全国山村振興連盟理事会を開催(H29.7)

全国山村振興連盟は、平成29年7月5日(水)午前10時30分から千代田区永田町の全国町村会館2階ホールにおいて平成29年度第1回理事会を開催した。
最初に、竹﨑会長代行から挨拶があり、次いで、理事の衆議院議員 宮下一郎 先生から挨拶がなされた。
来賓として出席された農林水産省農村振興局 圓山満久 地域振興課長、国土交通省国土政策局 長谷川貴彦 地方振興課長、総務省自治行政局地域力創造グループ 飯塚秋成 地域振興室長及び林野庁 今泉裕治 森林利用課長から挨拶をいただいた。
その後議事に移り、竹﨑会長代行が議長を務め、第1号議案 平成28年度事業報告に関する件、第2号議案 平成28年度収支決算に関する件及び第3号議案 平成30年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関する件について審議が行われた。
理事会終了後、副会長が中心となって、関係省庁に対し要望活動を行った。

理事会の内容は、次の通りとなっている。

【竹﨑会長代行挨拶要旨】

皆さん、おはようございます。会長代行を仰せつかっています熊本県芦北町長の竹﨑でございます。
宮腰会長がEUの方に経済連携協定に関する交渉のために今出向かれておられまして、皆様方にくれぐれもよろしくお伝えしてくれとのことですので、おつなぎ申し上げたいと思います。
本日は29年度の第1回理事会を開催いたしましたところ、台風3号の影響の下、あるいは前線の活発化に伴う大変な気象であったわけですが、全国から役員の皆様方にはご出席を賜り誠に有難うございました。心より感謝申し上げます。また、国会議員の理事の宮下先生におかれましても、本当に政務お忙しい中ご隣席賜りましたことに厚く御礼申し上げます。さらには、日ごろからお世話になっております関係省庁の幹部の皆様方も駆けつけてきていただいております。心より感謝申し上げる次第です。
言うまでもないことですが、我々山村を取り巻く環境は大変厳しものが依然としてあるわけでありまして、私どもは新しい山村振興法の下、活性化の努力をさらにしてまいらなければならないと思っているところです。
当連盟は、我々山村地域の首長と国会議員の先生方が一緒になって山村地域の振興を図っていく団体です。その活動内容においては、予算の獲得、税制改正要望等のための要請活動など幅広いものです。29年度におきましても、山村活性化を図るため、山村活性化支援交付金の増額がみられたほか、インバウンド消費の恩恵を山村地域でも享受するために必要な農泊推進の予算の計上、「中山間地農業ルネッサンス事業」など、新たな視点でのありがたい予算も措置されました。
平成30年度予算につきましても強力な要請活動を行い、財政事情の厳しい中ですが、我々山村関連予算の充実に向けて共に頑張ってまいりたいと思います。
また、年末の税制改正大綱においては、我々長年の悲願でありました森林環境税が実現の方向での検討がなされることが決定されました。国会議員の先生方また関係省庁の皆様に心から御礼を申し上げます。なお、また細かい点での調整が必要と伺っていますので、さらに我々も努力を傾注してかなければならないと思っています。今後も引き続けき山村振興のため共に頑張らせていただくことを切にお願い致します。
本日の理事会の議題は、当連盟の28年度の事業及び決算報告並びに平成30年度概算要求を控えての我々の要請活動の内容の審議でございますどうぞよろしくお願します。
最後になりましたが、前理事の衆議院議員の吉野正芳先生におかれては復興大臣に就任されました。山村地域のことを良くお分かりいただいている先生です。さらなるご活躍をご期待申し上げるところです。

