平成27年度山村振興関係予算政府案

1.予算編成経過

平成26年7月25日に「平成27年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」が閣議了解され、これを踏まえて、8月末日までに関係省庁から財務省に対し平成27年度予算概算要求が行われ、その後の折衝を経て、平成27年度予算政府案は、平成27年1月14日に閣議決定された。

平成27年度の政府予算案の歳出は、次のとおりとなっている。

国債費 23兆4,507億円 (前年度比1,805億円増)
基礎的財政収支対象経費 72兆8,912億円 (前年度比2,791億円増)
 うち、地方交付税交付金等 15兆5,357億円 (前年度比 6,067億円減)
合計 96兆3,420億円 (前年度比4,596億円増)

また、平成27年度の地方財政計画の規模は、総額85兆2,700億円程度(前年度比1兆9,100億円程度増)、地方交付税は16兆7,548億円(前年度比1,307億円減)となっている。
平成27年度税制改正については、平成26年12月30日に「平成27年度税制改正大綱」(自由民主党・公明党)が決定され、平成27年1月14日に閣議決定された。

2.全国山村振興連盟の取組

全国山村振興連盟としては、平成27年度の予算編成及び税制改正に向けて、7月の理事会及び11月の通常総会の際に要望事項を決定し、国会及び関係省庁に対し要望活動を行った。

【平成27年度山村振興関連各省庁予算概算決定の概要】

注1. 詳細は別表のとおり。
注2. 予算額は、振興山村分として明確な区分ができないため、全国分が一括計上されている。

【農林水産省(非公共)】

1.強い農業づくり交付金 231億円( 98.7%)
2.多面的機能支払交付金 483億円(100.0%)
3.中山間地域等直接支払交付金(拡充) 290億円(101.8%)
4.農村集落活性化支援事業(新規)  6億円(皆 増)
5.山村活性化支援交付金(新規。詳細は別添。 7.5億円(皆 増)
6.都市農村共生・対流総合対策交付金 20億円( 95.2%)
7.農山漁村活性化プロジェクト支援交付金 62億円( 94.0%)
8.美しい農村再生支援事業 3億円( 30.0%)
9.鳥獣被害防止総合対策交付金 95億円(100.0%)
10. 6次産業化支援対策のうち
6次産業化ネットワーク活動交付金(拡充)
23億円(109.4%)
11. 耕作放棄地再生利用緊急対策交付金 所要額 17億円( 89.8%)
12. 野菜価格安定対策事業のうち
特定野菜等供給産地育成価格差補給事業
所要額167億円の一部(100.1%)
13. 農業改良資金利子補給金 (10億円)(100.0%)
14. 中山間地域活性化資金 (55億円)(100.0%)
15. 振興山村・過疎地域経営改善資金 (10億円)(100.0%)

【農林水産省(公共)】

1.農業農村整備事業(拡充) 2,753億円(102.4%)
2.農山漁村地域整備交付金(拡充) 1,067億円( 95.0%)

【水産庁(非公共)】

1.強い水産業づくり交付金のうち
  水産業強化対策事業 12億円(153.0%)
2.強い水産業づくり交付金のうち
  産地水産業強化支援事業 20億円( 61.2%)

【水産庁(公共)】

1.水産基盤整備事業 721億円(100.0%)
2.農山漁村地域整備交付金(再掲) 1,067億円( 95.0%)

【林野庁(非公共)】

1.新たな木材需要創出総合プロジェクト(新規) 17億円(皆 増)
2.森林整備地域活動支援交付金(拡充)
(既存基金と併せて事業を実施)
2億円(100.0%)
3.森林・山村多面的機能発揮対策 25億円 ( 83.3%)
4.森林・林業人材育成対策(拡充) 62億円( 93.2%)
5.森林・林業再生基盤づくり交付金(拡充) 27億円(122.7%)
6.特用林産物振興・新需要創出事業 0.2億円( 84.0%)
7. 林業金融対策 (8億円)( 72.8%)

【林野庁(公共)】

1.森林整備事業(拡充) 1,203億円(100.5%)
2.治山事業(拡充) 616億円(100.0%)
3.農山漁村地域整備交付金(拡充)(再掲) 1,067億円( 95.0%)

【総務省】

1.辺地対策事業債 465億円(113.4%)
2.過疎対策事業債 4,100億円(113.9%)
3.一般補助施設整備等事業債(豪雪対策事業) 31億円 (100.0%)
4.無線システム普及支援事業 12億円( 81.8%)
(1)携帯電話等エリア整備事業 12億円 ( 81.8%)
5.情報通信利用環境整備推進事業 4億円( 84.9%)
6.地域おこし協力隊の推進(新規) 0.9億円(皆 増)

