全国山村振興連盟理事会を開催(H28.2)

全国山村振興連盟は、平成28年2月19日(金)午前10時30分から千代田区永田町の全国町村会館2階ホールにおいて平成27年度第3回理事会を開催した。
最初に、宮腰光寛 会長から挨拶があり、次いで、理事の吉野正芳 衆議院議員、金子恭之 衆議院議員、石田祝稔 衆議院議員及び松田直久 衆議院議員から挨拶がなされた。
来賓として出席された農林水産省農村振興局 圓山満久 地域振興課長、国土交通省国土政策局 織田村 達 地方振興課長、総務省地域力創造グループ 須藤明裕 地域振興室長及び林野庁森林整備部 赤堀聡之 森林利用課長から挨拶がなされた。
その後議事に移り、竹﨑一成会長代行が議長を務め、「第1号議案 平成28年度事業計画(案)に関する件」及び「第2号議案 平成28年度予算(案)に関する件」について審議が行われた。
理事会の内容は、次の通りとなっている。

【宮腰光寛 会長 (衆議院議員)の挨拶要旨】

本日は平成27年度第3回理事会を開催いたしましたところ、全国から公務お忙しい中、地方において山村活性化の中心としてご活躍いただいております役員の皆様方のご出席を賜り、厚く感謝申し上げます。また、国会で超党派でご尽力いただいている先生方には政務ご多端の中ご出席賜りましてありがとうございます。。
昨年の山村振興法の10年振りの改正では皆さん方のご熱意と先生方のご尽力によりまして、3月に改正法が成立致しました。
長年の懸案でありました山村で使い勝手の良い山村活性化支援交付金の制度が創設されました。本年度は創設当初ということもあり7億5千万円の予算全額を消化するということはできませんでしたが、先生方のご尽力により平成28年度予算では同額が計上されております。
また、昨年の年末の「平成28年度税制改正」におきましては、これも長年の懸案でありました森林環境税につきまして「市町村が主体となった森林・林業施策を推進することとし、これに必要な財源として、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求め、市町村による継続的かつ安定的な森林整備等の財源に充てる税制(森林環境税(仮称))等の新たな仕組みを検討する。その時期については、適切に判断する。」ということでまとまったわけでして、このことによって時期はいまだ明確ではありませんが、森林環境税が市町村の森林整備の安定的財源として導入することがほぼ確定となったというふうに理解しております。
着実に全国山村振興連盟として要望が実現しつつあるということであり、改めて昨年の皆様方のご努力に深く感謝申し上げます。
本日の議題は、来年度の事業計画、予算でございます。予算については、事務費を節約し、事業費については必要額を確保するという方針で計上いたしておりますので、どうぞよろしくご議論賜りたいと存じます。
私どもの団体は、振興山村を抱える市町村の首長の皆さんと党派を超えての国会議員の先生方とが一緒になって山村の振興のために頑張っていこうという組織でありまして、これが他団体と違った点であると思っています。共に力を合わせて引き続き頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。

【吉野正芳 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】

宮腰会長からお話がありましたように、我々の長年の懸案でありました森林環境税がやっと日の目を見て、近い将来に実現される運びとなったわけであります。これは国税として全国に税金をかけて一端国に入りますが、全額市町村に渡し、市町村が森林整備に使うというすばらしいものです。全額皆さんに渡って、その代わり、森林整備をしてもらいたいというものであります。
来年度は総務省では500億円の地方財政措置を講じることになっています。
林地台帳の整備、森林所有者の確定、境界の明確化等森林整備をする上で前提となることを行うためのものです。これも活用していただきたいと思います。

