全国山村振興連盟メールマガジンNO214

全国山村振興連盟メールマガジンNO214

 

2023.3.3

全国山村振興連盟事務局

  • 山の恵みプロジェクトの成果報告会のご案内

農林水産省農村振興局より、山の恵みプロジェクトの成果報告会のご案内がありましたのでお知らせします。

 

山の恵みプロジェクトとは、農山漁村振興交付金(山村活性化対策(商談会開催等事業))における以下の取組です。

1山村振興セミナー:

商品開発に関する「基礎講習」と、商品開発やマーケティングの専門家による個別支援の下、チームで事業を企画する「ワークショップ(勉強会)」

2商談会支援:

商品の販路拡大のための展示商談会への出展支援(商談会における支援だけでなく、商品PRのコツや写真の撮り方などの実践的セミナーも含む)

 

今年度は株式会社ジェイアール東日本企画が実施主体となりました。

 

3月10 日の報告会では、ジェイアール東日本企画及び農林水産省の担当者から、次年度の参加者募集のお知らせも兼ね、今年度の実施成果や次年度の山村活性化対策事業について、ご紹介します。

 

山村活性化支援交付金を活用し、地域資源を活用した商品・サービスの開発や販路拡大に取り組みたいといったご興味ご関心がありましたら、是非、ご視聴ください。

下記URLよりアクセスしてください。事前登録不要です。

 

< “山の恵みプロジェクト”の成果報告会>——————

■日時:令和5年3月10日(金)13:00~14:30

■開催:オンライン(Zoom)

■プログラム概要

①令和4年度事業の報告②マーケティング基礎講習優秀者のレポート発表、解説/修了証授与

③山村活性化対策事業優良事例発表/パネルディスカッション④令和5年度事業のご案内

 

▼視聴URL

https://us06web.zoom.us/j/88294563218?pwd=US8yMzZwYmc5UlVOeURVMlk5SWVLdz09

・ミーティングID: 882 9456 3218

・パスコード: 234084

 

 

○2023年2月の農林水産行政

 

2023年2月の農林水産業の主な動向は、以下の通りでした。

 

1 2022年の食品支出は過去最大

2月7日、総務省は2022年の家計調査(2人以上世帯。平均2.91人)を発表し、2022年の消費支出の全体は 349万 0383円で前年よりも4.2%の増加、うち食品は98万2661円で3.1%の増加であって、過去最大になったと発表した。 食品支出の増加の要因は、外食が大幅に増加したこと、値上がりした調理食品への支出増となったことが大きい。その分、家庭で調理する生鮮食品は支出の減少となっている。物価の影響を除いた実質で見ると前年比1.3%の減少と、物価高で全体の支出が増える中で 多くの品目で購入数量は落ち込んだ。 米や野菜・果実の支出は、物価の影響を除かない名目でも前年比で減っている。

増加率が最も大きかった品目はタマネギで、4518円と27.4%の増加。出回りの減少による高値が影響した。日常的に使われている他の野菜や豚肉なども増え、ダイコンは1644円で6.0%の増加などとなっている。一方、支出額が最も減少したのはジャガイモで、2716円と10.2%の減少だった。これは北海道産の不作により、年前半は品薄で価格が高騰し、消費が離れたもの。また単価の高い牛肉や果実といった品目では支出の減少が目立ち、牛肉は2万2356円と3.7%の減少、 ブドウは3073円と3.4%の減少などとなっている。物価高による節約志向によって消費が落ち込んだものである。

 

2 2022年の農林水産物・食品の輸出は過去最高の1兆4148億円

2月3日、農林水産省は2022年の農林水産物・食品の輸出額が、 前年比14.3%の増で過去最高の1兆4148億円となったと発表した。

内訳は農産物が対前年比10.3%増の8870億円。このうち加工食品は9.9%増の5052億円、畜産品は11.3%増の1268億円、穀物等は12.2%増の627億円、野菜・果実等は20.6%増の687億円、林産物は11.9%増の638億円、水産物は28.5%増の3873億円となった。減少した品目は、さば、かつお・まぐろ類、牛肉、貝柱調製品などであった。

主な輸出先国・地域は、中国が25.2%増の2783億円、香港が4.8%減の2086億円、米国が15.2%増の1939億円、台湾が19.6%増の1489億円、ベトナムが23.8%増の724億円となった。

全体として 輸出額が増加した背景には、①多くの国・地域で外食向けがコロナによる落ち込みから回復したこと、②小売店向けやEC販売等の販路への販売が引き続き堅調だったことに加え、円安による海外市場での競争環境の改善も追い風となったとしている。日本政府が政府一体で進めてきた輸出拡大の取り組みも輸出を後押しした。

 

3 農林業センサスの農業集落調査廃止案を撤回し修正案を了承

2月21日、農林水産省は 第5回2025年農林業センサス研究会を開催し、農業集落調査の修正案を示し了承された。農林業センサスは5年ごとに日本の農林業・農山村の基本構造やその動向を全数調査により把握する最も基幹的な統計調査である。

