全国山村振興連盟メールマガジンNO351

全国山村振興連盟メールマガジンNO351

 

                        2025.11.28

 

                        全国山村振興連盟事務局

◎自民党山村振興特別委員会の概要について

 

11月20日木曜日、午前9時から、自民党本部101号室において、自由民主党山村振興特別委員会(委員長:岡田直樹参議院議員)が開催されました。司会進行は、同委員会事務局長 進藤金日子参議院議員が務められました。

岡田委員長の挨拶の後、農林水産省より「令和8年度山村振興関係予算概算要求等」についての説明がありました。

続いて、当連盟から、竹﨑会長代行、大石副会長、保科副会長による要請の発言があり、その後、出席の国会議員等による意見交換が行われました。意見交換の際、中塚副会長、富田副会長、陶山副会長からも意見開陳を行いました。

当連盟から要望した事項は、以下のとおりです。

 

○竹崎会長代行(熊本県芦北町長)第1に、緊急を要するクマ対策だが、本年は北海道・東北を中心にクマによる人身被害が頻発している。死者数13人に上ると言われており、本日は北海道・東北ブロックの副会長からも発言を予定しているので、現場からの声をお聞き取りいただきたい。今後の山村地域の持続的発展を考える上でも、クマ対策は喫緊の重要な課題である。クマ対策のために関係閣僚会議を開催し、また被害対策パッケージを策定していただき、感謝申し上げる。本年9月からは市町村による緊急重量も行っているところであり、また当連盟が以前から要望していた自衛隊の出動もなされたところであるが、この問題には市町村だけでなく、警察や自衛隊を含む国と自治体を挙げての取組が必要なものと考えている。当時の自衛隊への要請については、持てる銃器で一斉掃射をしてほしいほどだったが、今は法令遵守の範囲内で活動いただいている。今後、クマなどの有害鳥獣の個体数の大幅削減も含め、山村住民が安全に暮らせる環境の整備を是非とも願う。

昨日のテレビでも、「もはや、ハンターは絶滅危惧種になりつつある」ということを言っているのを見たが、大変深刻な状況である。それに鑑みて、私も今年、銃砲による狩猟免許を獲得した。 まず隗より始めよということであって、早速この冬から山に登って行く時間があればと、いろいろ思うが、まず姿勢を示すことが大事だと思っている。ちなみに、狩猟・射撃歴は58年だが、狩猟の免許を獲得したのは、それほど切実であるということをご理解いただきたい。

第2に、移住政策等の充実である。先生方に尽力いただいたおかげで、改正山村振興法が今年4月から施行されており、改めてお礼申し上げる。その改正法にもあるところだが、二地域居住対策など関係人口の増加や移住政策を含めた山村の人口維持に関する政策は、山村市町村の首長にとって最も重い課題となっている。高市内閣では「地域未来戦略本部」が新たに設置されたと承知しているが、その一環として議論されている「ふるさと住民登録制度」をはじめとして、大都市から人口が分散し地方への流れができていく政策について、強力に推進していただくことをお願いする。

第3に地方における医療の充実である。山村振興連盟の理事会・総会でも常に出てくる課題であり、山村では医師等の医療従事者が大幅に不足している。また診療所も軒並み赤字経営を余儀なくされているという苦しい状況にある。医療なくして安定した生活はない。医療の格差は命の格差でもある。本年末には診療報酬制度の見直しが行われるものと聞いており、農山村地域の苦境を踏まえて手厚い支援がなされるようお願いする。

最後であるが、物価高対策の早急な実施、交通空白対象対策の実効性ある政策化、教育格差の是正など盛りだくさんの課題があり、このことは改正山村振興法の各条文に盛り込まれている内容でもある。これらを含め、よろしくお願い申し上げたい。

 

