全国山村振興連盟メールマガジンNO104
2020.12.11
全国山村振興連盟事務局
今回は、11月13日に行われました山村振興全国連絡協議会関東ブロック会議(WEB会議)の概要について報告させていただきます。
○ 令和2年度山村振興全国連絡協議会関東ブロック会議の概要について
令和2年度山村振興全国連絡協議会関東ブロック会議が11月13日金曜日 13時30分から15時15分、ZOOM によるWEB会議により開催された。
会議には関東ブロックの各県、農林水産省、関東農政局、全国山村振興連盟から担当者が出席した。
開会に当たり、山梨県総務部市町村課 古屋登士匡課長から、「オンラインでの参加に感謝する。山村は様々な役割を果たしており、多岐に渡る政策が必要であって、一丸となって取り組む必要がある。最新の動向や来年度に向けての政策について情報提供を受け、山村と都市の交流と山村活性化の取組に関する情報交換を行う機会であるので、有意義なものとなるよう協力いただきたい。また、山梨県は新型コロナウイルスが蔓延する中、クリーン構想を実施して感染されていない環境づくりを行っており、来訪いただければありがたい。」との挨拶があった。
会議の内容は、次の通りとなっている。
1 中央情勢報告
農林水産省農村振興局地域振興課 森田昇係長から、「山村活性化支援交付金については今年度7.8億円に対し 来年度は8億円を要求している。農山漁村振興交付金については、荒廃農地対策に新たに5億円を要求している。山村活性化支援交付金の活用はまだ全国の振興山村市町村の2割程度にとどまっているので、周知を行っていただきたい。また山村特産品に特化した商談会を実施しているが、山村地域の実情を理解したバイヤーが多く参加しており絶好の機会なので活用いただきたい。」との説明があった。
また同課鈴木貴博係長から、来年3月に適用期限を迎える山村特例税制について説明があり、「3000万円を投資した場合に、国税・地方税を合わせ128万円の効果が生じうる。この税制特例を活用した熊本県八代市では、米の品質をアップして、ブランド化を図った。山村特例税制を使うための『産業振興施策促進事項』の策定をお願いしたい。」との依頼があった。
更に、関東農政局農村計画課竹澤和亮係長から、山村活性化支援交付金令和2年度実施地区の取組状況について説明があった。
2全国山村振興連盟事業内容報告
全国山村振興連盟實重重実事務局長から連盟の事業内容につき報告があり、 「来年度の予算・施策要望についてはコロナ問題を踏まえた感染予防の徹底、産業の復興等を重点としており、各種のオンライン化や防災減災などについても要請することとしている。なお、メールマガジンを毎週掲載し各種の情報を発信しており、利用いただければありがたい。」との説明があった。
3 各県の事例報告及び意見交換
各都県担当者から、「都市と農村の交流と山村活性化の取組」をテーマとして、予め資料が提出されており、これを読んだ上であらかじめ提出された質問等を踏まえて、質疑応答が行われた。
提出資料にある主な取組は、以下のとおりである。
[山梨県]
山梨県丹波山村では、ジビエ需要の高まりに対応して加工施設を整備し、鹿肉の加工品開発を行った。またその販売を強化するため、道の駅の販売所を増設して販売取扱窓口を設置するとともに、軽食スペースでファストフードとして提供できるようにした。
[茨城県]
茨城県では、「ふるさと魅力発見隊」の施策を講じて、山村地域等で、農業・自然体験などの交流活動や、農地・土地改良施設の清掃等を行う保全活動を行っており、「ふるさと水と土基金・棚田基金」を活用して、1市町村100万円を上限とする予算措置(200万円)を講じている。
[栃木県]
栃木県では「小さな拠点づくり支援事業」を実施して、小さな拠点の形成支援に要する経費を支援しており、予算額は5000万円、1地域3年間で3000万円となっている。この事業では、プランづくりのほか高齢者の見守りや買い物支援等に関するソフト事業、拠点施設の整備・改修や機械・車両の購入等のハード事業ができ、県内で9拠点が実施している。
[群馬県]
「群馬県やま・さと応縁隊」により、大学教員と複数の学生からなるグループが、地域住民との交流活動を5日間以上実施し、学生たちにより、地域資源の発掘や体験プログラムなど新たなメニューの提案を行っている。平成24年度からの高崎経済大学をはじめ参加した県内の大学・短期大学は6校に上り、若い豊かな視点から活性化の道筋を探っている。
[埼玉県]
埼玉県では「中山間地域ふるさと事業」により基金を造成して、コンサルタントによる支援、ふるさと支援隊の活動助成に充てており、例えば越生町では、「越生のうめ」や「越生のゆず」の活性化に向けた取組が行われている。また、「住むなら埼玉」移住サポートセンターを設置し、「埼玉県ではじめる農ある暮らしなど」を呼びかけ、多様なニーズにワンストップで対応している。
[東京都]
東京都奥多摩町では、「奥多摩に住みたい、住み続けたい」若者等の存在を踏まえて、賃貸住宅・空き家・寄付物件の活用、各種相談窓口の設置、子ども・子育て対策・教育環境の充実等を行っている。空き家バンクには50件が登録され、32件が活用された。また、子どもを持つ家庭の移住件数は、H27~30年度で延べ72件となっている。
[静岡県]
静岡県では、「美しい中山間地域でつながる推進事業」により、農業者・地域住民・市町・農林事務所等により構成される地域協議会を設置し、地域の魅力を伝える農業者等を育成し、地域・産地のブランド力を向上する取組を行っている。例えば伊豆市では、水わさびを活用して、わさび田再生作業・植付け体験や景観・体験場所の整備等を行った。
[長野県]
長野県生坂村では、「道の駅いくさかの郷」を核として山村活性化の取組を行おうとしている。農林水産省の農山漁村振興交付金を活用して、先進地のノウハウの調査、合意形成、ワークショップなどを行い、特産品を開発して高齢者の生きがいづくり等を行うことにより、令和元年の販売額約2100万円から、令和4年度には2300万円にすることを目標としている。
4 次年度の会長選出・幹事県について
次年度の山村振興全国連絡協議会役員として静岡県がブロック会長、幹事県として茨城県がそれぞれ選出された。