農水省は当初、次回2025年のセンサスで農業集落調査を廃止する方針を提示していたが、委員や学者などから強い反対が表明され、11月の第3回研究会では 修正案を提示していた。

今回農林水産省が示した修正案では、調査対象者について農林業センサス農林業経営体調査客体候補名簿に記載されている者の中から農業集落ごとに1人の調査対象者(①自治会長等、②自治会長等がいない場合は個人経営体のうち経営耕地面積大きい者等)を選定し、民間事業者から調査対象者へ往復郵送により調査を行うというもの。調査事項は2020年農林業センサス農山村地域調査票(農業集落用)と同じとした。

 

4 牛乳・乳製品の需給緩和で価格引き上げ交渉、輸入脱脂粉乳の入札見送り

牛乳・乳製品については、需給が緩和していることに加え、飼料の価格高騰などもあって酪農家の経営状態は急速に悪化しており、北海道など生乳の主産地では、現在の乳価では餌代も出ないとの声が強くなっている。

関東ブロック生乳団体はこうした背景を受けて、生乳1キロ当たり15円の引き上げを乳業メーカーと交渉中である。昨年11月には10円 引き上げて、1キロ当たり129円としたところであるが、 各地域の指定団体によって、6月から 適用になる新しい年度の生乳価格について、15円から20円の範囲で引き上げの交渉を行っているところである。

こうした状況を受けて農林水産省は、「輸入乳製品について脱脂粉乳以外で入札を行う」との方針を示した。日本は世界貿易機関 (WTO) の協定でカレントアクセス(現行輸入機会)として、生乳換算で年間13.7万トンの輸入機会を提供する義務を負っている。12.7万トンは入札済みであり、残りは1万 トンであるが、何を入札の対象とするかは日本側で決めることができるため、需給が緩和している脱脂粉乳以外のバターオイル、ホエイ、バターなどを対象に輸入価格の入札を行うこととした。

 

5 基本法検証部会 で 備蓄や理念を議論

2月10日と 24日の両日、 農林水産省は食料・農業・農村基本法の検証部会を開催した。 10日の部会では 備蓄などをテーマとして議論し、 輸入に頼る穀物や肥料の備蓄が必要であるとする一方、財政負担の大きさも踏まえて民間在庫などを含む「総合的な備蓄」が必要であるとした。「総合的な備蓄」 とは、 国内の生産能力、国内の民間在庫在庫、 海外の農地(日本向け契約栽培)、 海外の倉庫の在庫、海外からの輸送 を含む ものとして備蓄を検討する必要があるという考え方である。

2022年に成立した経済安全保障推進法に基づき 肥料については 特定重要物資に指定され、国が備蓄を支援する方針となっている。また知的財産の適切な管理や活用が 農業競争力の維持・強化に不可欠だとしている。

24日の検証部会では、 食料・農業・農村基本法の基本理念の見直し方向 として、 食料安全保障について 追加すべき理念に「 国民一人一人が活動的・健康的な 活動を行うために必要な食料を将来にわたって入手可能な状態」を掲げた。 その達成のために①国内生産の増大を基本に輸入備蓄も一層重視すること、②適切な価格形成を図ること などが必要である。適切な価格形成については、 生産者・加工流通業者・小売事業者・消費者などからなる持続的なフードシステムを構築するとした。

食料安全保障以外では、①環境負荷をより低減する農業・食品産業への転換、②農地の受け皿となる農業者の生産性向上、③農村への移住や関係人口の増加 などを掲げた。

 

6その他

  • 鳥インフルエンザで1400万羽以上を殺処分し、鶏卵価格が上昇

今季は全国的に鳥インフルエンザが猛威を振るい、農林水産省は 2月7日の朝までに 25道県76事例で発生し、1478万羽のニワトリを殺処分したと発表した。飼養されているニワトリの1割に及ぶ。

この影響もあって、鶏卵価格は 11月以降上昇し12月には1 kg 当たり300円 と 高値水準となったが、2月には更に上昇し、1kg当たり327円となった。これは、昨年2月の175円と比較して152円値上がりしており、過去最高値となった。なお、2月28日の価格は、335円。

特に加工向けに不足感が出ていることから 農林水産省は 養鶏業界団体に対してニワトリの飼い増し・飼育期間の延長を要請している。

 

  • 輸入麦の売渡価格の激変緩和措置を総理が指示

2月24日、政府は第7回物価・賃金・生活総合対策本部を開催し、総合経済対策・補正予算の進捗状況について、フォローアップを行った。

農林水産省からは、輸入小麦の価格抑制につき予備費で措置した対策や、飼料価格などの諸対策について実施状況を報告した。

輸入小麦の政府売渡価格は 年に2回 4月・10月に変更されるが、 昨年10月は物価への影響を考慮して据え置いたところである。 4月に次期の改訂となることを踏まえ、岸田総理から、輸入小麦の 4月以降の売渡価格について、激変緩和措置をとるよう農林水産大臣に対して指示があった。