第1038号(平成28年2月15日発行)
1.予算編成経過
平成27年7月24日に「平成28年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」が閣議了解され、これを踏まえて、8月末日までに関係省庁から財務省に対し平成28年度予算概算要求が行われ、その後の折衝を経て、平成28年度予算政府案は、平成28年12月24日に閣議決定された。
平成28年度の政府予算案の歳出は、次のとおりとなっている。
国債費 23兆6,121億円 (前年度比1,614億円増)
基礎的財政収支対象経費 73兆1,097億円 (前年度比2,185億円増)
うち、地方交付税交付金等 15兆2,811億円 (前年度比2,547億円減)
合計 96兆7,218億円 (前年度比3,799億円増)
また、平成28年度の地方財政計画の規模は、総額85兆7,700億円程度(前年度比5,000億円程度増)、地方交付税は16兆7,003億円(前年度比564億円減)となっている。
平成28年度税制改正については、平成27年12月10日に「平成28年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)」が決定された。
2.全国山村振興連盟の取組
全国山村振興連盟としては、平成28年度の予算編成及び税制改正に向けて、7月の理事会及び11月の通常総会の際に要望事項を決定し、国会及び関係省庁に対し要望活動を行った。
【平成28年度山村振興関連各省庁予算概算決定の概要】
注1. 詳細は別表のとおり。
注2. 予算額は、振興山村分として明確な区分ができないため、全国分が一括計上されている。
【農林水産省(非公共)】
1.山村活性化支援交付金 7.5億円(100.0%)
2.強い農業づくり交付金 208億円( 90.0%)
3.多面的機能支払交付金 483億円(100.0%)
4.中山間地域等直接支払交付金 263億円( 90.7%)
5.農山漁村振興交付金(新規) 80億円(皆 増)
(平成27年度)
・農村集落活性化支援事業 (6億円)
・都市農村共生・対流総合対策 (20億円)
・農山漁村活性化プロジェクト支援交付金(61.5億円)
・山村活性化支援交付金 (7.5億円)
6.鳥獣被害防止総合対策交付金 95億円 (100.0%)
7.6次産業化支援対策のうち
6次産業化ネットワーク活動交付金 20億円 ( 87.2%)
8.耕作放棄地再生利用緊急対策交付金 2億円( 79.4%)
9.野菜価格安定対策事業のうち
特定野菜等供給産地育成価格差補給事業 171億円(102.2%)
10. 農業改良資金利子補給金 ( 4億円)( 80.9%)
11. 中山間地域活性化資金 (55億円)(100.0%)
12. 振興山村・過疎地域経営改善資金 ( 3億円)( 30.0%)
【農林水産省(公共)】
1.農業農村整備事業(拡充) 2,962億円(107.6%)
2.農山漁村地域整備交付金(拡充) 1,067億円(100.0%)
【水産庁(非公共)】
1.強い水産業づくり交付金のうち
水産業強化対策事業 13億円(107.7%)
2.強い水産業づくり交付金のうち
産地水産業強化支援事業 27億円(135.5%)
【水産庁(公共)】
1.水産基盤整備事業 700億円( 97.0%)
2.農山漁村地域整備交付金(拡充)(再掲) 1,067億円(100.0%)
【林野庁(非公共)】
1.次世代林業基盤づくり交付金 61億円(227.4%)
2.森林整備地域活動支援交付金
(既存基金と併せて事業を実施) 2億円(143.7%)
3.新たな木材需要創出総合プロジェクト 12億円 ( 84.0%)
4.地域材の安定供給対策(拡充) 2億円( 82.9%)
5.森林・山村多面的機能発揮対策 25億円( 98.5%)
6.森林・林業人材育成対策 59億円( 96.4%)
7. 山村活性化支援交付金(再掲) 7.5億円(100.0%)
8. 特用林産物振興総合対策事業 0.2億円( 98.1%)
9. 林業金融対策 (8億円)(95.4%)
【林野庁(公共)】
1.森林整備事業(拡充) 1,203億円(100.0%)
2.治山事業(拡充) 597億円( 97.0%)
3.農山漁村地域整備交付金(拡充)(再掲) 1,067億円(100.0%)
【総務省】
1.辺地対策事業債 465億円(100.0%)
2.過疎対策事業債 4,200億円(102.4%)
3.一般補助施設整備等事業債(豪雪対策事業) 31億円 (100.0%)
4.無線システム普及支援事業 13億円(103.0%)
携帯電話等エリア整備事業 13億円 (103.3%)
5.情報通信基盤整備推進事業(新規) 4億円(皆 増)
6.地域おこし協力隊の推進 1億円(150.1%)
【国土交通省】
1.道路事業 ※ ※※ 1兆6,637億円(100.2%)
2.治水事業等 ※ ※※ 7,953億円(100.1%)
3.都市公園・緑地等事業 ※ ※※ - ( - )
4.下水道事業 ※ ※※ 54億円(100.5%)
5.地域住宅計画に基づく事業 ※ ※※ - ( - )
6.地域公共交通確保維持改善事業 229億円( 78.8%)
7.「小さな拠点」を核とした「ふるさと集落生活圏」形成推進事業 2億円( 89.6%)
※ この他に、社会資本整備総合交付金
27年度予算:9,018億円、28年度:8,983億円)がある。
※※ この他に、防災・安全交付金
27年度予算:1兆947億円、28年度:1兆1,002億円がある。
【文部科学省】
