全国山村振興連盟メールマガジンNO348
2025.11.7
全国山村振興連盟事務局
◎2025年10月の農林水産行政
2025年10月の農林水産行政の主な動向は以下の通りでした
1 高市新内閣で 鈴木憲和氏が農林水産大臣に就任
10月21日、石破茂内閣が総辞職したのに伴い、衆参両院で首相指名選挙が行われ、第104代首相に高市早苗衆院議員( 自民党総裁 )が選出された。 自公連立政権から公明党が離脱した一方、日本維新の会が閣外協力の形で連立に加わり、自民・維新連立政権という新たな枠組みでスタートした。
高市新首相は 直ちに組閣を行い、小泉進次郎農林水産大臣の後任に鈴木憲和 衆院議員が初入閣した。鈴木新農相は、2005年に東京大学法学部を卒業し、農林水産省に入省。2012年に退官後、同年中に山形2区から出馬して初当選し、昨年の衆議院選挙で5選を果たした。外務大臣政務官、自民党青年局長などを経て、2023年に農林水産副大臣に就任。昨年11月からは復興副大臣を務めていた。1982年生まれの43歳で、小泉前大臣( 44歳 )に続いて 若手の農林水産大臣となった。
2 米収穫量は1割増で 748万トン
10月10日、農林水産省は令和7年産の主食用米の収穫量が前年産より68万5000トン( 10.1% )多い 747万7千トンとなる見通しを公表した。来年6月末の民間在庫量は218万トン~232万トンとなる見込みとした。作況指数に替わり作柄の良し悪しを示す新指標「作況単収指数」も示し、102とした。収穫量は全国で6割の収穫を終えた 9月25日時点の見通しである。主食用米の作付け面積は前年産から10万8000ヘクタール ( 8.6%)増えて 136万7000ヘクタール だった。
10月24日、農林水産省は 10月13日~19日にスーパーで販売された米の平均価格( 5kg、税込み)が前週比 109円高の4251円だったと公表した。 価格上昇は5週ぶりとなった。銘柄米の価格は4501円で 同61円高となった。
10月31日、農林水産省は米の民間在庫が9月末時点で前年同月比 47万トン ( 32% )増の196万トンだったと発表した。 9月末としては 2年ぶりの高い水準となった。
3 食料自給率は38%で横ばい
10月10日、農林水産省は令和6年度の食料自給率を公表した。供給カロリーベースの食料自給率は38%で前年度から横ばいであり、15年連続で40%を下回った。小数点以下まで見ると、令和6年度は 38.24%で、前年度から 0.2 ポイント上昇した。主食用米の消費量や砂糖原料のテンサイ・サトウキビの生産量の増加がプラス要因となった。一方、小麦の10アール当たり収量、大豆・野菜の生産量の減少などはマイナス要因となった。
生産額ベースの食料自給率は、前年度比 3ポイント増の 64%となった。生産額ベースの食料自給率は、国民が消費した食料の生産額のうち、国内生産額の割合を示す。令和6年度は 米・野菜・畜産物の国産価格の上昇がプラス要因となった。
また4月に閣議決定した基本計画において、新たに定められた「 摂取カロリーベース」の食料自給率は、令和6年度は46%で、令和5年度から1ポイント 増えた。令和6年度の飼料自給率は、前年度比 1ポイント減の26%だった。飼料用米の作付け面積や生産量の減少などが影響した。
また 輸入飼料による生産も反映する「 食料国産率 」では、供給カロリーベースで前年度と同じ47%、生産額ベースで同2 ポイント上昇して69%となった。
4 クマ対策で閣僚会議を開催、防衛省は自衛隊の派遣へ
10月30日、政府はクマ対策に関する関係閣僚会議( 議長 木原稔官房長官 )の初会合を開いた。本年度クマが原因で亡くなった人は12人に上っている。 またクマの人身被害は、 9月末までで99件、被害者数 108人となっている。
環境省は、自治体がハンターを職員として雇うための交付金を今年度内に新設する。また令和8年度予算概算要求で37億円を求めた 「指定管理鳥獣対策事業費 」(免許や スキルを持った人が公務員ハンターとして働く 仕組み ) については、補正予算に前倒しして計上する。
