全国山村振興連盟メールマガジンNO136

全国山村振興連盟メールマガジンNO136

2021.8.6

全国山村振興連盟事務局

 

 

〇花博自然環境助成の公募について

 

公益財団法人「花と緑の博覧会記念協会」では、①「自然と人間との共生」の継承発展・啓発普及や②花と緑に関する科学技術・文化などの発展・交流に貢献する事業を対象として助成を行っており、令和4年度事業の公募を行っています。

公益法人、NPO等の団体が対象であり、最大100万円、4分の3以内の助成となりますので、関心のある方はご応募ください。

詳細については、別添のチラシをご覧ください。

20210806花博助成1
20210806花博助成2

 

○2021年7月の農林水産行政の動向

2021年7月の農林水産行政の主な動向は、以下のとおりでした。

 

1 農林水産省組織、3局を新設

7月1日、農林水産省は大幅に組織変更を行い、3局を新設するとともに、大臣官房に1部と1課を新設した。

新設された3局のうち、①「輸出・国際局」は、旧・食品産業局の輸出関連部門と大臣官房国際部が合体したもので、農産物・食品輸出5兆円目標を目指す。②「農産局」は、旧・政策統括官(米・水田政策担当)と旧・生産局園芸作物部門を合体したものであり、耕種農業全体を所管する。③「畜産局」は、旧・生産局のうちの畜産部門が独立したものであり、局として20年ぶりに復活し、牛肉・畜産物の輸出拡大も担当する。

また④大臣官房に新設された「新事業・食品産業部」は、旧・食料産業局の食品産業部門であり、⑤同じく大臣官房に新設された「環境・バイオマス政策課」は、「みどりの食料システム戦略」を担当する。野上農相を本部長とする「みどりの食料システム戦略本部」も立ち上げられ、有機農業の拡大や二酸化炭素の減少を目指す今後の環境政策の具体化についての司令塔となった。

 

2 熱海の土石流を起こした盛り土は、林地開発許可違反

7月1日から静岡県をはじめとする36都府県において大雨が降り、広範な被害をもたらしたが、特に熱海市では大規模な土石流が発生し死者22名、行方不明者5名という惨事となった。

土石流の原因となった盛り土があった現場では、1ha未満の林地開発に関する市町村への届出が行われていたものの、実際には1ha以上の林地開発が行われていた。これには知事の許可が必要であり、平成19年5月、静岡県は林地開発許可違反として事業者に是正措置を指導していた。また周辺の太陽光発電による林地開発については、1ha未満であったが 届出が行われておらず、平成28年6月に熱海市が事業者に対して届出を提出するよう指導していた。

現在静岡県では 盛り土と災害の関連について詳細な調査を行っており、農林水産省も災害の原因究明に協力している。また、農林水産省は国土交通省と連携し、全国の盛り土について点検を進めることとしている。

 

3 食料サミットのプレサミットに野上農相が出席

9月に行われる「国連食料システム・サミット」に先立って、7月26日から 28日まで、ローマで閣僚級の準備会合(プレサミット)が開催され、野上農相が出席した。野上農相としては、初の海外出張となった。

9月のサミットは、国連事務総長の主催により、「将来にわたり持続することのできる農業生産・食料供給のあり方」が、首脳級で議論される初めての国際会議となる。野上農相は、環境負荷の削減に貢献する「みどりの食料システム戦略」を説明するとともに、生産者・消費者等60以上の関係者等と行った意見交換の内容も踏まえて、「各国がその置かれた自然の条件のもとで、最適解を見つけていくことが重要である」と訴えた。

会議では、食料システムの変革に向けてアイデア・取り組み内容を共有することとされた。

また 7月26日、野上農相はフランス農業・食料大臣と共同文書に合意し、「持続可能な方法で生産された食品による栄養バランスのとれた食生活の推進」が重要であることを訴えた。さらにEUの農業・農村開発担当委員(閣僚級) とも共同文書に合意し、研究開発・人材育成に関し日欧で連携を強化することとなった。アセアン諸国との間でも、共同文書に合意した。

