全国山村振興連盟メールマガジンNO161

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2022.2.4

全国山村振興連盟事務局

  • 2022年1月の農林水産行政の動向

2022年1月の農林水産行政の主な動きは、以下のとおりでした。

 

1 農水省から今通常国会に6法案を提出予定

農林水産省は今通常国会に6本の法律案を提出することを決めた。

まず第1に、2月上旬に提出されるのが「土地改良法の一部改正案」。これは①豪雨災害が頻発・激甚化していることに対応し、ため池等水利施設の被害防止のため急速に整備する必要があるときは、国・地方公共団体は、農業者の申請・同意なしで実施できるものとする。また、②農地中間管理機構(農地バンク)が借り受けた農地周辺の水利施設を県が整備する場合も同様とする。③土地改良区に対する資金の調達を円滑にするため、全国土地改良事業団体連合会(全土連)は借入れ・債券発行ができるようにする。また全土連は委託工事を行うこともできるようにする。

第2に、2月下旬に「みどりの食料システム戦略関連法案」を提出する。①認定を受けた農業者が環境負荷削減を図る場合の金融税制特例について定める。②同時に「植物防疫法の改正案」を提出し、化学農薬に過度に依存しない総合的防除を推進する。

第3に、3月上旬に「農業経営基盤強化促進法の改正案」を提出する。①人・農地プラン(農地の集積・集約化の促進について定めたプラン)を市町村が策定する計画として法定化する。②同時に「農山漁村活性化法の改正案」を提出し、農山漁村発イノベーションに向けての事業促進、施設整備の際の農地転用手続きの迅速化について定める。

第4に、3月上旬に参議院に提出する法案として「農林水産物・食品輸出促進法の改正案」がある。これは、①生産から輸出までの事業者を含む品目団体を認定し支援する、②輸出事業者の施設整備を支援する資金を創設する、③有機酒類の輸出促進に向けてJAS規格を見直すことを内容としている。

 

2 米現物市場で農林水産省の素案を提示

1月25日、農水省は「米の現物市場検討会」を開催し、米現物市場の制度設計の素案を示した。米流通の大部分を占める相対取引を補完する取引の場を設置したいとしている。

制度設計の素案によると、第1に、米の集出荷業者・卸売業者間の取引を示す 場として、様々な取引について需要をマッチングする。これは大きなロット(約12トン)の定期取引が念頭に置かれており、産地品種銘柄・用途に応じて取引が行われる。

第2に、生産者が小ロットで卸売業者や実需者に特色のある米を売り込む場となることも想定している。ここでは 小ロット(1トン程度)の追加的な取引が想定されており、産地品種銘柄や用途に加えて特色ある栽培方法(有機栽培・特別栽培等)についても取引を行うことが想定されている。

これらにより取引量や価格の情報を生産者への需給シグナルとして伝えたいとしている。今後 3月に制度設計の一応の取りまとめを行い、4月以降にも議論を続けることとしている。

 

3トンガ沖の噴火で各地に漁業被害

1月15日午後、南太平洋の島国トンガ沖で大規模な海底火山の噴火が起こり、奄美大島の小湊で1.2メートルの津波を観測するなど全国の広い範囲で津波が生じた。これによる遠洋商業の漁船の人的被害は報告されていないものの、各地で漁船・養殖などの被害が生じた。

1月20日現在での県からの報告によると、高知県ほか5県で37隻の沖合漁船が転覆・沈没。徳島県など7県で漁具・養殖施設などの被害が生じたとされる。   養殖では、鹿児島県でブリの人工飼料の網生簀との擦れによる弊死が生じるなど3県で4件の被害が報告されている。全体の被害額については、把握中である。

 

4 生乳の廃棄は免れたものの 3月に向けて懸念

年末年始に最大で5000トン程度の生乳を廃棄しなければならなくなる可能性が指摘されたが、その後、業界関係者の努力、新聞テレビでの報道、消費者による需要拡大の努力によって、廃棄する必要はなくなった。農林水産省も「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」というキャンペーンを行って消費拡大に努めたが、想定以上の広がりがあったと評価している。

