全国山村振興連盟メールマガジンNO78

全国山村振興連盟メールマガジンNO78

2020.6.5

全国山村振興連盟事務局

○副会長会議・理事会は書面表決により実施することとなりました

全国山村振興連盟では、毎年度7月に第1回副会長会議・理事会を開催しており、本年は7月2日に副会長会議・7月3日に理事会を開催する予定としておりました。しかしながら、新型コロナウィルス感染症が全国的に蔓延している状況が続いておりますので、これを踏まえ、感染防止の観点から今回は書面表決による副会長会議・理事会とさせていただきたいと考えています。

副会長・理事の皆様には、議案の取りまとめができた段階で、書面により送付させていただき、意見の提出、賛否の表明を郵送によりお願いしたいと考えております。

ご不便をおかけしますが、新型コロナウィルスに社会一丸となって対処しなければならない状況にかんがみ、ご理解を賜るようお願い申し上げます。

 

○ 2020年5月の農林水産行政

2020年5月の農林水産行政の動向は、以下のとおりでした。

1 第2次補正予算、農林水産関係に658億円(5月27日)

新型コロナウィルス対策として、4月の第1次補正予算(歳出25.7兆円、農林水産関係5448億円)に続き、5月27日、第2次補正予算案(歳出31.9兆円)が閣議決定されたが、このうち農林水産関係は658億円となった。その内訳は、次のとおりとなっている。

(1) 経営継続補助金(新規)200億円

・省力化機械の導入など生産・販売方式の転換 補助率3/4、上限100万円

・消毒・換気設備等の感染防止対策 定額、上限50万円

(2) 肉用子牛生産の奨励金(新規)108億円(ALIC事業)

・繁殖農家対策のため、子牛価格低下の際に子牛販売の奨励金

1万円/頭(60万円未満の場合)、3万円/頭(57万円未満の場合)

(3) 資金繰り対策の強化(1次補正の積み増し)349億円

・実質無利子・無担保の融資枠 3725億円拡大、劣後ローンを措置

(4) 1次補正等の運用改善

・次期作支援 5万円/10a →花き等80万円、果樹25万円

品質等の厳選出荷 2200円/人・日

・林業の雇用維持:植林・下刈り・保育間伐 最大1.5万円/人・日

・休漁中の漁業者対策:漁場の耕耘・清掃6万円程度/隻、藻場のウニ駆除等1万円程度/人・日、資源調査6万円程度/隻

 

[注] 経済産業省が所管する持続化給付金(2兆3176億円)の中から、農林漁業者も法人200万円、個人事業主100万円の給付が受けられる。農業の場合、月単位での減収額が分かりにくいため、年収から平均して月収を算定する。農水省の1次・2次補正予算は、持続化給付金とは別に、農林水産業の基盤を維持・強化するために交付されるもの。なお、(2)のALIC事業とは、農畜産業振興機構が牛肉等の輸入関税相当額を活用して行う事業。

 

2 新型コロナウィルスの影響で、農林水産物の需要が減退

新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言と外出自粛措置の影響で、花きや高級食材(果実・水産物等)を中心に需要が大きく減退した。

花きについては、5月の母の日における配送の集中を避けるため、江藤農相は、「母の月」として5月中に分散して届けることを呼びかけた。また、6月は「父の月」として花を贈るよう提案している。

野菜については、ハクサイ・キャベツ・レタスなど家庭用需要が増加した一方、メロン・マンゴーなど高級果実の需要が減少した。水産物では、マグロ・ブリ・カンパチ・ウニ・ノドグロなどの需要が減少した。

また、学校給食の休止による影響もあり、特に牛乳は5~6月が生産のピークとなるため、影響が大きい。これらを踏まえ、農水省は1次補正予算を用いて、農林水産物のネット購入の場合に送料を支援するなど需要拡大に努めている。また学校給食の休止に伴い、農水省は、こども食堂に対して、政府の備蓄米を無償交付する取り組みを始めた。

農産物の輸出も落ち込み、1-3月は1953億円と前年同期に比べ9%の減少となった。3月の輸出は、牛肉39%減(16億円)、日本酒22%減(18億円)、緑茶22%減(11億円)、リンゴ8%減(8億円)などとなり、全体として2月に続き1割の減少となった。

 

3 農村政策と土地利用で2つの有識者検討会を立ち上げ(5月19・20日)

5月19日、農水省は「新しい農村政策の在り方に関する検討会」の初会合を開催し、小田切徳美明治大学教授が座長として選任された。農村地域では少子高齢化・人口減少が進む一方で、若者の田園回帰の潮流も生じており、これらを踏まえて施策の方向性を検討する。

また5月20日、「長期的な土地の在り方に関する検討会」の初会合を開催し、池邊このみ千葉大学大学院教授が座長として選任された。今後の土地利用については、担い手への農地の集積等を行ってもなお利用されない農地が生じてくることを踏まえ、①農地、②復旧の容易な非農地、③植林等復旧の困難な非農地に分けて、土地の在り方を検討していく。

2会議ともWEB会議により開催された。これらは、3月末に策定された食料・農業・農村基本計画に基づき、有識者によるプロジェクト・チームを設けて議論し、必要な施策を講じることとするもの。

なお、第1回会合の資料は別添のとおり。

【資料一式】第1回新しい農村政策の在り方検討会
【資料一式】第1回長期的な土地利用の在り方検討会

 

4 収入保険の支払期限を11か月延期。農業共済の期限も延期。

収入保険は、農業経営の収入が前年度までの収入の9割を下回った場合に、下回った額の9割を補てんする制度である。加入した農家の保険期間は1~12月となっており、本来は前年12月までに保険料の一部を納付し、確定申告後に全額を納付しなければならない。(8月までの分割払いも可)

新型コロナウィルス問題を踏まえ、本年についてはこの納付期限が11月末までに延期された。また、農業法人については、事業年度が法人ごとに異なるため、保険期間の開始後から11か月後までが納付期限とされた。

他方、農作物共済・畑作物共済・果樹共済についても、本来は営農期間前に保険料を支払う必要があるが、本年においては、最大9月末まで(収穫の1か月前まで)に納付期限が延長された。

 

5 その他

(1) 豚熱に感染したイノシシが本年500頭

本年に入り養豚場での豚熱(CSF)の感染は沖縄県で発生したのみとなっているが、感染した野生イノシシは500頭が発見されており、4月末、農水省はワクチン推奨地域として大阪府・兵庫県・和歌山県を加えた。4月以降、新たに新潟県・神奈川県・京都府でも感染イノシシが見つかっている。

(2) 種苗法改正案は今国会見送りへ

種苗法の改正案は品種登録した者の知的財産権の保護を強化する内容だが、農家の自家増殖も禁止することとされていることにつき批判もあり、今国会での成立は見送る方向となった。

(3) 政府の会議で農地転用の規制緩和が議論

4月9日に規制改革推進会議(農林水産WG)で、農地転用の許可不要の施設用地について、2aより引上げ、また加工・販売施設も対象とするよう意見が出された。また、5月28日には、国家戦略特区諮問会議で、来年8月までとなっている企業の農地取得について、期限を撤廃するよう意見が出された。