山村振興法改正に関するアンケート調査結果の概要

全国山村振興連盟では、山村振興法が平成26年度末をもって期限切れになることを踏まえ、山村振興法の延長と内容の充実に向けての考え方を整理するため、山村振興の実務に携わる地方公共団体に対しニーズ等を把握・集約し、今後の法改正に向けた検討に反映させるために、アンケート調査を実施した。

○ 実施時期
平成25年9月
○ 調査対象
振興山村が所在する都道府県及び市町村
○ 都道府県は、振興山村の所在する全44都道府県。
○ 市町村は、振興山村の所在する734市町村のうち、213市町村を抽出。
○ 調査方法
19問の設問に対する自由記載式アンケート
○ 配布数及び回収結果

配布先  配布数 有効回答数 回収率
都道府県   44     25    57%
市町村   213     69   32%

 アンケート調査結果の概要は次のとおりとなっている。

山村振興法改正に関するアンケート調査結果の概要

Ⅰ 山村振興施策を実施するに当たっての問題点

○ 山村は、都市部を含め国にとって重要な国土や環境の保全、伝統文化の継承等の役割を担う国民全体の財産であるが、過疎化・高齢化の著しい進行等により、集落機能が低下し地域の活力が急速に失われている。

○ 地域住民にはあきらめ感すらあり、自信の喪失、意欲の低下等により、山村を支える地域コミュニティは崩壊の危機に瀕しており、国としても大きな問題となってきている。

○ 山村は、都市部の利益を含めた国にとって、現行法に規定されている国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全のほか、多様な文化の伝承、都市住民への自然とのふれあいの場の提供、食料の安定供給、エネルギー資源の保全、遺伝資源の保全とその適切な管理(有害鳥獣問題を含む)等の多彩な役割を担っており、その役割を果たしているのは山村地域の住民であり、そのコミュニティであるが、現行法上のその位置づけが不明確である。

○ 山村が期待されている役割を果たすためには、道路・通信施設等の整備、医療、福祉、教育等のほか、そこに人が暮らし、地域コミュニティが維持されていくためのハード・ソフトの事業、特に時代の要請に応じたきめ細やかな対応が必要になっているが、
国の補助事業等において、振興山村に重点を置いた施策が見えづらくなっている。

○ モノやカネがあっても、それを活用するヒトがいない状態では山村振興施策を進めることは困難であり、地域振興の担い手、地域のリーダーとなる人材の育成・確保が喫緊の課題となっている。

○ 鳥獣被害は、山村の基幹産業である農林業に甚大な影響を与え、営農意欲の減
退、耕作放棄地の増加を招き、農林業の衰退は、後継者の減少、国土の維持・保全活動の水準や地域活力の低下など、国土保全等の役割を果たすべき山村を多くの課題に直面させている。

○ 住民が安心して生活するためのインフラ等生活環境の整備については、一定の進展が見られるものの都市部と比較し依然として低位な状況にあり、企業誘致や移住・定住促進の妨げとなっているほか、過去に整備した施設についても、老朽化が進み、維持管理・修繕費が自治体の財政を圧迫している。

○ 空き家・廃校等遊休施設の増加が顕著となっており、これらは有効活用を図るべき資源である反面、個人財産である空き家は防犯、環境、景観上の問題がありつつも所有者との調整等に多大な労力を要し、対策が先に進まない状況にあるほか、撤去が必要な廃校等についても、撤去費用が確保できずそのままとなっている。

○ 上記諸課題に対しては一刻も早い対策が必要であるが、自治体の財政悪化により十分な施策を講じることができていない。また、財源が確保された場合でも、事業等を実施するための人材が自治体・地域ともに不足している。

○ 地方自治体においては、市町村合併による広域化に伴い、山村における役場等公共サービスの拠点となる施設の撤退や規模縮小が進み、地域に対するきめ細やかな対応が困難となってきている。
また、公共サービスの拠点の縮減もあいまって、市町村の一部分となった山村地域
に対する意識が低下し、振興に向けたビジョンも見えづらく、都市部との格差は更に拡大している。

