全国山村振興連盟メールマガジンNO326

全国山村振興連盟メールマガジンNO326

 

                        2025.6.6

                     全国山村振興連盟事務局

 

〇2025年5月の農林水産行政

 

2025年5月の農林水産行政の主な動向は以下の通りでした

 

1 江藤農相が辞任し小泉新農相が就任

5月18日、江藤拓農相は佐賀市内での講演で「米は買ったことがない。支援者の方々がたくさん米をくださるので。まさに売るほどある。家の食品庫に」 と発言した。翌19日の参議院決算委員会で江藤氏は「不適切だった」と釈明したものの、立憲民主党など野党5党の国会対策委員長は更迭を要求するとともに、不信任決議案提出を検討する状況となった。

5月21日、江藤農相は首相官邸で石破茂首相に辞表を提出した。同日、石破首相は、後任に小泉進次郎元環境相を起用した。小泉氏は2015年から2年間、農林部会長を務め、農業の規制改革や農協改革など安倍政権の農政を党側から推進した。小泉新農相は「米担当大臣だという思いで、集中して取り組んでいきたい」と話した。

 

2 米対策で政府備蓄米の放出を随意契約化

3月以降、政府備蓄米を放出しても高値から下がらない米価格に関して、農林水産省の対策は大きく揺れた。5月20日、令和6年産米の4月の相対取引価格(60キロ当たり)は、前月比 5%(1226円)高の27,102円となり、過去最高値を更新した。年間を通じた平均価格も前月までの2万4500円より97円高い 2万4597円となり、過去最高値を記録した。前年同期のほぼ2倍という高水準となった。

こうした高値が続く米価格に対して、5月16日、農林水産省は米の流通安定に向けて政府備蓄米の入札方法を一部見直すと発表した。5月から7月は毎月10万トンの政府備蓄米を放出することとし、スーパーなど販路を確保した上で入札に参加する集荷業者が優先的に落札できる枠を新設して、毎月6万トンを当てることとした。国が放出分と同量の米を買い戻すルールは「原則1年以内」から「原則5年以内」に延長した。

5月21日、石破首相は党首討論で5kg当たりの米価格について、「米は3000円台でなければならない。4000円台ということがあってはならない」と述べた。 こうした動向を受けて、小泉新農相は 21日夜の就任記者会見で、翌週予定していた備蓄米の入札を中止し、随意契約に向けて検討を指示したこと、備蓄米の需要があれば無制限に放出すること、備蓄米の売渡し先をスーパー や外食にも拡大することなどについて述べた。

5月26日、農林水産省は政府備蓄米を売り渡す随意契約の詳細を公表した。 対象を大手小売業者に限定し、売渡し価格は玄米 60kgあたり1万700円(税抜き)とする。放出量は30万トンで、令和4年産米が20万トン(同1万1010円 )、令和3年産米が10万トン(同 1万80円)とする。前回の第3回入札の平均落札価格は同2万2302円だったので、ほぼ半分の水準となる。農林水産省は、小売価格が 5kg 2000円程度(税込 2160円程度)となる水準だと想定している。国が売り渡した備蓄米と同量を5年以内に買い戻す条件は削除した。

5月27日、農林水産省は、随意契約で放出する政府備蓄米について、30社を超える事業者からの購入申し込みが約20万トンを超える見通しとなり、受付を休止した。続いて、中小の小売業者や米穀店を対象として、令和3年産米8万トンの政府備蓄米の売渡を開始し、随意契約の申込みが1450件に達したことから、6月2日に受付を休止した。

5月29日、随意契約による政府備蓄米のインターネット販売が始まった。アイリスオーヤマと楽天グループは、直営電子商取引サイトで販売を開始したが、購入希望者が殺到し、短時間で売り切れた。また、5月31日、イトーヨーカ堂とアイリスオーヤマは、政府備蓄米を店頭で販売した。

 

3 令和7年産米の収穫量見込みは大幅に増加

5月23日、農林水産省は主食用米の生産について 4月末時点での各都道府県の作付け意向を取りまとめた。令和7年産米の収穫量見込みは前年比40万トン増の719万トンと、増加幅は調査を開始した平成 16年以降で最大となる見込みとなった。

