全国山村振興連盟メールマガジンNO264

全国山村振興連盟メールマガジンNO264

 

2024.3.8

全国山村振興連盟事務局

  • 2024年2月の農林水産行政

2024年2月の農林水産行政の概要は、以下の通りでした。

 

 1食料・農業・農村基本法改正法案など3法案を閣議決定

2月27日、政府は、食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案など、次の3法案を閣議決定した。

  • 食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案は、近年における世界の食

料需給の変動、地球温暖化の進行、我が国における人口の減少その他の食料・農業・農村をめぐる諸条件の変化に対応し、食料安全保障の確保、環境と調和の取れた食料システムの確立、農業の持続的な発展のための生産性の向上、農村における地域社会の維持等を図るため、基本理念を見直すとともに関連する基本的施策等を定める。

  • 食料供給困難事態対策法案は、米穀、小麦、大豆その他の国民の食料、食生

活上、国民経済上重要な食料の供給が大幅に不足し又は大幅に不足するおそれが高い事態に対応するため、食料供給困難事態対策本部の設置、当該食料等の安定供給の確保のための輸入・生産の促進、出荷の調整の要請等の措置を定める。

  • 食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業

振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案は、我が国の食料及び農業をめぐる情勢の変化にかんがみ、国民に対する食料の安定供給を確保するため、国及び都道府県において確保すべき農用地の面積の目標の達成に向けた措置の強化、農地の違反転用に対する措置の強化、農地所有適格法人の食品事業者等との連携による経営の発展に関する計画の認定制度の創設等の措置を講ずる。

 

2 能登半島地震の被災地を坂本農相、岸田総理が訪問

2月4日、坂本哲志農林水産大臣は、石川県能登半島に赴き、能登半島地震により甚大な被害を受けた輪島港、農地の地すべり、畜産農家などの現場を視察するとともに、被災農業者、漁業者、畜産事業者から意見・要望を聞いた。

政府はすでに 1月25日に「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ 」 を公表して支援策を講じている。また2月1日、水産庁は被災した石川県珠洲市の漁港海岸で国による直轄の代行工事を実施すると発表した。港湾である輪島港、小木港、飯田港などでも、国土交通省の直轄による本格復旧が行われることとなっている。

漁港では、地盤・隆起など重大な被害を受けた約20港について、①短期的な生業再開のための仮復旧、②中長期的な機能向上のための本復旧と、段階を分けて復旧する方針とした。特に 原形復旧は困難とみられる漁港については、 予備費を用いて、水産庁直轄による調査を年度内に実施する予定となっている。

また2月24日、岸田文雄首相は、能登半島地震の被災地を視察した。首相は 穴水町の避難所などを訪問。輪島市では日本海に向けて棚田が広がる景勝地 「白米千枚田」の被害状況も視察した。また農業、漁業関係者や伝統工芸・輪島塗の事業者らと対話を行った。

これを受けて政府は、今年度予算の予備費から1000億円規模の追加支出を行うことを決定し、住宅再建に向けた最大300万円の新たな交付金について、珠洲、輪島など能登地域の6市町を対象として、半壊以上の住宅被害のあった世帯に対し、高齢者や障害者のほか若者、子育て世代でも資金の借り入れが困難な世帯などを対象にすることとした。

 

3 林政審議会に次期森林整備計画案を提示

2月20日、農林水産省は林政審議会を開き、次期森林整備保全事業計画の素案を示した。次期成果指標では、花粉症対策に関する指標を新設することとしている。

森林整備保全事業計画は、農林水産大臣が森林法に基づき全国森林計画の作成と合わせて5年ごとに立てる計画である。全国森林計画に掲げる森林の整備・保全の目標の計画的な達成に資するため、森林整備保全事業(森林整備事業、治山事業)の実施の目標や成果指標等を定めるもの。パブリックコメントを実施し、4月頃の林政審議会で答申、5月頃に閣議決定される予定となっている。

主な事業の実施目標としては、①「複相林化の推進」は、森林・林業基本計画において複相林に誘導することとされている 340万ヘクタールの育成、単相林のうち、 複相林へ誘導した森林の割合を増加させることとし、現状値で令和 5年度1.5%のところを目標は10年度で4.3%とする。②「花粉発生源対策の加速」化としては、人工造林面積に占める花粉の少ない杉苗木植栽面積の割合を増加させることとし、現状値3年度で50%のところを目標値 10年度で70%とする。③「森林資源の循環利用の促進」では、林道等の林業基盤の整備により木材の安定的かつ効率的な供給に資することが可能となる育成林の資源量を増加させることとし、現状値で5年度に約21億7000万立米のところを目標値 10年度に約25億5000万立米とする、などとなっている。