○ 上記のような現状から、国の役割が重要になってきているが、現行山村振興法は、山村振興の責務を一義的には市町村に負わせており、より広域的な利害を代表する国の責務が明確になっていない。

Ⅱ 重点的に講じていくべき施策

○ 現在深刻な問題となっている山村の人口減少、コミュニティ機能の低下の傾向を押し止めるため、山村に人々が住み続けるためには、人々が安心して生活できる環境づくりが必要であり、インフラ等ハード面に加え、公共交通の確保などソフト面も含めた施策を実施する。そのため、以前に制度化されていた山村振興対策のための事業を復活し、山村地域の望む対策が効果的に実施されるようにする。

○ インフラについて、今後、既存施設の補修や長寿命化が特に課題となることから、維持管理や撤去も含めた支援施策を充実する。

○ 山村に豊富に存在する資源を活用した地域産業の振興により、地域における所得の増大、定住のための雇用機会の創出を図るとともに、生産条件の整備や新規作物の導入、6次産業化等により、農林業の所得が向上する仕組みづくりを行う。

○ 山村を、エネルギーの供給源として捉えるとともに、森林資源の再生可能エネルギーとしての利用を促進するため、必要な基盤の整備など、新たな産業を創出する取組を後押しする条件整備や支援施策を充実する。

○ 鳥獣被害防止対策の強化等により安心して営農を継続できる環境づくりを進め、鳥獣被害と耕作放棄地の増大という負のスパイラルを断ち切り、農林地の適切な管理による多面的機能の維持を図る。

○ 振興山村の生活基盤はもとより、基幹産業である農林産業に多大な被害を与える大規模な自然災害に対応するため、防災施設の整備や山地災害時における孤立集
落対策を進めるなど、防災・減災対策を山村が持続するための振興施策として位置付け、安心して生活できる山村づくりに取り組む。

○ 山村のきれいな水やおいしい食べもの、美しい景観や文化・伝統等の地域資源を活かし、周辺の地域も一体となっての地域内外の者の参画や、上・下流の連携による魅力ある地域づくりなど、都市と山村の交流を一層促進し地域の活性化を図るとともに、山村が果たしている役割に対する都市住民の理解の醸成を図る。

○ 地域における各種取組を効果的・継続的に進めるため、地域のリーダーとなる人材の育成を重点的に実施し、補助人制度の充実など外部人材も含めた人材の確保を推進する。

○ 地域の活性化を図るためには、若年層の受け入れが重要であるが、加えて都市でキャリアを積んだリタイア組も視野に入れ、山村からの情報発信を強化するなど、移住・定住につながる施策を推進する。

○ 情報通信社会の進展の中で、携帯電話やラジオが受信できない地域の解消はもとより、山村が自らの創意工夫のもとに世界と情報を交換しながら発展していくことを可能にする基盤として、情報インフラを整備する。

○ 地域づくりの活動は、行政が主導し地域が依存するのではなく、例えば、地域の女性による手づくりの活動など、生まれ育った土地に誇りや愛着の持てる住民が主体となった取組を促進する。

○ 山村の抱える課題は、地域の実情に応じて多岐にわたっており、地域による取組を支える、様々な分野からの一体的・総合的な国の支援が不可欠であり、縦割りを超え地域の自由度が大きい使い勝手の良い仕組みを措置する。

○ 以上のような山村振興施策を着実に進めていくため、山村振興法において、国土の維持や保全の観点から、山村と、そこに人が住み続けることが必要だという確たる理念を明らかにするとともに、施策を推進していく国の責務を明確にする。

Ⅲ 山村振興のための支援制度の検討

(1)交付金制度

○ 使途の自由度が高いパッケージ交付金の創設
・ 自治体の裁量によりメニューを選択でき、ソフト・ハード一体となった使い勝手の良いものとする。
・ 地域の自主性を尊重し、独自性を発揮させる地域提案メニューを設ける。
・ 何でもできる「山村活性化交付金」としての大枠が良いのか、ある程度目的を
絞った交付金とするのが良いかは検討が必要。