【金子恭之 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】

昨年3月31日、超党派の先生方が力を注いで、全国山村振興連盟の皆様方の意見を集約する中で、10年の延長と新たな基本理念、目的規定、産業の振興、地域住民の福祉の増進等々を含めて充実した改正ができたのではないかと思っています。
本日朝8時から私が委員長を務めている自民党の山村振興特別委員会を開催させていただきました。当連盟から宮腰会長は勿論、竹﨑会長代行をはじめ副会長の皆さんに参加していただきました。いろいろとご意見のある中で、予算・税制さらにパワーアップしていかなければと思っています。
先ほど宮腰会長からお話がありましたが、今回の改正により平成27年度予算に初めて山村活性化支援交付金を獲得したわけであります。100%ソフトといいながら、いろいろなことが重なって思うほど希望が出てこなくて、全国では71カ所しか手が挙がらなかったのですが、熊本県では私の地元である竹﨑会長代行の芦北町をはじめ13カ所が手を挙げました。皆様方が勝ち取られた山村活性化支援交付金であります。小さな町とか村では計画づくりが大変だと思いますが、国がしっかりと支援する、相談にのる、都道府県が相談にのるという形で、こういうことをやりたい、ではこういうふうにしなさいといった指導をすることにしていますので、是非、活用いただきたいと思います。

【石田祝稔 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】

公明党の衆議院議員石田です。私も宮腰会長、皆さんの暖かいご配慮をいただいて理事の一員に加えていただきました。私達もしっかりと働いてまいりたいと思います。 山村活性化支援交付金の話がありましたが、なかなか出発当初はなじみがなくて全てを使い切れていないというのは残念です。
私も過疎対策の責任者を党の方でやっていまして、その時、ソフト対策を入れることになりました。その時も最初はなかなかデコボコがありました、100%使うところもあるしほとんど使わないところもありました。しかし、周知されるにしたがって、やはりこれはいいということで、どんどん使われた経緯があります。
山村活性化支援交付金が知られていないのか、使い勝手がやはり地元からすればこうして欲しいああして欲しいということがありはしないかということについて、皆さんの率直な意見を是非伺いたいと思います。折角の予算ですから足りないというくらい使っていただいて、我々もしっかりと要望させていただこうと思っています。
TPPの問題ですが、3月には特別委員会ができる予定です。今、与党でも11本の法案、それぞれの役所に対応する部会で審査を始めています。皆さんも農林業の問題についてご心配だと思いますが、TPPの問題についても間違いなくしっかりと対応したいと思っています。

【松田直久 理事(衆議院議員)の挨拶要旨】

私も新任の理事ということで、皆さんといろいろと意見を交換し、お話を伺ったりして、山村振興の持つ意味、その重要性を改めて感じております。
地方創生、一言で言えばもう一回立て直す。この山村振興はなくてはならない施策なんだと思います。私の三重県も6割が山村・森林です。これをしっかり守っていくことが環境、人のつながりを守る、つながりを守ることがまちを守る、まちを守ることがまた海を守り川を守る。この根幹の施策にしっかり頑張って取り組んでいきたいと思っています。

【 圓山満久 農林水産省地域振興課長 挨拶要旨】

農林水産省として平成28年度の予算におきまして、農林水産業の活力創造プラン、食料・農業・農村基本計画に基づいて、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現するための施策を展開することとしています。先生方のご尽力により、27年度の補正予算を含め7兆7,100億円の、27年度当初予算に比べて17.4%増の予算でこういった施策を推進することとしています。
また、先ほど来先生方からお話のあった山村活性化支援交付金につきまして、いろいろご心配をかけて申し訳ありませんでしたが、28年度につきましては予算が足りなくなるのではないかと思っています。また、内容につきまして、それぞれの市町村の皆さん方とブラシュアップしながらより良い予算の使われ方になるように私共も頑張っていきたいと思っています。
また、山村振興法の改正により、産業振興施策促進事業を記載することにより地域資源を活用する製造業、農林水産物等販売業の中小企業者の国税・地方税の税制特例措置が設けられています。この前提となる山村振興計画の変更等を検討していただいていると思いますが、この税制の活用についていろんな立場でご配慮賜りますようお願いします。

【織田村 達 国土交通省地方振興課長 挨拶要旨】

国土交通省におきましても、山村を含む条件不利地域の振興につきまして交通網・河川の整備など社会資本整備、また、街づくり、住宅、観光など様々な施策の実施により、地域づくりを支援をしています。
平成28年度予算におきましても、国土政策局としては山村を含む中山間地の生活サービスを支える「小さな拠点」の育成を進めていますが、「小さな拠点」を核とした「ふるさと集落生活圏」形成推進事業も引き続き平成28年度予算に盛り込んでいます。「小さな拠点」については、これを含めて総合的な支援を行うということで対応しています。
現在地方創生ということで、昨年12月「まち・ひと・しごと総合戦略」も改定されましたが、政府一体となって取り組んでいこうということになっていますので、地方創生本部と連携して地域振興に努めてまいります。