 

4 栃木県の養豚場で豚熱が発生

2月16日、栃木市のワクチン接種済み養豚場で、国内 90例目、栃木県5 例目となる豚熱が発生した。県は、5例目の発生を受けて、殺処分、焼却の作業を行った。

農林水産省は、ワクチン接種した農場であっても、野生動物や人を介して ウイルスが農場に持ち込まれることがあるため、飼養衛生管理の向上を図ることが最も重要としている。

感染経路については、 2月17日農林水産省は、同省職員、疫学の専門家 などからなる疫学調査チームを現地に派遣して、感染経路の調査を行った。

毒性の強いアフリカ豚熱の感染が韓国の釜山広域市において急拡大している状況を受けて、農林水産省は養豚農家に飼養衛生管理の徹底を呼びかけている。

 

5 二地域居住促進法案を閣議決定

2月9日、政府は、都市と地方に生活拠点を持つ「二地域居住」の促進策を掲げた関連法改正案を閣議決定した。この法案では、次のような規定が盛り込まれている。

  • 市町村は、居住者を積極的に受け入れる区域を設定し、設定した区域内では、

特例として共同作業スペースなどを開設しやすくする。

  • 住まいの確保に向けては、 公的賃貸住宅整備に交付金を支給する。
  • 市町村は、対象となるエリアや整備を目指す施設などを明記した「特定居住

促進計画」を作成し、施設を整備する際は建築基準法の規制にかかわらず、共同作業スペースなどを作ることができる。

  • 市町村はNPOや民間企業を支援法人」として指定することができる。この

場合、市町村は求人などの情報を提供し、支援法人は特定居住促進計画の見直しを提案することができる。

  • 市町村は計画の内容を話し合うため、住民や地元企業などを集めて協議会

を設置することができる。

政府は法案とは別に、①起業を活用したお試し居住施設、②地域住民との交流施設の整備を財政的に支援することとしている。

 

6 その他

(1) 国営諫早湾干拓事業に関し、漁業団体幹部が農相と面会

2月14日、佐賀・福岡・熊本 3県の漁業団体の代表は、坂本農林水産大臣と面会し、令和5年3月の「潮受堤防排水門を開門せず、有明海の再生を図る」とした大臣談話への賛同を表明する文書を提出した。坂本農相は、諫早湾干拓事業をめぐっては、長い経緯がある中で、漁業者を代表する 3県の漁業団体が一致して賛同したことが大きな転機であるとし、有明海再生の加速化のための必要な支援の実現に向けて全力で取り組んでいくとしている。

 

(2) 米先物上場を堂島取引所が申請

2月21日、堂島取引所(大阪市)は、米の先物市場の開設に向け農林水産省と経済産業省に認可申請を行った。同社は米の先物取引から一旦撤退した経緯があるが、米の流通価格から算出する指数を取引する仕組みで復活を目指す。今回は期間限定の「試験上場」を経ずに「本上場」を申請した。

米の先物取引に関しては、同社が2011年8月に試験上場を開始。 2年間の試験期間を4度延長し、2021年に本上場を申請したものの、取引参加者が伸び悩んでいることなどを理由に同省は上場を認めなかった。このため、昨年11月に最後の取引が終了していた。

 

(3) 食品輸出額 1月には 14.4%の増加

2月21日財務省が発表した1月の貿易統計速報では、食料品輸出額は前年同月比 14.4%増の717億円となった。6ヶ月ぶりの増加であり、2桁増となったのは10ヶ月ぶりだった。

肉類は10.5%増の1500億円、数量ベースでは8.2%増の24万トン。穀物類は11.0%減の924億円、数量ベースでは5.6%減の167万トン。野菜は3.3%増の606億円、数量ベースでは3.0%減の21万トン。果実は16.1%増の458億円、数量ベースでは4.5%増の17万トンとなった。

国・地域別で見ると、中国による日本産水産物の輸入規制の影響が続いている一方で、米国向けが伸びた。米国は9.1%増の125億円で最も金額が大きく、他方、中国は22.2%減の65億円となった。

 

(4)デジタル技術指針「農業 DX 構想 2.0」 を公表

2月22日農林水産省は、 農業現場でのデジタル技術の推進に向けた新たな指針「 農業 DX( デジタルトランスフォーメーション)2.0」を公表した。有識者検討会(座長:三輪泰史日本総合研究所エキスパート)が取りまとめたもので、農業の未来予想図として、人工知能・ AI などで農作業が自動化し物流が最適化される世界を描いている。