○ 既存の事業を効果的に活用
・ 必要な事業は揃っており、地域の課題に対し各種事業をコーディネートできる人材がいればよい。一括交付金化は、逆に取りまとめ事務が煩雑化する。
・ 自治体の一部分である振興山村限定の交付金は実施しにくい。
○ 国庫補助事業等における優遇措置
・ 補助率のかさ上げ
・ 山村の実情を考慮した採択要件、事業目標設定等の緩和

(2)特区制度(規制緩和)

農振法、農地法、都市計画法等による土地利用に係る規制について、山村の地
域性を踏まえた規制の緩和により、限られた土地の有効活用を図る。
その他、酒類の製造、鳥獣捕獲の特例、交通・運送等に係る規制緩和が考えられ
るが、特区制度の検討に当たっては、既存の特区制度を整理した上で、山村の振
興を図るための総合的な特区など思い切った規制緩和が必要ではないか。

Ⅳ 山村振興法の目的(第1条)

山村は国民全体の財産であり、国全体で山村の振興に取り組むべき旨を明記する。
また、山村を取り巻く厳しい現状(高齢化、鳥獣被害、耕作放棄地の増加、集落機能の低下等)をより具体的に言及する。

Ⅴ 山村の定義、振興山村の指定(第2条、第7条)

○ 時代に合わせて見直すべきであり、特に「住民の生活文化水準が劣っている」などの表現は差別的にも感じられ、現状を正確に表現しておらず修正すべきである。

○ 振興山村の指定要件については法制定当時から変更がなく、見直しが必要であるかの検討が必要である。具体的な検討項目として、指定要件(林野率、人口密度等)や指定区域の単位の見直し等が挙げられる。

Ⅵ 山村振興の目標(第3条)

現状に合わせたより具体的な目標(コミュニティの維持、鳥獣対策、文化の伝承等)の追加が必要である。また、施設の整備等ハード施策中心の記述となっており、ソフト面も含んだ施策推進の観点から表現の見直しが必要ではないか。

Ⅶ 山村振興基本方針、山村振興計画(第7条の2~第10条)

○ 自治体において振興山村の位置づけが希薄化する中で、計画作成によるメリット措置が少なく、計画自体の意義が問われている。計画に基づいた地方債、交付金の創設等が必要ではないか。

○ 計画作成に際しての事務負担が大きい。計画作成手続きの簡素化、時々の情勢に合わせて柔軟に対応するための計画変更手続きの簡素化等の改善が必要である

○ 計画事項に現状に見合った各種項目を追加する。または、柱となる項目のみ設定し、自治体の裁量により追加できるなど、自由度の高い項目設定とする。
他の地域振興立法等に基づく計画もある中で重複感もあり、計画内容も山村に特化
したものにするなど見直しが必要である。

Ⅷ 地方債についての配慮(第10条の2)

配慮規定では実効性がないため、山村振興のための新たな起債措置(山村振興債)の
創設を検討すべき。

Ⅸ 都道府県による基幹道路の整備(第11条)

道路以外の公共事業(通信、上下水道、集排水施設等)も対象とし、維持補修、事業実施に伴う用地買収、分筆登記等の付帯作業も代行事業に位置づけるべき。
山村にヒト・モノ・カネを循環させるためには、周辺地域と一体となった整備が必要であり、振興山村外の周辺地域を含んだ道路整備も対象にする必要がある。
また、都道府県財政が厳しい中で、国による県・市町村事業の代行制度についても創設を検討すべき。

Ⅹ 認定法人制度(第12条~第14条)

山村における担い手構造は多様化しており、現行の第3セクター以外にも、民間企業、社団法人、NPO法人等も対象に加えるべき。
また、対象事業についても現行の農林業の保全事業等に加えて、福祉事業、ガソリンスタンド等の住民生活に直結する事業等に対する支援が求められている。

