全国山村振興連盟理事会を開催(H30.2)

全国山村振興連盟は、平成30年2月16日(金)午前10時30分から千代田区永田町の全国町村会館2階ホールにおいて平成29年度第3回理事会を開催した。

最初に、理事の金子恭之 衆議院議員、谷 公一 衆議院議員、石田祝稔 衆議院議員及び佐々木隆博 衆議院議員から挨拶がなされた。
来賓として出席された農林水産省農村振興局 松本雅夫 地域振興課長、国土交通省国土政策局 安藤恒次 地方振興課長、総務省地域力創造グループ 飛田 章 地域振興室長及び林野庁森林整備部 今泉裕治 森林利用課長から挨拶がなされた。
その後議事に移り、竹﨑一成会長代行が議長を務め、「第1号議案 平成30年度事業計画(案)に関する件」、「第2号議案 平成30年度予算(案)に関する件」について審議が行われた。

理事会の内容は、次の通りとなっている。

【金子恭之 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】

今年は、全国的に寒く、雪が多いようでありまして、南国の熊本、竹﨑会長代行と私は熊本の南部ですが、そこでも雪で何回も高速道路が閉鎖されるような状況でした。特に日本海側、北海道をはじめ全国各地で豪雪による被害が発生しているようであり、心からお見舞いを申し上げたいと思います。本日11時から衆議院の災害対策特別委員会が豪雪による災害を含めた質疑があり、私も出席します。挨拶が終わり次第失礼させていただきたいと思います。
山村振興関係予算については、連盟の役員の方々のお力によりまして、関係省庁がしっかり連携を取りながら予算を編成させていただいたところであります。
また、3年前に山村振興法の改正の際に、連盟の皆さんのお力をいただきあるいは要望に基づき創設された山村活性化支援交付金は、全国各地で様々な特産品を生み出すことに大きな力になっているようです。1年目は様子見をしていた市町村から2年目からはこれはいいということでどんどん手が挙がって、現在では待機が出たりあるいは満額もらえないというような状況でありますが、今年度で3年目ということで一つの区切りで66地区が卒業するということですので、是非、全国の市町村におかれても皆さんの力で勝ち取った素晴らしい山村活性化支援交付金の活用に取組んでいただければありがたいと思います。
悲願であった森林環境税の創設が決定しました。実効性のあるものとなるよう努力してまいりたいと思います。

【谷 公一 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】

水源税以来の長年の悲願でありました森林環境税及び森林環境譲与税が創設されることとなりました。国会での審議はこれからですが、佐々木先生も党派を超えて全面的に支援するいうことで大変嬉しいことだと思います。。
6千万人の個人住民税の均等割りを納めている方々から等しく年額1千円を頂く、平年度で600億円になりますが、実際に徴収するのは平成36年度です。来年度から森林環境譲与税は200億円くらいで始めるということであります。今、与党内で法律の細かい制度設計を行っているところであります。有効に山の森林の整備が図られるようしっかりと我々も頑張ってまいりたいと思います。どちらかというと森林関係については都道府県の権限が大部分であり、市町村は専門職員を含めて大変体制が弱いというのが正直なところであります。現場を預かっておられる市町村におかれては、森林環境譲与税が来年度から新たに入ることになりますので、私の選挙区の皆さんにはすでに申し上げているところですが、しっかりと有効活用に取り組んでいただきたいと思います。。
引き続き、皆さんとともに一緒に山村振興のために頑張ってまいりたいと思います。

【石田祝稔 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】

この冬は、非常に寒くて雪も例年以上ということで、特に山村地域では大変ご苦労されていると思います。ご苦労様と申し上げたいと思います。
森林環境税は、はっきり言いますと山村地域いわゆる川上をどう守っていくのか、そのことに大いに意を用いてやっていかなくてはならないと思います。国民一人1千円負担していただくようお願いをしますので、それが良かった、有効に使われて川下の我々にも大いに恩恵があったと喜んでいただけるような使い方をしていかなくてはいけないと思います。これについては、与党、野党関係ないと思っていますので、是非皆さんに賛同いただいて、立派なことをやっていただいたと皆さんに喜んでいただけるようしっかりと頑張っていきたいと思います。

