全国山村振興連盟メールマガジンNO223
2023.5.12
全国山村振興連盟事務局
- 2023年 4月の農林水産行政
2023年4月の農林水産行政の主な動向は、以下の通りでした
1 G 7 農相会合を宮崎市で開催
4月22日・23日の2日間、先進7カ国(G 7)農相会合が宮崎市で開催された。G 7農相会合の日本での開催は7年ぶりで、米国・英国・フランス・ドイツ・ カナダ・イタリア・欧州連合(EU)の各農相のほか、招待国としてウクライナの ソルスキー農業政策・食料相もオンラインで参加した。会合では食料安全保障を 中心的なテーマとして議論が行われ、会合後に閣僚声明を採択した。閣僚声明では、①持続可能な農業、②生産性向上、③イノベーションの活用の3つを掲げ、 食料の安定調達・供給を目指すこととされた。
閣僚声明のポイントとしては、①戦争が食料安保に与えている壊滅的な影響を深く懸念する、②ウクライナ農家に資金提供や新技術導入の支援を行う、③ 飢餓ゼロの目標から遠ざかっており政策対応が急務である、④国内農業資源を有効活用し食料システムを強化する、⑤食料の価格変動を招く輸出への不当な制限措置を取らない、⑥気候変動に万能の解決策はなく、環境に適した措置と慣行の組み合わせが必要である等を盛り込んだ。
また G 7農相会合としては初となる行動計画「宮崎アクション」も採択した。 行動計画では、温室効果ガスの排出削減のための農政改革など12の取り組みを記した。日本の提案で共同調査研究を開始することとされ、G 7各国の研究機関が望ましい農業政策を議論することとなった。
会合のほか野村哲郎農相は、米国のビルサック農務長官、EU のボイチェホフスキ農業担当委員、ドイツのエズデミル食料・農業相、カナダのビボー農業・農産食料相などとのバイ会談も行った。
2 食料安全保障強化のための法制整備へ
4月28日、農林水産省は食料・農業・農村基本政策審議会基本法検証部会において、食料安全保障の強化に向けて政府全体で意思決定する体制を検討するなどの方針を示した。食料・農業・農村基本法の改正に合わせ、輸入停止や凶作といった有事の場合の食料確保を行うための法制を整備する。
その内容としては、
- 関係省庁で構成し首相が司令塔となる対策本部を設置する、
- 緊急の増産や食品製造業などからの売り渡しを指示できるようにする、
③ 花きなど非食料を生産する生産者に対し、カロリーが高い芋や穀物などへの生産転換を働きかける、
④ 物流業者に対する輸送先の変更や保管命令を行う、
⑤ 指示により収益が下がった場合の財政支援を行う
⑥ 食品価格が暴騰した場合に一定の価格統制などを行う
⑦ 食料が極端に品薄になる場合に買い占めを防ぐ方策を講じる、
などにつき検討することとしている。新法については、夏頃に有識者検討会を設けて議論していくこととした。
3 花粉症対策で閣僚会議を開催
4月14日、政府は花粉症に関する関係閣僚会議を開催し、農林水産省・厚生労働省・環境省・国土交通省の各省から花粉症対策等に関する現状や課題についての報告を受けた。花粉症について適切な実態把握を行うとともに、発生源対策や飛散対策、予防・治療法の充実などに関係行政機関の緊密な連携のもとで政府一体となって取り組むためのもの。議長を内閣官房長官、副議長を農林水産大臣・環境大臣が務め、この日は岸田総理も出席した。
日本の杉人工林は全国で約440万ヘクタールであり、50年生を超えて伐採期となっているものが50%以上となっている中で、今後以下のような施策を推進し、 森林資源の循環利用を推進するとともに、花粉の少ない多様で健全な森林へ転換していく方針である。
- 「切って利用すること」として、公共施設や商業施設の木造化等、
- 「植え替えること」として、花粉の少ないエリート苗木などによる植え替えや広葉樹の導入、(花粉の少ない杉材の生産量は5割に達している)
- 「出させないこと」として、杉花粉の飛散防止剤の開発・普及等
4 畜産物の適正価格形成へ推進会議を立ち上げ
4月28日、農林水産省は、「畜産・酪農の適正な価格形成に向けた環境整備推進会議」を立ち上げた。これは、生産者、加工・流通業者、消費者といった関係者により構成される会議で、
- 飼料高騰による生産コストの増加を「見える化」する、
- 生乳取引価格に配合飼料価格変動などを反映する仕組みづくりをする、
- 広報資材の作成、情報発信により消費者等の理解を醸成する、
ことを目的としている。
座長には九州大学の福田晋副学長が就いた。今後2回程度会合を行い、6月中旬にも中間取りまとめを行いたいとしている。
5 食料・農業・農村白書、森林・林業白書の案を審議会に提示
