令和7年7月の理事会における篠原理事挨拶要旨

山村振興法の一部改正については、他の先生方から話しがありましたので、私はトランプ関税、世界を騒がせていますが、その関税問題で日本の山村はどうなるのか、どうしたらいいのかについて、私の考えをお話しさせていただきます。
トランプ大統領はおかしいのではないかと日本のマスコミは総攻撃です。しかし、反論できていないのです。何故かというと、トランプ大統領が言っていること、全部が正しいわけではありませんが、一理あるのです。
アメリカは黒字、経済力も軍事力も圧倒的な地位を占めてきました。日本は焼け野原。だから何でもアメリカ頼りにしてきました。1971年にアメリカが貿易赤字になりました。日本がどんどんのし上がっていって日本の対米貿易黒字が500億ドル、それで、繊維製品、家電製品、自動車、半導体について日本になんとかしろということで自主規制が始まりました。気がついて見ると、アメリカに残っている製造産業は軍事産業と医療産業だけとなりました。アメリカの自動車産業のビッグ3と呼ばれたゼネラル・モーターズ、フォード、クライスラーはがたがたとなりました。今、貿易赤字は1兆2000億ドル、1980年代は2000億ドルでしたから、6倍になりました。相手国がどこかと言いますと、中国が3000億ドル、2位がメキシコ、3位がベトナム、日本が700億ドルです。アメリカこそ、国難・危機なのです。頼りになるのは関税しかない。100%の関税を課する。トランプのやろうとしていることは、工業製品でアメリカ人の使うものはアメリカで製造すべき、他の国からどんどん輸入することは止める、そういうことなのです。私は理にかなっていると思います。だから他の国ががたがた言えないのです。
例えば、メキシコとの貿易赤字がなんでそんなに増えているかと言うと、低賃金だからです。日本の自動車会社だけでなく世界の自動車会社が低賃金を悪用して、関税ゼロにしていますから、アメリカに輸出している。これに不満を持っている。
日本はどうするのか。トランプの言う通りなのです。日本で保護すべき産業は何でしょうか。林産物、農産物に関税を課せさせていただいて、日本の農林業を復活・復興させていただく。こういう対応がいいのではないかと思います。日本は真っ先に関税をゼロにして輸入し始めたのが丸太であり、そして製材もゼロにしてしまった。だから山村の人口も3%から2.5%に減少してしまい、長野県の山も悲惨です。長野県は小さな田んぼや畑で食っていたわけでなく、材木で食っていたのです。それが切り出しただけで赤字になる。このような状態を直すべきだと思います。地方創生はそこから始まると思います。だから、この全国山村振興連盟は重要な役割を果たしていかなくてはならない。私の言う方向に動いていけばいいのですが、そのようにいかないのは問題だと思います。皆さんもこのような考えを念頭に置いていただきたいと思います。