【宮下一郎 理事(衆議院議員) 挨拶要旨】

皆様方にはいつも暖かいご指導ご支援をいただいていますこと、心から感謝申し上げます。また、今日は宮腰会長が日EUのEPA対応ということでご欠席されていますが、この日EUのEPAにおいても豚肉、チーズ等に木材、構造集成材の貿易をどうするかということ大きな課題でありまして、我々自民党としても昨日その対策本部の名前をもって安倍総理に申し入れを行いまして、この木材についても国内での再生産が可能なような状況をしっかり確保した上で交渉して欲しいということを申し入れさせていただきました。
地方創生、引き続き私は一番この政権にとって重要な施策だと考えておりますが、山村が元気にならなくて地方創生はありえないという思いでありますし、そのためにも森林環境税のしっかりした早期実現、そして山元の皆さんにしっかり予算を確保してい事業をしていただくこと、また、農泊の話が先ほどもありましたが、これから人口減少期に入る日本の一つの生きる道は山村の素晴らしい景観も含めて全世界の皆さんに日本のすばらしさを満喫していただくこと、ようやく去年は2千数百万人というところですが2020年に4千万人、その後は6千万人を目指して頑張っていこうというときに、既存の観光地だけではこれを受け止め切れません。やはりもっと地方がこうした受け皿となって素晴らしい交流・体験をしていただく、そのためにも山村にその体制整備をして受け入れていただかなければいけないと思っています。
また、山村に関連してということであれば、昨年10月に自民党に新にできた組織「中山間地農業を元気にする委員会」の初代委員長を拝命しました。その事業として、
「中山間地農業ルネッサンス事業」という新たな事業をを立ち上げて、平成29年度予算では優先枠400億円で、約10の事業をパッケージ化してスタートしました。これから中山間地の農業とまた林地も含めて共に発展していく道筋を皆さんの知恵を集めてしっかり支援をしていきたいと思っていますので、そういった面からのご指導を賜ればと思っています。
皆様方の充実した審議を通じて前向きな施策がしっかり策定され、我々がそれをしっかり応援をしていくことをお誓いしてご挨拶とさせていただきます。

【 圓山満久 農林水産省地域振興課長  挨拶要旨】

山村振興法の改正を契機に山村活性化支援交付金が措置されましたが、現在96市町村において交付金を利用していただいていますが、計画しているところを含めると100を超す市町村で活用いただけるということになっています。一方、山村振興税制については29年度から2年間延長させていただいています。しかしながら、税制の延長には活用の実績が不可欠です。これは設備投資に対して減価償却の特例等ができることになっていますので、民間の事業者の方が山村振興にまつわる設備投資を行う場合の税制特例です。これを適用するには山村振興計画を作っていただく必要があります。ご出席の市町村長の皆様におかれてはもう一度足元をご覧いただいて、計画が十分整っているかご確認をいただいて、交付金それからこの税制の活用についてもご検討いただければ幸いでございます。
農林水産省の平成29年度の施策をいくつかお話しします。
一つは宮下先生からもお話しにありました自民党に設けられた「中山間地農業を元気にする委員会」からの提言を受けて、「中山間地農業ルネッサンス事業」という優先枠400億円の予算を計上しました。その中でパッケージ化された事業において採択要件を緩和したり、補助率をかさ上げしたりということでまずスタートしました。これをベースにしてさらに強化・拡充していく必要があろうかと思っています。
もう一つは「農泊の推進」です。農山漁村での滞在型旅行、農山漁村に宿泊してもらうという動きです。平成32年までにビジネスとして実施体制が整う地域を500地区作るということで本年度の「農山漁村振興交付金」で200地域を支援するということで第2次募集まで行い、これから対象地区のセレクトを行うという状況になっています。
もう一つ鳥獣対策です。鳥獣被害から守る対策を実施していますが、その上に、捕獲した鳥獣をジビエ利用する取組みを推進することにしています。ジビエ利用のモデル地区を30年度に12地区程度整備していこうということで、いまモデル地区を集めている状況です。ジビエ利用量についても現時点に比べて31年度には倍増させるという目標を掲げています。こういった施策は山村振興を進める上で重要なものだと思っていますので、活用いただくようお願い致します。