【須藤明裕 総務省地域力創造グループ地域振興室長 挨拶要旨】

現在政府においては、地方創生を最も緊急度の高い取組の一つとして行っていますが、総務省としても地方の再生なくしては地方の創生はなしとの考えの下に、日本列島の隅々まで活発な経済活動が行き渡り、ひとりひとりが暮らしの中で景気回復が実感できるよう地方創生に取り組んでいます。
地方自治体がエンジンとなって地域の総力を挙げて地域の有効需要を掘り起こし、所得と雇用を生み出すことで、地方からのGDPの押し上げを図るため、「ローカル10,000プロジェクト」や「分散型エネルギーインフラプロジェクト」により「地域経済好循環推進プロジェクト」を推進します。
また、自治体インフラの民間開放として、公共施設を民間に開放し、民間事業者のビジネス拠点を創出する「公共施設オープンイノベーション」や海外販路の開拓や対日直接投資を推進する「地域経済グローバル環境創造事業」を推進します。集約ネットワーク化の考えに基づき、中核の都市や近隣市町村が有機的に連携し地域の活性化を図るため、「連携中枢都市圏」や「定住自立圏」により圏域全体の経済成長を牽引、生活機能向上確保の取組を推進します。
過疎地域などの条件不利地域については、集落ネットワーク圏の形成などにより集落の維持・活性化を図っていきます。
さらに、地方への人の流れを促進するため、地方自治体や関係省庁との連携の下、「全国移住ナビ」をさらに充実させることなどにより、昨年開設した「移住・交流情報ガーデン」の情報提供体制を強化していきます。
また、「地域おこし協力隊」を平成28年中に約3,000人に拡充することを目指しています。
平成28年度の地方財政対策については、地方が地方創生等の重要課題に取り組みつつ安定的な財政運営が行うことができるよう、地方交付税等の一般財源総額について地方交付税16兆7,003億円を含めて61兆6,792億円と平成27年度を0.1兆円上回る額を確保しています。
また、先ほど宮腰会長、吉野理事からお話のありました「平成28年度税制改正大綱」の趣旨を踏まえて、森林吸収源対策の推進として、今後市町村が主体となって森林整備が円滑に推進されるよう、林地台帳の整備、森林所有者の確認、境界の明確化や施業の集約化、林業の担い手の確保、間伐により生産された木材の活用等に要する経費に充当できるよう、平成28年度地方財政計画において重要課題対応分として新たに500億円計上し、地方財政措置を講ずることにしました。
その他、地方創生に寄与する事業を推進するため、過疎対策事業を充実することとし、過疎対策事業債について前年度比100億円増の4,200億円を確保し、地方債計画に計上するとともに、有害鳥獣対策など山村振興対策についても引き続き地方財政措置を講ずることにしています。
ICT関係の平成28年度予算については、引き続き、条件不利地域の携帯電話等のエリア整備の推進、光ファイバ等の超高速ブロードバンド基盤の整備を実施する地方公共団体に対する支援を講じてまいります。