1.公立文教施設整備費 709億円(110.0%)
2.へき地児童生徒援助費等補助金 22億円(170.5%)
(1)スクールバス・ボート等購入費 7億円( 94.1%)
(2)遠距離通学費 13億円(365.1%)
(3)寄宿舎居住費 0.3億円(102.0%)
(4)高度へき地修学旅行費 1億円(136.6%)
(5)保健管理費 0.5億円(100.0%)
3.健全育成のための体験活動推進事業
(学校を核とした地域力強化プランの一部として実施) 1億円( 91.9%)
4. 青少年の体験活動の推進 0.5億円(101.3%)
5. 少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業 0.4億円(133.3%)
6. 人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係わる実証事業 1億円( 95.8%)
【文化庁】
1.文化芸術による子供の育成事業 51億円(100.2%)
2.無形文化財の伝承・公開 6億円(100.0%)
3.民俗文化財の保護 3億円(108.3%)
4.文化財保存技術の伝承 3億円(102.5%)
【厚生労働省】
1.へき地保健医療対策費 68億円(182.0%)
2.医療施設等設備整備費 6億円( 98.9%)
3.医療施設等施設整備費 3億円( 97.1%)
4.都道府県における医師確保のための相談・支援機能の強化
地域医療介護総合確保基金の内数
5.ドクターヘリ導入促進事業 61億円( 45.5%)
6.保健衛生施設等施設整備費 20億円(146.0%)
7.保育所等整備交付金 534億円( 96.4%)
8.次世代育成支援対策施設整備交付金 57億円(100.0%)
9.社会福祉施設等施設整備費補助金 70億円(271.6%)
10.地域医療介護総合確保基金 483億円(100.0%)
11.農林漁業就職総合支援事業 7億円( 95.1%)
12.水道施設整備費補助 204億円( 80.4%)
13.生活基盤施設耐震化等交付金 130億円(260.0%)
14.農林漁業就職総合支援事業 8億円( 99.0%)
【経済産業省】
1.地域力活用新事業創出支援事業
(小規模事業対策推進事業の内数) 15億円 (100.2%)
2.ふるさと名物応援事業(内数) 10億円( 62.3%)
3.バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業 11億円(210.0%)
【環境省】
1.廃棄物処理施設整備事業
(浄化槽設置事業及び浄化槽市町村整備推進事業を除く) 315億円( 81.1%)
2.浄化槽整備事業 89億円( 98.9%)
3.木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進
事業 7億円( 38.9%)
4.木質バイオマス資源の持続的活用による再生可能エネルギー
導入計画策定事業(新規) 4億円(皆 増)
5.自然公園等事業 86億円( 97.7%)
6.国立公園等民間活用特定自然環境保全活動(グリーン
ワーカー)事業費 3億円(101.1%)
7.国立公園協働型管理運営体制強化事業 0.7億円(111.2%)
8.エコツーリズムを通じた地域の魅力向上事業 0.4億円( 45.7%)
9. 生物多様性保全推進支援事業 0.8億円(100.0%)
10. 鳥獣保護管理強化総合対策事業 7億円(101.7%)
11. 指定管理鳥獣捕獲等事業 5億円(100.0%)
【内閣府】
1.子どものための教育・保育給付費負担金 6,428億円(107.9%)
【平成28年度税制改正大綱】
平成27年12月16日
自由民主党・公明党
○ 森林吸収源対策の財源確保に係る税制措置
第1 税制改正の基本的考え方
7 森林吸収源対策
2020年度及び2020年以降の温室効果ガス削減目標の達成に向けて、森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する安定的な財源の確保についての新たな仕組みとして、以下の措置を講ずる。
(1)エネルギー起源CO2の排出抑制のための木質バイオマスのエネルギー利用や木材のマテリアル利用を普及していくことは、森林吸収源対策の推進にも寄与することから、地球温暖化対策のための税について、その本格的な普及に向けたモデル事業や技術開発、調査への活用の充実を図ることとし、経済産業省、環境省、林野庁の3省庁は連携して取り組む。
(2)森林整備や木材利用を推進することは、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や地方創生、快適な生活環境の創出などにつながり、その効果は広く国民一人一人が恩恵を受けるものである。しかしながら、森林現場には、森林所有者の特定困難や境界の不明、担い手の不足といった、林業・山村の疲弊により長年にわたり積み重ねられてきた根本的な課題があり、こうした課題を克服する必要がある。
このため、森林整備等に関する市町村の役割の強化や、地域の森林・林業を支える人材の育成確保策について必要な施策を講じた上で、市町村が主体となった森林・林業施策を推進
することとし、これに必要な財源として、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求め、市町村による継続的かつ安定的な森林整備等の財源に充てる税制(森林環境税(仮称))等の新たな仕組みを検討する。その時期については、適切に判断する。