全国山村振興連盟メールマガジンNO309

全国山村振興連盟メールマガジンNO309

2024.2.7
全国山村振興連盟事務局

◎ 山村振興法に関する超党派会議が開催されました
2月6日木曜日午前8時から、参議院会館B107会議室において、「山村振興法に関する超党派会議」が開催されました。この会議は、自由民主党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党の山村振興法担当議員により、山村振興法の改正に向けて意見交換が行われる場です。
全国山村振興連盟からは、金子恭之会長、進藤金日子理事、鈴木重男副会長(岩手県葛巻町長)、熊川栄副会長(群馬県嬬恋村長)、実重重実事務局長が出席し、要望を述べました。
また、農林水産省から山村をめぐる状況についての説明があった後、宮崎雅夫参議院議員(自民党山村振興特別委員会事務局長)から、山村振興法改正大綱案の説明があり、出席議員による意見交換が行われました。
今後も、山村振興法改正法案の議員提案に向けて、意見交換が行われることとなっています。

◎ 2025年1月の農林水産行政

2025年1月の農林水産行政の主な動向は、以下の通りでした。

1 流通不足時も備蓄米を放出するよう指針を見直し
1月31日、農林水産省は 食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開催し、政府が保有する備蓄米について、「 米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針 」を見直し、放出できる条件として、従来の「大凶作や連続する不作」などに加え、「主食用の米の円滑な流通に支障が生じる場合であって、農相が必要と認めるとき」を新たに加えることとした。流通不足を理由に放出した場合、 1年以内に同じ品質で同じ量の米を買い戻すことを条件とする。備蓄米の放出先には、全国農業協同組合連合会など米の集荷業者を想定する。実際に備蓄米を放出するかどうかは、集荷業者・卸売業者・生産者などに在庫状況を調査してから判断する。
令和 6年の米の収穫量は、前年より18万トン 多い 679万トンだった。農林水産省が想定する需要量を供給が上回るが、実際は流通現場で争奪戦が発生している。このため、1月17日に農林水産省が発表した米の産地と卸の相対取引価格については、令和6年産の平均価格( 9月から12月 )は、60kg あたり 23715円と冷害で過去最も高かった平成 5年産の23,607円を上回った。また本年 1月の消費者物価指数では、米類の価格が前年同月比 70.7% 上昇し、1971年1月以降で最も高い伸び率を記録している。

2 江藤農相が中国に海外出張
江藤拓農林水産大臣は、令和7年1月16日 木曜日及び17日 金曜日中国・北京に出張し、16日に中国の王令浚海関総署副署長と、また 17日に 韓俊農業農村部長と会談を行った。王令浚海関総署副署長との会談では、中国への輸出拡大に向けて日本産水産物などの輸入規制の撤廃、牛肉の輸出再開、 精米の輸出拡大について働きかけを行った。牛肉・精米については、日中首脳会談・外相会談の成果を実施に移していくため双方が努力を継続することで一致した。
また17日の韓俊農業農村部長との会談では、両国間の農林水産分野での協力について、日中農業担当省次官級定期対話の再開のほか、植物品種保護分野での協力覚書の早期署名で一致するなど、両国の協力を強化していくことで一致した。更に、日中動物衛生検疫協定について、早期発効に向けて意思疎通を継続することで一致した。
江藤農相は「 牛肉や精米についても前に進んでいくことは確認できたと感想を持っている 」と述べた。

3 鳥インフルエンザが多発し防疫対策本部を開催
1月31日、農林水産省は今シーズン多発している高病原性鳥インフルエンザの防疫対策本部を開催した。今季、同病は農場で50例が発生し、約 927万羽が殺処分対象となっている。農林水産省は、特に発生が相次ぐ 愛知・千葉・岩手の3県には現地対策本部を設置し、緊急消毒など封じ込めを進めている。
会議では各現地本部が状況や課題を報告した。江藤農相は累計の殺処分羽数が1000万羽に迫ることに触れ、「 過去に例を見ない件数だ。これ以上の発生拡大は食い止めなければならない 」と述べ、早期の通報の徹底を求めるとともに、「養鶏を守るだけでなく、国民の食卓に関わる。一層の努力お願いする 」と訴えた。
また群馬県では 1月23日、前橋市の養豚場で豚熱の発生が確認された。県は同養豚場で飼育されている約4800 頭を 2月1日までに全頭殺処分した。 県内の養豚場での豚熱発生は、令和4年9月に 板倉町で発生して以来 10例目。 国内では95 例目となった。

