山村振興全国連絡協議会(都道府県の山村振興担当課長で組織)の平成30年度のブロック会議が次のとおり開催された。
東海・北陸ブロック会議
東海・北陸ブロック会議が、10月24日(水)~25日(木)、新潟県村上市新潟県森林研究所で開催された。
会議には、東海・北陸ブロックの県、農林水産本省、東海農政局、北陸農政局及び全国山村振興連盟から担当者が参加した。
開会に当たり開催県である新潟県総務管理部地域政策課 安藤輝行 課長から、「新潟県は山村が広く7万5千人が住む重要な地域となっている。総合計画を策定し、中山間地域が住み続けたい地域となるよう対策を講じている。意見交換して、山村施策に活かしたい。明日は地域づくりの現場を視察していただくことにしている。実りある会合を期待したい」旨の挨拶があった。
次いで、農林水産省地域振興課 永田浩章 係長、全国山村振興連盟 實重重実 事務局長から来賓挨拶があった。
会議の内容は、次のとおりとなっている。
1.中央情勢報告
地域振興課 永田浩章 係長から、「平成31年度山村振興関連農林水産省予算概算要求額」「同関係資料」「山村振興に基づく支援措置等」の資料に基づき説明があった。特に山村における税制優遇措置についての税制当局との折衝状況につき説明があり、税制等の山村施策を守るためにも山村振興計画や産業振興施策促進事項の幅広い策定をお願いしたいとの依頼があった。また山村活性化対策交付金の活用状況などにつき紹介があり、その一環として、「山の恵みマッチング」(山村自治体・事業者等が出展する商談会)への参加の呼びかけがあった。
2.全国山村振興連盟 活動状況報告
全国山村振興連盟 實重重実 事務局長から、連盟の活動状況につき説明があった。 特に都道府県支部あて、毎週、情報メールを送っている旨の紹介があり、行政も全国に情報発信したい事項があれば事務局にお伝えいただき、このルートを活用してほしい旨の依頼があった。
3.各県の事例報告
各県から次のような報告があった。
【愛知県】
三河山間地域について、「三河の山里サポートデスク事業」を行っており、集落応援隊としての登録者が36人、延べ56人が参加した。「やま・ひと・しごと広域連携推進事業」では、サポートデスクの運営スタッフとして1年間の雇用を行っている。29年度には、古民家を活用した居酒屋、ジビエを使ったカフェなどが行われた。
【岐阜県】
「ぎふの田舎応援隊」は、農村ボランティアと農村体験ツアーを一体化したものであり、都市住民に参加してもらって、草刈りや耕作放棄地の解消といったボランティア体験とともに、流しそうめんの器づくりなどのツアー体験してもらう。年間10回実施し、150名程度が参加している。
【富山県】
「中山間地域チャレンジ支援事業」では、集落と地域内外の企業・団体等が連携し、新たな産品を生み出すなどの地域活性化の取り組みを行うことを支援している。ほかにも、コミュニティバスの仕組みづくり、農作業の支援システムづくり、空き家調査、祭りの復活などが行われている。
【石川県】
「都市との交流による農山漁村地域の活性化に関する条例」の制定、都市部の学生を招く「とやま農山漁村インターシップ事業」、都市住民の移住を促進する「とやま帰農塾推進事業」、地域の活性化の試みを支援する「とやまの田舎交流支援事業」、企業等の協力を得て商品開発等を行う「中山間地域チャレンジ支援事業」について説明があった。
【福井県】
小浜市田烏地区では、「たがらす棚田キャンドル」を開催し、春と秋に棚田を2500個のキャンドルで彩っている。棚田の景観を写したフォトコンテスト、棚田でステージを設けて県外ミュージシャンのライブも行い、交流人口は平成24年度の1000人から平成29年度には2,000人に増加した。
【新潟県】
「地域の話し合い促進事業」では、新潟県が地域づくりの専門家を集落等へ派遣して、専門家を交えて3回以上の話し合いを行う。市町村は、話し合いに参加したり、翌年度以降も話し合いが継続できるように支援する。新発田市での地域おこし協力隊の活動、魚沼市での農産物等直売所の開設、糸魚川市での若者・子供向けのイベント・交流会等を行った。
