全国山村振興連盟メールマガジンNO239

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2023.9.8

全国山村振興連盟事務局

〇国土計画シンポジウムのオンライン視聴について

 

全国二地域居住等促進協議会(事務局:国土交通省国土政策局地方振興課)から、以下のお知らせがありました。

 

【イベント名】

国土計画シンポジウム

【日時】

9月8日(金) 14:30~17:00

【テーマ】

新たな国土形成計画が拓く未来

~新時代に地域力をつなぐ国土を目指して~

【登壇者】

別添「国土計画シンポジウム_チラシ」を参照。

【概要】

令和5年7月28日に閣議決定された新たな国土形成計画について、新たな計画の検討に携わった有識者と、次代を担う若者たちが対話し、これからの国土づくりについて考えます。どなたでもオンラインにて無料でご視聴いただけますので、是非ご検討ください。

 

開始時間になりましたら国土計画協会HPよりご視聴いただけます。

○国土計画協会HP:https://www.kok.or.jp/

 

プログラム(予定)

14:30 開会

14:40 報告「新たな国土形成計画について」

15:10 パネルディスカッション

17:00 閉会

20230908(別添)国土計画シンポジウム_チラシ

 

20230908報道発表資料

 

〇2023年8月の農林水産行政

 

2023年8月の農林水産行政の主な動向は、以下のとおりでした。

 

1 令和6年度農林水産予算概算要求は 2兆7209億円で、前年度対比20%増

8月31日、農林水産省は令和6年度農林水産予算概算要求を財務省に提出した。総額は2兆7209億円で、前年度予算対比20.0%の増となった。

「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」を踏まえ、食料安全保障の強化、環境対応、人口減少への対応の3本柱を中心に、新しい資本主義の下、若者や意欲ある農林水産業者が夢を持って農林水産業に取り組めるような環境整備、元気で豊かな農山漁村の次世代への継承等を実現するための農林水産予算を要求したとしている。

主な予算としては、

  • 水田活用の直接支払交付金等 3050億円(前年度3050億円)
  • 持続的生産強化対策事業 177億円(前年度160億円)
  • 強い農業づくり総合支援交付金 176億円(前年度121億円)
  • 国内資源の肥料利用拡大36億円(新規)
  • 国産飼料の生産利用拡大 16億円(新規)
  • 輸出産地・事業者の育成 12億円(前年度9億円)
  • 適正な価格形成 2億円(前年度1億円)
  • 持続可能な食品流通総合対策事業 31億円(新規)
  • 食品産業における国産原材料の活用を促進する産地との連携強化 20億円(前年度1億円)
  • 農業農村整備事業 3980億円(前年度3323億円)
  • 農地耕作条件改善事業 239億円(前年度200億円)
  • 農山漁村振興交付金(農山漁村発イノベーション、農村型地域運営組織、最適土地利用総合対策など)117億円(前年度91億円)
  • 鳥獣被害防止対策等 122億円(97億円)
  • みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業68億円(前年度32億円)
  • みどりの食料システム構築に向けた地域の活動支援 30億円の内数(前年度7億円の内数)
  • スマート農業技術の開発等 100億円(前年度40億円)
  • 花粉削減・グリーン成長総合対策 222億円(前年度161億円)
  • 漁業構造改革総合対策事業 100億円の内数(前年度11億円の内数)

などとなっている

 

2 原発処理水の放出を開始、中国・香港は水産物禁輸措置を実施

8月22日、 政府は東京電力福島第一原子力発電所の処理水に関する関係閣僚会議を開き、24日に海洋放出を始めることを決めた。処理水は放射性物質のトリチウムの濃度が国の基準値の40分の1未満になるように海水で薄め、沖合に流す計画であり、完了には30年程度かかる。

これを受けて 8月24日、東京電力ホールディングスは午後1時過ぎ、原発 敷地内にたまる処理水の海洋放出を開始した。2023年度には全体の2.3%に当たる3万1200トンを4回に分けて放流する。24日に始めた初回分は7800万トン 程度を17日間程度かけて流す。

これに先立ち8月20日、岸田文雄首相が福島の処理水施設を訪問。21日には 西村康稔経済産業大臣、岸田首相が相次いで全漁連の坂本会長ら漁業者代表と会談した。

政府は漁業への風評被害に備えて、計800億円の基金を設けており、原発処理水の海洋放出に関連して海産物の売上や需要が減った場合に支給する300億円の基金、 漁場の開拓などに500億円の基金を充てる。(このほか、9月4日に追加で207億円を措置)

また、政府は8月28日、海洋放出後のトリチウム・モニタリング結果について記者会見を開き、海水・水産物ともに検出限界値未満だったと発表した。水産庁は27日朝に処理水放出の北側約4kmで採取されたヒラメ、南側5キロで採取されたヒラメを分析し、いずれも放出前と同じく検出限界未満だった。東京電力ホールディングスは27日、福島第一原発から3km 未満の10カ所で海水を採取、 環境省は25日福島県沖 11カ所で海水を採取、福島県は25日沖合 9カ所で海水を採取し、いずれの海水も検出限界未満で人や環境への影響はないとしている。

一方、放出を開始した8月24日、中国税関総署は日本産の水産物輸入を全面的に停止したと発表した。従来は福島県・東京など10都県の水産物が禁輸対象だったが、日本産の全面禁輸に踏み切った。香港も8月24日から日本の10都県産の水産物について、輸入禁止措置を発動した。中国、香港、マカオへの2022年の農林水産物輸出額は、合わせて4割程度を占める。

 

