全国山村振興連盟メールマガジンNO103

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2020.12.4

全国山村振興連盟事務局

2020年11月の農林水産行政の動向は、以下のとおりでした。

 

  • 2020年11月の農林水産行政

 

1 新型コロナ・ウイルスの感染拡大で Go to キャンペーンを見直し

冬期を迎え全国的に新型コロナ・ウイルスの感染拡大が続く状況を踏まえ、11月21日、政府は新型コロナ・ウィルス感染対策本部を開き、Go toトラベルについて、感染拡大地域を目的とする旅行は新規予約の一時停止を検討するよう知事に要請した。

Go toイート・キャンペーンについては、既に11月16日、4人以下の単位での飲食とするよう各都道府県知事に検討を要請していたが、これに加えて21日の対策本部の結果、食事券事業の新規発行の一時停止やポイント利用を控えるよう要請を行った。11月末時点で、10都道府県(北海道・茨城・埼玉・千葉・東京・神奈川・静岡・愛知・大阪・兵庫)で新規の販売を停止し、4都道府県(北海道・埼玉・東京・大阪)で利用を控えるよう呼び掛けている。

 

2 RCEP(東アジア地域的包括経済連携協定)に合意・署名

11月15日、東アジア15カ国(ASEAN10カ国/日中韓/豪NZ)の首脳会議がオンライン形式により開催され、RCEP(東アジア地域的包括経済連携協定)の合意・署名が行われた。日本からは菅首相と 梶山経産相が出席した。

RCEPの署名により世界のGDPの3割・貿易額の3割に及ぶ巨大な経済圏が出現したこととなり、アジア圏最大のFTAであるとともに、日本にとって中国・韓国と結ぶ初めてのFTAとなった。インドは参加を見送ったが、いつでも加入できるようにしてある。

農産品については重要5品目(米・麦・牛肉豚肉・乳製品・砂糖)について関税削減・撤廃からの除外を確保した。また相手国に対する関心品目については、 中国へのホタテ・切花、韓国へのキャンディ・板チョコレートについて関税が撤廃されることとなった。このほか、税関手続き、動物衛生・植物検疫措置、 知的財産権につき統一ルールができるため、輸出促進に関する環境が整備された。

 

3 香川県などで鳥インフルエンザが発生

11月5日、香川県三豊市の養鶏場で 高病原性鳥インフルエンザ(H 5 N 8亜型)の発生が確認されたのに続き、11月21日までに香川県下で8例の発生があった。また、11月25日には、福岡県宗像市・兵庫県淡路市で2例の発生が確認された。高病原性鳥インフルエンザの発生は、2018年1月の香川県讃岐市での発生以来のこととなった。

現地では自衛隊の派遣も受けつつ養鶏場での殺処分行うとともに、周辺地域 での鶏肉・鶏卵の移動制限や出荷停止措置を行った。政府は関係閣僚会議を開催し、農林水産省からは「早期発見・通報徹底・衛生飼養管理の徹底」を全国に通知するとともに、鶏肉・鶏卵の輸出を当面停止した。

北海道・新潟県・鹿児島県では野鳥の鳥インフルエンザの事例が確認されており、関係者は警戒を強めている。

 

4 米の収穫量は下方修正したものの過剰基調は続く

10月15日現在の米の作柄指数予想は99(9月15日現在101)と下方修正された。これは西日本でのウンカの発生等に伴うものであり、予想収穫量は722.9万トンと前回予想に対し11.7万トンの減少となった。

これを受けて農林水産省は11月5日、食料・農業・農村政策審議会食糧部会に

「2021年産米の主食用米の適正生産量は、約693万トンとなる」との見直しを報告した。これは前回報告した679万トンから14万トンの増加となるものの、2021年産米の需給均衡には、過去最大規模の6.7万㏊の作付け転換が必要となる。

農林水産省は「米穀周年供給需要拡大支援事業」(保管経費への支援)の対象期間を延長することや「国産農林水産物販売促進対策」に中食・外食向けの米を追加することに加えて、3次補正予算に向けて需給均衡の努力を支援する対策を検討することとしている。

 

5 その他

(1) 2020年農林業センサス結果を公表、農業経営は31万経営体減

農林水産省は11月27日、本年2月1日現在で実施した「2020年農林業センサス結果の概要」(概数値)を公表した。これによると、農業経営対数は107.6万経営体で、5年前に比べ31.2万経営体(21.9%)の減少。このうち個人経営体は103.7万経営体(△30.3万戸)と大きく減少した一方、法人経営体は3.1万経営体(+4000)と増加した。

この結果、耕地面積規模別では、10ha以上の経営体が55.7%(+8.1ポイント)を占め、1経営体当たり耕地面積は、3.1ha(北海道30.6ha、都府県2.2ha)となった。個人経営体の基幹的農業従事者(主に自営農業)の年齢では、65歳以上が69.8%(+4.9ポイント)を占めるに至っている。

 

(2) 日中外相会談で食品輸入規制の協議開始を合意

11月24日、茂木敏充外相と王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は都内で会談を行った。この会談により、ビジネス目的の往来を11月中に再開すること、気候変動に関する政策協議を立ち上げることなどとするとともに、東京電力福島第1原発事故に伴い中国が日本産食品に導入した輸入規制について協議を開始することとなった。

 

 

(3) 北関東の家畜盗難被害、ベトナム人グループを逮捕

本年夏から北関東で豚など家畜の盗難被害が相次いでいたが、群馬県館林市で豚を解体し肉や血液を送付していたベトナム人グループが、と畜場法違反の疑いで逮捕された。グループは奈良・千葉・埼玉県下に対し豚肉・血液を冷蔵宅配便で送付していた。血液はソーセージの材料に用いるという。グループは子豚840頭を盗んでいるものとみられ、これは8.4万食分に相当し、販売額で3000万以上になるという。これとは別に群馬県館林市で、入国管理法違反の疑いで 17人のベトナム人グループが先に逮捕されている。

 

(4) 農水産物・食品の輸出拡大のための関係閣僚会議を開催

政府は11月30日、農水産物食品の輸出拡大のための関係閣僚会議を開催し、 2030年の輸出額目標5兆円の達成に向けて、実行戦略を決定した。実行戦略では、牛肉・リンゴ・ブドウ・茶・米など27品目を重点品目とし、重点品目ごとに生産・流通・輸出事業者が連携して共同事業体を作ることとされた。今後販売戦略の検討や販路の開拓を進めることとしている。