最大産地の新潟県をはじめ34道県で増産となる見込みであり、主食用の米の作付け面積は全国の合計で131.7万ヘクタールとなる。政府は需給の逼迫を受けて25年産米の備蓄米の買入れ入札を当面中止するため、備蓄米向けの1.7万ヘクタールが主食用に回る。これらを合わせると、7.5万ヘクタール増の133.4万ヘクタール となり、生産量に換算すると 719万トンとなる。

収入が拡大するという観測により、農業者の生産意欲が増大しているとみられる。主食用米の作付け面積が伸びる分、飼料用米は令和6年産9.9万ヘクタールから3.2万ヘクタール減少し、6.7万ヘクタールとなる見込みとなっている。

 

4 米国関税措置につき 6月の合意を視野に3回の閣僚交渉

5月1日(日本時間5月2日)、トランプ米政権による追加関税をめぐり、 米ワシントンで日米両政府による2回目の閣僚協議が行われた。赤沢亮正経済再生担当相は、「両国間の貿易の拡大や非関税措置、経済安全保障面での協力などについて具体的な議論を進めることがきた」と語った。

5月23日、石破茂首相とトランプ大統領は電話で協議し、カナダでの主要7カ国首脳会議( G 7サミット)に合わせ首脳会談を開くことを確認した。

5月23日、3回目の閣僚協議が米ワシントンで行われ、赤沢亮正大臣は 「前回以上に率直かつ突っ込んだやり取りをした」と述べた。赤沢氏は現地時間午前10時45分からラトニック米商務長官と同氏の私邸で約90分間 会談。午後には米通商代表部(USTR)のグリア代表とUSTR本部で120分会談した。過去2回の協議で出席した統括役のベッセント財務長官は参加しなかった。

5月30日、4回目の閣僚協議が行われ、赤沢亮正大臣は、ベッセント米財務長官、ラトニック米商務長官と面会した。閣僚交渉後、米財務省は、「財務長官は関税や非関税措置への対処と投資の拡大、経済安全保障や他の懸念事項に共同で対応する重要性を強調した」と公表した。

日本側は 大豆・とうもろこしなど農産品の輸入拡大、米国車の輸入手続きの簡略化、造船分野での協力といった事項を検討しているものと伝えられる。なお、第3回の協議に重なるタイミングで、トランプ大統領は日本製鉄による米鉄鋼大手 USスチールの買収を承認すると述べた。一方で、5月30日、トランプ氏は、 鉄鋼・アルミへの追加関税を50%に倍増させ、6月4日から適用すると表明した。

 

5 改正森林経営管理管理法が成立

5月23日、改正森林経営管理法が参議院本会議において、自民・立憲民主など与野党の賛成多数で可決・成立した。改正法では、森林経営の担い手や路網整備の方針などを定めた「集約化構想」をもとに「集約配分一括計画」を定めることができることとし、市町村の負担を減らす。

また、森林所有者の探索などの業務を「経営管理支援法人」に任せられるようにする。共有林や所有者不明森林の経営管理権を市町村に設定する際の要件を緩和し、共有林の同意要件は「共有者全員」から「半数以上」にする。所有者不明森林の広告期間は6ヶ月から2ヶ月に短縮する。

更に、林地開発許可の条件に違反する事業者に対する罰則を新設する。 開発中止・復旧の命令に従わない場合は事業者名を公表できるようにする。

 

6 その他

  • 対中水産物輸出手続きを再開へ

5月30日、林芳正官房長官は、中国が令和5年8月から全面停止していた日本産水産物の輸入再開に向けた手続きを開始することにつき、日中双方で合意したと表明した。日本側で輸出関連施設の再登録手続きが完了し次第、再開する。輸入再開は、福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、長野、新潟の10都県を除く道府県の水産物が対象となる。

日本側は中国が求める安全性を担保するため、水産物の加工施設などうぇお事前に登録する。セシウム137など決められた放射性物質について、輸出品目ごとに検査証明書をつける。

 