4. 次回幹事県の選出
次回の幹事県として、岐阜県が選出された。
5.現地視察
翌日は、村上市高根地区において、「高根フロンティアクラブ」の活動を視察した。
(1)宿泊施設「瑞泉閣」
古い別荘を活用して、個人の宿泊もグループでの借り切りもできる宿泊施設を設置し、一般社団法人「高根コミュニティラボわぁら」が運営している。事務局は、県外からの移住者が務めており、フェイスブック等での発信を通じて都市の若者等が本地区を知り、来訪するようになった。別に農家民宿もあるが、やはりフェイスブックでの発信が有効だとのことであった。
(2)農家レストラン「IRORI」
小学校跡地の廃校を利用して、高根地区の住民による地産地消レストランを経営している。小学校の古い教室や椅子がそのままに利用され、地元の手作り加工品も販売されている。このほか、高根フロンティアクラブでは、どぶろく特区を活用して、農業者による日本酒の少量生産を行っている。
九州ブロック会議
九州ブロック会議が、11月5日(月)~6日(火)、宮崎県宮崎市 若草HUTTE&co-ba Miyazakiで開催された。
会議には、九州ブロックの県、農林水産省、九州農政局及び全国山村振興連盟から担当者が参加した。
開会に当たり開催県である宮崎県総合政策部中山間・地域政策課 日高正勝 課長から「現在、山村地域は人口減少・高齢化の進展、担い手不足等の問題が生じており、厳しい状況である。こうした中、宮崎県としては、山村地域、過疎地域を含めた中山間地域振興条例を定め、その一環として3カ年の振興計画を策定して取り組んでいるところであるが、現在、その改定作業を進めている。本日会場となったこの施設は、渡川地区(人口350人)へUターンした若者が町おこしのため郷里と宮崎市をつなごうとカフェ、コワーキングスペース(共有オフィス)を開業したものです。県はこういった取組みを支援しています。本日は、山村振興について活発な議論をお願いしたい」旨の挨拶があった。
会議の内容は、次のとおりとなっている。
1.平成31年度山村振興関連農林水産省予算概要について
地域振興課 永田浩章 係長から「平成31年度山村振興関連農林水産省予算概算要求額」,「同関係資料」及び「山村振興に基づく支援措置等」の資料に基づき説明があった。特に山村における税制優遇措置についての税制当局との折衝状況につき説明があり、税制等の山村施策を守るためにも山村振興計画や産業振興施策促進事項の幅広い策定をお願いしたいとの依頼があった。また、山村活性化支援交付金の活用状況の紹介があり、その一環として「山の恵みマッチング」への参加の呼びかけがあった。
九州農政局農村計画課 大場浩二 係長から九州地区における山村活性化支援交付金事業実施地区の取組事例(平成27~28年度採択地区)の紹介があった。
2.全国山村振興連盟の活動状況について
全国山村振興連盟 千葉善行 事務局次長から連盟の活動状況について説明があった。特に10月から道府県支部あてに「山村振興通信」をメールにて送付していることの紹介があった。
3.各県からの報告
(1)中山間地域の農業の振興に関する県単独の施策及び国の事業等の活用事例について
【福岡県】
農山村と企業等からなる協働組織が、互いの強みを活かし、荒廃農地を再生・活用することで、中山間地域の農地を維持するとともに、中山間地域の活性化を図る「企業等活用型中山間地域活性化事業」(平成30年度~32年度)を進めている。
【佐賀県】
中山間地域の農業・農村の振興をより強く推進するため、今年度から新たに「それぞれの中山間チャレンジプロジェクト」を展開している。具体的には、農業者をはじめ、関係機関が一体となって中山間地域の農業・農地の維持や農業所得の向上を目指す「それぞれの中山間チャレンジ事業」(平成30年度~34年度)を実施している。