本年 9月に施行された改正鳥獣保護管理法では、クマが人の生活圏に出没した際の緊急銃猟を認めた。これまでは 原則として発砲できなかった住宅地でも、一定の条件を満たせば市町村の責任で猟銃を使うことができる。すでに札幌市、 仙台市、秋田県横手市などで実施した。また10月28日、防衛省は 秋田県知事の要望を受けて、クマによる人的被害が深刻な秋田県に対し、自衛隊の部隊を派遣する方針を固めた。(11月5日から秋田県鹿角市で支援対策を開始)
5 食料システム法が一部施行、米コストの指標の本格検討を開始
10月1日、「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律」 ( 食料システム法) の一部が施行された。 農業と食品産業との連携強化を促す「 計画認定制度 」を新設し、原材料の国産化などを進める食品関連事業者の計画を認定して、資金面で支援する。 農林水産省は2030年までに1000件の認定を目指すこととしている。
また10月3日、農林水産省は 生産コストを考慮した米の価格形成に向けて、 産地が価格交渉の材料にできる米の「コスト指標 」の作成に向けた議論を本格
化させた。食料システム法に基づくコスト指標作成団体の設立も視野に置きながら、生産・流通・小売などの関係者で作る準備会合を初めて開催した。今後、 指標の計算方法、作成する団体の組成や認定について検討することとしている。
食料システム法の全面施行は、来年4月を予定している。コスト指標など価格形成の実効性を高める仕組みづくりについて議論が続いており、今後コメ以外の品目についても、指標作成に向けた検討が本格化する見通しである。
6 その他
(1) 小泉農相がフィリピンに出張
小泉農林水産大臣は、10月1日から 2日まで、 ASEAN +3農林大臣会合への出席のため、フィリピンに出張した。 ASEAN +3 農林大臣会合は、ASEAN各国と日中韓の3か国が毎年1回一同に会する意見交換の場であり、ASEAN首脳会合につなげていくとの意味合いも持っている。
今回の会合では ASEAN 地域の食料・農林業分野における技術協力の方向性 や食料安全保障について議論した。またこの出張の機会を捉え、議長国フィリピンのラウレル農業大臣など参加各国との会談を行った。
(2) 北海道で鳥インフルエンザが発生
10月22日、農林水産省は北海道白老町の採卵鶏農場で、高病原性鳥インフルエンザの疑似感蓄を確認したと発表した。農場での同病発生は今季初めてとなった。同日に農林水産省は防疫対策本部を開き、初動対応の重要性や道との緊密な連携について確認した。
北海道では、苫小牧市で 10月15日に回収されたオオタカの死骸から、今季 野鳥として初めて同病のウイルスが確認されていた。農場での初発は過去最も早い10月17日だった昨季とほとんど同時期となった。
(3) 北海道産のサケが不漁で漁獲が大幅減少
北海道産の秋サケ定置網の水揚げは、 前年を大きく割り込む不漁であり、10月10日現在の漁獲数は391万尾台、前年同期比 6割減という凶漁となった。 サケ漁は9月から10月がピークであり、不漁だった 前年同期と比べて さらに大きく減少している。これを受けて 秋サケの10月の卸値は1キロ当たり 2500円前後と前年同期の3倍となった。北海道産イクラの新物の卸値は前年の2倍以上で、1キロ1万8000円から2万円以上となっている。日本のイクラ消費量の8割を占める北米産などの輸入卵も、今秋は前年よりも 4割高い水準となった。
北海道では 稚魚の放流を 140年前から行っているものの、海の環境変化で最近のサケの回帰率は1%から2%と低迷している。
(4) 農産品輸出が最速で1兆円を達成
10月1日、農林水産省は2025年 1月から8月の農林水産物・食品の輸出額が前年同期比 15%増の1兆579億円となったと公表した。過去最速で1兆円台を突破した。直近 8月の輸出額は、前年同月比 14%増の1190億 6600万円。
品目別では緑茶の伸びが著しく、8月の輸出額は同2.3倍の59億円だった。 牛肉も好調で、8月の輸出額は同8%増の51億円だった。米も好調だがペースは徐々に落ちており、8月の輸出額は同11%増の10億円、輸出量は同3%増の3472トンとなった。
◎全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームからのお知らせ
