山村振興通信NO5(全国山村振興連盟都道府県支部・会員の皆様へ)

山村振興通信NO5(全国山村振興連盟都道府県支部・会員の皆様へ)

2018.11.06

 

Ⅰ 税制改正要望について

11月6日(火)午前8時から自民党農林・食料戦略調査会、農林水産関係団体委員会、農政推進協議会合同会議が自民党本部901号室において開催され、「平成31年度農林・食品関係税制改正に対する団体要請」の聴取が行われました。

農業関係団体3団体、食品産業等関係団体2団体、林業・山村関係団体4団体の計9団体が発言の機会を与えられ、税制改正に対する要望等について発言しました。

全国山村振興連盟からは、實重重実常務理事・事務局長が出席し、10月18日に理事会で取りまとめられた要望書の中から、税制に関する事項について次のように発言を行いました。

  1. 山村に関する特例税制の延長について要望する。振興山村において地域資源を活用する製造業や農林水産物等販売業に供する機械・施設の取得に関し、割増償却などの特例が認められているが、これが来年の3月31日までとなっている。その適用期限を2年間延長するようお願いする。
  2. 長年の悲願であった森林環境税・森林環境譲与税について導入を決定いただき感謝申し上げる。その円滑な導入に向けて、平成31年通常国会において、関連法案を確実に成立させていただきたくようお願いする。

 

なお、当会議に提出した資料については別添をご覧ください。

2018.11.02説明資料一式(山の恵みマッチングのご案内)

 

Ⅱ 山村振興全国連絡協議会東海・北陸ブロック会議の概要

山村振興全国連絡協議会東海・北陸ブロック会議の概要は、以下のとおりです。

 

山村振興全国連絡協議会(都道府県の山村振興担当課長で組織)の平成30年度の東海・北陸ブロック会議が、10月24日(水)~25日(木)、新潟県村上市 新潟県森林研究所で開催された。

会議には、東海・北陸ブロックの県、農林水産本省、東海農政局、北陸農政局及び全国山村振興連盟から担当者が参加した。

開会に当たり開催県である新潟県総務管理部地域政策課 安藤輝行課長から、「新潟県は山村が広く7万5千人が住む重要な地域となっている。総合計画を策定し、中山間地域が住み続けたい地域となるよう対策を講じている。意見交換して、山村施策に生かしたい。明日は地域づくりの現場を視察していただくことにしている。実りある会合を期待したい」旨の挨拶があった。

次いで、農林水産省地域振興課 永田浩章係長、全国山村振興連盟 實重重実事務局長から来賓挨拶があった。

 

会議の内容は、次のとおりとなっている。

 

1 中央情勢報告

地域振興課 永田浩章係長から、「平成31年度山村振興関連農林水産省予算概算要求額」「同関係資料」「山村振興に基づく支援措置等」の資料に基づき説明があった。特に山村における税制優遇措置についての税制当局との折衝状況につき説明があり、税制等の山村施策を守るためにも山村振興計画や産業振興施策促進事項の幅広い策定をお願いしたいとの依頼があった。また山村活性化対策交付金の活用状況などにつき紹介があり、その一環として、「山の恵みマッチング」(山村自治体・事業者等が出展する商談会)への参加の呼びかけがあった。

 

2 全国山村振興連盟 活動状況報告

全国山村振興連盟 實重重実事務局長から、連盟の活動状況につき説明があった。特に都道府県支部あて、毎週、情報メールを送っている旨の紹介があり、行政も全国に情報発信したい事項があれば事務局にお伝えいただき、このルートを活用してほしい旨の依頼があった。

 

3 各県の事例報告

各県から次のような報告があった。

[愛知県]

三河山間地域について、「三河の山里サポートデスク事業」を行っており、生活応援隊としての登録者が36人、延べ56人が参加した。「やま・ひと・しごと広域連携推進事業」では、サポートデスクの運営スタッフとして1年間の雇用を行っている。29年度には、古民家を活用した居酒屋、ジビエを使ったカフェなどが行われた。

[岐阜県]

「ぎふの田舎応援隊」は、農村ボランティアと農村体験ツアーを一体化したものであり、都市住民に参加してもらって、草刈りや耕作放棄地の解消といったボランティア体験とともに、流しそうめんの器づくりなどのツアー体験してもらう。年間10回実施し、150名程度が参加している。

[富山県]

「中山間地域チャレンジ支援事業」では、集落と地域内外の企業・団体等が連携し、新たな産品を生み出すなどの地域活性化の取り組みを行うことを支援している。ほかにも、コミュニティバスの仕組みづくり、農作業の支援システムづくり、空き家調査、祭りの復活などが行われている。

[石川県]

「いしかわ里山振興ファンド」は、地元金融機関・石川県が資金を出してファンドを作り、その運用益と企業からの寄付金をもって、生業(なりわい)の創出等を支援する。イベント支援、資源循環モデルの構築、里山景観の創造、スローツーリズムのメニュー開発なども行っている。

[福井県]

小浜市田烏地区では、「たがらす棚田キャンドル」を開催し、春と秋に棚田を2500個のキャンドルで彩っている。棚田の景観を写したフォトコンテスト、棚田でステージを設けて県外ミュージシャンのライブも行い、交流人口は平成24年度の1000人から平成29年度には2000人に増加した。

[新潟県]

「地域の話し合い促進事業」では、新潟県が地域づくりの専門家を集落等へ派遣して、専門家を交えて3回以上の話し合いを行う。市町村は、話し合いに参加したり、翌年度以降も話し合いが継続できるように支援する。新発田市での地域おこし協力隊の活動、魚沼市での農産物等直売所の開設、糸魚川市での若者・子供向けのイベント・交流会等を行った。

 

4 次回幹事県の選出

次回の幹事県として、岐阜県が選出された。

 

5 現地視察

翌日は、村上市高根地区において、「高根フロンティアクラブ」の活動を視察した。

(1)    宿泊施設「瑞泉閣」

古い別荘を活用して、個人の宿泊もグループでの借り切りもできる宿泊施設を設置し、一般社団法人「高値コミュニティラボわぁら」が運営している。事務局は、県外からの移住者が務めており、フェイスブック等での発信を通じて都市の若者等が本地区を知り、来訪するようになった。別に農家民宿もあるが、やはりフェイスブックでの発信が有効だとのことであった。

(2)    農家レストラン「IRORI」

小学校跡地の廃校を利用して、高根地区の住民による地産地消レストランを経営している。小学校の古い教室や椅子がそのままに利用され、地元の手作り加工品も販売されている。このほか、高根フロンティアクラブでは、どぶろく特区を活用して、農業者による日本酒の少量生産を行っている。

 

(なお、この会議概要は、従来どおり山村振興情報に掲載する予定です。)