【熊本県】
中山間地域において持続可能な農村を目指すモデル地区を設定し、その地域自らが作成する「モデル地区農業ビジョン」づくりを支援するとともに、そのビジョンに基づき、①高単価が見込める作物の作付拡大・導入、②その作物のための基盤整備、③高単価作物の生産・販売力強化等を総合的に支援し、持続可能な農村を目指す「中山間農業モデル地区支援事業」を推進している。
【大分県】
① 農業農村振興公社に「おおいた世界農業遺産次世代継承ファンド」を設置し、運用益により世界農業遺産認定地域を次世代に継承・発展させるため、保全活動の活性化や情報発信など次世代への継承等の取組みを支援する「世界農業遺産ファンド推進事業」を推進している。
② 中山間地域における農地の集積による担い手の育成、農地のマッチング活動の奨励により水田の構造改革の更なる加速をすすめるため、農地集約・集約化支援事業を実施している。
【宮崎県】
① 中山間地域の営農集団等を対象に100万円以上の年収向上を目標とする年収アップ実践プラン策定及びその実現のための支援を行う「中山間地域農業年収アップ支援事業」(平成29年度~30年度)を実施している。
② 中山間地域果樹産地を維持・発展させていくため、高齢化や担い手不足に対応した共同及び受託作業組織を育成するとともに、実需者等のニーズに対応した品種転換や生産共有体制を構築するなど、さらなる果樹版集落営農の取組み30年度~32年度)を実施を推進する「集落で繋ぐ中山間地域果樹産地支援事業」(平成している。
【鹿児島県】
中山間地農業ルネッサンス推進事業を活用して、市町村等が抱える課題(地域資源を活かした商品開発、6次産業化等)に対してアドバイザーの派遣、セミナーの開催等を行っている。
(2)平成27年法改正後の市町村の山村振興計画策定状況と産業振興施策促進事項の作成状況について
各県から次のとおりの報告があった。
【福岡県】策定事例なし
【佐賀県】策定事例なし
【熊本県】策定済み:14市町村。産業振興促進事項を作成済み:6市町村
【大分県】策定済み:3市
【宮崎県】策定済み:3市町 産業振興施策促進事項作成済み:1町
【鹿児島県】策定済み:1町
4.次回幹事県の選出
次回の幹事県として、大分県が選出された。
5.現地研修
翌日は、綾町にある今年4月に整備(病院施設をリニューアル)された綾ユネスコエコパークセンターにおいて綾町の概要及び施設の説明があった。
〇 綾町の概要
面積9,519、うち80%が森林、国内最大級の照葉樹自然林を有しており、人口は、約7,200人の町で「人と自然が共生した町づくり」を推進している。そんな中で平成24年7月にユネスコエコパークに登録(世界120カ国、669地域、うち日本9地域)された。
〇 ユネスコエコパーク
ユネスコエコパークとは、ユネスコ「人間と生物圏計画の枠組み」に基づいて、ユネスコによって国際的に認定された地域をいい、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的とする取組み。
北海道・東北ブロック会議
北海道・東北ブロック会議が、11月8日(木)~9日(金)、福島県福島市杉妻会館会議室において、北海道・東北ブロックの道県、農林水産省、東北農政局及び全国山村振興連盟から担当者が参加して開催された。
福島県農林水産部農村振興課 星 美沙子 副主査の司会により会議が進められた。