(2)3月の農産品輸出は2割増、関係閣僚会議を開催

5月1日、農林水産省は3月の農林水産物・食品の輸出額が前年比2割増の1419億7100万円になったと公表した。日本食人気などを背景に牛肉が東南アジア向けに 急拡大したほか、米や緑茶も伸びた。牛肉は 22%増の63億1500万円となり、特にベトナムは 2億4千万円増、タイが1億9000万円の増だった。米国・台湾でも、それぞれ1億円の増となった。コメは23%増の12億9200万円、緑茶が34%増の41億9600万円でとなった。

今後は最大の輸出先であった米国で、4月に発動した相互関税による影響が懸念される。

5月30日、農林水産物・食品の輸出拡大に関する関係閣僚会議が開催され、重点品目はこれまで29品目としていたが、これにカキ・カキ加工品及びナシを加え、全31品目とするよう輸出拡大実行戦略が改定された。

 

  • 食料・農業・農村白書を閣議決定

5月30日の閣議において、「令和6年度食料・農業・農村白書」が閣議決定をさた。今回の白書では、特集として、①新たな食料・農業・農村基本計画、②合理的な価格の形成、③スマート農業の3つを取り上げている。

また、特徴的な動きをトピックスとして、①農林水産物・食品の輸出、②みどりの食料システム戦略の進展と消費者の行動変容、③女性活躍、④農福連携、⑤令和6年能登半島地震等への対応を取り上げている。

 

(4)江藤農相、中山間支払い拡充を表明

5月9日、江藤拓農相は閣議後記者会見で、「中山間地域等直接支払い制度」の拡充に向けて、傾斜要件などを見直し、支援対象を広げる考えを示した。 江藤農相は中山間地域について、「地方創生として守っていくならば、支援は手厚くすることが基本」と述べ、山に囲まれた平地や山頂にある平地で傾斜がないために支援の対象にならない農地についても、輸送コストもかかり生活インフラの管理があるとして、支援対象に含める方向で検討する考えを示した。

 

  • 農林中金が連結決算で赤字8兆円と発表

5月22日、農林中央金庫は令和7年3月期の連結決算を発表し、純損益が1兆8078億円の赤字だったとした。農林中金は令和6年度、米欧の金利上昇で評価損が拡大した国債について、約17兆3000億円の売却を進めたため。経常収支は前年同期比 34.2%減の1兆9844億円。経常費用は売却損の計上で同30.2%増の3兆7534億円となった。総資産は資産の売却で同16.3%減の83兆 4988億円となった。市場運用資産残高は約40兆円で同約16兆円の減となった。

一方で1兆4000億円規模の資本増強を実施したため、北林太郎理事長は「資本増強の結果、収支は改善基調だ 」と語り、今季は黒字回復を見込むとしている。

 

◎全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームからのお知らせ

 

全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム(事務局:栃木県那須町ふるさと定住課)から、次のお知らせがありました。

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①事務局からのお知らせ(3件)

<1件目>

  • 題名

専門部会(第3回負担軽減部会)を開催しました【令和7年4月14日】

  • 内容

二地域居住の更なる促進に向けて、「中長期的な観点から検討すべき課題」への具体的な対応方策を検討するとともに、予算的・制度的な政策提言を目指して立ち上がった専門部会のうち、二地域居住等に伴う諸費用の負担軽減のあり方を議論・検討する「負担軽減部会」の第3回目が開催されました。(議事概要、部会資料はこちら)

https://www.mlit.go.jp/2chiiki_pf/information.html#info250522_4

 

<2件目>

  • 題名

専門部会(第3回登録・地域関与部会)を開催しました【令和7年4月16日】

  • 内容

二地域居住の更なる促進に向けて、「中長期的な観点から検討すべき課題」への具体的な対応方策を検討するとともに、予算的・制度的な政策提言を目指して立ち上がった専門部会のうち、二地域居住者の登録・証明と地域への関わりの環境整備を議論・検討する「登録・地域関与部会」の第3回目が開催されました。(議事概要、部会資料はこちら)

https://www.mlit.go.jp/2chiiki_pf/information.html#info250522_3

 