 

4 太平洋クロマグロの漁獲枠が拡大

7月21日から29日まで太平洋クロマグロの管理に関する国際会議が開催された。「中西部太平洋まぐろ委員会(WCPFC)北小委員会」及び「全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)」の合同作業部会において、以下のように合意された。

  • 中西部太平洋では、大型魚の枠を15%拡大する。また漁獲枠17%を上限とした未利用分の繰り越しを認め、今後3年間延長する。
  • 小型魚の漁獲枠から大型魚への振替については、3年間、小型魚枠の10%を上限として1.46倍換算して振り分けることができる。
  •  小型魚については、増枠しない。

この方針は 11月下旬に行われるWCPFC年次会合で正式に決定される見通しであるが、この会合に向け、水産庁は引き続き働きかけをしていきたいとしている。

 

5 米の水田作付け転換面積が上積み

7月29日、農林水産省は「食料・農業・農村政策審議会食料部会」を経て、米の基本方針を決定した。主食用米の作付面積見込みとしては、6万5000haと 過去最大規模の作付け転換が行われる見通しとなった。

米の長期にわたる需要減少傾向に加え、昨年来のコロナ禍による需要減少もあって、米の需給均衡のためには大幅な作付け転換が必要であると、農林水産省・農業団体が全国的に訴えてきた成果が表れたものと言える。平成3年産の主食用米の生産量は、平年作の場合 694万トンから696万トンと見込まれている。

他方6月末の 民間在庫は 210万トンと、前年6月末に比べ19万トン増えて適正在庫水準を上回っており、米の需給動向を注視する必要がある。

 

6その他

(1)  国民運動「ニッポンフードシフト」を立ち上げ

農業・農村に対する国民の理解を醸成し、行動変容につなげていくための国民運動として、農林水産省は、「食から日本を考える ニッポンフードシフト」を立ち上げた。これは、農林漁業者・食品事業者の努力や創意工夫につき消費者の理解を深め、国産農産物の消費拡大など応援をしてもらうための新たな国民運動である。7月20日から公式ウェブサイトを開設し、多様なメディアを活用し、農業サイドの取組や地域の食品・農林漁業の魅力を発信していくこととしている。

 

(2)  緊急事態宣言下で影響は継続

新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言が、東京都・沖縄県に加え 埼玉県・千葉県・神奈川県・大阪府でも発令され、また、まん延防止等重点措置についても5道府県が加わったことにより、農林水産業・食品産業への影響が長期化することとなる。外食産業については、令和3年6月の売り上げは、前年6月に比べ 2割の減少となった。

また、農産物については、飲食店の時短営業、外食向け食材や贈答品の需要減少、観光需要の減少等により価格が低下傾向にあるものの、一部品目を除いては徐々に回復していると伝えられる。農林水産省としては、従来から講じてきている様々な支援策を用いて、影響に対応したいとしている。

 

(3)  WTOで漁業補助金の規制について議論

7月15日、WTO 関係閣僚会合が Web 会議により開催され、野上農相と鷲尾外務副大臣が出席した。この会合では100カ国以上の貿易大臣等が出席し、野上農相は、①SDG‘sに基づくとともに、すべての国が柔軟性を発揮して議論すべきこと、② 適切な資源管理を行っている場合には、漁業補助金は許容されるべきこと、との主張を行った。水産庁は、資源管理を含め水産政策の推進に必要な補助金を確保したいとしている。

 

(4)  米の先物取引の本上場への移行を申請

7月16日、大阪堂島商品取引所は商品先物取引法に基づき、これまで試験上場という形で行ってきた米の先物取引につき、本上場に移行することを申請した。試験上場期間は8月7日までとなっており、それまでに農林水産省が要件に基づき判断する必要がある。大阪堂島商品取引所は、本上場が認められない場合でも、試験上場を再度申請することはないとしている。