最初に主催者である大久保 進一 農村振興課長から「東日本大震災から7年半が経過しました。津波で流出した沿岸部の海岸保全施設や排水機場等の復旧は概ね本年度をもって完了する見通しとなりました。また、津波被災を受けた4,500haの農地のうち約1,700haにおいては復旧工事に併せて大区画化圃場整備を進めており、そのおよそ75%に当たる1,275haで営農再開が可能となりました。津波により流出した海岸防災林の復旧整備も着実に進んでおり、去る6月10日に南相馬市において開催した全国植樹祭には国の内外から約8,000人の方々に参加していただき、皆様からの支援に対する感謝の気持ちと復旧・復興が進む当県の状況を発信することができました。しかしながら、当県は地震と津波による被災に加え、原発の事故により現在も避難指示が発出されている地域があり被害状況の把握と復旧の対応に未だ着手できない農地や施設が数多く残されています。当県では喫緊の課題である地震、原発からの復旧・復興をすすめるとともに、県土の6割近くを占める振興山村の多面的・公益的機能の重要性を踏まえ、地域の潜在力を引き出すことにより活力ある地域づくりを目指しています。人口減少と高齢化が著しい山村地域にあっては担い手農家の不足と集落機能の低下が全国的な課題となっていますが、皆さんと連携して山村振興対策にしっかり取組んでいきたいと思っています。」旨の挨拶があり、ついで出席者の紹介が行われた。
会議の内容は、次のとおりとなっている。
1.山村振興に係る中央情勢等について」
農林水産省農村振興局地域振興課 永田浩章 調整係長から平成31年度山村振興関連予算概算要求について、主として、山村活性化支援交付金、中山間地農業ルネッサンス事業、中山間地域等直接支払交付金、農山漁村振興交付金、「農泊」の推進、鳥獣被害防止対策とジビエ利活用の推進、林業成長産業化総合対策、森林・山村多面的機能発揮対策等について説明がなされた。
山村振興法改正により山村振興計画に産業振興施策促進事項を記載することにより地域資源を活用した製造業等の用に供する機械、建物等に対し税制特例(割増償却)が受けられことになっているが、その取組み状況等について説明が行われるとともに、その積極的活用の要請がなされた。この制度については、平成31年以降2年間の延長を要望している旨説明があった。
また、山村活性化支援交付金による事業実施地区の説明があり、今年度は「山の恵みマッチング」(逆見本市)が開催される旨の説明があった。
2.全国山村振興連盟の活動状況等について
全国山村振興連盟 米田博正 参与から、山村振興関連施策・予算に関する要望活動、山村振興連盟が行っている業務について説明がなされた。
3.東北管内の山村振興対策の取組状況等について
東北農政局農村振興部農村計画課 高梨清美 山村振興係長から、山村活性化支援交付金を活用した地域産品づくり15の事例が紹介され、山の恵みマッチングへの登録状況について、東北地区は現状では少ないとの説明があった。
また、農山漁村振興交付金による「農泊」、「農福連携」等、中山間地農業ルネッサンス事業、ディスカバー農山漁村の宝、豊かなむらづくり全国表彰等について管内取組み状況の説明がなされた。
4.各道県の山村振興対策の取り組み状況等について
【北海道】
農山漁村振興交付金(農山漁村地域活性化整備対策)を活用した取組みについて、平成30年度は、継続4市町、新規1村2地区で実施している。
【青森県】
(1)あおもり型農泊の確立に向けて
-
- 平成29年度の本県における農家民宿宿泊者は6,658人、台湾からの教育旅行の誘致数は13校596人と、いずれも過去最高を記録した。
- しかし、農家民宿に対するニーズが高まっている中で、高齢化や家族の介護などのために、休業や受入人数を制限する農家民宿も増加いしていることから、新規受入農家の確保や地域ぐるみで効率的な受入態勢を整備していく必要がある。
- また、インバウンドを含めた国内外からの教育旅行や個人旅行の市場を拡大していくため、観光部局と連携した情報発信やプロモーションの強化、青森ならではの魅力ある体験メニューの開発が課題となっている。
- このため、県では、平成31年度から急増する訪日外国人旅行者の市場も取り込んだ「あおもり型農泊」を推進することとしており、農家民宿の新規開業者や実践者向けの研修会の開催や旅行客のニーズに対応した新たな旅行商品の造成に
