全国山村振興連盟メールマガジンNO194

全国山村振興連盟メールマガジンNO194

 

2022.10.7

全国山村振興連盟事務局

○理事会・副会長会議を通常開催します

 

10月20日(木)、21日(金)に予定している全国山村振興連盟副会長会議・理事会は、通常開催します。具体的な時間・場所は、以下のとおりです。

 

・副会長会議 10月20日(木)16:00―17:00 全国山村振興連盟事務局

・理事会 10月21日(金)10:30-11:30 全国町村会2階ホール

 

なお、11月18日(金)に予定しております通常総会につきましては、コロナ感染防止の慎重を期して、本年は、昨年・一昨年と同様に、人数制限を行いたいと考えておりますので、会員の皆様におかれましては、お手数をおかけしますが、よろしくお願い致します。

 

  • 2022年9月の農林水産行政の動向

2022年9月の農林水産行政の主な動向は、以下のとおりでした。

 

1食料安定供給・農林水産業基盤強化本部を開催

9月9日、政府は食料安定供給・農林水産業基盤強化本部(本部長・内閣総理大臣、副本部長・内閣官房長官及び農林水産大臣)の初会合を開催した。テーマとして「新しい資本主義の下での農林水産政策の新たな展開」が掲げられ、野村農林水産大臣から、①スマート農林水産業、②農林水産物・食品の輸出、③農林水産業のグリーン化、④食料安全保障の強化を農林水産政策の4本柱とするとの報告があった。

岸田首相からは、農林水産政策を大きく転換していくために食料・農業・農村基本法について、法改正を見据え総合的な検証を行うとともに、喫緊の課題である食料品の物価高騰に緊急に対応するため、①下水汚泥堆肥等の利用拡大による肥料の国産化・安定供給、②大豆・飼料作物について作付転換による国産化、③食品ロス削減といった課題について緊急パッケージを策定することが指示された。

 

2 物価高騰対策において飼料高騰対策等を決定

9月9日、政府は物価・賃金・生活総合対策本部を開催し、物価高対策をまとめた。その中で、①飼料高騰により苦境にある畜産・酪農家に対する支援策を盛り込むとともに、②電力・ガス・食料品等の価格高騰に対する重点支援をする地方交付金(6000億円)を地方自治体に交付すること、③輸入小麦の政府売渡価格について10月期(本年10月から2023年3月)分を前期から据え置くこと、④食品企業に賞味期限の1/3までに小売店に納品する商慣習(1/3ルール)の緩和を要請することを決めた。

これを受けて9月20日、政府は総額3兆4847億円となる物価高騰対策予備費の使用を閣議決定し、このうち農林水産省所管については飼料価格対策に504億円を計上した。

具体的には①「配合飼料価格高騰緊急特別対策」として、令和4年度第3四半期に生産コスト削減等に取り組む畜産農家に対して補填金を交付し、実質的な飼料コストを第2四半期と同程度の水準とすることとし、補填単価は配合飼料トン当たり6750円とした。また②「国産粗飼料利用拡大緊急酪農対策」として、生産コストの削減や国産粗飼料の利用拡大に取り組む酪農経営に対し、4月から乳価改定が行われる11月の前月までの間のコスト上昇分の一部を補填することとし、経産牛1頭当たり補填単価は都府県で1万円、北海道で7200円とした。

 

3 食料・農業・農村基本法の検証作業を開始

9月29日、農林水産省は食料・農業・農村政策審議会(会長・東京大学大橋弘副学長)を開催し、同審議会に対して情勢変化を踏まえた基本法の検証を諮問した。食料・農業・農村政策審議会は、諮問を受けて基本法検証部会を新設することを決定した。基本法検証部会では、委員13名、臨時委員7名が選任されるとともに、部会長として東京大学大学院農学生命科学研究科の中嶋康博教授が選任された。基本法検証部会は10月中旬にも初会合を開き、月2回の頻度で1年ほど議論し、審議会から農相に答申をする予定である。

