全国山村振興連盟メールマガジンNO73
2020.5.1
全国山村振興連盟事務局
〇「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」について
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針においては、接触機会の低減に徹底的に取り組めば、事態を収束に向かわせることが可能であり、最低7割、極力8割程度の接触機会の低減を目指すこととされているところです。4月22日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が開催され、緊急事態宣言の発出から2週間の対応状況を踏まえて、「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」が 取りまとめられました。
本提言においては、「8割の接触機会の低減の具体策については、市民にとって、公園やスーパー、商店街などにおいて、人と人との距離をとるよう気をつけることなど具体的にどのように行動すべきかが分かりやすいような形での周知広報に努めるべき」とされ、「人との接触を8割減らす、10 のポイント」が示されました。これらについて政府から周知するように依頼がありましたので、資料を別添します。会員・支部関係者の皆様におかれては、この「10 のポイント」も活用しながら、より一層の接触機会の低減に取り組んでいただくようお願いいたします。
20200422(別紙1)20200422_専門家会議提言
20200422(別紙2)人との接触を8割減らす、10のポイント
20200422(別紙3)(新型コロナウイルス感染症の患者数が大幅に増えたときの相談・受診の考え方
〇2020年4月の農林水産行政
2020年4月の農林水産行政の動向は、以下の通りでした。
1 緊急事態宣言により食料安全保障に尽力(4月7日~)
新型コロナウィルスの蔓延拡大に伴い、4月7日に7都府県で、続いて4月16日に全国で緊急事態宣言が発令されたことを受け、農林水産業行政の本来の役割である食料の安定供給・食料安全保障が、重要な課題となった。
4月7日と17日、江藤農相は緊急事態宣言を受けての農相メッセージを発出し、①食料の供給は量・体制とも十分なので、国民は落ち着いた購買行動をとってほしいこと、②農林水産業者・食料関連事業者は、健康に留意しつつ事業を継続してほしいことを訴えかけた。
また、インスタント食品、カップ麺等の業界に対して1.2~1.5倍の増産を呼びかけ(4月7日)、全都道府県で農林水産省現地対策本部を設置する(4月16日)など、食料の生産・流通に関して実態把握・円滑化の努力を続けた結果、4月末時点では食料供給は全体として大きな混乱なく確保されている。
この間、農水省職員自身も、サーモグラフィーによる入り口チェック、ローテーションを組んでの交替勤務・テレワークを行ったほか、農水省としてPCR検査ができる機関で検査に協力したり、家畜疾病用備蓄の防護服15万着・マスク11万個を提供するなどしている。
2 緊急経済対策で農水省関係5448億円の補正予算(4月7日)
政府の緊急経済対策は、いったん4月7日に閣議決定し(事業規模108兆円、歳出16.8兆円)、その後、1人10万円一律給付対策への変更があったため4月20日に再度閣議決定した(事業規模117兆円、歳出25.7兆円)。
このうち、農林水産関係の補正予算の規模は5448億円総額(うちALIC事業950億円)であり、内訳は次の通りとなっている。
(1)農林水産物等の販売促進・飲食業の需要喚起
- 需要が減退している農林水産物等の販売促進 1,400億円(このほかALIC事業500億円)補助率は定額又は1/2以内
・牛肉・果物・水産物・花き等の販売促進
・公共施設の木造化・木質化、農林水産物の広報活動
②‘GoTo’キャンペーンによる需要喚起(飲食業) 16,794億円の内数
・観光・運送業・飲食業・イベント・エンターテイメント事業等に関する需要喚起策として、クーポン・割引食事券の発行等
(2)農林漁業者・食品関連事業者の事業継続・雇用維持
① 外国人材不足に対応した労働力確保等 60億円
・国内人材の派遣・雇用、研修用機械・設備等
- 経営維持・再建のための資金繰り確保 298億円
・貸出・担保弾力化・返済猶予・実質無利子無担保化・債務保証
- 在庫の増大等が著しい原木・水産物の一時保管 42億円
- 影響の大きい畜産・酪農の事業継続 450億円(ALIC事業)
・肉用牛・脱脂粉乳・代替要員等の対策
- 次期作期を迎える品目の円滑な作付け 242億円
・野菜・花き・茶等の資材・機械
- 野菜価格安定対策・漁業収入安定対策 野菜56億円、漁業102億円
3 農林水産物・食品の輸出とサプライチェーン見直し
- 輸出の維持・促進 147億円
・設備・商談・プロモーション
- 国産農産物への切替え 143億円
・野菜等の加工施設の整備・改修
- 外食事業者の衛生管理 10億円
・衛生施設の導入・店舗改装
3 G20農相テレビ会議で世界に食料安定供給を呼びかけ(4月21日)
4月21日の夜9時から3時間かけて、G20農業大臣臨時テレビ会議が開催され、新型コロナウィルスの蔓延による世界の食糧安全保障の諸課題に関し協議し、世界に向けてメッセージが発出された。
「新型コロナウィルスに関するG20農業大臣声明」では、「世界の食糧安全保障・栄養を守るため、緊密に協力し行動する」ことが合意され、①フードサプライチェーンの機能維持、②不当な農業貿易関連措置の回避、③食料市場・政策に関する情報提供、④食品ロス削減と家畜疾病等への備え、⑤農村地域・農業者・農業労働者・食品事業者への支援が必要であるとの認識が示された。
これに続いて4月22日には「WTO融資加盟国・地域による共同声明」が発出された。これは、WTOの23加盟国・地域が、新型コロナウィルスに伴い農産物に対する貿易制限措置を取らないよう世界各国に対して呼びかけたもの。これら23か国・地域で、世界の輸出の63%、輸入の55%を占めている。
4 その他
- 外国人労働者が農業・水産業で2700人不足(4月28日現在)
農業・水産業で予定していた外国人技能実習生が入国できないことに伴い、農業で2400人、水産業で300人、計2700人分の労働力が不足する。農水省は早くからJA職員の現場支援等を求めて補正予算も組んでいるが、これに加えて17日、技能実習生の従事業務が弾力的に運用されることとなったため、この制度も活用する。
- 2017年の食品ロスは近年最低
昨年10月に成立した「食品ロス削減推進法」に基づき、3月31日に「食品ロス削減推進に関する基本方針」が閣議決定された。4月にまとまった2017年の実態調査結果によると、食品ロスは612万トン(うち食品産業328万トン)で、2012年の調査開始以来最低となった。特に食品産業で、7%と大きく減少しており、これは納品期限の取扱いが緩和されたことによる部分が大きいとされる。
- CSF(豚熱)、沖縄で移動制限を解除。京都・新潟では感染イノシシが発生。
1月から2月にかけて沖縄県下で4例のCSFが発生し、1月8日から家畜伝染病予防法に基づく移動制限がかけられていたが、その後の発生が見られないため、4月に解除された。沖縄では3月6日からワクチン接種が行われている。
一方、京都府・新潟県で、従来発見されていなかった野生イノシシへの感染が確認され、豚熱の感染が北・西方向へ拡大していることが懸念されている。
- フードテック研究会を開催(4月17日)
植物由来の肉、昆虫、ミドリムシなど先端技術によりタンパク質供給源を開発するため、ウェブ会議システムにより、食品企業・ベンチャー企業・研究機関の参加を得て、農水省の検討会が行われた。4月24日に第2回が開催され、年央を目途に中間とりまとめを行う予定。