北海道・東北六県山村振興ブロック会議開催される(H29)

平成29年度北海道・東北六県山村振興ブロック会議が、7月13日(木)~ 14日(金)の2日間にわたり全国山村振興連盟山形県支部(支部長 髙橋重美 最上町長)の主催により、山形県最上町「保養センター最上」において、各道県の支部長、事務局、来賓等約30名が参加して開催された。

1. 開会及び主催者代表挨拶

仁科義英 山形県支部事務局長の開会宣言の後、主催者代表として髙橋重美  最上町長から挨拶があった。その概要は、次のとおり。
「全国山村振興連盟は、一つではない全国の山村地域の市町村長の思いを横串を刺 して発信する唯一の団体。森林を守る我々が意識を共有して行動することに意義があ る。最上町には「4本の地方創生戦略ビジョン」がある。①子育て大国最上町(医療費 ・保育料・奨学支援)、②健康と福祉のまちづくり(生涯現役社会)、③産業振興(農 観商工連携)、④バイオマス産業都市(里山再生)を目標に頑張っている。

2. 来賓紹介

来賓として次の者が紹介された。(敬称省略)

農林水産省農村振興局地域振興課課長補佐  三重野 信
国土交通省国土政策局地方振興課課長補佐  藤澤 貴充
総務省地域力創造グループ地域自立応援課課長補佐  梶原 清
林野庁森林整備部森林利用課山村振興・緑化推進室長 木下 仁
東北農政局農村振興部農村計画課山村振興係長  高梨 清美
山形県農林水産部農政企画課長  伊藤 里香子
山形県農林水産部農政企画課農山漁村振興専門員 阿達 治
農林水産部農政企画課主査  寺崎 康仁
全国山村振興連盟常務理事兼事務局長  岸 廣昭

髙橋最上町長の司会のもとで議事が進めれた。

3. 来賓挨拶・山村振興施策行政説明・全国山村振興連盟活動状況報告

来賓から挨拶、山村振興施策、全国山村振興連盟活動状況について次のような説明があった。

(1) 農林水産省(三重野 地域振興課長補佐)

「山村振興対策について」の資料に基づき説明があった。山村における税制優遇措置等の内容と活用事例、山村活性化支援交付金の優良事例の紹介と応募奨励、山村地 域関連予算として農山漁村振興交付金、ジビエ利用拡大に関する対応方向等の説明があった。

(2) 国土交通省(藤澤 地方振興課課長補佐)

「国土交通省の山村振興対策」の資料に基づき説明があった。①交通施策、②集落整備施策、③社会、生活環境施策、④国土保全施策の4本柱、地域優良賃貸住宅制度、「小さな拠点」の形成、貨物輸送の共同化や貨客混載等の物流効率化、自動運転サービス、ドローンポートシステムによる物流、除排雪対策等について説明があった。

(3) 総務省(梶原 地域自立応援課課長補佐)

「地域自立応援施策について」の資料に基づき説明があった。お試しサテライトオフィス、地域経済循環創造事業交付金、地域の暮らしサポート実証事業、移住・交流 情報ガーデン、移住交流フェア、地域おこし協力隊、過疎地域自立促進特別措置法の 改正、過疎地域等自立活性化推進交付金、過疎対策事業債(ソフト分)、集落支援員、地域運営組織の新たな仕組み、空家等対策等について説明があった。

(4) 林野庁(木下 山村振興・緑化推進室長)

「森林資源を活かした山村振興対策について」の資料に基づき説明があった。最初に山元にお金の回るための仕組みとして、重量物である木材の運搬コストと加工施設の大規模化との二律背反を調和する最適解が必要との考えを示し、森林資源を生かした林業の成長産業化、林地台長の整備、地域林政アドバイザー、森林環境税等について説明があった。

(5) 東北農政局(高梨 農村計画課山村振興係長)

東北地区における山村活性化支援交付金の実施地区・事業内容について説明があった。

(6) 山形県(伊藤 農政企画課長)

「山形県における山村振興施策の状況」の資料に基づき説明があった。山村活性化支援交付金、中山間地域等直接支払、第3次農林水産業元気再生戦略(平成29年3月)のうち、地域資源をフルに活用した多様なスモールビジネスによる所得確保と活性化 ある地域づくり、中山間地域に適したコメの品種の開発、やまがた森林(モリ)ノミクスを支える人材の育成・確保等について説明があった。

(7) 全国山村振興連盟(岸 常務理事)

全国山村振興連盟の活動状況についての説明があった。

4. 山村振興の現状と諸課題についての情報交換

次のような質問・意見等が出された。

  1. 地域交通手段、風力発電への支援強化が必要。
  2. 地域おこし協力隊の地域への定着の仕組みが必要。
  3. 有害鳥獣の駆除に自衛隊の協力が必要。
  4. 地元産の木材を使いたいが割高。流通面での工夫、地元に落ちるのだからかかりましの補助が必要。
  5. 除雪については、道路までの除雪、現在地域の助け合いでやってるが限界。何らかの助成が必要。

5. 次期開催地の選定

次期開催県として福島県が選定された。

6. 現地視察

次の施設について、現地研修を実施した。

(1) (株)丸徳ふるせ カスケードペレットプラント

石油製品、建材、酒、ホームセンターなどを経営する(株)丸徳が設置したペレットプラントで、製材おが粉、プレーナーおが粉(杉材)、建材端材を利用したペレットを製造している。灯油とほぼ同価格で燃料を提供でき、専用ストーブの開発も行っている。地域材を活用したバイオマス利用に貢献している。

(2) (株)もがみ木質エネルギー

地域の製材、山林業者が共同して出資した会社で、町内の間伐材等を利用して木質チップに加工し、ウェルネスプラザなどの町内のバイオマスエネルギー利用施設にチップを供給している。

(3) ウェルネスプラザ

最上町の保健・医療・福祉を一体化した施設で、熱供給、冷熱供給を (株)もがみ木質エネルギーが供給するチップで供給するための施設をNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成で併設し、間伐材等地域のバイオマスを活用している。

(4) 若者定住環境モデルタウン

集合住宅10世帯、最上町版エコ住宅(モデル住宅)5棟、分譲地7区画を販売中であり、敷地内に地域熱供給施設(バイオマスボイラー)を併設して、暖房と給油の熱供給を行なっている。タウン内の道路の融雪設備で冬場も除雪の心配がない。
購入条件は、夫婦のいずれかが40才以下、または18才以下の子供を有する夫婦である。近くに健やかゾーンがあり子育て環境に恵まれている。  まだ空きはあり、施設購入希望者を募っている。