XⅠ 税制特例、制度融資(第17条)

実績が少ないため、制度の周知とともに支援内容の充実が必要である。
具体的には、対象業種の拡大(民生を守る事業、小売、飲食業、再エネ事業等)、税制における取得価額の引き下げ等、山村の実態に合わせた内容に拡充するべき。
また、住民税や自動車税など個人への税制優遇についても、定住促進や生活支援の
観点から検討する必要がある。

XⅡ 配慮規定(第18条~第21条の3)

上記Ⅰのような、山村が直面する様々な課題に対する配慮を規定すべきであるが、一
方で、本当に配慮されているかどうかが問題であり、本規定に基づき適切な配慮がなさ
れているか点検が必要ではないか。

XⅢ 主務大臣(第23条)

文科、厚労、経産、環境の各大臣を追加し体制を強化すべきとの意見と、むしろ主務大臣を例えば総務省等に一本化し、省庁間の縦割りを排除した総合的な振興施策を推進すべきとの両方の意見があった。
また、主務大臣を追加するより、関係各省庁の横の連携が適切に図られていることが最も重要との意見もあった。
なお、アンケート調査に関する依頼文及び質問事項は次のとおりとなっている。

山村振興法改正に関するアンケート調査について

(平成25年9月5日付け中谷会長名)

山村振興法は、平成27年3月に期限が到来し、今後、その取り扱いが議論される予定です。
山村は、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全等の国民全体にとって重要な役割を果たしていくことが期待されている一方で、産業基盤や生活環境の整備について都市部との格差は依然として存在するとともに、過疎化・高齢化が進行して集落の機能の低下が懸念されることに加え、鳥獣被害の深刻化、耕作放棄地の増大等が進んでおります。
全国山村振興連盟としては、このような山村の状況を踏まえれば、期限到来後も山村振興に関する根拠法の必要性は、増大こそすれなくなることはないと考えております。
このため、全国山村振興連盟は、山村振興法の延長と内容の充実に向けての考え方を整理するための検討をはじめたところであり、その一環として、山村振興の実務に携わっておられる地方公共団体に対して、アンケート調査を実施して、山村振興に対する皆様方のご意見等を集約して検討に反映させることといたしました。
つきましては、お忙しいところ恐縮ですが、「アンケート調査(質問事項)」に対する回答を、「アンケート調査(回答)」にご記入の上、平成25年9月末日までに、全国山村振興連盟のメールアドレス宛ご送付いただきますようお願いいたしします。

アンケート調査質問事項

1 山村振興施策を実施するに当たっての問題点

山村は、産業基盤や生活環境に関するインフラの整備等の都市部との格差是正、集落の維持や担い手を育成するための様々な取り組みへの助成、地域の資源を活用した産業起こしや鳥獣被害防止対策等様々な施策が必要とされています。山村振興には、これらが総合的に推進されていくことが必要ですが、ヒト・モノ・カネといった様々な観点から、推進に当たっての問題点があれば、ご自由にお述べください。

2 重点的に講じていくべき施策等

山村振興施策には、地域の実情に応じた様々な取り組みが考えられる中、現時点において、特に重点的に講じていくべき施策についてご意見・ご提案があれば、ご自由にお述べください。

3 施策を進めていくために必要な支援のあり方①(交付金について)

山村振興法と同様に、いわゆる地域振興立法である離島振興法では、平成24年6月の改正により、ソフト施策の充実を図るため、都道府県が作成した離島活性化交付金等事業計画に基づく事業等の実施に要する経費に充てるための「離島活性化交付金」制度が措置されました。
これにならい、山村の活性化のための交付金制度について創設すべきか、また、制度が創設される場合、各省庁縦割りの事業をいかにパッケージ化して一本化するか、大きく一くくりの交付金とするのか、目的別に小分けするか、ハードも含めてどのようなメニューを求めるか等、交付金の内容、助成手段の在り方のあり方についてご意見・ご提案があれば、ご自由にお述べください。

4 施策を進めていくために必要な支援のあり方②(特区制度について)

