境譲与税(仮称)の創設
と平成31年度からの譲与」が盛り込まれた。

2.山村をめぐる諸問題についての情報の収集、調査、検討

(1) 森林・山村対策に関する懇談会

平成31年2月14日(木)に開催。
(副会長・理事・監事外が参加)

講師

総務省自治財政局調整課長           福田 毅 氏
農林水産省地域振興課長            松本雅夫 氏
林野庁山村振興・緑化推進室長         木下 仁 氏

3.山村振興を図るための啓発・普及活動の推進

(1) HPでの情報提供

連盟の紹介、全振興山村のリンク、山村からの提言、山村へのメッセージ、山村振興施策(山村振興法、山村振興関連予算、各種政策、白書等)

 

(2) 山村振興に資する事業への協力(後援)
      • 特定非営利活動法人「地球緑化センター」が実施する「緑のふるさと協力隊」
      • 中山間地域フォーラム設立12周年記念シンポジウム
        「農山村の“教育力”―ひとと地域はどうかわるか?-」
        (7月15日。東京で開催)
      • 「森林・林業・山村問題を考える」シンポジウム
        (9月29日。東京で開催)
      • 全国過疎問題シンポジウム2018inやまぐち
        (10月25~26日。山口市他で開催)
      • 第18回聞き書き甲子園
        (成果発表会:2020年3月中旬。東京で開催)
      • 第12回全国水源の里シンポジウム
        (11月1日~2日。舞鶴市で開催)
      • 「森林サービス産業(仮称)」キックオフ・フォーラム&マッチング・セミナー
        ~新たな森と人のかかわり「Forest Style」の創造~
        (31年2月4日~5日。東京で開催)
      • Rebornこころのふるさとフォーラム2019
        ~今こそ農山漁村と都市との連携と共生~
        (31年3月2日~3日。東京で開催)
      • フォレスターズ チャレンジ2019in上野村
        ~上野村における林業とバイオマス利用の現状と課題~
        (31年3月16日~17日。上野村で開催)

4.山村振興対策の計画的推進

山村振興実務研修会を6月13日(水)に開催し、都道府県、市町村、支部事務局の職員約70名が参加した。

5.会員等への情報の提供

(1) 山村振興情報の発行

隔月1回発行した(年間6回)。

(2) 理事会決定事項の会員への連絡

理事会での決定事項を理事会終了後直ちに会員に連絡している。

(3) HPでの情報提供

連盟に関する各種情報、山村振興施策等を提供している。

6.山村振興全国連絡協議会の活動への参加と助成

総会(6月12日開催)に出席するとともに、ブロック会議に出席した。
協議会の活動に対し、助成を行った。
開催されたブロック会議は、次のとおり。

関東ブロック会議         (8月27日、28日。群馬県。)
東海・北陸ブロック会議      (10月24日、25日。新潟県。)
九州ブロック会議         (11月5日、6日。宮崎県。)
北海道・東北ブロック会議     (11月8日、9日。福島県。)
中国・四国ブロック会議       (12月20日。高知県。)

7.各種会議会合等

(1) 総会

11月29日(木)、通常総会を開催した。
総会においては、事例報告が行われた。
新潟県糸魚川市長 米田 徹  広島県世羅町長 奥田正和

(2) 副会長会議・理事会

30年7月及び10月に副会長会議及び理事会を開催し、31年2月に副会長会議及び理事会を開催。

(3) 事務局長会議

31年1月に開催した。

(4) ブロック会議

次の2ブロックにおいて開催された。

関東ブロック (5月28日、29日。栃木県。)
北海道・東北ブロック (8月6日、7日。福島県。)

令和2年度山村振興関連予算・施策に関する要望書

山村地域の振興につきましては、日頃から格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
我が国の山村は、日本人としての精神の原点として我が国を支えてきた力の源であり、水資源、エネルギー資源を守り、国土保全、都市住民のいこいの場、若者の教育の場の提供等、多面的・公益的機能の発揮に重要な役割を担ってまいりました。このような国民の共有の宝とでも言うべき山村は、国土の約5割にも及んでおり、そこを人口のわずか3パ-セントの住民が守っております。
特に近年の頻発する異常気象災害に対して、山村が果たしている環境保全・災害防止の機能及び二酸化炭素の吸収源としての機能が広く国民に再認識されつつあります。その一環として森林環境税・森林環境譲与税が導入されたことは、国民全体で山村・森林を守るという画期的な政策となりました。また、若者の田園回帰志向も強まっています。
一方で、山村を取り巻く環境は、人口減少・高齢化の進展、これに伴う集落機能の衰退や自然災害・鳥獣被害の多発等により厳しさを増しており、多くの山村が存続の危機に瀕していると言っても過言ではない状況にあります。
こうした中で山村振興法により明確に示されている上記の多面的・公益的機能について更なる充実を図ることが重要であり、AI等時代の先端技術も駆使しながらこれらの課題解決に取り組み、山村の活性化、自立的発展を図っていくことは、地方創生や国土保全につながり、ひいては国民生活全体の発展・安定につながるものと言えます。
国におかれては、以上の認識の下に、山村振興を国の重要課題に据えて、下記の事項の実現を図っていただくよう強く要望致します。