【佐々木隆博 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】
先ほどのご挨拶の中でわざわざ野党としてご指名をいただきましたので、野党としてご挨拶をさせていただきます。
地方交付税の額は平成24年度をピークとしてずっと下がり続けています。地方との協議の場を通じて地方の意見が反映することになっていますが、中々これがきちんと反映されているのかなということは我々もしっかり検証させていただきたいと思います。
森林環境税ですが、私自身、山も農地も持っています。今の発想の中で何が欠けているかというと、農地も森林も本来国土です。国土を守るという視点が本来必要なのですが、経済のための道具としてしかこの10年来政策として取り上げられてこなかった。もう一度やはり、環境とか国土に立ち返るのが森林環境税と思っています。
その意味で徴収することはややまとまったようですが、使い道についてはこれからしっかりと与党の皆さんのご指導をいただきながら、しっかり頑張っていきたいと思います。

【松本雅夫 農林水産省地域振興課長 挨拶要旨】

北海道、北陸をはじめ全国の豪雪による被害状況は定かではありませんが、被害状況の把握に努め、対策について考えて参りたいと思います。
農林水産施策に関しましては、平成30年度予算概算決定において補正を含めて約2兆7千7百億円を計上しているところです。山村活性化支援交付金は7.8億円を確保しました。これにつきましては、全国から沢山の要望をいただいているところ、卒業生も出るため今年は余裕があり、まだ受け付けることも可能ですので、いい地区がありましたらご推薦いただきたいと思います。その中で、若い人の感性を活かすということについて、地域おこし協力隊と地域の人たちが一体となって交付金をうまく活用するという例が出てきています。この交付金はソフト活動の支援を中心にしていますが、平成29年度に創設されました中山間地農業ルネッサンス事業の優先枠400億円の中でいろんな加工施設等の整備も対応できますので、山村活性化支援交付金とこの中山間地農業ルネッサンス事業とをうまく組み合わせながら山村振興を進めていきたいと思います。

【安藤恒次 国土交通省地方振興課長 挨拶要旨】

国土交通省としては、山村振興ということで、道路関係の整備、治水、砂防関係の安全対策といったインフラ整備に取り組んでいます。また、デマンドバスなどの生活交通の確保についてもしっかり予算を確保して取り組んでいきたいと考えています。
今年、大変雪が多くなっており、北陸を中心に大変に厳しい状況になっています。今朝の自民党山村振興特別委員会でもお話しがありましたが、道路除雪費の臨時特例措置については、本日、大臣が記者会見で公表しておりますが、本日から調査を開始するということで、道路局で検討に入っています。引き続き、除雪体制を万全にして支援をしていきたいと思います。

【飛田 章 総務省地域力創造グループ地域振興室長 挨拶要旨】

今年は大変全国的に雪が多くなっていますが、総務省としても地方の実態を把握してしっかり対応していきたいと考えています。
地域の自立の促進、地域力の向上のため「チャレンジふるさとワーク」に取り組んでいます。その中で、地域と多様に関わる方々、「関係人口」に着目して地域づくりに係る情報を提供したり、地域課題の解決等に向けて協同実践活動等に取り組む地方自治体をモデル的に支援する「「関係人口」創出事業」を推進しています。
「地域おこし協力隊」については、隊員数、受入れ自治体数とも着実に増加して、平成28年度には4千人を超える方々が活動されました。今後とも、研修の充実、起業の支援などを通じて隊員が任期終了後も引き続き地域に定住していただく、こういうことを目指して、地方自治体の自主的な取組をしっかりと支援してまいりたいと思います。
平成30年度の地方財政につきましては、一般財源総額62兆1,159億円を確保しています。また、過疎対策事業を充実させるため、前年度比100億円増となる4,600億円の過疎債を地方債計画に計上しています。

