全国山村振興連盟都道府県支部・会員の皆様へ(山村振興通信No.2)

全国山村振興連盟都道府県支部・会員の皆様へ(山村振興通信No.2)

2018.10.12 全国山村振興連盟事務局

 

当連盟都道府県支部の皆様、会員の皆様には、いつもお世話になっています。

ご参考までに、以下の情報をお届けさせていただきます。

 

1 税制要望について

 

8月末に概算要求がなされ、各省と財務省との折衝も本格化しつつあります。

税制では、山村地域対策として「地域資源を活用する製造業」及び「農林水産物等販売業」に供する機械・施設の取得に係る割増償却制度等について、適用期限の延長を要求しています。しかし実際に適用された案件が1件しかなく、農林水産省は折衝で苦労しているようです。

適用された案件が限られているだけでなく、改正後の山村振興法に基づく山村振興計画を作成している市町村がまだ24%にとどまっていることも、財務省から厳しく指摘されているようです。

山村振興の大切な各種政策を守っていくためには、山村振興計画の策定は必須です。まだ策定していない市町村は、ぜひ策定を進めていただくようお願いします。

 

山村振興計画策定のご相談がありましたら、農林水産省農村振興局地域振興課(03-6744-2498)永田係長までお願いします。

(当方にご連絡いただいて、農林水産省におつなぎすることもできます。)

 

2 自動運転で山村が変わる

 

車の自動運転が現実のものとなれば、高齢化と人口減少に悩む山村は、どれほど大きく変わることでしょう。

高齢者などヒトの移動を自動運転車がやってくれるだけでなく、食料の配達などのモノの物流も自動運転車がやってくれます。

無人の個人用車に加えて、無人タクシー、無人バス、無人トラックが構想されており、カーシェアリング、移動店舗、宅配、病院送迎なども手軽にできるようになります。

これは夢物語ではなくて、政府の目標では、7~8年後に当たる2020年代前半までに一定の地域で実用化することが目指されています。

諸外国では自動運転技術の開発がもっと先行していて、自動車企業とIT企業が提携して開発を進めるケースが多いようです。

トップを切っているのは、米国のグーグル社で、子会社のウェイモは、行動走行試験距離が56.7万㎞とNo1を誇り、本年後半にも無人タクシーの実用化1番乗りを果たすと言われています。この企業にはホンダが提携しています。

それに続くのがGMの子会社GMクルーズで、2019年に有料カーシェアリングを開始する予定です。この企業には、ホンダやソフトバンクも出資しています。また食品流通業のクローガーは、自動運転車での食品配達を試行的に始めたとのことです。

日本も負けていられないので、トヨタは関連会社数社とともに自動運転開発の子会社を設立したり、ソフトバンクと共同出資してカーシェアリング子会社を設立することになりました。ソフトバンクの複数の出資会社は、カーシェアリング回数では世界市場の実に9割を占めるのだそうです。他の自動車企業等も開発を進めています。

我が国の自動運転については、国土交通省主導の下、私たちの会員市町村を含む全国18か所で実証実験が進められています。実証実験の中には、名古屋市のように専用軌道の上を走らせるタイプもあります。しかし山村で役に立ちそうなのは、「車の運転はできないが、徒歩で行くのも困難」といった人々のために、自動運転を役立てようとするタイプのものです。

これにも①車を呼び出してシェアリングするパターンや、②バス停のようなところに車が巡回するようなパターンなどが試みられています。

茨城県つくば市では、トヨタ・筑波大学などが連携して、町ぐるみで1人乗り自動電動車や自動運転バスの実証実験が始められる予定です。

今、自動車の世界はCASE(コネクテッド/自動運転/シェアリング/電動化)と呼ばれる4つの潮流が組み合わさって、100年に1度と言われる大変革が起こりつつあり、世界の覇権争いも熾烈なものとなっています。

そしてこれら革新技術の普及に当たっては、①技術開発、②ルール整備とともに、③人々や地域の受け入れが欠かせないと言われています。

つまり、地域の自治体の協力なしには、革新技術も普及できないのです。

山村の市町村が第4次産業革命に果たす役割には、大きなものがあると言えそうです。

 

〇参考になるサイト:国土交通省自動運転戦略本部

http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk7_000018.html