自動運転の時代がすぐそこまで来ている 全国山村振興連盟事務局長 實重重実

全国山村振興連盟事務局長 實重重実

山村地域で無人の自動運転車が走り回る時代が到来しようとしています。
3月8日、自動運転に関する法整備のために「道路運送車両法」と「道路交通法」の一部改正案が閣議決定され、国会に提出されました。
道路運送車両法の改正案によると、自動運転をするための「自動運行装置」については、「国土交通省例で定める技術基準に適合しなければ運行の用に供してはならない」とされています。
この技術基準に適合しているかどうかの審査は、「(独)自動車技術総合機構」が行います。また、自動車メーカーは整備業者に対して、情報提供の義務を負います。メーカー等が自動運転のプログラムを改変・提供しようとするときは、国土交通大臣の許可が必要となります。
道路交通法の改正案では、自動運転中にスマートフォンの操作や携帯電話での通話等ができるようになりますが、飲酒や睡眠は従来通り認められません。
これらの法整備ができ上がると、自動運転のレベル3(システムが自動運転をしていて、緊急時に運転手が操作する)に対応するばかりでなく、自動車のハードについてはレベル4(限定された地域において、すべてシステムが自動運転する)まで対応可能になるそうです。
国が自動運転を推進していくことの目的については、その重要な柱として、「高齢化が進む地方・中山間地域での移動手段不足の解決」が掲げられています(自動運転に係る制度整備大綱・平成30年4月17日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議)。同時に他の目的として、交通事故の削減、新たなサービス産業の創出、世界の開発競争での勝利などが掲げられています。
現在、自動車の世界では百年に一度と言われる大変革が押し寄せています。それはCASEと呼ばれ、「コネクテッド(つながる)/自動運転/シェアリング/電動化」の4つの頭文字を組み合わせたものです。
特に、自動運転によって個人乗用車だけでなく、無人タクシー、無人バス、無人トラックが走行するようになれば、人口減少・高齢化に悩む山村地域も大きく変わるのではないでしょうか。CASEによる変革が組み合わされば、カーシェアリング、無人の移動店舗・宅配、更に病院送迎なども手軽にできるようになることでしょう。
政府は2020年を目標に、「高速道路での自動運転」(レベル3)や、「限定地域での無人移動サービス」(レベル4)を実現したいとしています。自動宅配ロボットについても2019年に公道での実証実験が始まりますし、相乗りタクシーについては実証実験を終えて解禁が検討されているところです。
長年、夢物語のように思われていた自動運転の時代が、すぐそこまで来ていると言えそうです。