Ⅰ 山村地域への革新技術の積極的導入

1.人口減少が進む地域社会の中にあって、人手不足を解消し、山村における生活の利便性の飛躍的向上を図る観点から、自動運転技術、ICT、AIなど革新的技術を積極的に導入すること。
その際、安全性を厳に確保する一方で、山村における普及のために必要な 規制緩
和に取り組むこと。
2.ドローン、無人トラクターなどの先端技術を用いたスマート農業を普及するに当たっては、平地農村に偏ることなく、山村地域の特色を活かした農業振興につな
がるようにすること。
また、ICT等を活用したスマート林業を推進すること。
3.山村地域において、再生可能エネルギーの導入を促進すること。特に、木質バイオマス産業化のための施設整備・システム開発を図ること。またFIT制度を充実し、その取組みを地域経済の発展に寄与させるとともに、再生可能エネルギーの発電比率の向上と、送電・熱利用システムの整備を図ること。発電施設の撤去費用については、事業者の積立てを義務化すること。

Ⅱ 自然災害の被災地の復旧・復興と防災対策の充実強化

1.近年頻発している大規模な自然災害の被災地、特に東日本大震災被災地については、関係省庁連携のもと、被害が生じた山村地域における復旧・復興対策を早急
強力にかつ推進すること。
東日本大震災被害地については、原発事故放射性物質の除染等を早急かつ的確に行うとともに、除染に伴う廃棄物の処理にも万全を期すこと。

2.近年、気候変動等により、多発、大規模化している災害により山村地域が大きな痛手を被っていることにかんがみ、防災減災、治山治水、砂防等の国土強靭化対策を強力に推進し、災害に強い地域・森林作りを行うこと。またそのために将来を見通した十分な財源を確保すること。併せて、災害発生時の的確な情報提供システムの整備を図ること。

Ⅲ 山村振興対策の総合的・計画的推進

    1. 山村振興法及び山村振興計画に基づき、関係省庁の一層の連携強化のもと、山村振興対策を総合的かつ計画的に推進すること。
    2. 山村地域における農林水産業等地域の基幹産業の振興、生活環境の向上等を図るための施設の整備等に対する助成措置を充実・強化するとともに、自立的な地域活性化を支える人材育成への支援に取り組むこと。
    3. 農山漁村地域活性化対策、森林・林業振興対策に係る地方財政措置の充実・強化を図ること。
    4. 山村地域の活性化を図るために不可欠な辺地対策事業債及び過疎対策事業債の十分な確保を図ること。
    5. 水源のかん養、自然環境の保全等国土保全に資する事業に係る地方財政措置を継続すること。
    6. 現行の過疎地域自立促進特別措置法が令和3年3月末で法期限を迎えるため、新たな過疎対策法を制定すること。

Ⅳ 多面的・公益的機能の持続的発揮・公共事業の推進

    1. 森林環境税及び森林環境譲与税について計画に即した段階的な導入を確実に実施するとともに、市町村に対して必要な助言等の支援を行うこと。
    2. 山村の果たしている重要な役割や木の文化について、児童生徒を含め国民一般の理解を深めるための教育・啓発・普及対策を充実・強化すること。
    3. 振山村地域における農林業の維持・活性化を図る「中山間地域等直接支払交付
      金」、「多面的機能支払交付金」、「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」を充実・強 化すること。
    4. 計画的な間伐等の森林施業と森林作業道の開設を直接支援する「森林環境保全直接支援事業」、林道等の路網整備を支援する「森林資源循環利用林道整備事業」等を充実・強化すること。
    5. 農山漁村地域整備交付金」を拡充・強化するとともに、山村の存立基盤である森林・林業、経済・雇用を支える上で重要な役割を担っている林野公共事業予算について、国土強靱化を進めるためにも大幅な拡充を図ること。
    6. 景観対策、国土保全に資するため、松くい虫対策、ナラ枯れ対策について適切に行うこと。
    7. 山村に存する棚田・里山林等の美しい景観の価値を見直し、その保存・再生を図ること。
    8. 侵入竹の駆除及び竹材等の利用推進を図ること。