【長谷川貴彦 国土交通省地方振興課長 挨拶要旨】

国土交通省は、道路・河川などのインフラ整備、下水・住宅などの生活環境整備あるいは人流物流・交通物流のネットワークの整備など様々な分野で取組みを進めています。
本日は、山村振興に関係する最近の目新しい動きを三つ紹介させていただきます。
一つ目は、先の通常国会の法案の関係です。山村振興に関係する法律としては、一つは、先ほどの宮下先生のお話しにもありました民泊の新しい枠組みを決める民泊新法(住宅宿泊事業法)の制定です。
これに加えて「不動産特定共同事業法」の改正がなされました。この法律は、いろいろな出資を募って不動産を開発する時の枠組み、これが今まで比較的大きな資本金規模でなければ出来なかったものが、最近は山間地域等でも古民家再生、クラウドファンディングで実施するようなことも増えてきていますので、そうしたものにも対応できるように資本金の規模を引き下げるという、地方創生にも資する改正です。
二つ目は、人流物流の関係です。最近は貨客混載の活用が大きなテーマになっています。バスやタクシーを用いる場合についでに貨物を運送する、あるいはトラックを動かす時についでに旅客の方を乗せる、こういった貨客混載について必ずしも運用が明確化していなかったので、なかなかスムーズにいかない面がありました。これについて、6月の末にプレス発表が行われていますが、新たな基準を明確化する通達を9月頃発表することとしており、この通達案について現在7月末までパブリックコメント中です。一読いただければと思います。物流についてはドローンを使った実験を昨年から進めています。今年の3月は長野県の伊那市で道の駅から高齢者の家までドローンで荷物を運ぶといった社会実験を進めています。
三つ目は、これも新技術の関係ですが、自動運転の活用です。4月の末に道路局からプレス発表していますが、今年度から道の駅から自動運転する実証実験を本格的に開始することにしています。秋田、栃木、滋賀、島根、熊本の5か所が選定されています。さらに加えて5か所の道の駅でも同じような実験を4月から5月にかけて公募しているところでして、近々決まります。合計10か所で自動運転の実験について山間地域でどう活用できるかということも実証実験を進めることになっています。

【飯塚秋成 総務省地域力創造グループ地域振興室長 挨拶要旨】

総務省においては、地域への人、情報の流れを創出するため、地域で一定期間働きながら田舎暮らしを学ぶ「ふるさとワーキングホリデー事業」や地域特性を生かしたサテライトオフィスの誘致戦略を作成する「お試しサテライトオフィス」をはじめとする「チャレンジふるさとワーク」に本格的に取り組むなど様々な施策を展開しています。
また、「地域おこし協力隊」については、隊員数、受け入れ自治体数とも着実に増加して、平成28年には4,158人の隊員の方々が全国各地で活躍しています。今後も、研修の充実や起業支援などにより良い人材が地域に定着して活躍できる環境づくりに努め、地方公共団体の自主的な取り組みをお手伝いさせていただければと考えています。振興山村の市町村においても引き続き大いに活用していただければと存じます。
また、平成29年度の地方財政への対応については、地方が様々な重要課題に取り組みつつ安定的に財政運営を行うことができるよう、昨年度と同水準の地方一般財源総額を確保するとともに、有害鳥獣対策などの山村振興対策についても引き続き地方財政措置を講じているところです。
さらに、山村など地理的に不利な地域の情報通信施設の整備についても引き続き支援策を講じています。

【今泉裕治 林野庁森林利用課長 挨拶要旨】

林野庁としては、山村地域の振興そして地方創生を図っていく上でも山村地域に豊富に存在する森林資源を十分に活用して、林業の成長産業化の実現を図っていくということで施策を推進しているところです。
平成29年度予算においては、森林整備事業、治山事業といった公共事業を引き続きしっかりとやっていくことに加えて、木材加工流通施設等の整備、間伐、路網整備の一体的な実施や、CLTなどの木材の利用促進、施業の集約化の加速化などへの支援を行っています。
29年度に「林業成長産業化地域創出モデル事業」を創設しました。収益性の高い経営により地元に利益を還元し地域の活性化を図るということで、4月には全国で16か所のモデル地域を選定しました。多数の応募があったということで、選定は非常に難しかったと聞いていますが、各地域の主体的な提案に基づく取組みを支援していきます。
また、先ほどから宮下先生及び竹﨑会長代行からお話しのありました森林環境税については、昨年末の与党税制改正大綱において、平成30年度の税制改正、つまり今年末において結論を得ることが明記されたところです。今年は森林環境税の創設実現に向けて最後待ったなしの勝負の年と認識しています。林野庁としては、総務省とも連携させていただき、市町村、都道府県からいただいたご意見なども踏まえながら、地域の実情にあった仕組みとなるように鋭意検討を進めています。引き続き皆様方のご支援、ご理解、ご協力をお願いしたいと思います。
また、総務省のご理解によりまして、平成29年度地方財政計画において森林吸収源対策等の推進ということで、林地台帳の整備の推進、森林所有者・境界の明確化などの地域の主体的な取り組みに要する経費を計上していただいているところです。29年度の新たな拡充項目として、森林整備等に関して一定の専門知識を持つ技術者を市町村が地域林政アドバイザーとして雇用された場合、特別交付税措置の対象となりますので、会員の市町村におかれましても是非積極的に活用していただきたいと思っています。