離島振興法では、平成24年6月の改正により、地域の創意工夫を生かした振興を図るため、離島特区制度について総合的に検討することとされました。
これにならい、山村の活性化のための特区制度について創設すべきか、また、制度が創設された場合、山村の活性化のため、どのような規制について緩和すべきか等特区制度の在り方について、ご意見・ご提案があれば、ご自由にお述べください。

5 施策を進めていくための必要な支援のあり方③(その他)

施策については、ソフトからハードまで多岐にわたりますが、今まで特に着目されることがなかった、例えば、既設の道路や施設の維持・修繕や空き家の手入れや除去といった事業をどのように組み込んでいくか、また、今までには仕組まれていないが、今後必要となる事業としてはどのようなものがあるか等、その他支援のあり方についてご要望があればご自由にお述べ下さい。

6 山村振興法の目的(第1条)

現行の山村振興法は、山村振興法の目的として、第1条において、
・ 国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全等に重要な役割を担っている。
・ 産業基盤、生活環境の整備等について他の地域に比較して低位にある。
と位置付けています。
このような位置付けについて、山村の役割や可能性を踏まえ、山村の振興は山村の問題だけでなく、国全体で取り組むべき問題であるといった観点や、過疎化・高齢化の進行、集落の機能の低下、鳥獣被害の深刻化、耕作放棄地の増大等山村を取り巻く厳しい状況に具体的に言及するなど、山村振興の基本理念や山村の現状の観点からの見直しが必要かどうか、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

7 山村の定義(第2条)

現行の山村振興法は、山村の定義として、第2条において、
・ 林野面積の占める比率が高い。
・ 交通条件、経済・文化的条件に恵まれず、産業の開発の程度が低い。
・ 住民の生活文化水準が劣っている。
といった要件を規定しています。
このような要件について、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

8 山村振興の目標(第3条)

現行の山村振興法は、山村振興の目標として、第3条において、
・ 交通通信連絡を発達させること
・ 土地、森林、水等の未利用資源を開発すること
・ 産業を振興し、併せて安定的な雇用を増大すること
・ 災害を防除すること
・ 住民の福祉を向上させること
を掲げています。
このような目標について、山村振興施策を充実させる観点から、追加すべき事項があればご自由にお述べください。

9 国及び地方公共団体の施策(第4条、第5条)

現行の山村振興法は、第3条の山村振興の目標を達成するため、国や地方自治体の
施策のあり方について、第4条、第5条において、
・ 事業に対する負担・補助の条件の改善
・ 地方公共団体の財源の確保
・ 財政金融上の措置
・ 地域の特性に応じた事業の円滑な実施
を規定しています。
このような国や地方自治体の施策のあり方について、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

10 振興山村の指定と山村振興基本方針、山村振興計画の作成等(第6条~第9条)

現行の山村振興法は、第6条~第9条において、山村振興計画を作成してこれに基づいてその振興を図ることが必要かつ適当な山村を振興山村として指定し、振興山村に係る都道府県は山村振興基本方針を、市町村は山村振興計画をそれぞれ作成することができる旨を規定し、山村振興基本方針や山村振興計画では、
・ 振興の基本方針
・ 農業経営及び林業経営の近代化、観光の開発等産業の振興のための施策
・ 医療の確保、生活改善及び労働条件の改善のための施策
・ 施設の整備、農用地の造成及び集落の整備
に関する事項を定めることとしています。
計画に定めることとしているこのような規定について、山村振興施策を充実させる観点から、環境保全、エネルギー、農用地・森林の保全、集落維持、地域資源を活用した産業、鳥獣被害、人材の育成、教育の場としての活用、定住の促進等様々な観点から追加すべきものがあるかどうか、また、上記のような山村振興に関する計画のあり方や作成の手続き等について、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

11 山村振興計画に基づく事業の助成等(第10条)