Ⅴ 産業の振興・地域社会の維持活性化

    1. 山村地域の活性化と地域コミュニティーの再生のため、「山村活性化支援交付
      金」、農泊推進対策など地域活性化のための「農山漁村振興交付金」を拡大するとともに、「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」、担い手への農地の集積・集約化等のための「農地耕作条件改善事業」を充実・強化すること。
    2. 中山間地農業ルネッサンス事業」を拡大し、山村地域に対して優先的に予算配分を行うとともに、山村地域を優遇する等、山村地域にとって使い勝手の良い制度とすること。
    3. 農林水産業の振興と併せて6次産業化を推進するとともに、森林資源、農地等の土地資源、優れた環境等を活用した新たな農林業の振興、更には、健康等の新たな分野に着目した森林空間利用の推進、平場とは異なる山村の条件を生かした 園芸等の振興、関連企業の立地・導入等の対策を充実・強化すること。
    4. 意欲と能力のある林業経営者や市町村による森林の経営管理の集積・集約化、所有者不明森林における経営管理を推進するため、森林経営管理法に基づく新たな森林経営管理制度を地域の実情に応じて運用できるものとすること。
    5. 「林業・木材産業成長産業化促進対策」を拡充し、森林所有者等による計画的な森林施業をはじめ、川上から川下に至る林業、木材産業の総合的な振興対策の充実・強化を図ること。
    6. 林業・木材産業、農業等山村地域における産業の担い手の育成確保対策を拡充・強化すること。特に、地域の森づくりを主体的に先導する人材の育成確保を図ること。
    7. 急傾斜地における架線集材・ヘリ集材を含め、現場の実情に即した間伐などの森林施業を推進するほか、施業の低コスト化、再造林対策を強化すること。
    8. 木材価格の安定化を図るとともに、「木材産業・木造建築活性化対策」や「木材需要の創出・輸出力強化対策」等で進められている、公共建築物・民間セクターによる非住宅建築物等における国産材活用の推進、CLT等の新たな木質建築部材の技術開発・普及、A材丸太を原材料とする構造材・内装材・家具・建具等の普及啓発、木質バイオマスの利用の取組みの促進、効率的な木材サプライチェーンの構築や森林認証材の普及を図るため、予算措置を充実・強化すること。また、木材・木製品の輸出促進等により木材の利用促進を支援する制度を充実・強化すること。
    9. 特用林産物の振興を図るための予算を確保すること。

Ⅵ 山村と都市との共生・対流

    1. 若者の田園回帰志向が強まっている潮流を踏まえ、山村地域への移住者、二地域居住者などの定住を促進するとともに、「地域おこし協力隊」を充実・強化すること。
      また、都市との連携強化による関係人口の増加の取り組み、高齢者の地域活動への参加の取組み等を充実・強化すること。
    2. インバウンドの活用を含めグリーン・ツーリズムの一層の普及を行うとともに、地域ぐるみで行う受入体制や交流空間の整備、NPO法人等の多様な取組主体の育成等グリーン・ツーリズムを総合的に推進すること。
    3. 空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき空き家についての対策を講ずるとともに、空き家の利用を希望する者とのマッチングや利用者の負担軽減等、空き家の有効活用について措置を講ずること。
    4. 自然資源の保護・保全をするとともに、地域資源を生かした教育、ふるさとに愛着と誇りを育む活動である地方自治体の行うジオパーク推進の事業に対する支援を充実・強化すること。
    5. 山村における国民の幅広いボランティア活動を促進するための対策を充実・強化すること。
    6. 山村留学を含め学校・社会教育において学びや癒しの機能を有する山村での体験を推進すること。

Ⅶ 鳥獣被害防止

    1. 鳥獣被害防止特別措置法等に基づき、技術普及を含む各種鳥獣被害対策を一層充実・強化し、対策に必要な財源を確保すること。
    2. 地域ぐるみの総合対策を推進する「鳥獣被害防止総合対策交付金」及び広域的な森林被害等に対応する「シカによる森林被害緊急対策事業」について継続するとともにメニューを充実・強化すること。
    3. 鳥獣被害対策実施隊の設置促進、猟友会等の民間団体の参加促進、林業分野・関係省庁との連携を促進するとともに被害の深刻さの度合いによっては、防衛省・自衛隊は関係省庁と連携して、協力の可能性を検討すること。
    4. 捕獲鳥獣の加工処理施設の設置促進、焼却対策を充実・強化するとともに、ジビエ振興対策を講ずること。
    5. 今後、ICTやドローン等の革新技術を活用し、より効果的な鳥獣被害対策に努めること。