◎挨拶をいただいた方以外の政府関係の出席者(敬称略)

林野庁 森林利用課山村振興・緑化推進室長 木下  仁
農林水産省 農村環境課鳥獣対策室長 田中 健一
地域振興課課長補佐 三重野 信
国土交通省 地方振興課課長補佐 藤澤 貴充
国土交通省 地方振興課交流係長 渡邉 真之
林野庁 森林利用課課長補佐 高畑 啓一
林野庁 山村振興・緑化推進室企画係長 高橋  誠

【議 事】

竹﨑会長代行のもとに議事が進められた。
○ 第1号議案 平成28年度事業報告に関する件
○ 第2号議案 平成28年度収支決算に関する件
第1号議案及び第2号議案について、岸事務局長が内容の説明を行い、辻監事から監査報告が行われ、両案は原案通り承認された。
○ 第4号議案 平第4号議案 平成30年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関する件
岸事務局長が内容の説明を行い、審議の上、承認された。

理事会で承認された「平成28年度事業報告」及び「平成30年度山村振興関連予算・施策に関する要望」は、次の通りとなっている。

平成28年度事業報告

1.山村振興政策に関する提言及び政府予算対策

(1) 山村振興政策に関する提言及び政府予算対策
(予算関係)

① 7月の理事会において要望事項を決定し、副会長を中心に関係省庁に対 し要請活動を実施した。
② 8月25日に開催された自由民主党の農林・食料戦略調査会・農林部会・農政推進協議会合同会議において、「平成29年度山村振興関連予算・施策に関する要望書」を提出し、要望を行った。
③ 11月の通常総会において、「平成29年度山村振興関連予算・施策に関する要望」を決定し、副会長を中心として政府及び国会議員に対し要請活動を行うとともに、各支部において要請活動が行われた。
④ 111月29日に開催された自由民主党山村振興特別委員会(会長:衆議院議員金子恭之)において、関係省庁から平成29年度山村振興関係予算概算要求の内容について説明があり、当連盟から「平成29年度山村振興関連予算・施策に関する要望書」を提出するとともに、竹﨑会長代行(熊本県芦北町長)及び松島副会長(長野県泰阜村長)が出席し要望を行った。
⑤ 12月19日に開催された農林・食料戦略調査会・農林部会・農政推進協議会合同会議において平成29年度農林水産関係予算の報告が行われた
⑥ 平成29年度政府予算案は12月22日に閣議決定された。
⑦ 平成29年2月16日に開催された自由民主党山村振興特別委員会において、関係省庁から平成29年度山村振興関係予算概算決定内容について説明があった。当連盟から竹﨑会長代行(熊本県芦北町長)、松島副会長(長野県泰阜村長)及び寺本副会長(和歌山県紀美野町長)が出席し、要望事項の実現に感謝するとともに、今後のさらなる充実について要望を行った。

(税制改正関係)

⑧ 11月2日に開催された自由民主党農林・食料戦略調査会、農林部会、農林水
産団体委員会及び農政推進協議会の合同会議の場において、「地域資源を活用
する製造業等の用に供する機械・施設等に対する割増償却制度の適用期限の延
長」、「地球温暖化対策のための税の活用、森林環境税(仮称)の創設等」につい
て要望を行った。
⑨ 平成29年度税制改正については、平成28年12月8日に「平成29年度税制改
正大綱」(自由民主党・公明党)が決定された。この中に、「山村税制特例を2年
延長する。森林環境税(仮称)は30年度の税制改正において結論を得る。」ことが
盛り込まれた。

2.山村をめぐる諸問題についての情報の収集、調査、検討

(1) 森林・山村対策に関する懇談会

平成29年2月16日(木)に開催。(副会長・理事・監事外が参加)
講師及び演題

総務省自治財政局調整課長     原 邦彰  氏
(山村に係る地方財政措置について)
農林水産省農村振興局鳥獣対策室長 田中健一  氏
(鳥獣被害対策について)

3.山村振興を図るための啓発・普及活動の推進

(1) HPでの情報提供

連盟の紹介、全振興山村のリンク、山村からの提言、山村へのメッセージ、山村振興
施策(山村振興法、山村振興関連予算、各種政策、白書等)

