山村振興通信NO30(全国山村振興連盟都道府県支部・会員の皆様へ)
2019.6.6
全国山村振興連盟事務局
令和の時代を迎えたことも踏まえまして、これから毎月1回程度、農林水産行政の動向についてレポートしようと考えています。
2019年5月の農林水産行政の動向
1 G20新潟農業大臣会合を開催(5月11・12日)
・6月28・29日の大阪G20サミットに先がけて、各種閣僚会合のトップバッターとして、新潟市で農業大臣会合が開催された。
テーマは「農業・食品分野の持続可能性に向けて、新たな課題とグッドプラクティス」とされた。
この会合には34の国・国際機関等が参加し、吉川農相が議長を務めた。
・採択された「2019年G20新潟農業大臣宣言」では、
- ICT、ロボット等先端技術の活用を通じた農業のイノベーションが重要、
- フードバリューチェーンの発展に向けて食品ロス・廃棄の削減が必要、
- 過度な価格乱高下への対応が重要、
- SDGsに資するため、農業を通じた飢餓の撲滅、食糧安全保障の確立が必要、
といった合意がなされた。
・また会合の参加者は、無人トラクターやドローンを用いたスマート農業の現場を視察した。
・会合の合間に行われた2国間の農相会談では、吉川農相は、中国・韓国など日本食品の輸入規制を行っている国に対して、規制緩和を求めた。
2 日米貿易交渉(5月27日)
・5月25日から28日にかけトランプ米大統領が来日。5月27日に行われた日米首脳会談では、貿易交渉について「早期の成果実現に向け協議を加速する」方針で一致したものの、共同声明は出されなかった。またトランプ大統領は記者会見で、「8月に発表がある」「私はTPPに縛られない」と述べた。
・昨年9月の日米共同声明では、農産品について「過去の経済連携協定で約束した内容が最大限」とされている。今回の会談に先立ち4月26日にワシントンで行われた日米首脳会談では「物品貿易について議論が進んでいることを歓迎する」との日米共同声明が出されていた。
・これを踏まえて5月21日にワシントンで事務協議、続いて5月26日茂木大臣・ライトハイザー代表による会談が行われていた。
・日米貿易交渉では、自動車と農産物が主な争点となっている。協議では、
- 米国側は、農産物についてのTPP並みの早期市場開放、
- 日本側は、米国の自動車関税の撤廃
を要求しているものと伝えられる。
3 農地中間管理機構法の改正案が成立(5月17日)
・ 農地中間管理機構は、「農地バンク」とも呼ばれる。2013年に成立した法律に基づき、各都道府県に1つ設立された。
農地バンクは、①農地を人に貸したい者(高齢者など)と、②農地を借りたい者(規模拡大を志向する法人・担い手など)を募集して、地域の計画を策定し、一挙に権利の移転を行う。
・一定の成果を上げているものの、目標には届かず、施行後5年経過したところで見直しを行ったもの。改正法は、今秋に施行される見込み。
・今回の改正では、
- 「人・農地プラン」を作る協議の場において、従来からの市町村に加え、JA、農業委員会、土地改良区など地域の諸団体が農地バンクと連携することが明示され、
- 市町村が指定したJA等では、農地権利移転の計画案を作ることができるものとされた。
4 その他
・食品ロス・廃棄削減法案が成立(議員立法)(5月24日)。
・特定農産物加工法(金融税制特例)の5年延長法案が成立(5月30日)。
・豚コレラは5月17日に23例目。野生イノシシへの経口ワクチンを散布中。
・農協改革の集中推進期間(5年間)が終了(5月31日)。