○大石副会長(北海道鶴居村長)第1は、ヒグマ対策である。まずもって去る11月14日にクマ被害対策パッケージを策定していただき、速やかな対応に心より感謝を申し上げる。今、クマ対策というのは非常に大きな課題になっているところであり、我が北海道においても、ヒグマは例年以上に市街地あるいは人里近くに出発するようになってきたことを実感している。 私も今年夏、車で走っている最中に2度ほど道路を横断するクマにも遭遇したところであり、明らかにヒグマが、身近なところまで移動してきていると感じている。

こうした状況を踏まえながら、数点お話をさせていただきたい。1つ目に、広域的な個体管理体制の確立についてである。クマの行動範囲というのは、町村をまとめながら数十キロにも及ぶとも言われている。その意味からも、公的な対応が必要と思っており、自治体での対応は限界に来ていると感じているので、国の指導のもとで、北海道・都府県のエリアを超えたデータ共有、捕獲の調整、生息管理の枠組みなどを整えていただければありがたい。

2つ目は、専門人材の養成と装備体制の強化ということである。担い手になるハンターが不足している状況があるので、今後に向けて次の時代に担う若手ハンターの育成が非常に大切と思っており、これに対する恒常的な支援を考えていただければと思っている。

そして、地域住民の安全確保だが、クマの出没は、農地、集落、子どもたちが通う通学路にも及んできており、地域の安心そのものを揺るがしている。地域住民がクマとの遭遇を避けるために、日没後の外出を自粛し、日々の生活においても制約を受けるようになってきたと感じている。 また、緊急銃猟についても、現場からは、市町村の実施のタイミング、ハンター自身の安全確保、発砲時の責任の所在など、いろいろなご意見が地元でも出ているところなので、こうした不安に対する払拭について発信していただければありがたい。 防除、追い払いだけではなく、地域住民への教育、啓発活動、防除の設備維持費の支援等々を含め、その対策の一環として位置づけながら進めることが必要と考えている。

クマ対策は、鳥獣被害対策だけではなく、地域の暮らし、命を守る安全保障の課題というふうにも捉えることができる。 国の明確なリーダーシップの下で進めていただくことを改めてお願い申し上げる。

そしてもう一つは、山村振興対策に関連する農業の「多面的機能支払い交付金事業」のさらなる必要性ということである。北海道も気候の変化を実感しているところであり、北海道の東部においても大雨、長雨が多くなってきており、今年の夏には線状降水帯が発生するなど、そのことによって草地、排水路などにも今まで以上に被害が出ている状況にある。我々の地域は酪農・畜産が主な農業であり、草地に関連する維持管理の負担が大きくなってきている。多面的機能交付金は、農村を守る砦でもあるが、現行水準では資材、燃料の高騰などによって、こういった取り組みの経費が追いつかないというところもある。その意味からも、草地をはじめとする交付単価の引き上げ、あるいは制度の充実につき、改めて検討いただければありがたい。

 

○保科副会長(宮城県丸森町長)令和8年度の山村振興関係予算についての説明に感謝申し上げる。私ども山村地域にあっては、こうした支援事業などを展開しながらであっても、なかなか人口減少、少子化に歯止めがかからない状況にある。東京一極集中という大きな流れの中で、いかようにしてこれらの予算を活用しながら若い方々を地域に留めようという流れを作るかと努めているが、一極集中が止まらない。

丸森町の状況を言うと、経済的に負担をかけることなく生活をしてもらおうということで、18歳までの学校の無料化、雇用の確保、出産祝い金、給食費の無償化などを行っているが、それでも若い方々が出ていってしまう状況である。国による二地域居住の拠点地域づくり、あるいは地域に帰ってほしいという施策がありながらも、一極集中が止まらないとうたことについて、抜本的にしっかりと地方に帰れるような対策を作っていただきたいという思いである。

鳥獣対策についても、人口が減少することによって農地が荒廃する、そうした中で有害鳥獣が里山に降りてくるといった状況にある。昔はそうではなかったはずであり、人口減少は山村地域でこそ大変な状況になっているということである。