4月21日、農林水産省は、食料・農業・農村政策審議会企画部会に、2022年度食料・農業・農村白書の案を示した。同白書では、食料安全保障の強化について特集し、近年の食料をめぐる世界情勢や対応策をまとめるとともに、① 農林水産物・食品の輸出、② 農業の環境負荷低減と「みどりの食料システム戦略」、③ スマート農業の促進について記述することとした。
また、4月25日、林野庁は林政審議会に森林・林業白書の案を提示した。同白書では、森林・林業に関する動向を記述するほか、①気候変動に対応した治山対策を特集するとともに、②花粉症に関する閣僚会議の設置を受けて、花粉の少ない杉苗木の普及についてコラムにまとめるなどとした。
6 その他
- 基本法検証部会で環境に関する施策につき議論
4月14日、食料・農業・農村政策審議会基本法検証部会は第13回会会合を開き、農村・環境に関する今後の施策の方向を議論した。
環境分野に関して、①環境負荷低減を行う農業を主流化する、②フードチェーン全体で環境と調和の取れた食料システムを確立するとの方針を打ち出した。 その実現のため、①有機農業の大幅な拡大、有機農産物の輸出技術開発等、②農業利用が困難と判断された農地の林地化、農産物残渣や資源作物などの国産バイオマス原料に関する需要サイドとの連携、③食料システム全体での政策のグリーン化、④消費者の環境や持続可能性に対する理解の醸成などの施策について、見直しを進めるとしている
(2) ウクライナ副大臣が農林水産省を訪問
4月17日、ウクライナ農業政策・食料省のドミトラセビッチ副大臣らが農林水産省を訪問し、角田秀穂政務官と会談した。日本からのウクライナに対する支援が営農の継続に貢献していると謝意を表明し、G 7 農相会合に招待されていることにも謝意を示した。G 7農相会合ではソルスキー農業政策・食料相がオンラインで参加した。同副大臣は、ウクライナの穀物の保管や輸出などに対し日本が行った支援について感謝の意を表した。
(3) グリーンウッド法改正案が成立
4月26日、参議院本会議において、違法伐採された木材の流通を抑制するグリーンウッド法改正案が可決・成立した。同法の正式名称は「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」であり、木材を調達する市場や事業者らに 合法性の確認や流通先への情報提供記録の保存を義務付ける。また丸太などを提供する森林所有者にも、事業者の求めに応じて木材の種類や原産地などの情報提供を義務付ける。
○総務省事業「テレワークを活用した地域課題解決事例の創出に関する実証事業」公募説明会について
この度、総務省ではテレワークを活用した地域の就労機会創出など、地方部が抱える複数分野にまたがる政策課題を、テレワークを活用して横断的に解決するモデルを構築するための実証事業を令和5年度に実施します。
本実証事業は、公募により事業実施主体(民間事業者・自治体)を広く募集しています。
それぞれの実証地域の特性に応じた取り組みを検証・モデル化することで、
地方部におけるテレワークの効果的な活用の促進を行うことを目的としています。
テレワークは、ICTを利用し、時間や場所を効果的に活用して柔軟な働き方を実現するツールです。こうした働き方により、人材や地域資源を有効活用できる取り組みを目指しています。
◆実証事業に係る公募説明会のお知らせ◆
【日時】
2023年5月16日(火) 14:00~15:00
【対象】
地方創生等の地域の政策課題の解決に取り組む・関心のある皆様
(自治体職員、民間企業、その他関連団体など)
本実証事業の事業主体は、地方自治体と民間事業者等で形成する実証コンソーシアムとなります。
【会場】
オンライン配信
【主催】
総務省(事務局:株式会社電通東日本)
【参加方法】
以下URLからお申し込みください。
https://www.mpd.ac.jp/events/20230516_telework/
※参加費は無料(事前申込必須)です。
◆公募内容についての詳細や本地域公募の開始時期・公募要領等については
総務省ウェブサイト等において、準備でき次第、公表されます。
◆お問い合わせ先
◇「公募前説明会」に関するお問い合わせ先
学校法人先端教育機構 月間事業構想 ウェビナー事務局
tel: 03ー6278ー9031(10:00~17:00)
Mail: webinar@sentankyo.ac.jp
◇事業に関するお問い合わせ先
事業事務局 株式会社電通東日本
ソリューションプランニング局 ソリューションデザイン室
担当:前田