現行の山村振興法は、山村振興計画に基づく事業の助成等について、第10条におい
て、国は、山村振興計画に基づく事業が円滑に実施されるように、関係地方公共団体の財政事情等につき配慮して、助成その他必要な措置を講じなければならない旨を規定しています。
このような規定について、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

12 地方債についての配慮(第10条の2)

現行の山村振興法は、地方公共団体が山村振興計画に基づいて行う事業に要する経
費に充てるために起こす地方債について、第10条の2において、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をする旨規定しています。
このような規定について、また、山村振興のための地方債について、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

13 基幹道路の整備(第11条)

現行の山村振興法は、第11条において、振興山村における基幹的な市町村道や、市町村が管理する基幹的な農道、林道、漁港関連道の新設及び改築について、山村振興基本方針及び山村振興計画に基づいて、都道府県が行うことができることとしています。
このような基幹道路の整備に関する規定について、また、山村振興施策を充実させる観点から、都道府県が代行して整備を行うべきインフラとして追加すべきものがあるか
どうか等について、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

14 認定法人制度(第12条~第14条)(対象とする山村振興の担い手等について)

現行の山村振興法は、第12~第14条において、
・ 造林、間伐、保育、作業路の保全、森林の巡視、森林施業に関する研修その他の森林の保全に関する事業
・ 農用地の保全に関する事業
・ 山腹の保全に関する事業
・ 振興山村の区域内において生産された農林産物を原料又は材料とする製造又は加
工の事業のいずれかを行ういわゆる第3セクターがこれらの事業のために取得した建物・土地に係る不動産取得税や機械・装置・土地・建物に係る固定資産税について、市町村が減免した場合の減収分に対する地方交付税の補填措置を講じる旨規定しています。
このような規定について、山村振興施策を充実させる観点から、例えば、対象事業に現在問題となっているガソリンスタンド等の住民生活を守るための事業など追加すべきものがあるかどうかや、第3セクター以外にも民間企業や一般社団法人や財団法人、NPO法人等対象とすべき者があるかどうか等について、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

15 税制の特例(特別償却の対象となる業種等について)

山村振興法に規定する振興山村において、租税特別措置法では、製造業、旅館業の方が使用する2000万円を超える機械や建物等を取得、建設等した場合に、取得価額の一定割合に相当する額の特別償却を可能とする特例が設けられています。
このような特例について、山村振興施策を充実させる観点から、特別償却に関する規定を山村振興法に規定すること、対象業種や取得価額について追加や引き下げを実施すること等について、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。
(注)山村振興法第13条には課税の特例(特別償却)の規定がありますが、平成21年度以降、この特別償却に関して租税特別措置法には規定されておらず、これに代わって、現在の特別償却が租税特別措置法に規定されています。

16 制度融資(第17条)

現行の山村振興法は、第17条において、株式会社日本政策金融公庫は、振興山村に
おいて農業・畜産業・林業・漁業を営む農林漁業者や農林漁業者が組織する法人に対し、必要な資金の貸付けを行う旨規定されています。
このような制度融資の規定や、山村振興施策を充実させる観点からの制度金融のあり方について、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

17 配慮規定(第18条~第21条の3)

現行の山村振興法は、山村振興を進めるに当たって配慮すべき事項として、第18条~第21条の3において、
・ 情報の流通の円滑化及び通信体系の充実
・ 医療の確保
・ 高齢者の福祉の増進
・ 地域文化の振興
・ 都市と山村の交流
・ 鳥獣被害の防止
等を挙げています。
これらの規定について、山村振興施策を充実させる観点から、新たに追加すべき事項があるかどうか等ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

18 主務大臣(第23条)

現行の山村振興法は、山村振興法の主務大臣として、国土交通・総務・農林水産の3大臣を規定しています。
このような規定について、山村振興の実施体制の強化の観点から主務大臣を追加する必要があるかどうか等について、ご意見・ご提案があればご自由にお述べください。

19 その他

上記の他、山村振興法の延長や延長に際し拡充すべき内容等法律の改正事項について、また、山村振興全般についてご意見・ご提案があればご自由にお述べください。