しかしながら今後3月には学校の春休みがあり、また春には牛の出産のピークで生乳生産量も最大になることから、安心できる状況ではなく、更なる消費拡大が必要だとしている。

 

5その他

(1)  豪雪と地震による被害も発生

12月25日から日本海側と西日本では大雪に見舞われ、秋田県など日本海側を中心に農業用ハウスの倒壊・破損142件、畜産用施設の損壊26件などの被害が報告された。

また、1月22日には大分県・宮崎県で最大震度5強の地震が発生し、8漁港で臨海道路や岸壁の亀裂・沈下などが生じたと報告されている。人的被害につながる農業用ダム・ため池については、地震による重大な被害の報告はないとのことである。

 

(2)  アサリ偽装表示に対して是正措置を指示

農林水産省は 昨年12月、中国・韓国から輸入したアサリを熊本県産と偽って販売していた事業者に対して、食品表示法に基づき是正と再発防止措置を指示した。警察庁に対しても情報提供するとともに、食品偽装に対する監視を強めている。

 

(3)  原油価格の高騰により食品価格が上昇

原油価格の上昇により、施設園芸・漁船で使用している A 重油の高値が続いている。また、中国の飼料需要の増加や海上運賃の上昇によって、配合飼料価格も上昇しているところであり、これらについて農林水産省は、補填金交付制度 を活用して、農業・水産経営の安定を図ることとしている。

他方、食品の価格については、小麦粉・砂糖・食用油・輸入食肉等の原材料を輸入している食品については、昨年来の原材料価格の上昇や物流経費の上昇により値上げせざるを得ない食品が生じているところであり、農林水産省は動向を注視している。

 

(4)  アニマルウェルフェア(動物福祉)に関する意見交換会を開催

農林水産省は1月27日、「アニマルウェルフェアに関する意見交換会」を開催し、今後、アニマルウェルフェアを一層普及・定着させる国の姿勢を明らかにするため、 国際獣疫事務局(OIE)のコードに基づく新たな指針を国が策定するとの考え方を示した。今後意見交換会で出た意見を参考にしつつ、普及・推進を図りたいとしている。

 

 

○「デュアル・ライフ(二地域居住)オンラインセミナー」の開催について

全国二地域居住等促進協議会(事務局・国土交通省国土政策局地方振興課)の会員である「一般社団法人まち・ヒト・未来創造研究所」では、以下のとおり、産官学連携「デュアル・ライフ(二地域居住)オンラインセミナー」を開催される予定となっておりますので、ご案内します。

【題名】第2弾産官学連携「デュアル・ライフ(二地域居住)オンラインセミナー」

開催

【団体】一般社団法人まち・ヒト・未来創造研究所(・東京海上日動・兵庫県立大学

大学院減災復興政策研究科)

【内容】

コロナ禍で改めて脚光を浴びている“デュアルライフ(二地域居住)”は

都会と地方をつなぎ日々の生活を豊かにするだけでなく、災害時の防衛策としても注

目を集めています。

本セミナーは、昨年9月に開催したセミナーに続く第2弾として、

東京海上日動火災保険の兵庫県勤務メンバーが挑戦した1~2週間の“デュアルライ

フ”についての活動報告とともに、ワーケーションの第一人者で

ある鈴木円香氏の基調講演と産官学のエキスパートの皆様とセッションいたします。

ぜひお気軽にご参加ください。

■開催概要■

日程:2022年2月10日(木)18時~20時

開催:WEB(Zoom)

費用:無料(定員500名)

HP・ポスター:https://cocotococo.jp/2022/01/31/2月10

申し込みフォーム:

https://forms.office.com/pages/responsepage.aspx?id=nVQrWe7LrEmltkz-uh4kuSI4

Rz0TN1FApWdIUpu4gaNUMlk1SUpZMFA2RUNPTTNNV0dYUUszNkJJQy4u

(申込締め切り2022年2月8日(火)まで)

○参考:全国二地域居住等促進協議会 <hqt-2chiiki@mlit.go.jp>