全国山村振興連盟メールマガジンNO72
2020.4.24
全国山村振興連盟事務局
〇食料・農業・農村基本計画における農村政策の位置づけ
3月31日、今後10年間程度先までの施策の方向性等を示す農政の中長期的ビジョンとして、新たな「食料・農業・農村基本計画」が閣議決定されました。
基本的な方針としては、「産業政策と地域政策を引き続き車の両輪として推進し、将来にわたって国民に不可欠な食料を安定的に供給し、食料自給率の向上と食料安産保障の確立を図る」とされています。
その中で、農村政策がどのように位置づけられているかを概観します。
1 基本的な視点 -地域政策の総合化と多面的機能の維持・発揮
[現状認識]
・少子高齢化・人口減少が進行。集落機能の維持が困難な地域が増加。生活インフラも維持できなくなるおそれ。
・田園回帰が継続。多様なライフスタイルの普及等が活性化に貢献する動きもみられる。
・多面的機能は、都市住民にも恵沢。
[今後の方向]
・地域政策の総合化が重要。
・3つの柱に沿って関係府省等が連携する必要。
- 所得・雇用機会の確保 -農業の活性化・地域資源の活用
- 住み続けるための条件整備
- 新たな活力 -体制・人材づくり、魅力発信
2 講ずべき施策 -農村の振興に関する施策
基本計画は、今後に講じる方向で検討している政策の芽が散見されるような特徴を持つ中長期計画であるため、ここでは農村政策の中で、項目ごとにどのようなキーワードが配置されているかを見てみたいと思います。
- 地域資源を活用した所得と雇用機会の確保
- 中山間地域対策 -複合経営モデル(作物栽培・畜産・林業を含めた多様な経営の組合せ)を提示。
- 地域資源の発掘・磨き上げ
・農村発イノベーション、ビジネスプランを磨き上げるプラットフォーム
・農泊、ジビエ利用、農福連携、農業関連産業の導入、森林サービス産業
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- 地域経済循環
・バイオマス・再生可能エネルギー -見える化等の価値付け、熱利用、発酵の消化液、バイオマス製品、
・地域内消費 -給食・直売所・イベント、地域内循環
・SDG‘s、地域循環共生圏の創造、人材発掘・組織化
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- 都市農業
- 農村に人が住み続けるための条件整備
- 地域コミュニティ機能
・地域のビジョンづくり、農村政策・土地利用の在り方プロジェクト、
・小さな拠点 -多機能化、コンパクト・プラス・ネットワーク
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- 多面的機能 -日本型直接支払制度
- 生活インフラ
・農地付き空き家、ICT利活用、コミュニティバス・移動販売、
・医療・交通等の分野横断的な取組に係る活動計画
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- 鳥獣被害対策
・スマート捕獲(1CT・ドローン技術等を活用)
- 農村を支える新たな動きや活力の創出
- 体制・人材づくり
・小さな拠点、地域運営組織等
・人材育成・確保 -地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律
・関係人口 -体験農園・農泊・ふるさと納税、子供農山漁村交流プロジェクト、移住・交流情報ガーデン
・地域おこし協力隊、ふるさとワーキングホリデー
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- 魅力の発信
・半農半X、デュアルライフ(二地域居住)、サテライトオフィス、お試し勤務
・棚田地域振興法 -オーナー制度、棚田カード、人的ネットワーク
・景観法、歴史的風致維持向上計画、日本遺産
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- 多面的機能に関する国民理解
・世界農業遺産、日本農業遺産、世界かんがい施設遺産
- 関係府省で連携した仕組みづくり
・農村の実態・要望について、現場に出向いて直接把握
・調査・分析した上で、課題解決を図る
・これを継続的に実施するための仕組みを構築
・関係府省・都道府県・市町村・民間事業者など関係者が連携
なお、詳細については農林水産省ホームページをご覧ください。
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/k_aratana/
file:///C:/Users/shigezane/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/XAS6QOGU/index-13.pdf