【赤堀聡之 林野庁森林利用課長 挨拶要旨】

山村は豊富な森林資源を有しており、また、特に人工林の多くが本格的な利用期を迎える中で、こうした森林資源の循環的利用を図り、林業の成長産業化を実現することが、山村の振興そして地方創生には重要な鍵を握ると考えています。
このため、平成28年度予算及び平成27年度補正予算において、こうした林業の成長産業化を一層確かなものとするとともに森林吸収源対策に積極的に取り組むために、地球温暖化防止に向けた森林整備や多面的機能発揮のための対策、施業の集約の加速化、林業を支える担い手の確保・育成といった川上対策、また、新たな木材需要を創出するといった川下対策を盛り込むとともに、川上から川下までの取組を総合的に支援するため、「次世代林業基盤づくり交付金」を新設しました。
「森林・山村多面的機能発揮対策」については、平成25年度の事業開始から3年目を迎え、里山林の保全管理、小規模な自伐林家の活動など各地域における幅広い活動に有効にご利用いただいています。平成28年度予算においてもほぼ同額の措置をすることとしており、是非、来年度においても各地域で利用していただくとともに、市町村からも支援・助言をお願い致します。
宮腰会長、吉野理事からお話がありました森林吸収源対策のための安定財源の確保については、森林・林業関係者にとって長年の懸案となっていましたが、昨年末に決定された与党の「平成28年度税制改正大綱」において、森林環境税(仮称)については市町村による森林整備等の財源に充てる税制等の新たな仕組みを検討すること、また、地球温暖化対策税について、木質バイオマスエネルギー利用の普及などへの活用の充実を図ることが明記されており、安定財源確保に向けた道筋を付けていただいたところです。国会議員の先生方のご尽力、全国山村振興連盟の皆さんのご支援に心から感謝申し上げます。今後、この枠組みに基づいて国会議員の先生方とご相談し、また、関係省庁と連携を図りながら、具体の内容について検討を進めたいと考えています。
また、吉野理事、総務省からお話がありましたように、地方財政措置により林地台帳の整備、境界の確定、森林所有者の確認といったことを推進することになっています。私共としても総務省と協力して取り組んでいるところであり、1月末に各都道府県への説明会も実施していますので、市町村におかれましても、是非、有効に活用して頂きますようお願いします。

◎挨拶をいただいた方以外の政府関係の出席者(敬称略)

林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室長    今泉裕治
農林水産省農村振興局地域振興課課長補佐    杉崎浩史
農林水産省農村振興局地域振興課調整係長    国広博昭
国土交通省国土政策局地方振興課課長補佐    藤澤貴充
国土交通省国土政策局地方振興課交流推進係長  横堀誠一郎
林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室課長補佐 松本康裕
林野庁森林利用課森林環境教育推進官      近藤美由紀

【議 事】

竹﨑会長代行の議長のもとに議事が進められた。
○ 第1号議案  平成28年度事業計画(案)に関する件
岸 事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された。
○ 第2号議案  平成28年度予算(案)に関する件)
岸事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された。

平成28年度事業計画は次のとおりとなっている。

平成28年度事業計画

山村は、農地・森林の持つ国土保全・環境保全、地球温暖化防止等の役割がますます重視され、また、都市住民等の憩いの場としての豊かな自然環境への期待が高まっている。一方、山村では、少子化・高齢化の進行、定住人口の減少、鳥獣被害の増大等山村の維持・存立自体が懸念されている。
平成28年度においては、このような情勢を踏まえ、山村振興法、農山漁村活性化法、鳥獣被害防止特措法等に基づく施策並びに新たな山村振興施策の推進について、政府、国会、国民の理解と支援を得るとともに、全国町村会等関係団体との連携を密にし、振興山村市町村の一層の連帯の強化を図るため、以下の事業を実施する。

1.山村振興政策に関する提言及び政府予算対策

山村の持続的発展を図るための山村振興政策が適切に実施され、山村振興対策の総合的推進に必要な予算、地方財政措置が確保されるよう、農林水産省、国土交通省、総務省をはじめ関係各省庁、関係各党と十分連絡を取りつつ、山村振興施策に関する提言を行うとともに政府予算確保運動を行う。

2.山村をめぐる諸問題についての情報の収集、調査、検討

山村振興対策に関する提言、山村市町村に対する情報の提供等を行うため、山村をめぐる諸問題についての懇談会の開催、各種情報の収集及び調査並びに分析・検討を行う。

3.山村振興を図るための啓発・普及活動の推進

山村振興の重要性について広く国民の理解と協力を得るため、関係団体との連携、ホームページによる情報提供、冊子の発行等を行う。

4.山村振興対策の計画的推進

山村振興対策の計画的推進を図るため、振興山村市町村及び都道府県の山村振興実務担当者並びに支部の担当者を対象に、山村振興計画の作成、山村振興施策推進等に資するための研修会を実施する。

5.会員等への情報の提供

山村振興情報(年間6回)の発行、ホームページ等により、会員、関係方面に対し山村振興に関する情報を提供する。

6.山村振興全国連絡協議会への助成

協議会の運営費の一部を、前年度同様助成する。

7.各種会議会合等

平成28年11月に通常総会、7月、10月及び平成29年2月にそれぞ副会長会議及び理事会を開催する。
また、平成29年1月に支部事務局長会議を開催する。