4 食品輸出が過去最大 1.2兆円
1月23日 財務省は、令和6年の貿易統計速報を発表し、食料品輸出額が前年比4.5%増の1兆1782億円だったと発表した。増加は2年ぶりで、比較可能な平成12年以降で過去最大となる。中国向け輸出の回復が鈍いが、円安によって他の主要国向けが2桁増と好調だった。
輸出先別に見ると、東南アジア諸国連合(ASEAN)が 15.7%増の2347億円で最大。次いで米国が17.8%増の2131億円、中国は 38.4%減の1151億円で2年連続マイナス。EU は 23.7%増の704億円、 韓国は22.3%増の771億円だった。
食料品輸入額も 5.4%増の9兆8475億円と2年ぶりの増加で、過去最大を更新した。
1月10日、政府は農林水産物輸出拡大閣僚会議を開催し、この中で農林水産省は海外事業の拡大や供給力の向上に関する取り組みを紹介し、食品産業の海外展開や展開やインバウンドによる食関連消費の拡大を新たな政策の柱として位置付ける方針を示した。

5 食料・農業・農村基本計画の目標として 30項目を設定
1月22日、農林水産省は食料・農業・農村政策審議会企画部会を開き、次期基本計画の骨子案を示した。次期基本計画で定める目標の案としては、従来唯一の目標だった食料自給率に加え、生産資材や担い手の確保など、30の目標を設ける。計画の期間は、これまで10年間だったが、5年間に変更し、2030年を期限とする。目標の達成に必要な施策の進捗を管理するための指標(KPI)も 設ける。
次期基本計画で定める目標案は、以下の通り。
① 食料供給の分野では、食料自給率、食料の備蓄の確保、肥料資源の国内資源利用割合、肥料原料の備蓄の確保、種苗の安定供給の確保、飼料の備蓄の確保、担い手の農地集積率、農地面積の確保、農業生産基盤の強化、スマート農業技術を活用した面積割合、農産物の付加価値の向上、輸入の安定化
② 輸出促進の分野では、農林水産物・食品の輸出額、食品産業の海外展開による収益額、インバウンドによる食関連消費額
③ 国民1人1人の食料安保などの分野では、食品アクセスの確保、食料システムの持続性の確保
④ 環境の分野では、温室効果ガスの削減量、化学農薬・化学肥料の使用量低減、有機農業の取り組み拡大、事業系食品ロスの削減、多面的機能の発揮
⑤ 農村振興の分野では、関係人口が拡大した市町村数、農山漁村地域で創出された付加価値額、関係人口の拡大取り組みが移住・定住につながった市町村数、共同活動促進による農業生産活動継続、中山間地域などの振興、鳥獣被害の防止
となっている。

6 その他
(1) 農林中金有識者会議が報告書を提出
1月28日、外国債券の運用で大きな損失を出した農林中央金庫をめぐり、農林水産省の有識者会議(座長 川村雄介大和総研元副理事長 )は、江藤農相 に報告書を提出した。資産運用の意思決定を行う理事会に外部の専門家が参加できるよう、理事の兼職・兼業規制の見直しを行い、資産運用経験がある理事を増やすことや、運用上のリスクを監視する機能に実効性を持たせることを求めた。農林水産省は今秋にも農林中央金庫法などの改正を目指すこととしている。

