山村振興通信NO33(全国山村振興連盟都道府県支部・会員の皆様へ)
2019.6.28
全国山村振興連盟事務局
○自動運転をめぐる最近の状況
自動運転につきまして我が国や世界各国で活発な動きが見られますので、最近の資料・報道等から得た情報をまとめてみました。
1 自動運転の定義と国内法の整備状況
・自動運転には、レベル1~5のものが分類される。
レベル1:運転支援(自動ブレーキ、はみ出し防止など)
レベル2:特定条件のみ(車線を維持しながら前の車に付いて走る、高速道路での追い越しなど)
レベル3:条件付き自動運転(ハンドルの近くに手を添える。高速道路など)
レベル4:限定地域で完全自動運転(高速道路など)
レベル5:完全自動運転
・官民ITS構想ロードマップ2017では、次の目標が掲げられている。
- 2020年代前半に高速道路でレベル3
- 2025年目途に高速道路でレベル4
・国土交通省自動運転戦略本部(本部長・国土交通大臣)では、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会での移動サービス実現を目標としている。
・本年5月18日道路運送車両法の改正、5月29日道路交通法の改正が成立。
- 道路運送車両法改正:自動運行装置に国土交通省の基準。自動車技術総合機構による基準適合性審査。メーカーのプログラム変更に大臣許可。
- ―レベル4まで対応。世界最先端水準。
- 道路交通法改正:自動運転中にスマホ操作・携帯電話通話は可能。
―レベル3まで対応。
・事故等の損害賠償責任については、①一義的には運行供与者(個人・企業)、②ハッキングによる場合は政府、③システムの欠陥は自動車メーカーが賠償する責任を負う。
・相乗りタクシーを今年度解禁予定。無人配送ロボにつき今年度にも公道実験。自動路線バスは、2020年度に実証実験する予定。
・本年3月ボーイング旅客機の墜落事故、6月横浜のシーサイドライン逆走事故があり、更なる安全性確保が課題。
・国際的なルール作りとしては、国連WP29自動車基準調和世界フォーラムの下に、①自動運転分科会、②ブレーキと走行装置分科会(自動接続、自動ブレーキ)を設けて議論中。
2 国内での実証実験
・国土交通省の実証実験は、山村を含む全国各地で行われている。
[2017年度から実証実験を行った地区]
- 地域指定5か所:秋田県小阿部仁村、栃木県西方町、滋賀県蓼畑町、島根県飯南町、熊本県芦北町
- 公募に応じた地区8か所:北海道大樹町、山形県高畠町、茨城県常陸太田市、長野県伊那市、富山県南砺市、岡山県新見市、徳島県三好市、福岡県みやま市
- フィージビリティスタディ5か所:新潟県長岡市、岐阜県郡上市、愛知県豊田市、滋賀県大津市、山口県宇部市
・ガイドウェイバス:名古屋市・トヨタが市民を対象に検討中。
・茨城県つくば市での実証実験:つくば市・筑波大学・トヨタ
- 家~バス停:1人乗り自動電動車(AIで混雑を回避)
- バス停~駅:電動巡回型バス
3 世界の状況
- グーグル子会社ウェイモ・無人タクシーに一番乗りの見込み。
- ・フィアットが出資。日産・ルノーも出資。
- ・公道走行実験距離56.7万㎞(走行データが最重要)
- GM子会社クルーズ・ライドシェア自動運転に参入予定。
- ・ホンダが提携。(ソフトバンクは、ホンダに出資)
- ・走行実験距離21.2万㎞
- トヨタ・ソフトバンク連合 -ウェイモ・クルーズを追って巻き返し中。・新会社モネ・テクノロジーズ(MaaSの開発):トヨタ・ソフトバンクのほか、スバル・ダイハツ・いすゞ・ホンダ・日野・マツダ・スズキが出資。(国内8社の新車販売シェア8割)・中国・ライドシェア滴滴(100億人分のデータを保有)と提携。・米国クローガー(食料):プリウスの自動運転車で宅配。 2020年代前半一般道でレベル4「トヨタは、移動サービスを提供する企業に変わる」
- 2030年までに8000万台を製造・販売。
- ・トヨタの目標:2020年高速道路でレクサスの自動運転。
- ・AIでグーグル・中国百度(バイドゥ)と提携。
- ・東南アジアライドシェア大手クラブに出資。(クラブは、アマゾン・ピザハットと提携)
- ・米国ウーバー(自動運転キット)に出資(ウーバーは、ボルボ・ダイムラーとも提携)
- スイスの事例
・2015年チューリヒで自動運転車の試験走行を認可
・2016年南東部シオンでレベル3の自動運転バスを一般供与。(運転手乗車、1.5キロを周回)
・2018年北部シャフハウゼンで完全自動運転の電気バスを導入。世界初の本格導入。(観光地にも利用。時速25キロ以内。夜間充電し、終日運行)
- その他
・2015年仏ヴァレオ(部品メーカー):仏国内一周に成功。
・2017年独フォルクスワーゲン傘下アウディ:レベル3自動運転車を開発。
(参考)CASE(100年に1度と言われる自動車革命)
C ―コネクテッド(コンピュータとつながること)Connected
A ―自動運転 Autonomous
S ―シェアリング Shared & Services
E ―電動化 Electric
MaaS -マース:上記の技術革新を組み合わせて、企業等が移動サービスを提供すること Mobility as a Service(移動のサービス化)
(参考)MaaSの市場規模予測:2030年までに米欧中