全国山村振興連盟メールマガジンNO109
2021.1.22
全国山村振興連盟事務局
○労働者協同組合法が成立しました
昨年12月4日、超党派の議員立法により提出されていた労働者協同組合法案が、参議院本会議において全会一致により可決成立しました。労働者協同組合法は、労働者が出資者となって組合を設立し、議決や運営に参加しながら組合の行う事業に従事するものです。つまり労働者協同組合は、株式会社のように経営と労働が分離したものではなく、「出資・意思反映・労働」が一体となった組織とされています。
法律第1条では労働者協同組合について、「組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、及び組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織」と定められています。
その目的とするところは、
- 多様な就労の機会を創出することを促進するとともに
- その組織を通じて地域における多様な需要に応じた事業が行われることを促進することであり、
- 究極目的として「持続可能で活力ある地域社会の実現に資する」ことが掲げられています。
組合は法人であり登記をもって成立します。行政庁に対しては届出をすれば良いので、NPOなどのように認可を受ける必要はありません。
組合の要件を見ると他の法人団体との違いがよく分かります。
- 加入脱退は自由であること。
- 組合と組合員の間で労働契約を締結すること。
- 議決権選挙権は平等(1人1票)であること。(出資口数による差がない)
- 労働契約を締結している組合員が議決権の過半数を保有すること。
- 営利目的でないこと。(出資配当ができません。ただし組合員の労働に応じた 剰余金の配当はあります。)
労働者協同組合法は全137条+附則という大部の法律であり、設立手続き・会計書類等が細かく定められています。しかし事業内容は、営利目的でないこと、労働者派遣業等ができないことのほか、特に内容が列記されているわけではなく、幅広く多様な活動ができるようになっています。
設立する地域も都市・農村といった区分はなく、地域社会に根付いた訪問介護・学童保育あるいは農産物販売などが想定されているようです。
この法律が施行されるのは「公布から2年以内で政令で定める日」とされています。
なお昨年6月から同じく議員立法による「地域人口の急減に対処するための地域づくり事業の推進に関する法律」が施行され現在全国各地で設立が進められていますが、
- この法律による特定地域づくり事業協同組合は、設立に当たり知事の認定を要すること、
- 設立後は、国及び市町村から人件費を含む経費に対して助成が受けられること、
等において異なっています。
地域の実情に応じて、こうした多様な組織の設立が促進されていくことが期待されます。
労働者協同組合法の概要及び法文については、厚生労働省の以下のサイトをご覧ください。