(2) ベルリン農相会合で共同声明を発出
1月18日、ドイツ・ベルリンで 62カ国・地域が参加して農相会合が開催され、バイオマスを活用した循環型経済の移行に向けた共同声明が採択された。 ベルリン農相会合は、ドイツ政府の主催で 2009年から毎年開催されている。 日本からは、滝波宏文副大臣が出席した。
今回はバイオエコノミーがテーマとされ、バイオマス生産などを担う農林水産業が重要な役割を果たすとして、農林水産由来のバイオマスの利用を促進するとともに、副産物の利用などで農業の収益性向上にもつなげることとした。 また農薬の必要量を減らすなどの持続性を高める取り組みを進めるには、技術革新などが重要として、小規模生産者らを含む幅広い人が恩恵を受けられるようにする必要性を確認した。
日本からは、バイオエコノミーへの移行は一律的に進めるのではなく、各国・地域の特徴や課題を踏まえる必要があると主張した。

(3) 能登半島地震の農林水産被害 3658億円と発表
1月15日、農林水産省は昨年1月に発生した能登半島地震による農林水産関係の被害額が3658億円にのぼると発表した。農林水産省が能登半島地震の被害額を公表するのは初めて。
今回の被害額は1月15日午後2時時点のものであり、県別では石川県が 3394億円で全体の9割超を占めた。他にも 新潟・富山・福井・長野・岐阜の5県で被害があった。分野別では農業が1794億円、林業が786億円、水産業が1078億円となっている。

(4) 荒廃農地が25.7万ヘクタールで4年ぶりの増加
農林水産省は、耕作できずに荒れて作物を栽培できる状態にない荒廃農地が 令和5年度、国内で25万 6700ヘクタールとなり、前年度から1.4% ( 3500ヘクタール)増加したと発表した。前年度を上回るのは4年ぶり。国内の農地面積 430万ヘクタールの6%に当たる。
令和5年度は、荒廃農地が新たに2万5000ヘクタール増えた一方、元々あった荒廃農地が2万 1500ヘクタール減った。減少分の内訳は、営農できる状態に再生されたものが 9800ヘクタールであるのに対し、農地でなくなり集計から外れたものが1万1700ヘクタール あった。
荒廃農地の面積を都道府県別に見ると、長崎 1万4,075ヘクタール、長野 1万3787ヘクタール、愛媛 1万 2932 ヘクタールの順に多かった。中山間地域や 離島など条件不利地域を抱える地域が上位に並んだ。
こうした中、地域計画が全国各地で3月末までに策定される運びとなっており、地域計画では10年後に誰が営農するか農地 一筆ごとに定めることとされている。

◎ 「Forest Style ネットワーク」からの2点のお知らせ

「Forest Style ネットワーク」(事務局:林野庁 森林利用課 山村振興・緑化推進室)から、下記2点のお知らせがありました。
1.FSN会員からのお知らせ【シンポジウム「森林の多面的利用で生み出す新たな森林経営」】(2/27木開催)のご案内
2.内閣府からのお知らせ【令和6年度「小さな拠点」づくり全国フォーラム】(2/25火オンライン開催)のご案内

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1.シンポジウム「森林の多面的利用で生み出す新たな森林経営」(2/27木開催)のご案内
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近年、森林内で行うさまざまなアクティビティを経営資源と位置づけ、従来の木材生産に加えて新しいかたちの森林経営の取り組みが行われています。
大日本山林会が発行している『山林』誌では、そうした取り組みをシリーズ「森林の多面的利用で生み出す新たな森林経営」として2021年より掲載しています。
一方、国土緑化推進機構と林業経済研究所では、2023年より森林所有者による「森林サービス産業」推進事業に取り組んでいます。
今回のシンポジウムでは大日本山林会、国土緑化推進機構、林業経済研究所の共催により、森林所有者自らが森林サービス産業に取り組んでいる事例を報告いただき、これからの森林経営のあり方についてディスカッションを行います。
ぜひ、ご参加ください。

<開催概要>
【日時】2025年2月27日(木)13:00~17:00
【場所】汐留ビジネスフォーラムhttps://shiodome-a.co.jp/access
【参加費】無料
【対象】ご関心のある方はどなたでも
【申込】「こちら」より事前のお申込をお願いします。
【URL】https://forest-style.jp/bizmatch/news/003531.html
【主催】(公社)国土緑化推進機構、(公社)大日本山林会、(一財)林業経済研究所
【主なプログラム】
13:00 開会
13:10 第1報告 森林所有者による多面的森林空間利用の創出
辻村 百樹氏(㈱T-Forestry)
第2報告 森と木のあるライフスタイル創造カンパニーを目指して
坂 成哉氏(三栄林産株式会社)
第3報告 未来に向けた山林共生のビジョンづくり
井上 裕司氏(たなべたたらの里)
14:40 コメント  田口 房国氏(シシガミカンパニー)
土屋 慶一郎氏(㈲きたもっく)
15:10  総括 土屋 俊幸氏(林業経済研究所)
15:40  パネルディスカッション
16:55 閉会あいさつ