そしてまた、丸森町は令和元年東日本台風で町政史上最悪の被害を受けたところである。それらについても農地、山林が荒廃をしている中で、土砂崩れが起きたという面もある。そうした意味で、地方に若い人が残れる、あるいは地方から地方に人口が移動する、という流れをしっかりと作っていただきたいと思っている。地方創生については、今まで国政の中で行われてきた経過があるが、もう一度検証し、本当に今までの事業が地方にとって良かったのかということをしっかりと検証していただき、幅広い形の中で山村が、そしてまた地方が活性化できるように進めていただければと感じている。私からは一極集中なり、地方への活性化、そうしたことについて改めて検証していただければと思うので、よろしくお願いしたい。

 

○中塚副会長(福井県おおい町長) 様々な課題はすべて 都市への 人口流出に根源的な問題がある。 人が流出するからクマの問題や産業の問題が生じており、 すべてが 人口 流出から起こっている。 日本の構造的な問題である。 これを自治体の自己責任としてしまうことはできないのであって、そういった観点から取り組みをしてほしい。

人材を確保し 産業成長化 も促すためには、革新技術、DX が必要である。 国レベルで ビジョンを 持った上で、 政策を充実してほしい。

 

○富田副会長(埼玉県横瀬町長) 1 少子化対策について 自治体は自主財源を伴いながら、 給食費 無償化などを行ってきた。 しかし 少子化対策は 地域の課題ではなく、国の課題である。 給食費 無償化は大きな一歩 であるが、さらに思い切った施策を講じていただきたい。

2 一局集中是正は待ったなしの課題である。 かつて経済の一極集中には 産業面で成果があったという経過があるのだとしても、 今や様々な面で曲がり角 に来ている。 東京の地価は著しく上昇し、普通のサラリーマンがマンションを買えないような状況になっている。 踏み込んだ政策を講じてほしい。 人口集中には経済合理性があるため、ビジネスではその是正は難しい。 これに対して官公庁や教育機関は、政策的な配置をすることが可能である。地方での防災庁の設置もこれに寄与するだろう。

二地域居住政策も、小さいが大きな一歩となる。 自治体で取り合っていた人口をシェアする政策である。100対0でどちらかというのではなくて、地方と都市が大きくシェアし合うような形となるようにしてほしい。

 

○陶山副会長(鳥取県南部町長) 地域に様々な課題があるが、荒廃する地域では人がいないために 竹の地下茎が著しく増えている。 くずたけである。産業の中で竹細工などで使用することもなくなった。人が地方に行かないことが問題である。「おてつたび」によって都会の子が竹を切って元の土地に戻す取り組みを行っている。ささやかでも支援には感謝しており、地域の方からは少しのお金のお礼や美味しいもの、米などのお礼を行っている。 こうした人たちが、山村に住むことは難しいかもしれないが、都会にはこうした若い人がいることも事実である。二地域居住 など関係性を作ることが重要であり、国・関係省庁も、知恵を出してもらいたい。 二地域居住や関係人口の政策には 伸びる可能性がある。

 

国会議員の先生方からは、

  • 山村振興に関する十分な予算の確保
  • 鳥獣被害対策予算の拡充
  • 鳥獣被害防止のための森林管理
  • 人口減少・少子化防止のための対策
  • 山村からの人口流出と活力の維持
  • 二地域居住対策の推進
  • 太陽光発電に関する考え方

などについて、意見が出されました。

 

 

◎ 第2のふるさとづくりプロジェクトからのお知らせ

 

第2のふるさとづくりプロジェクト(事務局:観光庁)から、以下のお知らせがありました。

 

令和7年度採択地域の取り組みおよび公式サイトリニューアルのお知らせ

 

本プロジェクトでは、地域と企業が持続的かつ双方向の関係を築くことを通じて、関係人口の創出・拡大や地域課題の解決を目指すモデル構築を進めております。

 