(2) 山村振興に資する事業への協力
  • 特定非営利活動法人「地球緑化センター」が実施する第24期「緑のふるさと協力隊」(山村で1年間生活し、農林業や村おこし等を手伝う事  業)を後援した。
  • 7月23日に東京において開催された「中山間地域フォーラム設立10周年記念シンポジウム」(「進化する地域運営組織!―『地方創生』の次なる焦点」)を後援した。
  • 10月1日に東京で開催された「森林・林業・山村問題を考えるシンポジウム」(子どもと森のルネサンスー育てようー地域の宝ものー)を後援した。
  • 10月13日(木)、14日(金)に奈良県において開催された「全国過疎問題シンポジウム2016inなら」を後援した。
  • 10月26日(水)、27日(木)に京都府綾部市において開催された「第10回全国水源の里シンポジウム」を後援した。
  • 平成29年2月18日(土)、19日(日)東京で開催された「列島ふ るさと再生全国フォーラム2016」(見えてきた都市と農山漁村の連携と対 流)を後援した。
  • 中山間地域フォーラムが実施した「第2回中山間地域フォトコンテスト」を後援した。4.山村振興対策の計画的推進
    山村振興実務研修会を6月17日(金)に開催し、都道府県、市町村、支 部事務局の職員約70名が参加した。

5.会員等への情報の提供

(1) 山村振興情報の発行

隔月1回発行した(年間6回)。

(2) 理事会決定事項の会員への連絡

理事会での決定事項を理事会終了後直ちに会員に連絡を行った。

(3) HPでの情報提供

連盟に関する各種情報、山村振興施策等を提供した。

6.山村振興全国連絡協議会の活動への参加と助成

総会(6月23日開催)に出席するとともに、ブロック会議に出席した。
協議会の活動に対し、助成を行った。
開催されたブロック会議は、次のとおり。
東海・北陸ブロック会議      (10月3日、4日。石川県。)
九州ブロック会議         (10月20日、21日。福岡県。)
関東ブロック会議         (11月7日、8日。東京都。)
中国・四国ブロック会議      (11月11日。愛媛県。)
北海道・東北ブロック会議      (11月24日、25日。秋田県。)

7.各種会議会合等

(1) 総会

11月17日(木)、通常総会を開催した。
総会においては、前年度に引き続き事例報告が行われた。
北海道苫前町長 森 利男  和歌山県紀美野町長 寺本光嘉

(2) 副会長会議・理事会

28年7月及び10月、29年2月に副会長会議及び理事会を開催した。

(3) 事務局長会議

平成29年1月に開催した。。

(4) ブロック会議

次の2ブロックにおいて開催され、関係省庁担当者にも出席いただき、意見交換、現地調査等が行われた。
北海道・東北ブロック  (7月28日、29日。秋田県東成瀬村。)
関東ブロック      (10月6日、7日。茨城県常陸太田市。)

平成30年度山村振興関連予算・施策に関する要望書

山村地域の振興につきましては、日頃から格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、近年、山村を取り巻く環境は、道路、情報通信、生活環境等の整備水準が依然として低位な状況にあるほか、耕作放棄地の増大、鳥獣被害の多発に直面する中で、厳しさを増しており、過疎・高齢化の進展により集落機能の衰退が進んでおります。
我が国の山村は、日本人としての精神の原点として我が国を支えてきた力の源であり、水資源、エネルギー資源を守り、国土保全、都市住民へのいこいの場、若者の教育の場の提供等、多面的・公益的機能の発揮に重要な役割を担ってまいりました。このような国民の共有の宝とでも言うべき山村は、国土の約5割にも及んでおり、そこを人口のわずか3パ-セントの住民が守っているものの、その山村が集落機能の崩壊等により存続の危機に瀕していると言っても過言ではない状況にあります。
こうした中で山村振興法により明確に示されている、上記の多面的、公益的機能の一層の充実を更に図ることが重要であり、このため、山村住民の定住と集落維持により、山村の活性化、自立的発展を図っていくことが、一極集中を是正した地方創生の目指すところであり、ひいては、我が国全体の発展につながるものと言えます。
国におかれては、以上の認識の下に、山村振興を国の重要課題に据えて、下記の事項の実現を図っていただくよう強く要望致します。