【国土交通省】

1.道路事業          ※ ※※ 1兆6,602億円(100.1%)
2.治水事業等         ※ ※※ 7,947億円(100.2%)
3.都市公園等事業       ※ ※※ -    ( - )
4.下水道事業         ※ ※※ 53億円(100.5%)
5.地域住宅計画に基づく事業      ※  -   ( - )
6.地域公共交通確保維持改善事業 290億円( 94.9%)
7.「小さな拠点」を核とした「ふるさと集落生活圏」形成推進事業 3億円( 87.1%)

※   この他に、社会資本整備総合交付金
      26年度予算:9,124億円、27年度概算決定額:9,018億円)がある。
※※ この他に、防災・安全交付金
      26年度予算:1兆841億円、27年度概算決定額:1兆947億円がある。

【文部科学省】

1.公立文教施設整備費 645億円(100.0%)
2.へき地児童生徒援助費等補助金 13億円(131.4%)
(1)スクールバス・ボート等購入費 8億円(146.6%)
(2)遠距離通学費 3億円(123.6%)
(3)寄宿舎居住費 0.3億円( 93.9%)
(4)高度へき地修学旅行費 0.9億円(100.0%)
(5)保健管理費 0.5億円(100.0%)
3.健全育成のための体験活動推進事業(学校を核とした地域力強化プランの一部として実施) 1億円(232.6%)
4. 青少年の体験活動の推進 0.5億円( 94.4%)

【文化庁】

1.文化芸術による子供の育成事業 51億円(100.2%)
2.無形文化財の伝承・公開 6億円(100.0%)
3.民俗文化財の保護 3億円(100.0%)
4.文化財保存技術の伝承 3億円(100.0%)

【厚生労働省】

1.へき地保健医療対策費 38億円( 98.8%)
2.医療施設等設備整備費 6億円( 98.0%)
3.医療施設等施設整備費 4億円( 98.0%)
4.医療提供体制施設整備交付金 25億円( 85.0%)
5.都道府県における医師確保のための相談・支援機能の強化
地域医療介護総合確保基金904億円(公費ベース)の内数
6.保健衛生施設等施設整備費 14億円(156.6%)
7.社会福祉施設等施設整備費補助金 26億円( 85.4%)
8.地域医療介護総合確保基金 483億円(皆 増)
9.地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金 8億円( 29.2%)
10.地域介護・福祉空間整備推進交付金 2億円( 25.0%)
11.次世代育成支援対策施設整備交付金 57億円(161.8%)
12.簡易水道等施設整備費 142億円(102.2%)
13.生活基盤施設耐震化等交付金 50億円(皆 増)
14.農林漁業就職総合支援事業 8億円( 99.0%)

【経済産業省】

1.廃棄物処理施設整備事業
(小規模事業対策推進事業の内数)
15億円 (100.0%)
2.ふるさと名物応援事業(内数) 16億円(皆増)

【環境省】

1.廃棄物処理施設整備事業
(浄化槽設置事業及び浄化槽市町村整備推進事業を除く)
389億円(102.5%)
2.浄化槽整備事業 90億円( 99.6%)
3.木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業 18億円(100.0%)
4.自然公園等事業 88億円(103.9%)
5.国立公園等民間活用特定自然環境保全活動(グリーンワーカー)事業費 3億円(100.7%)
6.日本の国立公園と世界遺産を活かした地域活性化推進費 6億円( 93.3%)
7.生物多様性保全推進支援事業 0.8億円( 57.7%)
8.鳥獣保護管理強化総合対策事業の一部 7億円(109.1%)
9. 指定管理鳥獣捕獲等事業(新規) 5億円(皆 増)
【内閣府】
1.地域再生基盤強化交付金 431億円( 95.5%)
2.子どものための教育・保育給付費負担金(新規) 5,930億円(皆増)

【平成27年度山村振興関係農林水産省税制改正の概要】

○ 振興山村において工業用機械等を取得した場合の特例措置について、同意山村振興計画(仮称) に記載された区域及び事業に係る措置とした上で、以下の通りの見直しを行い、2年延長する。(所得税・法人税)

① 対象事業者は地域資源を活用する製造業・農林水産物等販売業を営む中小企業者

② 取得価額は2,000万円超を500万円以上(地域資源を活用する製造業で資本金
5,000万円超は1,000万円以上) に引き下げ

③ 特例内容は特別償却( 初年度1 年間) を割増償却( 5 年間)に変更

○ 森林吸収源対策の財源確保に係る税制措置(検討事項)
森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保について、財政面での対応、森林整備等に要する費用を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みの導入に関し、森林整備等に係る受益と負担の関係に配意しつつ、COP21に向けた2020 年以降の温室効果ガス削減目標の設定までに具体的な姿について結論を得る。

(参考)

国連気候変動枠組条約の「第21回締約国会議(COP21)」は、2015年末に、
パリで開催される。
このCOP21の会議では、2020年以降の世界の気候変動・温暖化対策の大枠が
合意される予定。