【お問合せ】
(公社)国土緑化推進機構(担当:矢島)
TEL:03-3262-3883 / Email: foreststyle@green.or.jp
(公社) 大日本山林会  (担当:原・杉野・加藤)
TEL:03-3587-2551 / E-mail:sanrinedt@sanrinkai.or.jp

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2.内閣府主催【令和6年度「小さな拠点」づくり全国フォーラム」】(2/25火オンライン開催)
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内閣府では、2月25日(火)に「小さな拠点」づくり全国フォーラムを開催いたします。
今年度は、自治体や地域が第三者による支援を受けながら「小さな拠点」の形成と持続的な運営に向けて取組を展開する方法に着目し、特に、地域住民のニーズや意見を把握した上で住民の主体性を活かし、地域のビジョンや取組の計画を構築していく“はじめの一歩”の段階で、自治体・地域・中間支援者の各々が果たすべき役割と具体的な方法について学び合って実践につなげていくことを目的としています。
これから「小さな拠点」づくりに挑戦したい、現在の取組をさらに深化させたいという方々の参加をお待ちしています。

<開催概要>
【日時】令和7年2月25日(火)14:00~17:00
※Zoomによるオンライン開催(参加費無料・定員500名程度)
【主催】内閣府地方創生推進事務局
【申込み】フォーム(https://forms.office.com/r/3Yy0wp0qKV)※申込期限:2月21日(金)まで
この他の詳細は、下記URLをご覧ください。
地方創生HP:令和6年度「小さな拠点」づくり全国フォーラム
https://www.chisou.go.jp/sousei/about/chiisanakyoten/forum/r06/r06gaiyou.html
【主なプログラム】
1.事例発表
(1)いちのせき市民活動センター センター長 小野寺 浩樹 氏
地域への緊密なアウトリーチを行政につなげ、地域主体の取組を伴走支援
(岩手県一関市)
(2)特定非営利活動法人まちなか研究所わくわく 代表理事・事務局長 宮道 喜一 氏
円卓会議を設けて地域の多様な主体の思いや取組の共有を促し、連携を伴走支援
(沖縄県那覇市)
(3)特定非営利活動法人みんなの集落研究所 首席研究員 阿部 典子 氏
住民全員アンケートを活用した地域主体の形成と行政との連携を伴走支援
(岡山県美咲町)
2.パネルディスカッション
モデレーター:高崎経済大学地域政策学部 教授 櫻井 常矢 氏
パネリスト:小野寺 浩樹 氏・宮道 喜一 氏・阿部 典子 氏

◎二地域居住促進研究会~保育・教育環境づくり編~について

全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム(事務局:栃木県那須町ふるさと定住課)から、以下のお知らせがありました。

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会員からのお知らせ
● 題名
二地域居住促進研究会~保育・教育環境づくり編~
● 団体・事業者名
株式会社あわえ
● 内容
*自治体職員さま限定地域の学びで若い世代・世帯を呼び込みたい方へおすすめ!
▼プログラム
2025/2/18(火) 13:30-15:30
・移住・二地域居住促進についてのガイダンス ㈱あわえ
・㈱ソトエ 代表取締役 児玉さま / 親子deワーケーション 子どもと仕事、どっちも大切。
・デュアルスクール 子どものふるさとを全国に
・一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム 専務理事 尾田さま / 地域みらい留学 自分のやりたいことと自分らしさが見つかる 地方への高校進学という選択肢
・さとのば大学 発起人 信岡さま / さとのば大学 日本全国をキャンパスに、地域と共に学び合う地域を旅する大学
▼詳細・申込は下記から!(自治体職員さま限定)
https://local-learnig.peatix.com/