全国山村振興連盟メールマガジンNO252

全国山村振興連盟メールマガジンNO252

 

2023.12.8

全国山村振興連盟事務局

 

○自民党税制調査会で森林環境譲与税の基準見直しが「△」になりました

12月5日(火)14時から自民党税制調査会が開催され、その審議を受けて、同日18時から自民党農林部会・農政推進協議会(農林部会長:細田建一衆議院議員)による「第1次○×報告会」が行われました。

その中で、「森林整備を一層推進するための森林環境譲与税の譲与基準の見直し」については、「△」(引き続き検討)とされました。

今回5日の会議は「第1次○×」ですので、今後更に検討が行われ、年内の税制改正大綱の閣議決定に向けて、調整が行われることとなります。

なお、当連盟は金子恭之会長名で、10月20日及び11月16日に竹﨑会長代行、6名の副会長、事務局長により、関係の国会議員・大臣等3役を含む省庁幹部に対し、本税制改正についての要請行動を行いました。また、11月16日の通常総会後、上記以外の関係方面にも要望書を送付しました。更に、實重事務局長は、農林合同会議での団体税制改正要望(11月1日)、農林部会C班の税制勉強会(11月30日)、第1次○×報告会(12月5日)に参加して要請を述べるとともに、引き続き関係議員に要請行動を行っています。

 

  • 自由民主党山村振興特別委員会の概要

11月16日に開催されました自民党山村振興特別委員会の概要は、以下のとおりでした。

 

自由民主党山村振興特別委員会(委員長:奥野信亮衆議院議員)が11月16日木曜日午前9時15分から自民党本部 706号室において開催された。

全国山村振興連盟からは、竹﨑一成会長代行はじめ7名の副会長及び實重常務理事が出席した。

小寺裕雄事務局長代理(衆議院議員)の司会により議事が進められ、最初に奥野信亮委員長、金子恭之当連盟会長の挨拶があった後、議事に入った。

 

議事(1)令和6年度山村振興関係予算概算要求等について

関係省庁を代表して農林水産省長井俊彦農村振興局長から概要説明があった後、山本惠太地域振興課長から、「令和5年度山村振興関係予算概算要求について」の資料に基づき説明があった。

 

議事(2)国土審議会山村振興対策分科会について

農林水産省農村振興局山本惠太地域振興課長から「国土審議会山村振興対策分科会について」の資料に基づき説明があった。

 

議事(2)全国山村振興連盟からの要請等について

竹﨑会長代行から「少子高齢化のまっただ中、もはや取り返しがつかないのではないかとの危機感さえ覚えながら、絞れるだけの知恵を絞り全力でやってきた。しかしなかなかそれだけでは限界があり、国の力を賜りたい。

第1に、山村の振興にとって重要な時期が近づいている。森林環境譲与税については、令和元年から導入され、大変有意義な政策であるとお礼申し上げる。当初試行錯誤のあった活用の方策も、次第に全国的に定着し、100%を超える活用が図られている。喫緊の課題である脱炭素や花粉症対策に対処するためにも、森林を多く有する山村の市町村に森林環境譲与税が多く配分されることとなるよう、譲与基準の見直しをお願いする。

第2に、山村振興法については、令和7年3月末には、現行法が期限を迎えることとなる。現行法の8年を振り返っても、気候変動による災害の多発、長期間にわたったコロナ禍、さらには諸物価の高騰といった問題が生じており、高齢化や人口減少の進む山村地域にとっては、これらが一層大きな打撃となっている。近年、山村活性化支援交付金はもとより、まちの木造化推進法、特定地域づくり事業協同組合、棚田地域振興法をはじめ山村にとって有益な施策が次々と実現してきたことについては大変ありがたいと考えており、またデジタル田園都市国家構想に基づくデジタル化の普及にも感謝申し上げるところであるが、様々な苦境の中にある現在、更に一層の政策の充実を図りつつ山村振興法を延長していただくことをぜひお願いしたい。

第3に、台風、洪水、地震等の災害は、どこで発生してもおかしくない。現場を回る中で、鳥獣被害を含め、「山を治める者が国を治める」との思いで、しっかりとやっていきたいと思うので、国におかれてもよろしくご支援いただきたい。」旨の要望を行った。

今井副会長から「岐阜県東白川村は美濃地方、裏木曽の中山間地域で、90%が

森林であり、東濃ヒノキを生産している。昔は娘を嫁に出すとき、トラック1台分の木材で嫁道具が揃ったものの、今では20台分の伐採をすることが必要となっている。村の人口が2000人程度なので少子高齢化が進み、年間50人の減少といったペースとなっている。

これによってもたらされる事象の一つは、教育の少子化であり、小中学校の子供の数が減っている。1学年 10人未満というところもある。このため、合併して中学校・小学校を1箇所に切り替えることを模索している。しかし小学校・中学校の施設を 1箇所に集めると、設備費が 3億円から5億円程度必要になるので、補助をお願いしたい。

また、高齢者が多く免許の返納が必要となるが、公共交通バスは1路線のみなので、生活するために免許が必要だという高齢者が多い。そこで村内の福祉バスを運行しているが、一体化したネットワークを作りたいと考えているので支援をいただきたい。

産業面では労働者不足、後継者不足であり、村の中でライスセンター、選果場、製材工場、プレカット工場などがあるが、機械設備は成長時代に整備したものであり、更新が必要な時期が近づいている。今はスモール・メリットが生じるように小型機械に更新したいのだが、国の助成には各種の成長戦略はあるものの、小さくするための助成が見られない。今後も投資を継続していくためにも、コンパクトな設備への切り替えやシステム・再設備についての助成を作っていただくようお願いしたい」旨の要望を行った。

水本副会長から「奈良県東吉野村では、急峻な地形であって作業道や林道の整備が困難なため、ヘリコプターによる出材を行っている。令和3年度には、美しい森づくり基盤整備事業により、ヘリコプターにより70%以上の木材の搬出を行った。しかし、その中で、令和3年度からヘリコプター会社がB3級機種(最大1トン級の吊り上げ能力)について、75%の値上げを行い、料金が1.75倍になった。最大3トン級の吊り上げ能力の機種も、1.25倍となった。木材業者、森林所有者は、悲鳴を上げている。

従来は耐えてきたが、これだけ価格が高くなると支援が必要だという思いに至った。結果として、令和3年度のヘリコプターによる出材量は74%減少した。令和4年度もほぼ同じとなっている。今まで標準単価を用いてきたが、標準単価が実勢と著しく乖離しているので、これを引き上げていただきたい。東吉野村をはじめ、吉野の地域では、ヘリコプター搬送ができないと出材することができなくなる。作業工程や労務単価について国で見直しをして、ヘリコプター出材への助成単価を設けていただきたい。ヘリ集材が限られた地域だということで排除せず、地方には地方としての色々な事情がある。それぞれの特殊性を理解していただき、小規模な自治体に対して支援をいただきたい。」旨の要望を行った。

 

連盟からは、「令和6年度農林山村振興関連予算・施策に関する要望書」並びに「森林環境譲与税の譲与基準の見直し及び山村振興法の改正に関する特別要望書」を配布した。

 

その後、議員から意見が提出され、次のようなテーマについて質疑応答が行われた。

・林業の振興について

・森林環境譲与税の譲与基準の見直し根拠について

・ヘリコプター集材の予算について

・特定地域づくり事業協同組合の現状について「