 

4 G20農相会合で共同声明合意できず

日本・米国・欧州など20カ国・地域(G20)は、9月28日、農相会議をインドネシア・バリにおいて開催した。日本からは当初、野中厚農林水産副大臣が現地に赴いて参加する予定だったが、新型コロナウイルス感染症への感染が確認されたため、急遽、藤木真也政務官がオンラインで出席した。

会議ではロシアの侵攻等を受けて、世界の食糧安全保障の確保について議論したが、ロシアも会合に参加していることなどから共同声明に合意することはできなかった。

藤木政務官は、ロシアの侵攻は国際法違反であり食料安全保障に悪影響を及ぼすとするとともに、世界人口の増加を踏まえた食料増産と環境負荷を低減した農業生産を両立する必要があると主張した。

 

5 その他

  • 輸出促進基本方針を改訂し品目団体の組織化を推進

9月13日、政府は農林水産物・食品輸出本部(本部長・野村哲郎農相)を開催し、農林水産物・食品輸出促進法の基本方針を改正した。これは、改正輸出促進法が10月1日に施行を迎えることを踏まえたものである。

改正法では品目団体について、「認定農林水産物・食品輸出促進団体」として認定することとされており、資金面などでの支援を行う。基本方針では団体の認定要件として、「輸出拡大実行戦略の輸出重点品目を扱うこと」を位置づけた。重点品目は米・畜肉・果実など28品目となっている。

 

  • 緑の食料システム法の本格的運用開始

9月15日、農林水産省はみどりの食料システム法について、計画の認定申請の受付など本格的な運用を開始した。本年7月に施行されたみどりの食料システム法では、環境負荷の低減に取り組む者の計画を認定し税制・融資等の支援措置を講ずることとしている。

農林水産省では、農林水産大臣告示の制定、同法に基づく事業実施計画の認定申請、都道府県・市町村が作成する基本計画の協議の受付を開始したものである。 認定を受けた計画に従って事業者が一定の設備等を導入する場合、特別償却の適用、所得税・法人税の軽減等が行われることとなっている。

 

(3)8月の農業物価指数で資材が引き続き高騰

9月30日、農林水産省は生産資材や農産物の価格変動を表す8月の農業物価指数を公表した。2020年を100とした指数で、生産資材の総合的な価格指数は119.5。肥料は144.5、飼料は147.5といずれも前年同月を大幅に上回り、総合的指数は27ヶ月連続で前年同月を上回った。

肥料の中で上げ幅が最大の尿素201.7、使用量が多い高度化成は158.5、また配合飼料は148.5と高騰が続いている。一方農産物価格指数は98.7であり、資材高騰分が適切に価格に反映できていない状況が続いている。

 

(4)農業集落調査の廃止方針に対し賛否両論

9月22日、農林水産省は農林業センサス研究会(座長・安藤光義東京大学大学院教授)を開き、有識者委員による議論を行った。農林水産省は、次回2025年農林業センサス調査から、集落の寄合の回数や農地・用水路の保全活動の実施状況などを把握してきた集落調査を廃止すると表明している。

これに対し委員の中からは異論があり、今後学術研究など行政以外でこの調査がどの程度活用されているかを踏まえた上で、更に対応を検討することとなった。

 

  • 会計検査院から畜産基金の課題3点につき指摘

9月14日、会計検査院は環太平洋経済連携協定(TPP)対策の畜産基金について、2020年度末時点で123億円が過大に算定されていると指摘した。これは2020年に参議院の要請を受けて、TPP 対策事業や畜産・水産など5分野の基金についての運営状況を調べたものである。

会計検査院は、「農機リース費の補助事業で支給の遅れが発生し辞退者が相次いだにも関わらず、農林水産省は毎年支出を上回る国費を積み増していた」と指摘し、運営の改善や国庫返納などの対応を求めた。