取り組むとともに、海外へのコーディネーターの配置や農泊推進団体間の情報共有を図ることとしている。
(2)農業の労働力確保対策
-
- 深刻化する農業の労働力不足に対応するため、県がJA等の無料職業紹介事業と連携した農業労働力求人マッチングサイト「あおもりの農作業の上手い人たち」を開設し、大学生や主婦などを主要なターゲットとしてJAによるマッチ
ングの支援に取り組んでいる。 - また、農業に関心があるものの農作業の経験がない人に、指導力のある農家から無料で実技指導を受けられる「青天農場」を県内30か所に設置し、新たな労働力確保の取り組んでいる。
- 深刻化する農業の労働力不足に対応するため、県がJA等の無料職業紹介事業と連携した農業労働力求人マッチングサイト「あおもりの農作業の上手い人たち」を開設し、大学生や主婦などを主要なターゲットとしてJAによるマッチ
【山形県】
(1) 元気な地域づくり支援プロジェクト
地域の農産物や資源をフル活用し、新しい価値を持つビジネスを興し、豊かな農山村地域の実現を目指すという基本的な考え方のもとに、意欲ある市町村や地域が主体となった取組みを対象に事例研究(ケーススタディ)を実施し、取組みの具体化・発展に向けた支援を行い、新たな成功事例を生み出す仕組みづくりを検証していく。
具体的には、地域の課題や検討方向に応じて、複数の県職員による専門家チームであるタスクチームを組み、対象地区に入って合意形成や実践活動への支援を行うもので、これをモデル事例として、他地域の地域づくりに波及させていく。
(2)「地域農業を支える元気な中小稲作農家支援事業」
中小稲作農家による所得向上のための意欲的な取組みを支援し、中山間地域をはじめとした規模拡大が困難な地域であっても、中小稲作農家が地域の担い手として継続して活躍できる環境を整える。
中小稲作農家が、知恵と工夫を活かし、所得を確保できる農業経営へ転換するための取組みに対しオーダーメイド型で支援する。
中山間地域を重点的に支援するため、優先枠を設定。
【福島県】
平成25年3月に改定した過疎・中山間地域振興戦略『里・山いきいき戦略』に基づき、「地域力の育成」、「働く場と収入の確保」、「生活基盤作り」、「復興・ 再生」に向けた施策に取り組んでいる。
(1)中山間地域等直接支払制度
〇 本県は、49市町村が通常地域、10市町村が特認地域。
〇 取組面積はH27年度は前年度と比較して約1,000ha減少したが、平成28年度以降は増加傾向にある。
(2)元気な農村創生企業連携モデル事業(平成27年~30年)
〇 企業の持つ課題(若者のコミュニケーション能力不足、社会・地域との共生への要求等)と農村が持つ課題(高齢化、人口減少、農業担い手不足等)について、農山村を舞台に双方が持つ資源を活用して解決できる win-winの関係の構築を支援。
〇 企業が抱える課題に対応した農村活動へのニーズや、モデル農村の資源現状(課題)をモニターツアー等を通じ明らかにするとともに、農村地域と企業をコーディネートできる地域の人材を育成。
(3)中山間ふるさと水と土保全基金事業
〇 地域住民や多様な主体の参画による様々な活動の推進により、自らが地域を守るという意識の向上を図り、中山間地域における農地や土地改良施設の有する多面的機能を将来にわたり発揮できるよう、地域の持続的な発展を目指す活動を支
援している。
〇 振興戦略の実現に向けて、ふるさと水と土指導員活動支援事業、ふくしまの農育推進事業(田んぼの学校)、土地改良施設(農道橋・ため池)保全管理技術確立事業など、計12事業に取り組んでいる。
5.質疑、意見交換
出席者から農林水産省及び各道県からの説明に対して、質疑応答があった。
6.その他
来年度の幹事県を北海道と決定した。
翌日は現地研修を行った。
(1) 特定非営利活動法人 りょうぜん里山がっこう
(所在地:伊達市霊山町大石字細倉17)
〇 設立の経過