全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム(事務局:栃木県那須町ふるさと定住課)から、以下のお知らせがありました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- 題名:【11/25開催】 SHARE SUMMIT 2025 -関係人口・二地域居住フォーラム-【一般社団法人シェアリングエコノミー協会】
- 内容:
昨年約3000名が参加したシェアサミットが今年も開催。
今年のテーマは「令和のインフラを再定義する」。インフラを再定義する上で重要となる4つの分野(二地域居住、サステナビリティ、モビリティ、地域創生)のフォーラムを同日開催。
関係人口・二地域居住フォーラムでは「ふるさとをふやす、幸せをふやす。“人口をシェア” する新しい日本のカタチ」として、当PF共同代表の津田佳明氏(ANA HD)をはじめとするキーパーソンが登壇します。
事前登録でオンライン視聴無料・交流会つき現地参加も早割実施中
https://sharing-economy.jp/ja/sharesummit/ss2025
- 題名:【11/17(月)開催】令和6年度「二地域居住先導的プロジェクト実装事業」採択団体情報共有イベント(二地域居住促進フォーラム)【主催 JR東日本(協力 国土交通省)】
- 内容:
令和6年度「二地域居住先導的プロジェクト実装事業」に採択された各団体による取組発表等を行うほか、関係人口創出に取り組む企業による基調講演を行います。
・場所:TAKANAWA GATEWAY Convention Center Conference Hall B。高輪ゲートウェイシティでのリアル開催のほか、オンライン生配信も実施いたします。
・申し込みURL:https://forms.gle/DacbNrAsCBr6oKsv7
・【添付ファイル】以下のURLからファイルをダウンロードできます:
https://download.transfer.hennge.com/bmDPvKSOdFfw93
URLの有効期限: 2025-11-18 13:47 (日本時間)
ファイルダウンロードパスワード:
aGx6UjPQ
◎「農山漁村」経済・生活環境プラットフォームからのお知らせ
「農山漁村」経済・生活環境創生プラットフォーム(事務局:農林水産省 農村振興局農村計画課農村活性化推進室)から、以下のお知らせがありました。
—————————————————————
(1点目)
【参加者募集】「農山漁村」経済・生活環境創生プラットフォーム第1回情報発信会について(農村振興局農村計画課)
農林水産省は令和7年11月13日(木)に「農山漁村」経済・生活環境創生プラットフォーム第1回情報発信会を開催します。
情報発信会は、プラットフォーム内での取組により明らかとなった農山漁村の持つ課題や可能性、現在行われている先駆的な取組等をより多くの関係者に共有し、農山漁村に関わる人材の増加や農山漁村コミュニティの生活・経済面の基盤構築に向けた機運を醸成することを目的としております。
第1回の本会では、今年度実施中である”地域金融機関との協働による官民共創の仕組み”を活用した農山漁村課題の解決に関する取組をテーマに開催いたします。
各地域金融機関の取組紹介や、パネルディスカッションの開催を予定しております。なお、会場参加の方は情報発信会終了後に、他の参加者や登壇者との交流会も実施する予定です。
本会を通して、農山漁村の地域課題解決における地域金融機関の役割や意義に関する知見を深めていただき、地域課題解決の取組を開始するきっかけになればと考えておりますので、ぜひ御参加ください。
・開催日時及び場所
■日時:2025年11月13日(木)15:00~17:30
■会場:農林水産省 6階 共用第2会議室(東京都千代田区霞が関 1-2-1)
■開催形式:会場+ オンライン配信(ハイブリッド形式)
■登壇者:静岡銀行、あいち銀行、その他地域金融機関(農林水産省事業協働先)数行、福井県農林水産地方創生センター(福井県庁、福井銀行等によって運営)、
カンダまちおこし株式会社(十六FG)、一般財団法人ちいき未来研究所(山口FG)、金融庁、内閣官房、他調整中
■参加者層:自治体、金融機関、一般企業、農山漁村の課題に関心のある個人等
■参加人数:会場20名、オンライン50名※定員に達しましたので枠を拡大しております!ぜひ御応募ください!