令和7年度は、以下の2つの事業区分において、全国16地域が実証事業として採択されています。

 

・先駆的事例創出モデル実証事業(8地域)

→ 地域と企業の協働による、先進的なモデルの創出を目指す取組

 

・企業版第2のふるさとづくりモデル実証事業(8地域)

→ 企業との持続的な関係性を育む、実践的なモデル構築を目指す取組

 

また、本プロジェクトの公式サイトもこのたびリニューアルを行い、

自治体・企業それぞれに向けた情報発信の充実を図っております。

※各事業の採択地域も下記の公式サイトからご覧いただけます。

 

▼「第2のふるさとづくりプロジェクト」|公式サイト(リニューアル版)

https://www.mlit.go.jp/kankocho/anewhometown/

 

さらに、企業版事業の取り組みを広く周知するため、本プロジェクトと連携する形で、東洋経済オンラインにて特集記事が掲載されました。実証地域のさまざまな事例や企業との取り組みの様子が紹介されていますので、ぜひご覧ください。

 

▼【掲載記事】企業と地域が育ち合い、継続的な来訪へ繋げる(東洋経済オンライン)

https://toyokeizai.net/articles/-/903232

 

今後は、各地域での実証内容や進捗、企業との連携事例などを、メールマガジンやInstagram等を通じて随時発信してまいります。

 

▼公式Instagram(@anewhometown)

https://www.instagram.com/anewhometown/

 

▼いくたび(プロジェクト情報・特集記事等)

https://ikutabi.go.jp/

 

引き続き、推進ネットワークへのご参画とご支援を賜りますよう、

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

———-

観光庁「第2のふるさとづくりプロジェクト」

令和7年度事務局

お問合せ先:anewhometown@kankochoshigenka.jp

———-

 

◎「農山漁村」経済・生活環境プラットフォームからのお知らせ

「農山漁村」経済・生活環境創生プラットフォーム(事務局:農林水産省農村計画課 農村活性化推進室)から、以下のお知らせがありました。

 

【参加者募集】「田植え不要の米づくりコンソーシアム」コンソーシアム(農村振興局地域振興課)

農林水産省では、我が国の主食である米を安定的に供給することが求められる中、省力化に資する田植え不要の米づくり(直播栽培)の取組を推進すべく、12月17日(水)に第2回「田植え不要の米づくりコンソーシアム」コンソーシアムを開催します。

第2回のテーマは、乾田直播・湛水直播を予定しており、実践農業者等や地方公共団体等による取組事例の紹介やパネルディスカッションを通じて、取組状況や課題について情報共有を行い、今後の直播栽培の推進に向けた検討を行うこととしております。

オンライン配信もございますので、是非ご参加ください。

詳細については、以下のプレスリリース及びホームページをご確認ください。

https://www.maff.go.jp/j/press/nousin/tyusan/251126.html

https://www.maff.go.jp/j/nousin/tauehuyou_cs.html

 

申込みは以下のリンクからお願いいたします。

https://business.form-mailer.jp/fms/e66bf47b319258

 

【開催概要】

開催日:令和7年12月17日(水)13:00~17:00(予定)

場所:農林水産省講堂 ※オンライン配信あり

テーマ:乾田直播・湛水直播

  1. 乾田直播・湛水直播の現状について(農林水産省から説明)
    2. 実践農業者、地方公共団体等からの発表(株式会社西部開発農産、そまやまビレッジ株式会社、愛知県農業総合試験場、富山県広域普及指導センター、株式会社クボタ 、株式会社オプティム、株式会社マイファーム)
  2. 実践農業者、地方公共団体等によるパネルディスカッション(株式会社西部開発農産、そまやまビレッジ株式会社、株式会社クボタ、亀田製菓株式会社、株式会社ビビットガーデン、株式会社雨風太陽、愛知県農業総合試験場、富山県広域普及指導センター、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)

4.農林水産省からの政策紹介

 

---------------------