【今泉裕治 林野庁森林利用課長 挨拶要旨】

森林環境税については、昨年末の「平成30年度税制改正大綱」において創設が決定されました。先生方の大変なご尽力、そして山村の市町村の皆様の長年にわたる地道な熱い運動がやっと実を結んだということで、この場をお借りして心から感謝申し上げたいと思います。
この長年の悲願であった森林環境税については、国民の共通財産である森林の公益的機能を十全に発揮し、負担をいただく国民の理解を得られるように活用していくことが非常に重要です。また、昨日の勉強会でも話が出たと聞いていますが、山村の自治体には当然配分されますが、都市部の森林のない自治体にも人口割で一定額配分されるということですので、我々も都市部の森林のない自治体にも是非川上の森林に向けて都市農村交流など様々な形で使っていただくことができるのではないかと考えており、働きかけたいと思います。山村の自治体からも都市部の自治体に働きかけていただければ有難いと思います。
森林環境税については、今年の通常国会に新たな森林管理システムの創設のための法案の提出を検討していますが、これとセットで取組んでいくものであります。
新たな森林管理システムの導入を見越して、平成30年度予算において林業成長産業化総合対策に235億円を計上しています。経済的に活用できる森林は、意欲と能力のある林業経営体に森林の経営・管理を集積・集約化し、効率化を図る一方で、経済的に活用できない条件不利な森林は、国民の皆さんの負担の下で、森林環境税の財源を充てながら地球温暖化防止や国土保全の観点で市町村が主体となって公的に管理していくというシステムを考えています。その運用に向けて、新たな森林管理システムの構築につながるような路網の整備、機械導入等を重点的に支援していきたいと考えています。
また、ICTを利用した先進的な取組みや木材加工流通施設、木造公共建築物の整備等についても、その中で支援していきたいと思っています。
こうした支援施策と31年度から始まります森林環境譲与税、新たな森林管理システムの仕組みをうまく組み合わせながら日本の林業の成長産業化と山村振興、国土の保全に努めていきたいと思います。
森林環境譲与税及び新たな森林管理システムについては、市町村、都道府県において円滑に執行できるよう、林野庁としても全力で取組んでいきたいと思います。
今後とも意見交換をさせていただきながらより良い制度になるよう努めていきたいと思いますので、引き続きご理解、ご指導いただきますようよろしくお願いします。

◎挨拶をいただいた方以外の政府関係の出席者(敬称略)

林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室長      木下 仁
農林水産省農村振興局鳥獣対策室長          田中健一
農林水産省農村振興局地域振興課課長補佐      三重野信
農林水産省農村振興局地域振興課調整係長      永田浩章
農林水産省農村振興局鳥獣対策室課長補佐       久保賢太郎
国土交通省国土政策局地方振興課課長補佐      小林孝志
総務省地域力創造グループ地域振興室        金山翔太
林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室課長補佐   髙畑啓一
林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室企画係長   高橋 誠

【議 事】

竹﨑会長代行の議長のもとに議事が進められた。

○ 第1号議案  平成30年度事業計画(案)に関する件
岸 事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された。

○ 第2号議案  平成30年度予算(案)に関する件
岸事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された。

平成30年度事業計画は次のとおりとなっている。

平成30年度事業計画

山村は、農地・森林の持つ国土保全・環境保全、地球温暖化防止等の役割がますます重視され、また、都市住民等の憩いの場としての豊かな自然環境への期待が高まっている。一方、山村では、少子化・高齢化の進行、定住人口の減少、鳥獣被害の増大等山村の維持・存立自体が懸念されている。
平成30年度においては、このような情勢を踏まえ、山村振興法、農山漁村活性化法、鳥獣被害防止特措法等に基づく施策並びに新たな山村振興施策の推進について、政府、国会、国民の理解と支援を得るとともに、全国町村会等関係団体との連携を密にし、振興山村市町村の一層の連帯の強化を図るため、以下の事業を実施する。

1.山村振興政策に関する提言及び政府予算対策

山村の持続的発展を図るための山村振興政策が適切に実施され、山村振興対策
の総合的推進に必要な予算、地方財政措置が確保されるよう、農林水産省、国土
交通省、総務省をはじめ関係各省庁、関係各党と十分連絡を取りつつ、山村振興
施策に関する提言を行うとともに政府予算確保運動を行う。

2.山村をめぐる諸問題についての情報の収集、調査、検討

山村振興対策に関する提言、山村市町村に対する情報の提供等を行うため、山
村をめぐる諸問題についての懇談会の開催、各種情報の収集及び調査並びに分
析・検討を行う。

3.山村振興を図るための啓発・普及活動の推進

山村振興の重要性について広く国民の理解と協力を得るため、関係団体との連
携、ホームページによる情報提供、冊子の発行等を行う。

4.山村振興対策の計画的推進

山村振興対策の計画的推進を図るため、振興山村市町村及び都道府県の山村振
興実務担当者並びに支部の担当者を対象に、山村振興計画の作成、山村振興施策
推進等に資するための研修会を実施する。

5.会員等への情報の提供

山村振興情報(年間6回)の発行、ホームページ等により、会員、関係方面に
対し山村振興に関する情報を提供する。

6.山村振興全国連絡協議会への助成

協議会の運営費の一部を、前年度同様助成する。

7.各種会議会合等

平成30年11月に通常総会、7月、10月及び平成31年2月にそれぞれ副
会長会議及び理事会を開催する。
また、平成31年1月に支部事務局長会議を開催する。

会議 予定月 日数 回数
通常総会
副会長会議
理事会
支部事務局長会議
ブロック会議
11月
7月・10月・2月
7月・10月・2月
1月
5月・8月