■参加費:無料
■申込フォーム(申込締切日:令和7年11月10日(月)18時)
https://forms.office.com/r/UPBEVH7Lnm(外部リンク)
希望者多数の場合は先着順とさせていただき、募集人数に達し次第、受付を締め切らせていただきます。参加希望に添えない場合は、電子メールでその旨連絡いたします。
※当日タイムテーブルは上記の申込フォームのページを御参照願います。
(2点目)
【参加者募集】地域循環共生圏フォーラム2025について(環境省)
環境省では、地域が主体性を持って、環境だけでなく経済・社会に貢献する地域づくりを目指す「地域循環共生圏」の取組を進めています。
このたび、地域循環共生圏のさらなる広がりを目的に、地域循環共生圏フォーラム2025「地域に着目する企業・金融の実践と共創~環境×社会×経済の好循環を目指して~」を開催いたします。
本フォーラムでは、持続可能な地域づくりを進める省庁・企業・金融機関・地域プレイヤーが一堂に会し、各地の実践を共有しながら、学び・交流・連携を深めます。
当室もブース出展をいたします。ぜひ御参加ください。
<プログラム内容>
・地域づくりに関連する施策を所管する省庁(環境省/厚労省/経産省/総務省)の担当者によるセッション
・地域での実践を進めている企業・金融機関によるパネルディスカッション
・交流タイム/情報交換会
日時:11月18日(火)13:00~17:05
場所:イイノホール&カンファレンスセンター(東京都千代田区内幸町2-1-1飯野ビルディング4階)
主催:環境省
対象:民間企業、金融機関、民間団体、自治体、省庁関係者、 等
参加予定者数:500名
申込: https://business.form-mailer.jp/lp/687b4b77309401
HP:https://www.env.go.jp/press/press_00803.html
★ 対面でのご参加をおすすめします!★
本フォーラムでは、登壇者・参加者が直接、自由に意見交換や質問を行える時間を設けています。
関係省庁(登壇省庁に限らない10施策以上が集結)・企業・金融機関・地域プレイヤーのブース・展示コーナーを設置し、
オンラインでは得られない、顔を合わせた交流による新たなつながりの創出や、共創のきっかけづくりを目的としています。
ぜひ会場にお越しいただきネットワークの構築の場としても活用していただけますと幸いです。
◎農業農村情報通信環境整備準備会からのお知らせ
農業農村情報通信環境整備準備会(事務局:農林水産省地域整備課)から、以下のお知らせがありました。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
『農業農村における情報通信環境整備のガイドライン』を更新
「情報通信環境整備用語索引」(P67~71)について
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/jouhoutsuushin/pdf/jouhou_tsuushin-80.pdf
情報通信環境整備に関連する各用語について、どうやって読むの?という疑問にお答えするため新たに「ふりがな」を追加しました。
また、下記の例に加えそれ以外にも新たな用語を掲載しております。ぜひご活用ください。
新たに加わった用語(例):
「GEO」「HAPS」「IP・IP通信」「IOWN」「RTK-GNSS」「Wi-Fi6」「バックホール」「プラチナバンド」
「プライベートLTE」「プロトコル」「ベンダー」「マルチホップWi-Fi」「ライセンスバンド・アンライセンスバンド」など。
