全国山村振興連盟理事会を開催

全国山村振興連盟は、平成29年10月19日(金)午前10時30分から千代田区永田町の全国町村会館2階ホールにおいて平成29年度第2回理事会を開催した。
最初に、竹﨑一成会長代行から挨拶があり、次いで、来賓として出席された農林水産省農村振興局 松本雅夫 地域振興課長、国土交通省国土政策局 安藤恒次 地方振興課長、総務省自治行政局地域力創造グループ 飛田 章 地域振興室長及び林野庁木下 仁 森林利用課山村振興・緑化推進室長から挨拶をいただいた。
その後議事に移り、竹﨑一成会長代行が議長を務め、「第1号議案 会長の選任に関する件」、11月30日に開催される通常総会に提案する「第2号議案 平成30年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関する件」及び「第3号議案 決議(案)」について審議が行われた。
理事会の内容は、次の通りとなっている。

【竹﨑一成会長代行の挨拶要旨】

本来であれば会長からご挨拶を申し上げるところですが、宮腰前会長が、8月3日、ふるさとづくりの推進及び農林水産物輸出振興担当の内閣総理大臣補佐官にご就任され、当連盟の会長を退任されました。後任の会長につきまして本日の理事会で選任いただくことといたしておりますが、現在、会長が空席でございますので、代わりに私からご挨拶申し上げます。お許しをいただきたいと思います。
さて、本日は、日頃から地元で山村の振興・活性化に日々ご苦労いただいておられる当連盟の役員の皆様方、雨の中しかもご多忙中にも拘わりませず、ご出席賜り誠にありがとうございます。また、農水省、国交省、総務省、林野庁の幹部の皆様方におかれましても、日頃から山村への暖かいご助力、ご指導をいただいております。心から感謝申し上げますとともに、本日は、公務御多忙の折、ご出席賜り、心から感謝申しあげます。
ご案内のように、私ども全国山村振興連盟は、皆様方山村地域の首長さん方と、本日は選挙のためご出席かないませんでしたが国会議員の先生方が会員、理事、会長となって、力を合わせて山村振興施策充実のために様々な活動を致しております。首長さん方と国会議員の先生方が一緒に活動する独特な団体でございます。
お蔭さまで、国におかれては、一昨年の山村振興法の大改正とそれに伴う山村独自の予算制度である山村活性化支援交付金の制度創設を始め、中山間地農業ルネッサンス事業、農泊事業の新設等山村にかかるソフト・ハード事業の拡大、鳥獣被害対策の充実のほか、昨年の税制改正大綱では長年の私どもの念願でありました森林環境税の創設の足がかりができました。また、山村の主要産業である伐期を迎えた林業の対策の充実にも務めていただいております。
しかしながら、山村を取り巻く環境は依然として厳しく、消滅の危機が叫ばれる集落の活性化がなんとしても必要です。これは、我々首長の創意工夫が必要なことはもちろんですが、山村の荒廃は我が国の衰退に直接に係るという山村振興法の精神に照らし、生活環境の整備、医療体制の整備、インフラ充実、子弟の教育、産業対策等の問題について、国の全省庁が一丸となって取り組んでいただかなければならない事柄であり、私どもも力を合わせて訴えていかなければなりません。
本日は、その一環として、年末の予算案決定時の要請内容についてご審議いただき、総会に付議する案を確定していただく重要な理事会です。よろしくお願い申しあげまして挨拶に代えさせていただきます。

【松本雅夫 農林水産省地域振興課長の挨拶要旨】

農林水産省では現在、平成30年度の概算要求で財務省等と様々な議論しているところです。総額2兆6,500億円余の要求をしていますが、最大限予算を確保できるよう頑張っていきたいと思っています。山村振興対策については、皆様方の大変なご尽力により平成27年に山村振興法が改正され、山村活性化支援交付金、山村振興税制特例が実現しました。
山村活性化支援交付金は3年目を迎えていますが、全国の振興山村734のうち109市町村、115の地区で活用されています。この予算をさらに充実させていきたいと思っていまして、既に色々な特産品の開発、雇用の創出まで至っているところもあり、中には、ある県においてお土産大賞を受賞するような、本当に地域の知恵を活かしたものを開発されたところも出てきています。今後、優良事例集みたいなものを作成して、そのような事例の横展開を図っていきたいと思っています。地域で良いものを作って、それが売れて、人が定着し、売れたお金が循環して地域に戻ってくるというようなことの一助になればと思っています。
山村振興税制特例ですが、これまでに5市2町で計画を作っていただいています。その他47の市町村で予定があると承知しています。折角、制度化された税制特例ですので、是非、計画の作成、制度の活用を積極的に検討していただければと思います。地域振興立法による地域指定の状況によっては、山村振興法による税制特例しか適用できない市町村も結構ありますので、是非、積極的な活用をお願いします。
中山間地域対策については、昨年度、中山間地農業ルネッサンス事業を創設しました。優先枠の予算で、昨年度予算額400億円、農業農村整備事業、鳥獣被害防止総合対策、強い農業づくり交付金などが対象となっています。平成30年度は500億円を要求しています。
さらに、農泊、鳥獣被害対策が大変大事だと思っており、鳥獣被害対策については昨年度の95億円から150億円に大幅に増額して要求しています。引き続き、山村振興対策について皆様とともに推進してまいりたいと思います。