<3件目>

  • 題名

専門部会(第3回担い手・人材部会)を開催しました【令和7年4月23日】

  • 内容

二地域居住の更なる促進に向けて、「中長期的な観点から検討すべき課題」への具体的な対応方策を検討するとともに、予算的・制度的な政策提言を目指して立ち上がった専門部会のうち、地域の担い手としての活用のあり方、企業・官公庁の人事制度のあり方等を議論・検討する「担い手・人材部会」の第3回目が開催されました。(議事概要、部会資料はこちら)

https://www.mlit.go.jp/2chiiki_pf/information.html#info250522_2

 

 

②国交省からのお知らせ

  • 題名

「地方移住促進テレワーク拠点施設整備支援事業」に係る令和7年度執行予定額調査のご案内

  • 内容

令和8年度に実施する「地方移住促進テレワーク拠点施設整備支援事業」に係る執行予定の概算額を把握するため、国土交通省各地方整備局より、都道府県都市部局→市町村都市部局の経路で調査が発出されております。

本事業は、市町村と特定居住支援法人(広域的地域活性化法第28条)が交付対象となっております。調査詳細は、市町村都市部局にご確認ください。なお、自治体の皆様におかれましては、都市部局と二地域居住担当部局とがきちんと連携されるよう、ご協力をお願いいたします。

(参考)地方移住促進テレワーク拠点施設整備支援事業:

https://www.mlit.go.jp/toshi/kankyo/telework_project.html

 

 

③会員からのお知らせ(3件)

<1件目>

  • 題名

「テレワーク採用の活用事例集」の公開【総務省(請負事業者:株式会社パソナJOBHUB)】

※本事例集は、総務省より株式会社パソナJOB HUBが受託した「令和6年度テレワークを活用したデジタル人材の地域への定着に関する調査研究」の一環として作成したものです。

  • 内容

地域における人材確保の新たな選択肢として「テレワークを活用した遠隔・地域採用(テレワーク採用)」に焦点を当て、都市部の企業、地方の学生・教育機関、地方自治体を対象にアンケートやヒアリングによる調査を実施するとともに、今後、テレワーク採用を実施する際に参考となる事例を取りまとめた「テレワーク採用の活用事例集」を作成いたしました。

 

本事例集は、以下の総務省のテレワーク関連ページにて公開されています。

・総務省テレワーク関連ページ

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/

・事例集PDF

https://www.soumu.go.jp/main_content/001008353.pdf

 

企業のテレワーク採用実施に際しての課題解決の事例や、地域との連携・共創に関する具体的な事例を掲載しておりますので、会員の皆様の活動にも通じる部分があるのではないかと考えております。

今後の皆様のご活動の参考となりましたら幸いです。

 

 

<2件目>

  • 題名

ITとビジネスで地域を元気に!サイバー大学「離島振興・地方創生奨学金」【サイバー大学】

  • 内容

サイバー大学は、完全オンラインでIT・ビジネスを深く学べる4年制大学です。

地域貢献への強い思いを持つ皆様へ、授業料を大幅に免除する「離島振興・地方創生奨学金」制度をスタート。

地域活性化への熱意や実績に応じて学費が軽減され、本学での学びが地域を支える力となります。

地域の企業・自治体におけるIT人材育成、二地域居住者の活躍に加え、地域の担い手の流出防止も支援します。

詳細・お申込はこちら

https://www.cyber-u.ac.jp/tuition/original_scholarship_03.html

詳しい説明をご希望の場合は以下までご連絡ください。

サイバー大学事業統制企画室(jcei-jikotenken@jcei.co.jp

 

<3件目>

  • 題名

那須町「ふるさとアプリ」がリニューアルします【栃木県那須町】

  • 内容

那須町の関係人口向けサービス「ふるさとアプリ」が、令和7年6月3日(火)よりリニューアルいたします。

当プラットフォームの第3回「登録・地域関与部会」でも事例紹介をさせていただいた施策です。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)と進めており、属性や訪問頻度に応じてグラデーションをつけ、町外在住者や二地域居住者限定の特典などを設けています。

ご興味のある方は、那須町ふるさと定住課までお気軽にご連絡ください。

 

▼各種添付ファイルは、下記のURLよりダウンロードできます。

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添付ファイル:全2点

https://download.transfer.hennge.com/jxvaIkYzTN_oME

URLの有効期限: 2025-06-12 19:03 (日本時間)

ファイルダウンロードパスワード:

cmkK6TAO

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