地域づくり事業協同組合に続いて労働者協同組合が誕生 實重重実

このところ議員立法により昔から夢に見たような素晴らしい法律が次々と成立しています。

その1つは皆様も既にご存知のとおり、一昨年成立した「地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律」(人口急減地域特定地域づくり推進法)であり、昨年6月に施行されました。本法に基づく「特定地域づくり事業協同組合」は、人口が減少する地域において地域の事業者・関係者が出資し合い、地域のためになる事業を展開することを目的として設立する組合です。組合は従業員を雇用することができ、その給与を含む活動経費に対して、国・市町村から助成を受けることができます。このため移住者や任期を終えた地域起こし協力隊員の雇用の受け皿になることが期待されています。

昨年10月に島根県海士町で第1号の組合が誕生したほか、現在全国数十カ所で設立の準備が進められているようです。法律に基づく知事の認定が必要なこと、行政の助成金を受けられること等から、設立手続きにはなかなか煩雑なものがあり、設立に関わる市町村の職員の方も大変だと思います。これについては総務省が作成したマニュアルがありますので、それに従って手続きを進めていただければと思います。

しかし、1度設立までこぎつければ、期限なしで人件費を含めて助成を受けられるという、これまでにない画期的な制度だと思いますので、頑張りがいがあるというものです。

さてこれに続いて議員立法により昨年12月に成立したのが「労働者協同組合法」でした。これは地域の労働者自らが出資し合って組合を設立し、自ら運営しながら事業に従事するというものです。経営と労働の分離がありません。行政庁の許認可も必要なく、登記をもって成立し、行政庁には届出だけすれば良いこととなっています。 この法律に基づく「労働者協同組合」は、非営利で地域のための事業を行うものとされており、設立地域の限定はありません。典型的には訪問介護や学童保育等がイメージされているようですが、派遣業の禁止等以外には事業は限定されていませんので、地域交通・移動販売・ガソリンスタンドなど幅広く活用できるのではないでしょうか。

労働者協同組合は純然たる民間の活動組織であって、行政の支援等は法定されていませんが、簡便な手続きで設立することができます。なお法律の公布から2年以内に施行することとされており、まだ施行の時期は決まっていません。

このように柔軟で多様性を許容し、そして地域の自発的な活動を促進するための法律が2つも成立したことは大変喜ばしいことであり、山村地域の関係者の皆様方も、これらの制度を大いに活用して、地域を盛り上げていただければと思います。