第1078号(令和4年10月15日発行)
令和4年度北海道・東北六県山村振興ブロック会議が、7月21日(木)~22日(金)の2日間にわたり全国山村振興連盟宮城県支部(支部長 保科郷雄丸森町長)の主催により、宮城県丸森町「丸森まちづくりセンター」において、各道県の支部長、事務局、来賓等15名が参加して開催された。
1.開会及び主催者代表挨拶
開会に当たり、主催者代表として保科郷雄丸森町長から、以下のとおり挨拶があった。
「本日は、ご多用の中、全国山村振興連盟常務理事、事務局次長をはじめ、各道県の支部長、事務局の皆様に出席いただき、感謝申し上げます。今回の会議は、コロナ禍ということもあり、例年より規模を縮小しての開催とさせていただきました。
さて、新型コロナウイルスの影響は本年に入っても依然として大きく、山村地域が受けた経済的な打撃は、観光業・飲食業はもとより各般の分野で大変深刻なものがあり、今後は、打撃を受けた経済の回復を図っていくことが急務であると考えております。
また、我が国はもとより、世界的にも異常気象による自然災害が多発し、地球温暖化に対処することは、国際社会の喫緊の課題となっています。
こうした中、広大な森林を有する山村地域の役割は、極めて重要なものであり、国土を保全し、自然災害を防止するためにも、山村地域に対する政策を充実・強化していくことが必要であります。
国では森林環境譲与税の導入・拡大をはじめとして、山村地域に対する各種の支援策を徐々に充実していただいており、さらに若者を中心とする田園回帰の潮流を育てるべく、各方面から山村地域を支援するための新たな施策が進められていることは、高齢化や人口減少が進む山村地域にはありがたい話であります。出席の皆様におかれても、今後とも全国山村振興連盟と緊密な連携を図り、山村振興対策の推進に一層取り組まれるようお願い致します。」
2.来賓紹介
来賓として次の者が紹介された。
全国山村振興連盟常務理事兼事務局長 實 重 重 実
全国山村振興連盟事務局次長 千 葉 善 行
宮城県支部 石垣裕一事業推進課長の司会のもとで議事が進められた。
3.来賓挨拶・山村振興施策行政説明・全国山村振興連盟活動状況報告
全国山村振興連盟實重常務理事兼事務局長から、次のような挨拶があった。
「宮城県支部、丸森町の設営に感謝申し上げます。
世界は疫病、災害、戦争、そして飢餓と大きな転換期を迎えていますが、重要な課題である脱炭素、食料安全保障などいずれに関しても、山村地域の振興を抜きには語れないと考えます。また、コロナ禍で打撃を受けた山村経済の再生も急がれます。
こうした中、久々に北海道・東北地域ブロック会議が開催されることとなり、皆様と意見交換し、また山村の現地での声を様々に伺って、力を合わせて課題に取り組んでいきたいと考えているので、よろしくお願い致します。」
4.山村振興関係施策・予算等について
全国山村振興連盟實重常務理事兼事務局長から、①全国山村振興連盟の活動状況報告、②政府の山村振興関係予算の概要、③令和5年度山村振興関連予算・施策に関する要望について、以下のような説明があった。
全国山村振興連盟の活動状況としては、昨年度は緊急事態宣言、まん延等防止措置が長期間にわたり、書面表決などとなった行事も多かったが、本年度は6月3日の研修会、7月7日・8日の副会長会議・理事会をはじめ、順調に行事を行ってきている。今後のコロナの状況にもよるが、予定どおり行事ができるように努力したい。
政府の山村振興関係予算については、
・農林水産省関係では、山村活性化支援交付金の活用を進めるために、山村振興計画の作成要領を配布していること、今後食料安全保障の観点から、予算や食料・農業・農村基本法の見直しが行われる予定であること、
・林野庁関係では、脱炭素や「森林サービス産業」といった観点に力を入れていること、森林環境譲与税に関して与党内で見直しの議論があること、
・総務省関係では、「デジタル田園都市構想」の推進のため補正予算・予算の両面から重点化されていること、地域おこし協力隊や特定地域づくり事業協同組合が伸びていること、
・国土交通省関係では、国土利用計画の中間取りまとめが公表されたこと、国土強靱化や地域公共交通のための予算が伸びていること、などである。
こうした動きも踏まえ、先般理事会で決定した令和5年度要望書では、①食料安全保障、脱炭素等地球規模の課題に対処する上での山村施策の強化、②コロナ感染防止と新たな社会の建設、③デジタル化の進展に応じた革新技術の導入・普及等に重点を置いて要望を行っているところである。」
5.次期開催地の選定
次期開催地として、秋田県が選定された。
6.丸森町の山村振興施策等について
宮城県丸森町の山村振興施策等について、保科郷雄町長、佐々木秀之副町長、長門修企画財政課長から、次のような説明があった。
「丸森町は宮城県の最南端に位置し、人口は12,363人。猫神の石碑、阿武隈川のライン下り、蔵の郷土館「齋理屋敷」などが観光資源である。
令和元年10月12日、台風19号により河川の増水・浸水、土砂崩れが発生し、一部の地域では年間降水量の約半分ほどの量が1日で降った。これにより、死者11名、行方不明者1名、被災した公共土木施設・農林業施設等2,904か所、床上浸水908世帯、床下浸水316世帯、被害総額472億8,162万円など、甚大な被害を被った。復旧・復興に当たっては復興ビジョン「共に立ち上がろう 次代につなぐ新たな
丸森づくり」を掲げて、河川防災ステーション、国道の山側別ルートの整備をはじめとして、国・県・町により各種の事業が実施中である。
山村振興施策としては、町として次のような取組を行っている。
①自然の中で暮らし体験 滞在型市民農園(クラインガルテン)
②地域・農業に活気 いきいき交流センター大内(加工・直売所)
③中山間地域の保全・活性化(中山間地域直接支払制度の活用)
④山村活性化対策事業(へそ大根の加工品商品化)、
⑤町内全域で利用できる光ブロードバンド環境(まるもりFREE Wi-Fi)
⑥雇用対策と創業支援(企業情報ガイドブック、丸森CULASTA)
⑦子育て支援事業(第2子以降児童保育料等無料化、放課後児童クラブ)
⑧移住定住推進事業(ワンストップ窓口、移住体験会)
⑨丸森町地域おこし協力隊(累計50名、町内定住者15名)、
①丸森町集落支援員制度(地域の見守り、地域課題の掘り起こし)」
7.現地視察
7月21日(木)、令和元年東日本台風災害復旧現場の視察を行った。①竹谷地区の農地等災害復旧、②河川防災ステーション、③五福谷川遊砂地等について説明を受けながらバスの車窓から視察したほか、④新雨水ポンプ場、⑤神明災害公営住宅、⑥五福谷北山線・薄平沢砂防堰堤については下車して説明があった。
7月22日(金)、町内の観光・交流施設を視察した。大内活性化センターは、町内に7か所ある直売所のうち大内地区にあり、「いきいき交流センター大内」という愛称で親しまれている。
蔵の郷土館「齋理屋敷」は、江戸時代後期から7代続いた豪商「齋藤屋」の屋敷跡であり、館内12か所の建造物が国の登録有形文化財に認定されている。8月には、3年ぶりに千基の絵とうろうの灯りをともす「齋理幻夜」というイベントが予定されている。
(山村振興情報令和元年10月15日号の表紙に掲載されている。)
阿武隈ライン舟下りは、阿武隈川で唯一、舟下りができるスポットであり、川を知り尽くした船頭が舟を操るとともに、案内でも道中を盛り上げてくれた。