昨年11月5・6日の両日、山村振興全国連絡協議会関東ブロック会議で、栃木県茂木町を訪問しました。
茂木町で全国的に有名なのは、「ツインリンクもてぎ」というレーシングカー・サーキットです。特にオートバイのF1と言われる「モトGP」がこの地で開催されることもあり、全国からレーシングカーやバイクファンが年間90万人も訪れるのだそうです。
「ツインリンクもてぎ」は、ホンダの子会社が所有している64ヘクタールもある敷地の中にあります。2つのレーシングサーキット場を中央に配し、宿泊施設やキャンプ場、子供たちが遊べる遊園地、自然と触れ合う体験のできる公園もあって、来場者が家族で楽しめるようになっています。また、ホンダ・コレクション・ホールという博物館では、ホンダの創業者、本田宗一郎氏の夢と苦闘の足跡を辿り、クラシックカーから最先端のマシンまで展示されています。パンフレットには「世界の頂点を目指そう」と書いてありました。
もう一つ、茂木町が全国に誇るものは、「道の駅もてぎ」です。これは、最も初期に造成された道の駅であって、全国6カ所のモデルの1つになっているそうです。国道123号線沿いの大きな敷地の中に、何棟ものきれいな建物が並んでいます。
茂木町ではゆずが特産物ですが、道の駅で販売している「ゆずしおラーメン」は大好評で、「道―1グランプリ」で3年連続優勝(グランプリ)を制覇したという実績があります。多いときは、月に1500杯が売れているそうです。
敷地の中には、バウムクーヘンの工房と販売所もあり、こちらは農林水産省の「ディスカバー農山漁村の宝」でグランプリを受賞しています。道の駅というと国道の通りすがりにちょっと立ち寄るというイメージがありますが、茂木町の道の駅はそれとは違って、特徴のある特産品に引きつけられて、道の駅自体を目的としてやってくるリピーターが6割にのぼるそうです。それだけに常に新鮮さを打ち出せるようにと、絶えず新商品の開発を行っているとのことでした。
最先端マシンのサーキット場と地元野菜・特産物を使った道の駅。多数の人を引きつける2つの拠点を持った茂木町は恵まれているように見えますが、それでも人口減少に歯止めがかからないという悩みは、他の山村と同じです。
ある調査によると「ツインリンクもてぎ」と道の駅は、客層が異なるそうでして、今後、ツインリンクと町が連携を深めて、ツインリンクの来客がもっと地域に目を向けてもらえるようにすることが課題だと、副町長はおっしゃっていました。
世界の頂点、最先端を走る技術と、地域で培われた特産物などの地域資源。この双方が融合して、新しい山村の姿を生み出していってもらえると良いなという希望を抱きました。