広島県世羅町のまちづくり  町長 奥田 正和

奥田正和 広島県世羅町長
(一)世羅町の概要

世羅町は、平成16年に3町が合併してできた町です。合併当時は約3万人いましたが、10年間で約3千人減少しました。瀬戸内海に芦田川水系、日本海に流れる江の川水系の分水嶺になっています。風光明媚で花農園があります。

(二)世羅町の特色

世羅高校の高校駅伝が有名で、男子は9回、女子は1回全国優勝しています。
農業が盛んで、県営、国営の農地開発事業により大規模団地を整備されています。ここに、農外企業が参入しており、トマト加工場、大きなレタス工場もあります。半分は畜産で、鶏卵が県内でも大きなシェアーを占めています。鶏、牛、豚がいますので、困っているのはその臭気です。
6次産業が全国的に盛んですが、その名称は世羅町が発祥の地です。東京大学名誉教授の今村先生が女性にもなにか仕事を作ろうということで加工を始め、6次産業化を進めたということです。
産直も結構できています。観光客数219万人となっていますが、合併時は115万人程度で落ち込んでいました。何とかしなくてはということで、道の駅を国交省のお世話になって作りました。インフォメーション機能が発揮され、V字回復しました。
雑誌「じゃらん」の全国アンケート調査「じゃらん 道の駅満足度ランキング2018」で「道の駅 世羅」が3位になりました。

(三)世羅町の取組み

いつまでも住み続けたい日本一のふるさとをめざして、5つの柱を立てています。

① 健幸づくり
10月に「いきいきポイント制度」を作りました。60歳以上の住民を対象に老人クラブや地域の活動等を1つ行うと1ポイント加算し、100ポイント溜まると世羅町の特産物(2,000円相当)をプレゼントするもので、世羅町健康診断の受診には10ポイント加算します。30年度はスタート特典として50ポイントをプレゼントしました。事務は、老人クラブ連合会に委託しています。

② ものづくり
6つの農業法人がひとつになって株式会社を設立しました。園芸作物に特化しています。土地改良と暗渠排水を進めることにしています。次の担い手を育てるということで、研修を行っています。
農泊にも力をいれています。空港から30分の立地ですが、世羅町だけではやっていけないということで、近隣市町村と手を組んで取り組んでいます。
空港が民営化になるまでに体制を作っておかなくてはということで進めています。

③ 人づくり
世羅高校に対する補助を行っています。
世羅町は以前は、お茶の産地でしたが、ほとんど消滅したため、なんとかしなけらばいけないということで、若い人に頑張ってもらいたいと思っています。
世羅高校の生徒が先般スローフードの大会がイタリアで開催された際にお茶を紹介させてもらっています。また、大妻学院(東京都千代田区)の創立者が世羅町出身の大妻コタカさんであることもあり、同学院とお茶に係わるコラボをしています。

④ 安全安心づくり
デジタル防災行政無線設備を全戸に配布しています。防災無線でお金をいただいて農協と一緒にやっていましたが、今回、町が全部配布するということにしました。災害対策に役立つと思います。

⑤ 地域づくり
小さな拠点整備ということで、公民館を自治センターに名前を変えて、それぞれの組織で運営してもらっています。廃校をうまく活用してそういった拠点を作ったところには拠点づくりの補助を行っています。
地域おこし協力隊は、3名活躍しています。そのうちのひとりは60歳を過ぎていますが、JTBという旅行会社を退職された方で、即戦力をもって頑張ってもらっています。

(世羅町資料)
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