Ⅰ 熊本地震、東日本大震災等の復旧・復興
  1. 熊本地震、東日本大震災については、関係省庁連携のもと、被害が生じた山村地域における復旧・復興対策を早急かつ強力に推進すること。特に東日本大震災については、原発事故放射性物質の除染等を早急に行うとともに、放射性物質の影響を大きく受けている特用林産物栽培農家対策に万全を期すこと。
  2. 近年、気候変動等により、多発、大規模化している災害に対処するため、国土強靭化対策を推進し、災害に強い山村づくりに取り組むこと。また、災害発生時の的確な情報提供システムの整備を図ること。
Ⅱ 山村振興対策の総合的・計画的推進
  1. 山村振興計画に基づき、関係省庁の一層の連携強化のもと、山村振興対策を総合的かつ計画的に推進すること。
  2. 山村地域における農林水産業等地域の基幹産業の振興、生活環境の向上等を図るための施設の整備等の取り組みに対する助成措置の充実・強化を図るとともに、自立的な地域活性化を支える人材育成への支援に取り組むこと。
  3. 山村地域の活性化を図るために不可欠な辺地対策事業債及び過疎対策事業債の十分な確保を図ること
  4. 農山漁村地域整備交付金の充実・強化を図るとともに、農山漁村地域活性化対策、森林・林業振興対策に係る地方財政措置の充実・強化を図ること。
Ⅲ 多面的・公益的機能の持続的発揮
  1. 山村の果たしている重要な役割や木の文化について、児童生徒を含め国民一般の理解を深めるための教育・啓発・普及対策の充実・強化を図ること。
  2. 森林が二酸化炭素吸収源として大きな役割を担うことを踏まえ、計画的な間伐等の
    森林施業とこれと一体的となった森林作業道の開設を直接支援する「森林環境保全直接支援事業」の充実・強化を図ること。また、森林所有者等による計画的な森林施業が適切に行われることを確保するため、「森林整備地域活動支援交付金」の充実・強化を図ること。
  3. 国土保全や生活環境整備を図るため、治山、治水及び砂防対策の充実・強化を図ること。また、水源のかん養、自然環境の保全等国土保全に資する事業を対象とした「国土保全対策」に係る地方財政措置の継続を図ること。
  4. 景観対策、国土保全に資するため、松くい虫対策、ナラ枯れ対策について適切に行うこと。
  5. 山村地域に期待される森林吸収源対策、再生可能エネルギー対策を強力に推進するため、地球温暖化対策のための税の活用とその充実を図るとともに、森林整備等に必要な財源に充てるための森林環境税(仮称)を創設し、地方税財源の確保・充実を図ること。また、森林吸収源対策等の推進に係る地方財政措置の継続を図ること。
  6. 持続的な林業経営の実現、森林の多面的機能の発揮を図る上で不可欠な地域の森づくりを主体的に先導する人材の育成確保を図ること。
Ⅳ 山村地域の活性化
  1. 山村地域における農林水産業の維持・活性化を図るため、「中山間地域等直接支払交付金」、「多面的機能支払交付金」の充実・強化及び荒廃農地等の利活用対策の推進のため、「荒廃農地等利活用促進交付金」の確保を図ること。
  2. 山村地域の活性化と地域コミュニティーの再生のため、農泊推進対策、山村活性化支援交付金、都市農村共生・対流対策の拡充をめざし、「農山漁村振興交付金」の大幅拡大を図るとともに、「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」及び「強い農業づくり交付金」の充実・強化を図ること。
    また、中山間地農業ルネッサンス事業の拡大を図り、山村地域に対して優先的に予算配分を行うとともに、山村地域を優遇する等、山村地域にとって使い勝手の良い制度とすること。
  3. 山村に存する棚田・里山林等の美しい景観の価値を見直し、その保存・再生を図ること。侵入竹の駆除及び竹材等の利用推進を図ること。
Ⅴ 産業の振興、地域資源の活用
  1. 山村地域の発展には、地域資源を活用した産業振興と雇用の場の確保が不可欠であり、農林水産業の振興とその6次産業化の推進を図るとともに、森林資源、農地等の土地資源、優れた環境等を活用した新たな農林業、関連企業の立地・導入等の対策を充実・強化すること。
  2. 森林資源の循環利用による林業の成長産業化を実現し、地域振興を図るため、上川から川下に至る一貫した林業、木材産業の振興対策の拡充強化を図るとともに、地域の自主性を尊重しつつ持続的森林経営、木材利用促進を行うための「次世代林業基盤づくり交付金」の充実・強化を図ること。また、今年度創設された「林業成長産業化モデル事業」を、来年度以降も継続するとともに、先進事例等の横展開を図ること。
  3. 急傾斜地における架線集材・ヘリ集材を含め、現場の実情に即した間伐などの森林施業を推進するほか、施業の低コスト化、再造林対策の強化を図ること。
  4. 林業・木材産業、農業等山村地域における産業の担い手の育成確保対策の拡充・強化を図ること。
  5. 木材価格の安定対策の強化を図るとともに、公共建築物、公共土木分野等における国産材活用の推進、CLT等の地域材を活用した鉄骨構造から木骨構造への転換の推進、木質バイオマスの利用の取組みの促進を図るとともに、地域材の安定的効率的供給体制の確立や森林認証材の普及を図るため、「新たな木材需要創出総合プロジェクト」等の充実・強化を図ること。また、住宅部材開発・標準化、木材・木製品の輸出促進等により木材の利用促進を支援する制度を充実・強化すること。
  6. 木質バイオマス産業化を促進するための施設整備、システム開発を図ること。
    また、農山漁村における再生可能エネルギー導入の促進を図る
    取組み、発生した電力を適正な価格で買い取るシステムの構築を図る取り組み等の対策の充実・強化、それらの取組みを地域経済の発展に寄与させる仕組みの導入を図るとともに、再生可能エネルギーでの発電比率の向上と、発生した電力の送電システムの整備を図ること。
  7. 特用林産物の振興を図るため、「特用林産振興総合対策事業」の予算確保を図ること。
Ⅵ TPPについて