Ⅷ 道路、情報通信基盤の整備

    1. 山村地域住民の生活交通を確保するため、地方バス路線維持やデマンドバスの導入・運行対策を充実・強化すること。
    2. 山村の簡易水道等施設の整備を促進すること。
    3. 山村地域の実情に応じて汚水処理施設の整備を促進すること。
    4. 廃棄物処理施設の整備を推進するため、助成措置を講ずること。また、廃棄物処理施設の解体に対しては、適切な措置を講ずること。
    5. 消防力の充実を図るため、消防庁舎・消防施設等の整備及び改修に対する助成措置を講ずること。

Ⅸ 生活環境の整備

    1. 山村地域の産業、生活基盤として不可欠な高規格幹線道路、地域高規格道路、一般国道及び都道府県道の整備、特に、二県以上に跨がる県管理の国道整備は、山村地域の振興に大きく寄与ているにもかかわらず、冬期閉鎖期間が長期間に及ぶことにより関係振興山村の発展を大きく阻害しており、こうした県際道路の整備計画を策定の上、計画的に整備促進を図るとともに市町村道の改良・舗装等、立ち遅れている山村地域の道路整備を促進すること。また、基幹的な幹線市町村道路の整備の都道府県代行に対する助成措置を講ずること。2.道路整備のための財源を十分に確保し、特に、地方における道路財源の充実を図ること。
    2. 携帯電話不通地域の解消、インターネットのブロードバンド接続可能地域の拡大、高速光ファイバー網の整備等デジタルディバイドの解消を図るための高度情報ネットワークその他通信体系の充実・強化を図ること。また、地域の実情に即した通信システムの助成を図るとともに、これら通信網の維持のためのランニングコストの助成を行うこと。
    3. ラジオ難聴取地区の解消を図ること。
    4. 防災上並びに観光景観上の観点から無電柱化の推進に当たり、一定の財政措置
      (過疎債)を講ずること。

Ⅹ 医療・保健・福祉

    1. 山村地域の産科医、小児科医を含めた医師の確保に万全を期すこと。へき地診療所等の運営、医療施設・保健衛生施設の整備、医師及び看護師の養成・確保に対する助成措置を充実・強化すること。
    2. 無医地区への定期的な巡回診療、保健師の配置、救急医療用のヘリコプターを拡充すること。
    3. へき地保育所の運営、高齢者等の社会福祉施設整備、社会福祉関係職員等の養成・確保に対する助成措置を充実・強化すること。
    4. 山村における障がい者施設の整備について、十分な予算を確保すること。
    5. 医療・保健・介護・福祉の充実、高齢者の職場、住居の確保は、その地域に居住する高齢者のみならず、都市の団塊世代の山村地域への定住に不可欠であり、都市部との連携の下に、このような観点から充実・強化すること。

ⅩⅠ 教育・文化

    1. 公立学校施設整備、スクールバス等の購入に対する助成措置を充実・強化すること。
    2. 寄宿舎居住費等へき地児童生徒に対する助成措置を講ずること。
    3. 山村地域の文化財の保護等に対する助成措置を講ずるとともに、遺跡発掘体験等により山村の自然に触れる体験交流活動に対する支援措置を講ずること。
    4. 地域の伝統文化・芸能の体験等を通じた子供の育成に努めること。
    5. 教育環境の整備は、都市部からの若者の定住に不可欠であり、その観点からの充実を図るとともに、豊かな自然環境や伝統文化等を有する山村の特性を生かした教育を充実すること。
    6. 小中学校の統廃合の推進に当たっては、地域活性化の観点に十分配慮すること。

ⅩⅡ 貿易交渉等について

日米貿易交渉をはじめとする二国間・多国間協定の交渉及び実施に当たっては、山村地域の主要産業である農林業に打撃を与えることのないよう、山村地域の住民が誇りを持って農林業を営み、住民が生活を維持できるよう、万全の対応をとること。

ⅩⅢ 山村地域の自主性の確立

    1. 財源保障機能及び財源調整機能を果たす地方交付税制度を充実・強化し、所要額を確保すること。
    2. 基準財政需要額の算定に当たっては、山村自治体が人口割合に比べて広い面積を有し、国土保全、地球温暖化防止等に重要な役割を果たしていることを考慮し、面積要素を重視するなど、山村地域の実情に即したものとすること。
    3. 独自の発想に基づく山村振興を助長するため、山村地域の自主性を尊重する助成措置、過疎地における交通手段の確保のための道路運送法等の規制緩和を幅広く導入するとともに、木材のストックヤードの整備等地方創生のために必要な事業について、既存の予算で対応できない場合は、ハード事業も地方創生交付金の対象とすること。
    4. 償却資産に係る固定資産税は、山村地域の市町村の重要な財源であり、現行の課税対象、評価額の最低限度を堅持すること。
    5. 道州制は絶対に導入しないこと。