昭和23年創立の「石戸中学校」が廃校となり、その木造校舎が石田地区から大石地区(現在地)に移築され、「ニット工場」となったが、その後、工場も閉鎖された。
その後、高野金助氏(農業法人「りょうぜん天味園」代表)が「夢を育てる施設として」さまざまな体験活動ができるように、その木造校舎をリフォームし、平成12年に体験交流施設として、りょうぜん里山がっこうを創立させた。しばらく「りょうぜん天味園」が経営を支えてきたが、平成19年に特定非営利法人となり、高野金助氏が、「りょうぜ里山がっこう」の代表理事に就任して現在に至っている。
この法人は、みんなの学び舎りょうぜん里山がっこうを拠点に伊達地域、県内外より集う全ての人が、体験活動や文化芸術活動を通して、人と自然にふれあい、生きがい、感動、友情を共有し、共に育ち合う中で、生き生きとした地域にする事を目的とする、となっている。
〇 活動状況
極めて意欲的な活動を行っている。その概要は次のとおり。
-
- 定期教室
3B健康体操(毎月2回)、健康マージャン(毎月2回)、里山合唱団(毎月2回)、うたごえ喫茶(月1回) - 定住2地域相談活動
首都圏で年間3~4回相談会に参加して、日常的に定住相談活動を実施。きめ細かな案内活動の中で支援を実施。(福島県地方振興局の委託) - 里山環境保全活動で地域おこし
森林整備活動、木工・竹クラフト教室 - 体験教室
米粉活用(パン、ピザ、米粉シフォン)、自然体験他 - 宿泊施設(ほっこ里)
福島県あぶくま地方で産出した木材や、地元の業者を活用する県の「ふくしまの家地域活性化支援事業」の助成を受けて、2010年3月に完成。宿泊人数16人 - 里山ギャラリー
地元を中心に制作している人の絵画や造形作品の展示場として、広く廊下に開放。 - 大震災復興 伊達もんもの家
(福島県ふるさとふくしま交流・相談支援事業)
避難生活中に出産し帰還した主婦たちと高齢者が、避難者と帰還者を支える場所として活動。 - 里山ポレットボルダー
里山がっこうの周辺に点在している岩の周辺を整備。グレード別のコースを記したマップを制作。このエリアに入るには、里山がっこうの入山記録帳に記帳する。
駐車場も整備している。
また、里山がっこうの敷地内にボルダー(壁)が設置されている。 - あそびのがっこう
平成30年度ふるさと・きずな維持・再生支援事業 - U・Iターン者と共につくるりょうぜん未来プロジェクト
(福島県地域創生総合支援(サポート)事業。平成28年度~30年度)
りょうぜん未来会議
課題解決を目指す学習の場、課題解決に向けて実践の場づくり、実践者の主体的活動の場(地域住民とU・Iターン者が協働する”結の家”開設)
里山くらし塾
移住、起業、暮らし方を指向する若者・大人の受け入れ - 農都交流プログラム
(福島県元気な農村創生企業連携モデル事業。平成27年度~30年度)
企業にとっては農村地域はで農作物を育てるなど五感で“ふくしま”を感じる体験を通した問題解決のために、農村にとっては地域の活力を取り戻すきっかけとなるwin-winの関係を構築するために実施。伊達市霊山はそのモデル地区。
- 定期教室
〇 体験
ブロック会議出席者は、福島市での会議終了後、伊達市霊山のりょうぜん里山がっこうに移動し、里山がっこうの代表理事、がっこう長、スタッフ他との交流会を行い、「ほっこ里」に宿泊した。
翌日は、里山がっこうの概要、取組み状況等について説明を受けるとともに、体験教室で行っている米粉パンつくり、伊達市産イノシシ革を素材とした小銭入れの装飾を行った。昼食には自らつくったパンを賞味した。
(2) 道の駅 伊達の里 りょうぜん
路線名:国道115号、東北中央自動車道霊山IC入口
構造:鉄骨造平屋建て 一部二階建て 延べ床面積 1,377㎡
駐車場:普通車85台、大型車10台、おもいやり駐車場2台
店舗:農産物直売所、物販コーナー、レストラン(だて食庵)、パン工房、りょうぜん焼き他専門店、情報・休憩スペース