【安藤恒次 国土交通省地方振興課長の挨拶要旨】

今年は7月の九州北部豪雨をはじめ台風あるいは豪雨による被害が多く出ております。被災された地域の皆様には心からお見舞いを申し上げますとともに、国土交通省としては、公共施設の復旧、住まいの確保等についていろんな形で復旧・復興を支援していきたいと思っています。
振興山村をはじめ豪雪地帯、半島地域など条件不利地域の振興に取組んでいますが、道路・河川などのインフラ整備、砂防施設による災害防止に取組むとともに、地域公共交通のネットワークづくり、移住・定住のための住まいの確保等生活環境の整備にも取組んでいます。
平成30年度概算要求においては、道路、治水、下水道などの個別の事業費を要求しているほか、社会資本整備総合交付金を1兆484億円、防災・安全交付金を1兆2,128億円要求しています。
先日、群馬県嬬恋村で開催された当連盟の関東ブロック会議に出席しましたが、その場でも地域の皆さんから地域の実情であるとか、創意工夫をこらした取組みについてお話を聞かせていただきました。当連盟の皆さま方と我々も一緒に勉強させていたいだきながら、引き続き努力をしていきたいと思っています。

【飛田 章 総務省地域力創造グループ地域振興室長の挨拶要旨】

地域への人あるいは情報の流れを創出する観点から、「ふるさとワーキングホリデイ事業」とか「お試しサテライトオフィス事業」を本格的に進めています。
地域おこし協力隊は隊員数、受け入れ自治体は確実に増加しています。28年度末では、4,158人の隊員が全国各地で活躍しています。今後とも研修の充実とか、事業の支援により3年の期限が終わった後も素晴らしい人材が地域に定着をしてもらえるような、また、活躍できる環境づくりに取組んでいきたいと思っています。受け入れしている自治体の皆さまにおかれても、地域おこし協力隊員に地域のキーパーソンの方を紹介するとか、活躍しやすい環境づくり、受け入れ体制の整備をお願いしたいと思います。今後とも大いに活用して地域の振興に努めていただければと思います。
30年度地方財政についても、地域の実情に応じて自主性・主体性を最大限発揮して地方創生といったものを推進できるように地方一般財源総額の確保を目指していくとともに、引き続き適切に地方財政措置を確保してまいりたいと思います。
また、山村など地理的に不利地域における情報通信施設の整備等についても引き続き対応してまいりたいと思います。

【木下 仁 林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室長 挨拶要旨】

本年全国で発生した地震や台風、豪雨等により被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに被災者支援、今回特に森林に関する被害もあり、災害復旧に尽力されました皆様に厚く敬意を表する次第です。
森林・林業行政は正に山村振興対策そのものだと思っています。森林の状況、戦後造林された人工林が本格的な利用期を迎えている中で、森林の多面的機能の発揮とあわせて、非常に豊かになった森林資源をどのように使い、循環利用していくかということが、非常に重要な課題になっています。そのためには新たな木材需要の創出や、安定的で効率的な供給体制を構築していくことが大事だと思っています。そのようなことを含めて林業の成長産業化の実現に向かっていくことが重要な課題になっています。特に川上においては、主伐期を迎えており、主伐をした後、着実に再造林をしていただきたいと思いますが、再造林のコストが賄えなくて伐りっ放しになると循環利用が危ぶまれることになります。このために、意欲と能力のある経営体に任せながら主伐、再造林を持続的に展開していくというような取組みを進めていかなければと思っています。これと合わせて、林地台帳の整備を各市町村の皆さんにお願いしているところであり、情報をきちんと整備・活用し、施業を集約化して山村を支える地域活動を支援しています。
このような中で6月に閣議決定された未来投資戦略の中でも林業の成長産業化の実現と、森林施業の適切な管理のための森林管理を意欲ある持続的な林業経営者に集積・集約化するととともに、それができない森林の管理を市町村等が行う新たな仕組みを検討し、年内に取りまとめることになっています。この考えに基づく新たな森林管理についての検討を現在進めています。
この関連で、市町村等が担うこととなる森林整備のための財源をきちんと確保することが重要であり、森林吸収源対策の財源確保として、昨年末の与党税制改正大綱の中で「森林環境税の創設に向け平成30年度の税制改正において結論を得る」ということになっています。今年は森林環境税の年ということで、年末まで非常に時間のない中、現在総務省と検討を進めている段階ですが、皆様にも協力をお願いします。
30年度予算概算要求におきましても、森林整備・治山事業といった公共事業の他、路網整備、高性能林業機械の導入、主伐・再造林の一貫作業の推進といった川上対策と合わせて、川下対策としてCLT等の木材利用の促進、加工利用施設の整備について支援し、林業成長産業化へ向かうための重点的な予算要求を行っています。

◎挨拶をいただいた方以外の政府関係の出席者(敬称略)

農林水産省農村振興局鳥獣対策室長  田中 健一
農林水産省農村振興局地域振興課課長補佐 三重野 信
農林水産省農村振興局地域振興課調整係長 永田 浩章
国土交通省国土政策局地方振興課課長補佐 小林 孝至
国土交通省国土政策局地方振興課小さな拠点形成推進係長 渡邉 真之
総務省自治行政局地域力創造グループ地域振興室 金山 翔太
林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室課長補佐 高畑 啓一
林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室企画係長 高橋 誠

【議 事】

竹﨑会長代行の議長のもとに議事が進められた。

○ 第1号議案 会長の選任に関する件
中谷 元 元全国山村振興連盟会長が会長に選任された。

○ 第2号議案  平成30年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関
する件
岸 事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された。

○第3号議案  決議(案)
岸事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された。