先端機器の導入コストの高さ、営農データの共有の仕方など実装に向けた課題も示された。新たな構想ではスマート農機などデジタル技術の活用、データの円滑な連携、資金・情報、技術・指導・機械など有形・無形のリソースが必要とされている。

 

林野庁等主催「みどりとふれあうフェスティバル」出展者募集について

 

「Forest Style ネットワーク」(事務局:林野庁 森林利用課 山村振興・緑化推進室)から、以下のとおり、林野庁等主催「みどりとふれあうフェスティバル」出展者募集について連絡がありました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

「みどりの月間」(4/15~5/14)中の5月11日、12日に、第33回森と花の祭典-「みどりの感謝祭」の併催行事として、「みどりとふれあうフェスティバル」を開催します。

同フェスティバルでは、緑の恵みを体感できるような普及・体験に資するブース出展を予定しており、現在、出展者を募集中です。

 

「みどりとふれあうフェスティバル」

日時:令和6年5月11日(土)11:00~17:00

   令和6年5月12日(日)11:00~16:00

場所:高尾599ミュージアム前広場等(出展内容によって館内も使用可能)

 

申込期限:令和6年3月22日(金)

申込み方法:以下の「出展申込様式」の様式に必要事項を記載し、みどりの感謝祭運営事務局(TSP太陽株式会社)までメールで送付

出展にあたっては、

・出展は無料です。

・主催者からテント1張、テーブル1、椅子2が無料で貸し出されます(それ以上は出展者負担)。

・出展数は15団体程度を想定しています(出展内容によって変動がありえます)。

・物販はできません。なお、例えば木工作体験のキット代の実費徴収は可能です。

・飲食物の販売はできません。

詳細は以下のリンクをご覧ください。

 

◎出展のご案内(国土緑化推進機構Webサイト)

https://www.green.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024FES_syuten.pdf

 

◎出展申込様式(国土緑化推進機構Webサイト)

https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.green.or.jp%2Fcms%2Fwp-content%2Fuploads%2F2024fes_moushikomi.xlsx&wdOrigin=BROWSELINK

 

(関係サイト)

🌲林野庁ホームページ:森林サービス産業の創出・推進

🏕Forest Styleポータルサイト(国土緑化推進機構):森と人と。フォレストスタイル

📗林業・山村振興に関する専門家ブログ:椎野塾からのメッセージ

 

 

◎「中山間×ICTフォーラムー未来の地域づくりを考えよう」の開催について

農業農村情報通信環境整備準備会(事務局:農林水産省地域整備課)から、3月12日に、北陸農政局において「中山間×ICTフォーラムー未来の地域づくりを考えよう」を開催するとの連絡がありました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

北陸農政局で実施している「令和5年度情報通信技術(ICT)を活用した地域振興プロジェクト調査」から見えてきた、中山間地域におけるICT活用も含めた課題解決の方向性について、有識者・実践者のお話をお聞きするフォーラムとなります。是非ご視聴ください。

 

【開催日時】

令和6年3月12日(火曜日)14時00分~16時30分

 

【開催方式】

Zoom

 

【内容】

(1)開催の挨拶

(2)基調講演

「無住集落の傾向と、地域資源の保全」

金沢大学人間社会学域 地域創造学類 准教授 林 直樹

(3)事例発表・パネルディスカッション

ディスカッションテーマ

テーマ1:集落や地域資源を維持・保全する意義って?

テーマ2:集落や地域資源の維持・保全において、ICTに期待すること・できること

登壇者

・パネルディスカッションモデレーター

復興農学会会長 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 溝口 勝 氏

・パネリスト

農事組合法人よこさわ 常務理事 中條 薫 氏(新潟県長岡市横沢地区)

塩尻市企画政策部 参事・最高デジタル責任者(CDO)デジタル戦略課長 小澤 光興 氏(長野県塩尻市)

NPO法人 WACおばま 理事長 鳥居 直也 氏(福井県小浜市上根来地区)

・アドバイザー

金沢大学人間社会学域 地域創造学類 准教授 林 直樹 氏

 

【申し込み】

下記URLから各自お申し込みください。

中山間×ICTフォーラム申込フォーム (questant.jp)

 

【参考】

https://www.maff.go.jp/hokuriku/news/press/nouson/240229.html