TPP合意は、山村地域の主要産業である農林業に打撃を与える可能性があり、山村地域の住民が誇りを持って農林業を営んでいけるよう十分な配慮を行い、山村地域住民が生活を維持できるよう、万全の対策を講じること。

Ⅶ 鳥獣被害防止
  1. 鳥獣被害問題については、保護対策に偏ることなく、被害対策とのバランスを図るとともに、被害対策に必要な財源を確保すること。また、地域ぐるみの総合対策を推進する「鳥獣被害防止総合対策交付金」及び広域的な森林被害等に対応する「シカによる森林被害緊急対策事業」について事業継続するとともにメニューの充実・強化を図ること。
  2. 鳥獣被害防止特別措置法等に基づき、被害軽減の技術普及を行うなど、地域ぐるみの総合対策を推進するなど、鳥獣被害対策の一層の充実・強化を図ること。
    3.鳥獣被害対策実施隊の設置促進、猟友会等の民間団体の参加促進、林業分野・関係省庁との連携を促進するとともに被害の深刻さの度合いによっては、防衛省・自衛隊は関係省庁と連携して、協力の可能性を検討すること。
  3. 捕獲鳥獣の加工処理施設の設置促進、焼却対策の充実・強化を図るとともに、ジビエ振興対策を講ずること。
  4. 今後、より効果的な対策の導入について検討するために、ドローン等を活用した鳥獣被害対策について研究開発を進めること。
Ⅷ 山村と都市との共生・対流
  1.  グリーン・ツーリズムの一層の普及を行うとともに、地域ぐるみで行う受入体制や交流空間の整備及びNPO法人等の多様な取組主体の育成等グリーン・ツーリズムの総合的な推進を図ること。
  2. 山村における国民の幅広いボランティア活動を促進するための対策の充実・強化を図ること。
  3. 大学生を含め学校教育・社会教育において自然豊かな山村での体験活動を推進すること。
  4. 山村地域へのUJIターン者の定住促進、高齢者の地域社会の活動に参加できる機会の確保、都市との連携強化による山村の活性化の取り組みの充実・強化を図ること。
Ⅸ 道路、情報通信基盤の整備
  1. 山村地域の産業、生活基盤として不可欠な高規格幹線道路、地域高規格道路、一般国道及び都道府県道の整備、特に、二県以上に跨がる県管理の国道整備は、山村地域の振興に大きく寄与しているにもかかわらず、冬期閉鎖期間が長期間に及ぶことにより関係振興山村の発展を大きく阻害しており、こうした県際道路の整備計画を策定の上、計画的に整備促進を図るとともに市町村道の改良・舗装等、立ち遅れている山村地域の道路整備を促進すること。また、基幹的な幹線市町村道路の整備の都道府県代行に対する助成措置を講ずること。
  2. 道路整備のための財源を十分に確保し、特に、地方における道路財源の充実を図ること。
  3. 携帯電話不通地域の解消、インターネットのブロードバンド接続可能地域の拡大、高速光ファイバー網の整備等デジタルディバイドの解消を図るための高度情報ネットワークその他通信体系の充実・強化を図ること。また、地域の実情に即した通信システムの助成を図るとともに、これら通信網の維持のためのランニングコストの助成を行うこと。
  4. ラジオ難聴取地区の解消を図ること。
  5. 防災上並びに観光景観上の観点から無電柱化の推進に当たり、一定の財政措置(過疎債)を講ずること。