3 2022年度食料自給率はカロリーが前年同の38%

8月7日、農林水産省は2022年度の食料自給率及び食料自給力指標を公表した。カロリーベースの食料自給率は前年度と同じ38% (1人1日あたり供給熱量2259㎉ に対して1人1日あたり国産供給熱量 850kcal)。前年豊作だった小

麦が平年並みの反収へ減少したこと、魚介類の生産量が減少したこと、その一方で原料の多くを輸入に頼る油脂類の消費減少があったこと等による。品目別に見ると、米がプラス 0.1ポイント、小麦がマイナス0.2ポイント、魚介類がマイナス0.2ポイント、砂糖類がマイナス0.2ポイントとなっている。

飼料自給率を反映しないカロリーベースの食料国産率は、前年度と同じ47%だった。生産額ベースの食料自給率は、前年度から5 ポイント低い58%となった。 これは、国際的な穀物価格や飼料・肥料・燃油等の生産資材価格の上昇、物流費の高騰、円安等を背景に輸入価格が上昇し、輸入額が増加したためとされる。生産額ベースの食料国産率(飼料自給率を反映しない)についても前年度比4ポイント減の65%だった。国別の依存度も示しており、カロリーベースの場、合、米国 22%、オーストラリア 11%、カナダ 9%、ブラジル5%と4カ国で5割 近くを占めている。

 

4 APEC食料安全保障会合、共同声明を本年も見送り

8月3日、米国シアトルで日本・米国など21の国・地域で作るアジア太平洋経済協力会議(APEC)の食料安全保障担当閣僚級会合が開催された。会合では持続的な形で食料安全保障を達成する方法について議論したものの、中国やロシアの反対で意見がまとまらず、昨年に引き続き全会一致での共同声明は出せなかった。

一方、世界人口が増え続ける中で食料を安定的に供給するため、環境負荷を減らしながら生産性も向上させていくことが必要不可欠との認識で一致し、気候など各国独自の事情を踏まえた政策を促進するといった食料安保を確保する上で原則となる事項をまとめた文書を策定した。

日本からは藤木真也農林水産政務官が出席し、各国が国内資源を有効活用しつつ自国生産の拡大を進めることが必要であると指摘。黒海経由のウクライナ 産穀物輸出の合意からロシアが離脱したことを批判した。

 

5 九州で豚熱が初めて発生

8月30日、佐賀県唐津市内の養豚場で豚熱が発生したと農林水産省が発表した。2018年9月の国内発生の後、九州での発生は初めてとなった。佐賀県は農場で使用する約450頭の殺処分を行うこととし、31日、殺処分を完了した。九州の豚の飼養頭数は全国の3割ほどを占める。佐賀県での発生は1971年7月以来となり、2018年9月の岐阜県での再発生以降全国的には88 例目となった。

またこれに続く8月31日、豚熱を30日に確認した佐賀県唐津市の養豚場に近い別の農場で新たに発生が確認された。この養豚場は1例目の農場から800m に位置する。県内 2例目となり、県の飼養頭数の1/8にあたる1万頭を飼う大規模農場である。佐賀県は8月31日、殺処分を開始した。

 

第6 その他

  • 7月の大雨、8月の台風7号等で被害が発生

7月10日を中心に九州北部を襲った記録的大雨で、福岡・佐賀・大分3県の被害額が8月10日時点で少なくとも約927億円に上ることがわかった。道路や 河川といったインフラが大部分を占めるが、農林水産業の被害額は127億円で 1/4にあたる。野菜・果樹の冠水などの被害が約1500ヘクタールに上り、農地や栽培用ハウスといった農業用施設も約3000か所で被災、林地や林道でも土砂崩れが多数発生した。

また8月には台風7号が15日早朝、和歌山県の紀伊半島南端から本州に上陸し、近畿地方を縦断した。京都・鳥取など10府県で観測史上最多雨量を更新する地点が相次ぎ、2人が死亡、数十人が重軽傷を負ったほか、河川氾濫による 水田の浸水、土砂崩れによる集落の孤立 などの被害も生じた。

 

  • 不測時の食料安保に関する検討会の初会合を開催

8月8日、農林水産省は「不測時における食料安全保障に関する検討会」の初会合を開催した。政府の「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」(令和5年6月決定)に基づき、①不測時の基本的な対処方針、②法令で新たに措置すべき事項、③関係省庁の役割分担などを検討・整理するために設置された。

今後 1月1回から2回程度のペースで計6回程度開催し、2023年中に検討結果の取りまとめを行う方針。初会合では「食料安全保障上のリスクの高まり」をテーマに農林水産省から説明。農研機構農業環境研究部門から「気候変動が食料システムに与える影響と関連するリスク」などの説明が行われた。

検討会のメンバーは JA等の生産関係者、流通関係者、学識経験者に加え、内閣官房・内閣府・消費者庁・外務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省といった関係省庁の幹部が参加している。座長には渡辺研司 氏(名古屋工業大大学院工学研究科教授)が選出された。

 

  • 価格転嫁の議論で初会合

8月29日、農林水産省は農畜産物や食品の適正な価格形成に向け、生産・加工・流通・小売などの代表者を集めた協議会の初会合を開いた。JA 全中、JA 全農といった生産者代表や食品製造・流通・小売・外食・中食・消費者から計18名がメンバーとなっている。会合は冒頭を除き非公開で行われた。

2021年以降の生産資材価格の上昇に対し、農産物価格は横ばい状況にあり、 コスト上昇分の価格転換ができていないのは、食品産業の約2割、農業法人(日本農業法人協会会員)の約5割に上るとしている。