Ⅹ 生活環境の整備
  1. 山村地域住民の生活交通を確保するため、地方バス路線維持やデマンドバスの導入・運行対策の充実・強化を図ること。
  2. 山村の簡易水道等施設の整備促進を図ること。
  3. 山村地域の実情に応じて汚水処理施設の整備促進を図ること。
  4. 廃棄物処理施設の整備を推進するため、助成措置を講ずること。また、廃棄物処理施設の解体に対しては、適切な措置を講ずること。
  5. 消防力の充実を図るため、消防庁舎・消防施設等の整備及び改修に対する助成措置を講ずること。
ⅩⅠ 医療・保健・福祉
  1. 山村地域の産科医、小児科医を含めた医師の確保に万全を期すこと。へき地診療所等の運営、医療施設・保健衛生施設の整備、医師及び看護師の養成・確保に対する助成措置の充実・強化を図ること。
  2. 無医地区への定期的な巡回診療、保健師の配置、救急医療用のヘリコプターの拡充を図ること。
  3. へき地保育所の運営、高齢者等の社会福祉施設整備、社会福祉関係職員等の養成・確保に対する助成措置の充実・強化を図ること。
  4. 山村における障がい者施設の整備について、十分な予算の確保を図ること。
  5. 医療、保健、介護、福祉の充実、高齢者の職場、住居の確保は、その地域に居住する高齢者のみならず、都市の団塊世代の山村地域への定住に不可欠であり、都市部との連携の下に、このような観点からの充実・強化を図ること。
ⅩⅡ 教育・文化
  1. 公立学校施設整備、スクールバス等の購入に対する助成措置を講ずること。
  2. 寄宿舎居住費等へき地児童生徒に対する助成措置を講ずること。
  3. 山村地域の文化財の保護等に対する助成措置を講ずることと同時に遺跡発掘体験等により山村の自然に触れる体験交流活動に対する支援措置を講ずること。
  4. 地域の伝統文化・芸能の体験等を通じた子供の育成に努めること。
  5. 教育環境の整備は、都市部からの若者の定住に不可欠であり、その観点からの充実を図るとともに豊かな自然環境や伝統文化等を有する山村の特性を生かした教育の充実を図ること。
  6. 小中学校の統廃合の推進に当たっては、地域活性化の観点に十分配慮すること。
ⅩⅢ 山村地域の自主性の確立
  1. 財源保障機能及び財源調整機能を果たす地方交付税制度の充実・強化を図り、所要額を確保すること。
  2. 基準財政需要額の算定に当たっては、山村自治体が人口割合に比べて広い面積を有し、国土保全、地球温暖化防止等に重要な役割を果たしていることを考慮し、面積要素を重視するなど、山村地域の実情に即したものとすること。
  3. 独自の発想に基づく山村振興を助長するため、山村地域の自主性を尊重する助成措置、過疎地における足の確保の為の道路運送法の規制等規制緩和措置等の幅広い導入を図るとともに、木材のストックヤードの整備等地方創生のために必要な事業について、既存の予算で対応できない場合は、ハード事業も地方創生交付金の対象とすること。
  4. 償却資産に係る固定資産税は、山村地域の市町村の重要な財源であり、仮に廃止、縮小されることがあれば山村地域の市町村の財政に多大なる支障を来すことを踏まえ、現行の課税対象、評価額の最低限度を堅持すること。
  5. 道州制は絶対に導入しないこと。